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資本主義の終焉と歴史の危機 の商品レビュー

4.1

188件のお客様レビュー

  1. 5つ

    53

  2. 4つ

    72

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2021/09/29

先進国における金利の低下を根拠として、利潤率の減少、すなわち資本主義の終焉を論じでいる本。 資本主義を延命するために金融市場にバブルを生成し、その崩壊によって労働者が割を食うという構図の解説はとても興味深く感じた。 現状の資本主義の代替案に関しての記述が弱く感じたので(他書籍で詳...

先進国における金利の低下を根拠として、利潤率の減少、すなわち資本主義の終焉を論じでいる本。 資本主義を延命するために金融市場にバブルを生成し、その崩壊によって労働者が割を食うという構図の解説はとても興味深く感じた。 現状の資本主義の代替案に関しての記述が弱く感じたので(他書籍で詳しく解説なさっているのかもしれないが)星をマイナス1した。

Posted byブクログ

2021/09/18

資本主義が永続不能なシステムであるということは今や衆庶の知るところであるが、金利の推移を見れば、その終焉は「いつか来る」程度のものではなく、もう我々の眼前に迫っていると言える段階まで来ていると警鐘を鳴らすのが本書である。水野によれば70年代には既に資本主義は有限性の隘路に逢着して...

資本主義が永続不能なシステムであるということは今や衆庶の知るところであるが、金利の推移を見れば、その終焉は「いつか来る」程度のものではなく、もう我々の眼前に迫っていると言える段階まで来ていると警鐘を鳴らすのが本書である。水野によれば70年代には既に資本主義は有限性の隘路に逢着していたそうだ。そこでアメリカは電子・金融空間にフロンティアを見出した。そこさえ侵食し尽くした資本主義の次なる延命策は「中心の内部に周辺をつくり出す」というアクロバットである。これがネオリベの増長や格差拡大の主因だろう。

Posted byブクログ

2021/09/07

水野和夫(1953年~)氏は、早大政経学部卒、早大大学院経済学研究科修士課程修了、三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト、民主党政権の内閣官房内閣審議官、国際投信投資顧問顧問、日大国際関係学部教授等を経て、法政大学法学部教授。 本書は、2014年に出版され、経済書に...

水野和夫(1953年~)氏は、早大政経学部卒、早大大学院経済学研究科修士課程修了、三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト、民主党政権の内閣官房内閣審議官、国際投信投資顧問顧問、日大国際関係学部教授等を経て、法政大学法学部教授。 本書は、2014年に出版され、経済書にもかかわらずベストセラーとなり、2015年の新書大賞第2位を獲得。 2013年に発表(日本語訳は2014年出版)されたトマ・ピケティの『21世紀の資本』とともに、資本主義の問題・限界を明快なメッセージで指摘したことで、多くの人々に受け入れられた。 近年、斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』をきっかけに「脱成長」に関わる議論が大いに注目されており、私も、あまりに不合理な格差を生む資本主義の限界を強く感じているのだが、先駆けて「資本主義の終焉」という警鐘を鳴らした本書を、今般改めて読んでみた。 エコノミストの著書なので、少々経済学の基礎知識を要する記述はあるものの、論旨は以下の通り明快である。 ◆近年、先進各国で超低金利の状態が続いているが、これは、16世紀末~17世紀初頭にジェノヴァで同様の現象が起こって以来のことである。利子率ゼロとは利潤率ゼロということ、即ち、利潤を得られる投資機会がなくなったということであり、そのときの経済システムが限界に突き当たったことを示している。16世紀においては、その結果、中世から近代への移行(中世封建システムから近代資本主義システムへの転換)が生じた。 ◆資本主義とは、「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」即ちフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖(「成長」)を推進するシステムであり、その性格上、常にフロンティアを必要とする。しかし、20世紀後半のグローバリゼーションの進展は、発展途上国を「周辺」に留めることを許さず、地球上の「地理的・物的空間」のフロンティアを消滅させた。その後、資本主義は、金融自由化により新たに「電子・金融空間」というフロンティアを創り出して延命を図ったが、米国のサブプライム・ローン問題、ギリシャ危機、日本の非正規社員化問題などを引き起こし、2008年のリーマン・ショックでバブルは結局限界に達した(実体の伴わないバブルが崩壊した)。 ◆このまま資本主義システム(=「成長」)の延命に拘れば、世界中の(地域を問わない)相対的弱者が「周辺」に成らざるを得ず、格差の拡大を生み、延いては国民国家の危機、民主主義の危機、地球持続可能性の危機を顕在化しかねない。よって、今こそ我々は近代(=資本主義)そのものを見直し、脱成長システム=ポスト近代システムを見据えなくてはならない。 では、ポスト近代システムとはどのようなものなのかについては、著者は正直に「その明確な解答を私は持ちあわせていません」と述べているのだが、この解答の一例が斎藤氏のいう「脱成長コミュニズム」と読むことは可能であろう。 様々な意味で「大分岐」にある今、改めて読む意味のある一冊と思う。

Posted byブクログ

2021/08/17

---- 感想 ---- 近現代の資本主義の流れが特にとてもわかりやすく、面白く読めました。 今まで「非正規労働問題」などのワードを見かけても何も思わなかったけど、過去からの流れを頭に入れると、その意味も頭に入ってきて、かなりアンテナの感度が上がった気がします。 知識の少ない自分...

