よるのふくらみ の商品レビュー
揺さぶられました。 何て言うか、心の中、それも普段自分でも蓋をしている深いところを覗かれた様な気分になります。 だからこそ、自分でも言葉に出来なかった本音を代弁してくれる様でもあります。 1人の女性と2人の兄弟を中心に、章ごとに視点と時間軸を少しづつ変えながら、連作短編として...
揺さぶられました。 何て言うか、心の中、それも普段自分でも蓋をしている深いところを覗かれた様な気分になります。 だからこそ、自分でも言葉に出来なかった本音を代弁してくれる様でもあります。 1人の女性と2人の兄弟を中心に、章ごとに視点と時間軸を少しづつ変えながら、連作短編として物語は進んで行きます。 章ごとにしっかり感情移入にして、すぐに引き込まれました。 一気読み必至です。
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はじめの「なすすべもない」が群を抜いて良すぎた。これが「ふがいない僕は空を見た」を書いた著者が書くさらに進化した作品か、と思わず震えた。狂気とかあの抑えることのできないどうしようもない感情たちすべてが共通していた。 みひろと二歳上の圭祐とその弟でみひろと同い年の裕太は同じ商店街...
はじめの「なすすべもない」が群を抜いて良すぎた。これが「ふがいない僕は空を見た」を書いた著者が書くさらに進化した作品か、と思わず震えた。狂気とかあの抑えることのできないどうしようもない感情たちすべてが共通していた。 みひろと二歳上の圭祐とその弟でみひろと同い年の裕太は同じ商店街の中で生まれ育った幼馴染だ。高校時代圭祐は弟もみひろに好意を持っていることを知った上で交際を申し込み今に至る。保育士のみひろは圭祐とセックスのない同棲生活をしており冷え切ったなかで裕太の優しさに刺激されメス化する。 第二章の裕太の章もまぁよかった。が、第三章の圭祐のくだりがおもしろくなかった。必要なことだったのかもしれないけとれど、延々と続く青年時代の回想シーン。父の浮気相手に想いを馳せるあの頃的な。第一章でがつんとやられたから弱く、響かなかった。 再びみひろ、裕太、そして圭祐と視点が変わりラスト。 以下ネタバレあり。 圭祐と別れ裕太と結ばれることになったのは幸せなことだと思う。わたしは読んでいて裕太に惹かれるものがものすごくあったし、みひろを決していんらんおんなだとは思わないから。けれども、圭祐のあのラスト、京子とのラストは好きじゃないかなー。なんかありきたりというか華がないというか。非衝撃的で。響かなかった。第一章がとにかくよすぎて、胸の奥がきゅうとなるほど切なくて、もどかしくて、叫びたくなるあの感じが続かなかったのがとても残念。ふがいない〜のがずっと良かったかな。エログロさがなく読みやすかったですけどね。
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今回の作品は全てがストレートで心にズーンといろいろな感情が押し寄せてくる。みひろ・圭祐・裕の交錯する気持ちが切なくて、思い通りにいかない恋愛を見ているともどかしい。セックスという身体同士の繋がりも大切なのかもしれないが1番重要なのはお互いの心の繋がりなのかもしれない。この作品から学んだ事は自分が思ってる事や感情をきちんと伝えないと相手には伝わらないという事。3人共、悩みを抱えながらもがき苦しみ、最後には全員救われた。みんな、苦しかっただろうけどこれで良かったんだと思う。
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昔ながらの商店街を舞台に性格が対称的な兄弟と幼馴染みの女性を中心とした人間ドラマ。今回も期待を裏切りません。あまりにリアリティーがありすぎて苦笑いしてしまいます。何で男のアホな心情をここまで理解されてるのか。とにかく面白かった。家族とはセックスできないとか男の女性の胸の谷間への憧...
