乱読のセレンディピティ の商品レビュー
読む前からタイトルは納得である。 「本は身ゼニを切って買うべし」なども納得できる。 本から何を学びとれるかは、人それぞれのもの。 乱読の中に、きっとチャンスは埋まっている。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
熟読でゆっくり読んでいたつもりがいつの間にか積ん読になっていたので、フォトリーディング。 読書に関するモチベーションを上げてくれる良書。趣旨は、乱読することによって思いもかけない発見や気付きを誘発することができる、というもの。 高速を交えて熟読。著者のセレンディピティに対する考えをまとめた良書。星四つ。 下記に付箋を貼った箇所の要約をのせる: 41:読書100編神話は実は、繰り返し読めば分かるのではなく、繰り返し読めば分かるような気がすることにある。 43:読書100編も神話なら、10分読書も神話。 44:本は読み捨てでかまわない。 51-52:知識は借り物、思考は自力。知識は化石、思考は生きている。 56:書いたものが立派であることは技巧、話すことが立派なのはその人の頭の中の反映。 67:スピードを上げて読まないとことばの命を殺してしまう。 73-74:アルファー読みとベータ読み。ベータ読みを日本は放棄した。漢文素読などはベータ読み。 117:失敗や誤解がセレンディピティを生む。成功から新しいことは生まれない。 126:関係の無い遠く離れた分野を考えることはセレンディピティを生む。 168:知的メタボリックシンドロームはあり得る。知識ばかりで考えられなくなってしまう。専門的なことだけを吸収するのでは知的メタボリックシンドロームになってしまう。 189-190:物事を考える思考力を生む散歩に、メモを用意して出かける。 195-196:ウォルター・スコットも菊池寛も夜よりも朝に期待する人たちだった。夜は悩まず朝のアイデアに期待する。夜は仕事をしない。早寝早起き。
Posted by
思いがけないことを発見するための乱読を推奨する書。確かに自分の専門分野や好きなジャンル以外の本を読むと、専門外であるがゆえに読みにくくはあるけれど、日頃考えもしなかったことについて考える機会を得られるように思う。私のそれは著者が得るようなセレンディピティとは程遠いけど、これから...
思いがけないことを発見するための乱読を推奨する書。確かに自分の専門分野や好きなジャンル以外の本を読むと、専門外であるがゆえに読みにくくはあるけれど、日頃考えもしなかったことについて考える機会を得られるように思う。私のそれは著者が得るようなセレンディピティとは程遠いけど、これからもっと好奇心の赴くままに乱読をして脳に刺激を与えたい。自分の読書がまだまだ至らないものであることを実感し、これから知的自由人になれるよう精進したいと思わせられる本だった。
Posted by
的確な指摘が素晴らしい.9章の「読者の存在」で作者と読者がその作品の価値を決めるという主張は納得だ.12章の「古典の誕生」で作品を掘り出す読者などの努力で古典が古典として認められるという議論も納得できる.
Posted by
後から「思考の整理学」と一緒のひとだ!って気付きました。本読むのはすきでもすぐ内容忘れちゃうのがすごくコンプレックスというか嫌だったので、思考のデトックス、思考のダイエットっていう書き方をしていてすごく楽になった!忘れてもいいんだ!って思えたので読んで良かったなあ
Posted by
―――――――――――――――――――――――――――――― "貰ったクスリはきかない"という。11 ―――――――――――――――――――――――――――――― 中学以来の友人に読んでほしくないという気持ちは、近すぎるからで、近いものは近いものによい影響を与...
―――――――――――――――――――――――――――――― "貰ったクスリはきかない"という。11 ―――――――――――――――――――――――――――――― 中学以来の友人に読んでほしくないという気持ちは、近すぎるからで、近いものは近いものによい影響を与えない、という人情に根ざしているものである。読書にも距離の美学がはたらく。11 ―――――――――――――――――――――――――――――― 十分間で一冊読み上げる法などを言いふらしている向きもある。そんな本なら、いっそ読まないほうが世話がない、とは考えないところが、かわいい。読書百遍が神話なら、十分間読書は新神話である。神話は生活をかえない。43 ―――――――――――――――――――――――――――――― 大事なことをノートしておこう、というのは欲張りである。心に刻まれないことをいくら記録しておいても何の足しにもならない。45 ―――――――――――――――――――――――――――――― 体のメタボリック・シンドロームに似たことが、頭においてもおこりうる。169 ――――――――――――――――――――――――――――――
Posted by
”思考の整理学”の著者の読書版。様々な本を読むことによるひらめきを説いている。読み方にも触れており、流れるように読むことでその本の意図する内容をより深く理解できることを英文の理解方法を例に示しているところはとても興味深い。また、忘れること、朝型、散歩などの著者の読書スタイルも興味...
