人質の朗読会 の商品レビュー
やっぱり1番好きな作家だとおもった。全部好きだけど、やまびこビスケットとコンソメスープ名人が好き。死んだおばあさんに出てくるヴァイオリンのおばあちゃんはずっとわたしの大事なテーマで、ヴィジュアル的には冬眠中のヤマネのぬいぐるみが趣味。
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決して派手な盛り上がりが起こるわけでもないのに、聴き入ってしまう不思議な読書体験でした。(読み耽るのではなく"聴き入る"としか言いようのない体験です) 私にとって小川洋子さん作品は、博士の愛した数式以来2作目でしたが、わかりやすい安心感はないのにじんわりと心...
決して派手な盛り上がりが起こるわけでもないのに、聴き入ってしまう不思議な読書体験でした。(読み耽るのではなく"聴き入る"としか言いようのない体験です) 私にとって小川洋子さん作品は、博士の愛した数式以来2作目でしたが、わかりやすい安心感はないのにじんわりと心があたたまる、そんな感じです。もっと小川さんの小説を読もうと思います。
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小川洋子さんの作品、2作目を読みました。 短編で短い話なのに独特で不思議な余韻が残る感じが良い。小川さんワールドだな…と勝手に思いながら読んでいました。 個人的には【杖、やまびこビスケット、花束】が特に良かったかな。 『自分の中にしまわれている過去、未来がどうであろうと決し...
小川洋子さんの作品、2作目を読みました。 短編で短い話なのに独特で不思議な余韻が残る感じが良い。小川さんワールドだな…と勝手に思いながら読んでいました。 個人的には【杖、やまびこビスケット、花束】が特に良かったかな。 『自分の中にしまわれている過去、未来がどうであろうと決して損なわれない過去』 ⇒些細なことだけど自分の胸の片隅に引っ掛かっている消えない記憶…自分だったら何があるだろう?
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#47奈良県立図書情報館ビブリオバトル「短編集」で紹介された本です。チャンプ本。 2014.10.18 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=939977382683370&id=100064420642477
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海外旅行ツアーで誘拐された人質が1人ずつ朗読したそれぞれの過去の物語。 落ち着いた語りの中に「死」が見え隠れする。朗読の終わりに朗読者の職業、年齢、なぜこのツアーに参加していたのかが明記されており、そこが妙にリアル。語りの内容と現在の人生がリンクしている。全編を通して重いし、辛い。 小川洋子氏は容赦なく、残酷だ。 今を大切に生きよう。そんな風に思えた。
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私のよく聞くラジオ番組で、「忘れ得ぬ人」についての投稿を照会するコーナーがある。もう会うこともないけれど、連絡を取ろうとも思わないけれど、時々ふと思い出す、忘れ得ぬ人。 人質という厳しい状況の中で、それぞれに書きおろされ、そして順に朗読されていった物語は、誰もが持つ「忘れ得ぬ人」...
私のよく聞くラジオ番組で、「忘れ得ぬ人」についての投稿を照会するコーナーがある。もう会うこともないけれど、連絡を取ろうとも思わないけれど、時々ふと思い出す、忘れ得ぬ人。 人質という厳しい状況の中で、それぞれに書きおろされ、そして順に朗読されていった物語は、誰もが持つ「忘れ得ぬ人」についての記憶であった。 本書を読みながら、自分なら何を書き、どう読むだろうかと、誰もが考えることだろう。今の仕事とも家族とも全然関係のない、人生を決めるような何か決定的なものというのでもない、秘密と言うわけでもないがあえて自分から語ることもなしにきた、そういう記憶。 映像と音や匂いで、マルチモーダルに記憶されている状況を、いったん書き下ろしてから朗読するという迂遠な手続きだけれど、その手続きを経ることで、声が整うのだろう。覚悟の遺書や日記としてではなく朗読のための原稿としたことで、その原稿ではなく録音された音源として読者に手渡すことで、それを読んだ人たちはもういないのだとすることで、静かに整った声にじっと耳を澄ませるように促すのだ。
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連作短編集で、旅行中に捕まり人質となった人たちが一人一人語っていく物語。 その語られる内容がなんだか温かくて何気ない出来事なのだけど、その切り取った場面の描写が繊細で読んでいて小説の世界に入るってこういうことか、となった。 小川洋子さんの作品はやっぱり文章が美しい。宝石みたい。 ...
