よるのふくらみ の商品レビュー
幼馴染のみひろと圭祐、祐太兄弟の関係を描いた作品。それぞれの視点で進む連作短編集。この作家さんの男女関係の性の部分も含んだ書き方が本当に上手いなあと思う。どろっとしてるけれど、最後は一筋の光が見えた気がして良かった。 人間ってどこか面倒で、でも不器用なものなのかもと思いました。
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いろんな事情を抱え込んだ登場人物に対する著者のまなざしは、どこまでも優しい。 圭裕(兄)と裕太(弟)は正反対の性格にみえて、コインの裏と表のようにほんとはすごく共通しているように思えた。 兄弟でひとりの女性(みひろ)を好きになるなんてせつないな。でも、単なるせつない恋愛小説ではもちろんない。 この著者の小説は、根底にはいつも人生肯定説、性善説が流れていて読後感はすがすがしい。
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かなりどろっとした良い本でした。窪さんの本はどろどろしてなきゃ・・・というイメージ。 主軸となる女の子の性欲が、どろっとして始まって、最終的にまさかのところに着地しました。 裕太もまさかだった。 「優しいから、だらしなく人を許す」 この言葉がとても好き。 許すということができない...
かなりどろっとした良い本でした。窪さんの本はどろどろしてなきゃ・・・というイメージ。 主軸となる女の子の性欲が、どろっとして始まって、最終的にまさかのところに着地しました。 裕太もまさかだった。 「優しいから、だらしなく人を許す」 この言葉がとても好き。 許すということができないのは全員で、主人公?の女は許すのではなく諦めている感じもした。 そして圭ちゃんはなによりも自分が許せていないのかもしれない。他人を許せるだろうかと考えながら、自分を許せないのではないか。
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良くも悪くも全てが筒抜けの小さな商店街で育った兄弟と、その幼馴染。 父と自分を捨てて出て行った母親を許せず、それでもその母親と同じようになっていく(かのように感じる)自分を持て余す女性を中心に、なんとかパワーバランスを取ろうとする兄弟と、彼らを取り巻く人々。 全体にこれはしんどい...
良くも悪くも全てが筒抜けの小さな商店街で育った兄弟と、その幼馴染。 父と自分を捨てて出て行った母親を許せず、それでもその母親と同じようになっていく(かのように感じる)自分を持て余す女性を中心に、なんとかパワーバランスを取ろうとする兄弟と、彼らを取り巻く人々。 全体にこれはしんどいなぁという物語だけど、最終章には救われた。
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最初の1編を読んだ後には「あ、また失敗かな?」って思ったんですけど、ちゃんとした連作短編になっていて読後感もさわやか。「アニバーサリー」に続くヒット作でした。
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新作を楽しみにしていました。 うまく言葉にできないけれど、とても好きです。 窪美澄さんの書く話好きだなぁ、としみじみ実感できた作品でした。 窪さんの小説には絶対的な「悪」がなくて、だからこそみんな曖昧でどこか頼りなくて揺らいでいるような感じで。読んでいて苦しくなるけど、でも自分もこれでいいのかなって思わせてくれる。 「誰にも遠慮はいらないの。なんでも言葉にして伝えないと。どんな小さなことでも。幸せが逃げてしまうよ。」 きっとこんな趣旨の言葉は沢山あったはずだけど、このセリフほど心にじんわり沁み入る言葉はないと思う。
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読んでいる間のドキドキ感がたまらない。 みひろと、圭介と、裕太の、読んでいて苦しいほどの三角関係。 三人とも、不器用だけど一生懸命に生きてるのがよく伝わってくる。 窪美澄さん、毎度毎度、面白い作品を作ってくれてありがとうございます!
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その体温が、凍った心を溶かしていく。 29歳のみひろは、同じ商店街で育った幼なじみの圭祐と一緒に暮らして2年になる。 もうずっと、セックスをしていない。 焦燥感で開いた心の穴に、圭祐の弟の裕太が突然飛び込んできて……。
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この物語はフィクション。 物語の中にある、登場人物も街も会社も、もちろん実在しない。 けれど、登場人物達の感情や悩みや、心の動きは現代の人達のリアルなものだと思う。 こんなに嫌味なくエロくなく、生と性の関係性を描けるのは窪さんだけなんじゃないかと思います。 誰にも遠慮はい...
この物語はフィクション。 物語の中にある、登場人物も街も会社も、もちろん実在しない。 けれど、登場人物達の感情や悩みや、心の動きは現代の人達のリアルなものだと思う。 こんなに嫌味なくエロくなく、生と性の関係性を描けるのは窪さんだけなんじゃないかと思います。 誰にも遠慮はいらないの。 なんでも言葉にして伝えないと。 どんな小さなことでも。 幸せが逃げてしまうよ。 この一文が凄く好きです。 私は、きっとこれからも窪さんの作品を読み続けます。
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言いたくても大声で言えないことを、ここまでズバッと書かれると、どうすればいいのか……。「いんらんおんな」というキーワード、どストレートでした。 商店街という狭い世界でいろいろなものを飲み込みながら生きている人々と、「誰にも遠慮はいらないの。なんでも言葉にして伝えないと。どんな小さ...
言いたくても大声で言えないことを、ここまでズバッと書かれると、どうすればいいのか……。「いんらんおんな」というキーワード、どストレートでした。 商店街という狭い世界でいろいろなものを飲み込みながら生きている人々と、「誰にも遠慮はいらないの。なんでも言葉にして伝えないと。どんな小さなことでも。幸せが逃げてしまうよ」と言うマリアさんと……。 登場人物が、ことごとくズルイ人ばかりでしたが、これが人間模様なのかな。 圭ちゃんに幸あれ。
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