天の梯 の商品レビュー
題名が美しいだけでなく、最終巻の集大成として、「天」(そら)、「梯」(かけはし)という2つの漢字で全てが表現されている。お見事である。 「食は人の天なり」と源斎先生の言葉が、澪の心星を確固たるものにする。 野江の身請けはできるのか?源斎先生との関係はどうなるのか?澪は「雲外蒼天...
題名が美しいだけでなく、最終巻の集大成として、「天」(そら)、「梯」(かけはし)という2つの漢字で全てが表現されている。お見事である。 「食は人の天なり」と源斎先生の言葉が、澪の心星を確固たるものにする。 野江の身請けはできるのか?源斎先生との関係はどうなるのか?澪は「雲外蒼天」となるのか? 蛇足だが、神狐の世話をひそかにしてくれていたひとは誰か? 料理や食材をを通じて、心の中に味が染みてくる。葛は雑草であり、とても強い。踏まれても踏まれても立ち上がる。「親泣かせ」と呼ばれた自然薯もまたセンスがある表現だった。蛸飯は季節も表している。キレイな水の流れが早いところに蛸は生息する。背景にそんな事まで彷彿とさせられた。 東西で異なる料理が、現代では往来が容易になり複雑に入り混じった文化を築いている。昔は独自の文化が根付いており、今でもその名残があることを知ることができる。音楽同様、料理はまさに人の心に根付くものだと感じる。 最終巻であるが、この作品の最後の章「天の梯」粟おこしは東西文化だけでなく、故郷を思う気持ちと「おこし」にも大きな意味が隠されていた。 そしてシリーズの題名である「みをつくし料理帖」も終始一貫した意味が込められている。この章だけで、もう一冊描かれるのではと、後ろ髪をひかれつつ本を閉じた。
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10巻に及ぶシリーズ 逸る気持ちを抑え じっくりと味わい 読み終えた。話し言葉で綴られる 時代小説ならでは。それが人情本なら尚更。 懸命に生きる人様には、誰もが等しく心を拐われるだろう。 人の思いに寄り添える それさえ 時として容易くはない。 だからこそ人情話は絶えず、人は己れ...
10巻に及ぶシリーズ 逸る気持ちを抑え じっくりと味わい 読み終えた。話し言葉で綴られる 時代小説ならでは。それが人情本なら尚更。 懸命に生きる人様には、誰もが等しく心を拐われるだろう。 人の思いに寄り添える それさえ 時として容易くはない。 だからこそ人情話は絶えず、人は己れの内にある悪魂をおい隠そうと次々と手に取る。
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こんなに最新刊が待ち遠しい本は初めてでした。発売日、書店で平積みされている本の表紙の絵を見ただけで泣けてきたのは私だけではないはず…。みをつくし料理帖に、髙田先生の本に出会えて良かったです。これからもきっと何度も読み返すと思う大切なシリーズです。
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2024年に本シリーズを1巻から一気読みしました。 ほっこりしたり涙したり、澪ちゃんに、時に美緒ちゃんや野江ちゃんに、感情移入しながら大事に大事に読みました。 続きがないことが寂しくて、「こんな寂しくなるなら読まなければよかった…知りたくなかった…」と思った程。 とても良かった。...
2024年に本シリーズを1巻から一気読みしました。 ほっこりしたり涙したり、澪ちゃんに、時に美緒ちゃんや野江ちゃんに、感情移入しながら大事に大事に読みました。 続きがないことが寂しくて、「こんな寂しくなるなら読まなければよかった…知りたくなかった…」と思った程。 とても良かった。。 何も起こらなくていいから、この先の澪ちゃんの生活もずっと見ていたかったです。
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澪つくし料理帖の最終巻に相応しい終わり方だった。皆それぞれに幸せになり、それぞれの道を進んでいく。野江が吉原から出られて、澪と大阪に帰ることになりった。澪の気持ちを汲んだ周囲とあさひ太夫を思う人々が彼女が野江として生きることに困らないようにお膳立てをしてくれて、澪も自分の幸せを考...
澪つくし料理帖の最終巻に相応しい終わり方だった。皆それぞれに幸せになり、それぞれの道を進んでいく。野江が吉原から出られて、澪と大阪に帰ることになりった。澪の気持ちを汲んだ周囲とあさひ太夫を思う人々が彼女が野江として生きることに困らないようにお膳立てをしてくれて、澪も自分の幸せを考えることができるようになっていく。 ほのぼのとした幸せに包まれる終わり方だった。
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シリーズ最終巻。 そうか…そうかぁ…と何度もしみじみしながら読んだ。振り返るシーンで登場人物達と同じく、あぁあったなぁ、そうだねぇ、と振り返った。 物事がするするとはまっていってみんな幸せに、というのは物語の中だけかもしれないけど、それでも嬉しいなぁと思いながら読み終えた。 悲し...
シリーズ最終巻。 そうか…そうかぁ…と何度もしみじみしながら読んだ。振り返るシーンで登場人物達と同じく、あぁあったなぁ、そうだねぇ、と振り返った。 物事がするするとはまっていってみんな幸せに、というのは物語の中だけかもしれないけど、それでも嬉しいなぁと思いながら読み終えた。 悲しい出来事も多かったし、嬉しい出来事もたくさんあったなぁ、と、本当に歩んできたかのように振り返って心が温まったシリーズでした。 以下感想を書くにあたりどうしても内容に触れてしまうので、未読の方はお気をつけください 澪と源斎先生が打ち明け合うシーン、その言葉がとても心温まるもので、同志として連れ立っていく幸せをなぜかうちまでかみしめてた。笑 ほのぼのしてていいなぁ。。 最後の行列のシーン、ただそれだけでもとても美しくて、そのうえその他大勢の人々に希望を持たせていて、その様子が目に浮かんで胸がギュッとした。
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一気読み。 「野江ちゃん」「澪ちゃん」で泣ける。 ありがとう旦那衆。 料理番付もニヤリ。 読めてよかった。 早く忘れてまた一から読みたいな。 心星ひとつ。負けずに生きていこうという気になった。
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「食は人をつくる」 皆の選んだ選択は、決して間違いではなかった。 澪には、いつまでも、自分のつくりたり料理をつくり続けていてほしい。 一度は「鼈甲珠」を自分つくって食べてみたい。 巻末の番付も良し。
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いい終わり方でしたね〜。 こういう温かい物語は大好きです。 みんながそれぞれの人のことを思うって素敵!
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やっぱり、これでもかってぐらいに雲が厚いなぁ。でも、ここまで来ると澪の心星は全く揺らぐことない。一方、ふき坊がどんどん料理上手になっていくのが嬉しい。ぴょんと跳ねてくれなくなっちゃったけど(いつの間にか、そんな歳ではなくなってたか)。そして想像以上の結末だった。たぶん無理を通すこ...
やっぱり、これでもかってぐらいに雲が厚いなぁ。でも、ここまで来ると澪の心星は全く揺らぐことない。一方、ふき坊がどんどん料理上手になっていくのが嬉しい。ぴょんと跳ねてくれなくなっちゃったけど(いつの間にか、そんな歳ではなくなってたか)。そして想像以上の結末だった。たぶん無理を通すことはできないのだろうと正直あきらめていた筋書だったから、こんな嬉しい大団円はない。
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