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資本主義の終焉と歴史の危機 の商品レビュー

4.1

188件のお客様レビュー

  1. 5つ

    53

  2. 4つ

    72

  3. 3つ

    30

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

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2014/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

グローバル経済が現在直面している状況は、 (1)資本の増殖の為に収奪対象とする辺境は殆ど残されていない。 (2)豊かになれる上限定員は15%程度である。  以前は南北国家間格差であったが、新興国も辺境  でなくなってきたので、国家の内側に辺境を生み出す (格差の拡大、中間層の没落)。 (3)それでも足りず未来世代からの収奪をも起こしている (ツケの支払いは未来世代へ)。 (4)紙幣を増刷、増税と企業減税で資本の塊集をしても、  投資先が少なくなっている。 (5)地球の資源は無限という前提で走っている。中国・インドなどの人口大過剰国まで近代化して資源多消費国にしている。当然、地球システム自体が崩壊へ向かう   では、どう対処するかとなると、 (1)資本主義にブレーキを掛けて延命させる。 (2)財政健全化する。(あと4-5年の猶予しかないか?) (3)猶予期間でポスト資本主義の社会を用意する。 (5)ポスト資本主義の社会がどういう社会であるか不明である。現在は企業(資本)の力が強すぎて、国家も労働者も対抗できない。G20の国家間で合意できれば世界GDPの87%を占めるので巨大企業に対応可能。

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2014/04/21

正直、過去の著作とかなりバッティングする議論で、目新しさが無い。 噛み砕いて書いているといえばそうだが、それにしてもこれで改めて出版する必要ある?という疑問が強く残った。こういう出版の仕方には賛同できない。 考え方には非常に共感するのだが。 初めてこの人に触れるのであれば、...

正直、過去の著作とかなりバッティングする議論で、目新しさが無い。 噛み砕いて書いているといえばそうだが、それにしてもこれで改めて出版する必要ある?という疑問が強く残った。こういう出版の仕方には賛同できない。 考え方には非常に共感するのだが。 初めてこの人に触れるのであれば、読んでもいいとは思うが、それ以外は無駄読みになる。

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2018/10/14

近年の利子率水準の低迷は、世界経済からフロンティアが喪失しつつあることに伴うものであり、成長を前提とする「資本主義」の死が近いことをあらわしているとの主張をおこない、当面はとにかくスピードを緩めるというのが処方箋であるとの提言をなす。 ルネッサンス以降の歴史を鳥瞰するという論法で...

近年の利子率水準の低迷は、世界経済からフロンティアが喪失しつつあることに伴うものであり、成長を前提とする「資本主義」の死が近いことをあらわしているとの主張をおこない、当面はとにかくスピードを緩めるというのが処方箋であるとの提言をなす。 ルネッサンス以降の歴史を鳥瞰するという論法で、ブローデルやシュミットを引き、最近にいたってアメリカは「電子・金融空間」をあらたなフロンティアとして作り上げたが、スピードが極端に速い空間であるがゆえにその行き止まりもほとんど即時というものであった。資本と富の集中による格差拡大は、成長を信奉する世界観では解決不能である・・・などの記述に満ちている。

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2022/10/01

本書は2014年3月に発行された本だが、小生は2014年4月に一度読んでいる。このほど再び本書を読み、時の流れと共にさらに説得力を増してきたと思った。 「西欧的な近代化は、途上国から資源を安く購入することで成り立っていたが、途上国の近代化によってその条件はもはや消滅した」。まさに...

本書は2014年3月に発行された本だが、小生は2014年4月に一度読んでいる。このほど再び本書を読み、時の流れと共にさらに説得力を増してきたと思った。 「西欧的な近代化は、途上国から資源を安く購入することで成り立っていたが、途上国の近代化によってその条件はもはや消滅した」。まさにその通りではないか。本書を高く評価したい。 以下は2014年4月に読書した時のレビュー。 『本書は,「経済書」なのか「政治書」なのか、それとも「文明書」なのか、とにかくすごい本である。 本書によると、資本主義はもう「終わっている」となる。 なるほど昨今のウクライナ情勢を見ても、本書の見解は理解できないわけではないが、はたして・・・。 本書が語る雄大な歴史的見解は、まるで著者が「マルクス」であるかのようにも思え、しばしばうなづきながらも、ところどころでは首をかしげた。 著者の今までの著作よりも、一段と読みやすく、わかりやすい「経済書?」であると高く評価したい。』

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2014/04/10

拡大することが資本主義の本質だが、物理的空間も電子金融空間もフロンティアはもうない。新興国が成長してきたのでエネルギーを安価に入手することは困難。民主主義は価値観を同じくする中間層があってはじめて機能する。中間層の没落は民主主義の基盤の破壊。グローバル資本は国民国家を超える。など...