昔ながらの商店街を舞台に性格が対称的な兄弟と幼馴染みの女性を中心とした人間ドラマ。今回も期待を裏切りません。あまりにリアリティーがありすぎて苦笑いしてしまいます。何で男のアホな心情をここまで理解されてるのか。とにかく面白かった。家族とはセックスできないとか男の女性の胸の谷間への憧憬とか。逆に男にとって女性心理を理解できたり。兄弟や親子の微妙な距離感と関係とか。いろんなエッセンスが詰め込まれた魅力的なお話でした。根底にあるのはやっぱ生と性なんだなと妙に納得。
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最初の『なすすべもない』読み終わって溜め息。ふぅ~凄い、エロさが日常や家族的なものを丁寧に描いてる故に際立ち、彼女の苛立ちが映える、そして最後の行動の熱の行き先と高まりが。 二人だけでいいのに付随してくるものや関係性。 『よるのふくらみ』もだし過去作も連載中『さよなら、ニルヴァーナ』も連作短編集として各登場人物の視線から一話が書かれて一冊の小説に綴られている。だから窪さんの連作短編集はやはり素晴らしく巧いし、いろんな読者から支持されるのはいろんな視線があるから。 『平熱セ氏三十六度二分』はもう、こういう話大好きというかもうねえって感じだわ。窪さんの小説好きな人は『素晴らしい世界』『ひかりのまち』なんかの初期の浅野いにお連作短編好きだと思った。 『なすすべもない』読み終わった感想。男女の空洞が互いに挿入され擦れ熱が生まれる。溢れでる液体は喜びや哀しみ、愉悦や劣情様々な感情をすでに孕んでいる。熱と液体により生まれた僕たちは空洞を埋めるためにもとめるが満たされることはなく、満たされても刹那という永遠の中に。 「星影さやかな」を。主要人物三人の視点で各話展開しているから少しずつ同じ時期の出来事に対しての想いやバックボーンがわかってくるから三者三様の中に自分に似たものを見つけることになる。そういうのを読むと窪さんは丁寧な書き手だなあといつもながら思う。丁寧に傷に塩を塗り込んでくるとも言える。 マリアさんの胸に顔を埋めたいと思わずにいられないのが「星影さやかに」なんだけど、いんらんおんなと言えて自分のしてきたことを引き受けるしっかりしてる女に甘えたいんだよなあ男は。 で、その弱さもわかるし彼女は何にも言わないからどうにもならい怒りが圭ちゃんみたいに表れるんだよなあ、本当に。最終的にミミと圭ちゃんの関係にも繋がるわけで。 『よるのふくらみ』表題作を読み終わると朝だった。ふくらんだものは膨張し破裂するか抜けて萎むしかない。生活の中で想いや性欲やそんなものたちは自我で抑え込めるか膨らむのを止めないか、だけどもどちらになろうとも後悔は後ろ髪を引きずっと居座るんだろう。 羽化(浮か)して翔べるんだろうか? 六つ目の「瞬きせよ銀星」読み終わり。 四つ目の「よるのふくらみ」以降が特に心を揺さぶられた。五つ目の「真夏日の薄荷糖」と最後の「瞬きせよ銀星」で泣かされた。心の奥の方の自分だけの場所をかき回された感じがする。正確には読んで波立てたのは自分なのだけど。 なんだろう、三つ目の「星影さやかに」以降なんか、なにかが明らかに変わってる感じがすんだよなあ。窪さんの執筆力というよりもなんか最初の二編となんか違うものが宿ってるそういう感じっていうか、なんだろうよくわかんないけどギアチェンジというか意識が変わってるというか。そんな気がした。 『よるのふくらみ』はいろんな人を泣かせる小説になると思う。感動とか泣けるとかじゃなく泣かせるのは無意識化に、ブラックボックスに仕舞いこんだ自分の感情や欲望と小説を読みながら向かい合うことになるから。自分の感情や欲望に向き合うとチャクラが開かれていろんなものが開放されてしまう。 開かれた後の大問題はそれもう閉まらないよっていうラインを越えてしまうから戻れない。こういう作家は怖いんだ、世界のみえかたを改変させれちゃうから。窪さんといい樋口さんといい、熱狂的な支持を受ける作家は読者のOSを新しく物語によりインストールして尚且つアップデートしちゃう、質が悪いw
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きっと、あらすじを説明するのは、簡単なことだと思う。そしてその時に、誰を主語にして語るかどうかは、人によって、異なるんじゃないかな。 窪さんの独特の表現が、すごくすき。ふだん、恋愛小説を読まないわたしだけれど、この作品は、立ち読みをしていたら止まらなくなるほど、引きこまれた。 ...
きっと、あらすじを説明するのは、簡単なことだと思う。そしてその時に、誰を主語にして語るかどうかは、人によって、異なるんじゃないかな。 窪さんの独特の表現が、すごくすき。ふだん、恋愛小説を読まないわたしだけれど、この作品は、立ち読みをしていたら止まらなくなるほど、引きこまれた。 『ふがいない僕は空を見た』以来の窪さんの作品。 また、あの時と似たような感覚。 それぞれ、みんないろいろあって、それをうまく言えずに、あるいは隠して、一生懸命生きている。苦しいのは、辛いのは、自分だけじゃない。 みひろが主人公でも、裕太が主人公でも、圭ちゃんが主人公でも、胸が苦しくなった。 誰かが、何かが、悪いわけではないのに、うまくいかないことは、いくらだってある。それでもきっと、誰かのせいにして、誰かを許して、生きていくのだろう。人のぬくもりを頼りに。
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親子三代顔見知りといった具合の古い商店街の、文房具屋の娘と酒屋の兄弟の恋愛模様を中心に、ままならない男女の関係を描いた連作短編集。 http://www.horizon-t.net/?p=1146
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