闇に香る嘘 の商品レビュー
村上和久は残留孤児として中国から帰国した兄の竜彦が偽物ではないかと疑い始めた.和久も満州からの引揚者で幼い頃の栄養不足などの原因で失明する.私が兄だという電話もあり,和久は困惑する.当時の関係者に面会して情報収集をする過程で奇妙な体験をする.目が見えないハンディをものともせず,動...
村上和久は残留孤児として中国から帰国した兄の竜彦が偽物ではないかと疑い始めた.和久も満州からの引揚者で幼い頃の栄養不足などの原因で失明する.私が兄だという電話もあり,和久は困惑する.当時の関係者に面会して情報収集をする過程で奇妙な体験をする.目が見えないハンディをものともせず,動き回るバイタリティーには,孫の腎臓病に適合するドナーを見つけ出すことが大いに関与していたが,竜彦はそれを拒絶した.最後になって意外な事実が判明する場面は楽しめる.それにしても,当時の政府のやり方は酷いものだ.今でもそのDNAは残っていると確信している.
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孫娘の為に中国残留孤児であった兄に臓器提供を頼むが拒絶され検査する事も頑なに拒まれる。和久は兄が偽物ではないかと疑う◇読みやすい本ではあったのですが前半、全盲である和久の兄への疑心、娘との溝が苦しく感じなかなか進みませんでした。中盤になって家族が絆を取り戻し平穏な空気に…と思いきやまたしても疑惑が。しかし、娘と寄り添えた分重くならず、和久が娘と助け合いながら孫娘を救う姿は良かったです。最後、全ての真実が解き明かされ兄と母の優しさが沁みました。「ありがとう」が言えるっていいですね。
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人は弱者に対して労わる一方、一歩間違えれば利用することもできてしまう。本書はその一線を乗り越え、生々しい「闇」の部分を堂々と展開させている。ミステリー的には、盲目者ゆえに設定できる様々なトリックや登場人物との相関を利用した作品なのかもしれないが、弱者を考える機会の書という見方をす...
人は弱者に対して労わる一方、一歩間違えれば利用することもできてしまう。本書はその一線を乗り越え、生々しい「闇」の部分を堂々と展開させている。ミステリー的には、盲目者ゆえに設定できる様々なトリックや登場人物との相関を利用した作品なのかもしれないが、弱者を考える機会の書という見方をすることで本書の魅力が理解できる。だからこそ乱歩賞作品になったのかもしれない。
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4月-2。3.5点。 盲目の主人公。兄は残留孤児だが、主人公の孫への 臓器提供を拒む。兄は他人では。。。 主人公が盲目のため、得体の知れない恐怖が。 描写が上手い。無言の同席者とか、怖い。 読み応えあり。
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「中国残留孤児」の問題。そして、視力を失った男性が主人公。ミステリーの題材として扱うには、重めなものだった。始まりは兄への疑念。主人公の暗闇の世界から、全感覚を研ぎ澄ませて点と点を結び付けながら話は進む。よもや偽物かとも思った「中国残留孤児だった兄」の存在がこんなにも優しい存在だ...
「中国残留孤児」の問題。そして、視力を失った男性が主人公。ミステリーの題材として扱うには、重めなものだった。始まりは兄への疑念。主人公の暗闇の世界から、全感覚を研ぎ澄ませて点と点を結び付けながら話は進む。よもや偽物かとも思った「中国残留孤児だった兄」の存在がこんなにも優しい存在だったとは。母が残してくれた言葉が「兄」では無く「自分」のためのものだったとは。「見えていないからこそ」守り抜きたかった「家族」の愛があった。ようやく「家族」が機能し始めたのだ。臓器移植の話なども絡んできて、ただのミステリーと分類してしまうのはもったいない。
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上質のミステリー 双子は反則だけど、きれいな筋書きだ。筋書きが前半で読めるんだけども、全盲と記憶削除と人工透析はずるい感じ。つまり安っぽい。そこまで防御しないと成立しないミステリーは三流だと思う。 家族を描いた、なかなかハートウォーミングな筋だけに、小細工が目につき不快か...
上質のミステリー 双子は反則だけど、きれいな筋書きだ。筋書きが前半で読めるんだけども、全盲と記憶削除と人工透析はずるい感じ。つまり安っぽい。そこまで防御しないと成立しないミステリーは三流だと思う。 家族を描いた、なかなかハートウォーミングな筋だけに、小細工が目につき不快かな。
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盲の一人暮らしの老人。孫に腎臓移植手術が必要。残留孤児として満州から戻った兄に自分の孫に腎臓移植を頼んだが、検査を断られる。 「お前の兄は偽物だ」と電話で連絡。 満州にいた知り合いを訪ねる。嘘をつかれてもわからない いつも、自分のそばにいる無言の人がいる。最後に兄だったことがわかる。 兄を疑う。自分が中国人だった。双子の兄弟もいる。 密入国していた。一人暮らしの自分の家で隠れていた。 双子の兄弟に腎臓をもらい孫は手術成功。
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「闇に香る嘘」 下村敦史 ★☆☆☆☆ 江戸川乱歩賞受賞作。ダメだこりゃ。 まず、兄が偽物だって思い始めるきっかけが、「孫のための検査を受けてくれない。」じゃダメだろ・・・。全然理由になってない。 「家に”ヒ素”があった→母親が毒をもられてるのでは?」じゃダメだろ。無理やりすぎ。...
「闇に香る嘘」 下村敦史 ★☆☆☆☆ 江戸川乱歩賞受賞作。ダメだこりゃ。 まず、兄が偽物だって思い始めるきっかけが、「孫のための検査を受けてくれない。」じゃダメだろ・・・。全然理由になってない。 「家に”ヒ素”があった→母親が毒をもられてるのでは?」じゃダメだろ。無理やりすぎ。 探偵小説ではないので、「ノックスの十戒」は守らなくてもよいけど、それにしても偶然がすぎるし、無理矢理過ぎる。目が見えないのでなんでもありじゃ読者が可愛そうだ。#引用 人はだれでも「昔」を生きることはできない。「今」を生きるしかない。
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ある意味乱歩賞受賞マニュアルにある、中途での視覚障害者が主人公。 新人賞の乱歩賞として考えるなら中々いい出来だと思います。 しかしながら、ストーリーのネタ、オチ、推理のトリックを活かす為の主人公の人間性の肉付けが透けて見えるようで、なにか嫌でしたね。
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中国残留孤児、密入国、肝臓移植、盲目老人の日常生活など盛りだくさんの内容をよくまとめ上げたという推理小説の秀作。
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