拡大することが資本主義の本質だが、物理的空間も電子金融空間もフロンティアはもうない。新興国が成長してきたのでエネルギーを安価に入手することは困難。民主主義は価値観を同じくする中間層があってはじめて機能する。中間層の没落は民主主義の基盤の破壊。グローバル資本は国民国家を超える。などなど大変刺激的。とすると戦争でガラガラポンでやり直しって感じになるのでしょうか。そっちに近づいている気はします。

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2014/04/03

ゼロ金利、ゼロ成長は経済の一時的な停滞ではなく資本主義がもはや正常に機能しなくなった結果だと説く。そのため、現状を打破するには従来型の成長戦略ではなく資本主義に代わる新たなシステムや価値観への転換が必要で、それは「脱成長という成長」を志向するものになる。 民主主義と資本主義は必...

ゼロ金利、ゼロ成長は経済の一時的な停滞ではなく資本主義がもはや正常に機能しなくなった結果だと説く。そのため、現状を打破するには従来型の成長戦略ではなく資本主義に代わる新たなシステムや価値観への転換が必要で、それは「脱成長という成長」を志向するものになる。 民主主義と資本主義は必ずしもセットではない、ということに気付かされた。それどころか経済がグローバル化する過程で資本主義が最優先された結果、知らず知らずのうちに民主主義がなおざりにされつつあるという事実。資本主義は本質的に格差を生む性格を持っている。 そんな資本主義ではあるが、私たちは成長という観念を捨ててそれに代わる価値観を持つことが出来るだろうか?

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2014/03/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新自由主義とかグローバリズムとかに本能的に疑惑を感じている僕なのですが、この本はかなり役に立ちました。 僕はもう20年くらいクルマの広告に携わっています。クルマをつくる人達は凄いんですよ。パーツひとつ何銭単位でコストダウンして、1円安くするために寝ないで設計して。そんな思いを重ねてつくった製品を売って、利潤を得る。…でも、輸出比率の高い我が国の場合、為替相場が1円動けばそんな努力は関係なく、一瞬で数億円が吹っ飛んだりするわけです。しかもその相場を動かしておるのが、現代ではヘッジファンドと呼ばれる一私企業であったりするわけで。 どうもこれはおかしいだろうと思っていたのです。 そもそもバブル時代に、実際にモノをつくるメーカーよりも、株や土地を売買するだけのブローカーの方が何倍も儲かるという事になった時にも、ものすごい違和感を感じていたのですが、 本書によって、その疑問が解き明かされました。 「金利ゼロっておかしくね?」とか「生産拠点を中国からベトナム、ミャンマー、次はアフリカ?その次はあるの?」とか疑問に思っていたことをしっかり押さえてくれる。 やはり資本主義はそれだけでは解決できないところまできてしまった。ゼロ金利というのが、既に資本主義の賞味期限が尽きてしまったことを知らせています。これは十六世紀のイタリア・ジェノヴァ以来と言うことで、その「長い十六世紀」と言われた停滞は、まだヨーロッパ、アジア、アメリカ新大陸に存在していた空間的フロンティアの開発によって突破することが出来ました。しかし現代ではもうフロンティアは存在しません。 資本主義は「中央」に「周辺」から富が集まるシステム。そのために常にフロンティアを必要として膨張を続ける。ロシア、東欧、中国、BRICS、アフリカと来たところで空間的フロンティアは打ち止め。(アメリカは電子空間にフロンティアを求めた)その結果同じ国の中で「周辺」を作り出すことでシステムの延命を図る。それが各先進国内での経済的弱者の増加である。中産階級を貧困に転落させて「周辺」とし、経済的優位者=中央はますます富んでいく。という説明が実に腹に落ちました。

Posted byブクログ

2014/03/27

資本主義は終わると思っていたが、とんでもない、既に終わって30年以上経っていたなんて。 資本主義に取って代わる、皆が豊かで楽しく暮らせる社会システムを、皆で知恵を絞って考え、構築して行こうぜ。(^o^)/

Posted byブクログ