”思考の整理学”の著者の読書版。様々な本を読むことによるひらめきを説いている。読み方にも触れており、流れるように読むことでその本の意図する内容をより深く理解できることを英文の理解方法を例に示しているところはとても興味深い。また、忘れること、朝型、散歩などの著者の読書スタイルも興味深い。
Posted by
外山先生の乱読のすすめである。 本が貴重で手に入りにくい時代では精読が尊ばれたが、現代は本があふれるように多いのに読む時間が少ない。積極的な乱読は従来の読書ではまれにしか見られなかったセレンディピティがかなり多く起こるのではないか。というのが本書の趣旨。 小説を読みあさるのは...
外山先生の乱読のすすめである。 本が貴重で手に入りにくい時代では精読が尊ばれたが、現代は本があふれるように多いのに読む時間が少ない。積極的な乱読は従来の読書ではまれにしか見られなかったセレンディピティがかなり多く起こるのではないか。というのが本書の趣旨。 小説を読みあさるのは乱読ではない(多読?)文章を読むのにアルファー読みとベーター読みがあり、内容意味が分かっている文章を読むのがアルファー読み。内容意味が分からないものを読み解くのがベーター読みである。内容意味が分からないものを読むのであるから失敗もあるが、セレンディピティを起こすことも多いのである。知っていることからセレンディピティは起こらない。 セレンディピティを起こす読書、知識で無く思考を生む読書そんな読書のヒントとなる本である。ただしノウハウ本ではありません。
Posted by
「本は身銭を切って読みあさるべし」という本。 セレンディピティとは思わぬ発見をする能力という意味で、本を読みあさって思考することで思わぬアイディアが生まれるという主張である。 本書ではこのような乱読によるインプットから、おしゃべり、忘却へと話を発展させ、思考のシステムに踏み込ん...
「本は身銭を切って読みあさるべし」という本。 セレンディピティとは思わぬ発見をする能力という意味で、本を読みあさって思考することで思わぬアイディアが生まれるという主張である。 本書ではこのような乱読によるインプットから、おしゃべり、忘却へと話を発展させ、思考のシステムに踏み込んで論じている。
Posted by
本を読み、こんなものを書いているくらいだから、私はそれなりの本読みだと思っている。 読書のおかげで、幼い頃から、頭がいい、とか大人びた考えだと褒められることも多かったし、論文の試験やコンテストだって、それなりの成績を残している。 それが私の自尊心、誇りだったのだ。 しかし、その一...
本を読み、こんなものを書いているくらいだから、私はそれなりの本読みだと思っている。 読書のおかげで、幼い頃から、頭がいい、とか大人びた考えだと褒められることも多かったし、論文の試験やコンテストだって、それなりの成績を残している。 それが私の自尊心、誇りだったのだ。 しかし、その一方で、どうも自分の考えが他人からの借用に過ぎない気もしていた。 もっとも、知識は誰かの発明や発見があって手に入れられるものだし、全く新しいものを生み出すことは現代では難しい。 また、真似をしなければ、型が作れず、型がなくては型破りなどできない。 とはいえ、この袋小路、一体どうやって出たら良いのだろうか? 答えは、「忘れること」。 いやいや、忘れるなとは人からも言われるし、自分だってよく言っているじゃないか! それをなぜ? 著者は排泄が大事なのだという。 食べたら出るのが自然の摂理、でなければ体の中で腐ってしまって、健康を害するのだから。 毎日沢山食べて、沢山出してスッキリさせることで、新しいものが生まれる。 新陳代謝だ。 変化を恐れるな。忘れることを忘れるな! セレンディピティとは思いがけないことを発見する、の意で、イギリスの作家であるH・ウォルポールの造語である。 この言葉の元となるセレンディップはセイロン、スリランカのことだそうだ。 造語がこんなに有名になるとは、まさにセレンディピティ! 著者は本書の中で、次々と新しい価値観を提示する。 今まで劣等とされてきたものの良さを説き、優等とされてきたものの害を説く。 乱読よりも精読、話すより書く、忘却よりも記憶、朝よりも夜。 机の上で、無言で夜遅くまで細々と、という「ガリ勉」はもうやめよう。 時代が降り、また、研究も進み、朝活だ、プレゼン能力だ、そんなことがもてはやされるようになってきたが、根元はあまり変わっていない。 それを見直してみることで、今までになかったものが現れてくるかもしれない。 本書は読書に限らず、様々なことに言及する。 もしかしたら、自分の価値観と違うことも多いかもしれない。 けれども、新しいことは必ずしも恐ろしいことではない。 新しいものに出会えることこそ、人生の喜び、楽しみだ。 さて、本書を通して、私はセレンディピティと巡り会えるだろうか?
Posted by