---- 感想 ---- 近現代の資本主義の流れが特にとてもわかりやすく、面白く読めました。 今まで「非正規労働問題」などのワードを見かけても何も思わなかったけど、過去からの流れを頭に入れると、その意味も頭に入ってきて、かなりアンテナの感度が上がった気がします。 知識の少ない自分にとっても説明がわかりやすく、新たなフロンティア、周縁を探し続けている現在の資本主義の姿が理解できました。 ---- 勉強になったポイント ---- - 資本主義は、安く買って高く売るのが原則だったが、先進国では、1970年代半ばに石油を買い叩けなくなったことで、ピンチに=>金融、IT空間を作り出し、実態経済が伸びない中でもバブルを起こし続けて延命してきた。 - その後は国内に格差を作り出して、企業は利潤をあげる様になる。日本における非正規労働問題、アメリカにおけるサブプライムローン問題など。 - 先進国の超低金利は、中世に起きて以降の低水準で、すでに投資をして利潤を得る先がなくなったことの証拠。

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2021/07/08

1970年代に始まった「長い21世紀」。それは、800年続いた、資本主義の終わりの始まりに他ならない。 16世紀末から17世紀初頭の「長い16世紀」における利子率革命は、中世から近代資本主義へとシステムを大変換させた。それと同等の変革期が、1970年代からの「長い21世紀」であ...

1970年代に始まった「長い21世紀」。それは、800年続いた、資本主義の終わりの始まりに他ならない。 16世紀末から17世紀初頭の「長い16世紀」における利子率革命は、中世から近代資本主義へとシステムを大変換させた。それと同等の変革期が、1970年代からの「長い21世紀」であると水野は説く。それはまさに、資本主義の終わりの始まりである。 資本主義は「周辺」を作り出して、そこから「中心」へと富や資源を移転させるものであるが、もはやこの地球上に「周辺」は存在しなくなった。資本主義の延命を図ろうとするグローバル資本主義は、国内に「周辺」を生み出し、それは市民社会や民主主義といった、近代の価値に対する重大な脅威となる。 しかし、現今の日本におけるゼロ金利・ゼロインフレという状況は、成長を信奉してやまない末期の資本主義からのソフトランディングを可能にさせる条件でもある。この「歴史の危機」にあって、未来への構想力が求められる由縁である。

Posted byブクログ

2021/02/01

部長に2年前もらった本。積読で再チャレンジ。社会人4年目も終わり頃にようやく意味がわかってきた。 2014年の著者の考察は確実に21年転換期にきているのではないか?コロナ禍で生活様式が変わり、本当に必要なものと不必要なものがわかれ、大量消費主義に終止符が打たれるかもしれない。 ...

部長に2年前もらった本。積読で再チャレンジ。社会人4年目も終わり頃にようやく意味がわかってきた。 2014年の著者の考察は確実に21年転換期にきているのではないか?コロナ禍で生活様式が変わり、本当に必要なものと不必要なものがわかれ、大量消費主義に終止符が打たれるかもしれない。 はっきり言って、メーカーで働いている身としてはとても恐怖感を抱く一冊。

Posted byブクログ

2020/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何気に手に取って、そのメッセージ性に衝撃を受けた。 [受け取ったメッセージ] 日本が世界に先駆けて資本主義の終焉に直面している。ゼロ金利と低成長がその証拠、とのご主張。 しかし、ゼロ金利は資本主義からの卒業を意味している。日本は成長願望にとりつかれて倒錯した 経済運営をしている。資本主義にどっぷり浸かったおじさんたちが、若い者はカネを使わな過ぎると非難する。。。 全く仰せの通り。 [以下、個人的な気になりポイント] “(2) 「国家の集合ではあるがシステムではない」は国によっては実現可能性はあります。。。 しかし、小国やあるいは日本のような国の場合は、没交渉の世界を生き抜くことはできません。” これは本当か?日本の江戸時代は自足自給経済を回せていたハズ。 江戸時代は幕藩体制で、政治的には徳川家が最強だった訳だが各藩の経済は独立していた。 明治維新の時とは状況が異なるので、連邦制(=道州制)を追求しても良いはずだと思うがどうか?

Posted byブクログ

2020/11/24

 グローバル化が資本主義というシステムから、多くの人を幸福にする機能を奪っているというような話だったような気がする。強欲なものが勝つとすれば、より強欲にならざるを得ず、ドラッカーや松下幸之助は見向きもされなくなり、日本型経営は競争に勝てなくなっているようですね。

Posted byブクログ

2020/10/16

0成長論、おもしろい。 0成長の世界の中では、きっと資本主義的な成長は止まっているのだけど、資本主義は自然的なものに、もはやなっているので"数"という成長基準とは別の基準の成長という概念を作りクロスで考えていくのが良いのだろうなぁと思った。

Posted byブクログ

2020/09/05

文字通り、資本主義が勝利したわけではなく、今後崩壊していくことを描いた一冊。 上位15%に富が集積し、先進国はその恩恵に授かってきたたが、発展途上国も同様に発達しつつある今後は厳しいということがよく分かった。

Posted byブクログ