連作短編集で、旅行中に捕まり人質となった人たちが一人一人語っていく物語。 その語られる内容がなんだか温かくて何気ない出来事なのだけど、その切り取った場面の描写が繊細で読んでいて小説の世界に入るってこういうことか、となった。 小川洋子さんの作品はやっぱり文章が美しい。宝石みたい。 この人の描く世界観が好きでずっと浸っていたくなる。
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ある国を訪れていた日本人ツアー 観光客7名と添乗員1名がゲリラに誘拐され、その数ヶ月後、救出隊との銃撃戦で人質は8名全員死亡。それから少しして、彼らが拘束中に行っていた〝朗読会〟の 音源が公開された。その朗読会は、人質一人ひとりが自分の人生からストーリーを切り出し、書き言葉にしたものを他の人質に語り合うというもの。それぞれの章が1人の朗読内容になっている。 そういう設定を理解した時、この本は語り手=書き手によって異なるストーリーの切り取り方、口調、言葉の選び方などを味わえることを狙った短編集なのだろうと予想したが、蓋を開けてみるとどの語りも小川洋子仕様。これはどういうことなのだろうと思わずエピローグの章にジャンプしてしまいそうになったが、章が9つあることを確認し、ぐっとこらえて全てのエピソードを順に読むことにした。 8編終わって、エピソードの長さには多少の幅があり、常体で綴る人と敬体で綴る人の違いはあったが、やはりどれも小川洋子の作品であり、この設定がどのような効果を狙ったものであったのか掴めずにいた。 どれも小川洋子の作品というのはしかしもちろん良い意味でもあり、つまりどのエピソードも、ドラマチックな展開があるわけではないのに引き込まれる要素がさりげなく散りばめられており、すらすらとページがめくられた。 いよいよ最後の章、日本からやってきた一行の語りではないところへやってきた。わたしは未だここでこの小説の構成が生かされる展開が用意されていることを期待していた。 結論としては、そうはならなかった。確かに語り手は人質メンバーではなく現地の部隊員であり、そういう意味では多少の新鮮さはあったが、やはりもう一つの小川洋子作品であることには変わらず、短編がもう一つ加えられたに過ぎなかった。加えてそのエピソードには語り手が幼少期に出会った日本人の発話が出てくるのだが、「恐れ入ります」といったような、外国語に翻訳して、それを更に日本語に訳し直したらそうはならないだろう、というような日本語独自の表現なども現れてますます現地部隊員の語りであることの真実性が薄れて少し興醒めしてしまった。 読んでいる間、このような結末、つまり結局は普通の短編集と変わりないのであって人質がそれぞれの人生を語り継ぐという設定が十分に生かされない作品になるということを危惧し、ではその場合どうしてこの設定を採用したのか、ということを考えていた。 一つは、これを語っている人は既にこの世を去っているんだ、と思いながらその語りに触れることでそうでない場合とは異なる聞き手(読み手)の印象を狙ったものであるという説明。確かに、この設定下におけるものでなければ、と自問してみれば、あまり引き込まれるわけではないかもしれないエピソードも多い。だがこのストーリーは実際に生きた人物が自省を促す非常に特殊な状況下で綴ったものである、かつその人物は既に死んでいる、という設定がつくと、ストーリーが与える印象が変化してもおかしくない。現に、わたしは特に飽きることなく全9章を読み終えた。 もう一つは、「死」や「死者」をテーマとした作品であるということ。一つ目の説明に加えて、この本で語れれるほとんどすべてのエピソードに(すべてではないように思えるが)死が登場するからだ。死を間近に控えた語り手が死や死者にまつわる話をする。それは一種の予言であるとも捉えられるかもしれないが、更に言えば、人が自分の人生に存在した死者といかに分かち難く繋がっているかということを示唆しているという風にもとれる。そうするとこの本は、既に死者となっている彼らの語りを録音を通して聴く遺族が、彼らの語る誰か別の人の死を通して彼らと新たに繋がる、死はわたしたちの関係を断つものではないということを暗示しているのかもしれない。
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人生を彩り形作るのは、 心の底から泣いたり笑ったりするような特別な瞬間だけでなく、些細だけど確かな記憶として残るような出来事で、 そういった思い出を大事に温めて心の温度を保つことができれば、 避けられない悲しみや別れを乗り越える糧にきっとなるだろうと感じた。 辛い現実という背景...
人生を彩り形作るのは、 心の底から泣いたり笑ったりするような特別な瞬間だけでなく、些細だけど確かな記憶として残るような出来事で、 そういった思い出を大事に温めて心の温度を保つことができれば、 避けられない悲しみや別れを乗り越える糧にきっとなるだろうと感じた。 辛い現実という背景で語られる自己の物語は、 平常時に語られるそれとは違って、虚栄や妬心を含まず、 まっすぐで純度が高いものだった。 私が語る物語は、どんな物語だろう。
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語り合う場所は危機的な状況なのに、話す内容はどこか穏やかで温かい気持ちにもなる 私だったら、どういうことを話すだろう…
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