仕事に効く 教養としての「世界史」 の商品レビュー
豊富な海外経験を持つ著者が、白人社会で求められる「教養」のあり方を語ったもの。 著者一流の炯眼で、歴史の構造、民族の置かれた環境が形作る考え方のパターンの形成過程に迫ります。 4月の名古屋朝活@栄の課題図書にもなっています。 ◯日本が歩いてきた道や今日の日本について骨太に把...
豊富な海外経験を持つ著者が、白人社会で求められる「教養」のあり方を語ったもの。 著者一流の炯眼で、歴史の構造、民族の置かれた環境が形作る考え方のパターンの形成過程に迫ります。 4月の名古屋朝活@栄の課題図書にもなっています。 ◯日本が歩いてきた道や今日の日本について骨太に把握する鍵は、どこにあるかといえば、世界史の中にあります。四季と水に恵まれた日本列島で、人々は孤立して生きてきたわけではありません。世界の影響を受けながら、今日まで日本の歴史をつくってきたのです。 ◯アメリカが特異なのは、人工的にできた国家であることに加えて、人々にやり直しの舞台を何回も何回も提供できた国であった、ということです。たとえば英国で食い潰して、インドに行って巻き直そうという例はありました。しかしアメリカの場合は、植民地ではなくて自分の国です。しかも地続きで、横に同じような気候風土が、ずーっと開けていた。そしてそれが全部肥沃な土地だったのです。 ◯伝統的な社会では、ものごとを決めたり、考えたりするときに、灰色という決着のつけ方が一つの選択肢となります。しかし、新しくつくる法文が、「灰色です」と書かれていたら、おそらく国会は通らないでしょう。ですから、法律や制度をゼロから新しくつくる場合は必ず白黒になるのです。
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ライフネット生命のCEOの方が執筆された、世界史の本。教養として歴史を押さえておくことは、①他者との関わり、②個人が過去の失敗をしないため、の主に二点から重要だと思う。そして、歴史は語られ方によって異なる様相を見せる。この本では、世界からみた世界史を意識されていて、日本の常識的な語り方とは少し異なるところが面白かった。名前とかをひとつとってもそうだけど、議会の国イギリスとううイメージを崩したり、アメリカの歴史に対する考え方もちょっと違っていたり。一回では咀嚼しきれないので、再読したい1冊。
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高校の世界史の薄い知識があれば十分読めるように思う。宗教の成り立ちにはごーいんさに同意しかねる点は多々あれども、世界史の概観を一冊に読みやすく、しかも違った観点から話し言葉で書かれていて一気におもしろく読めた。
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仕事に効くというタイトルはどうかなと思うけど世界史そのものはヨーロッパ中心で書かれているということに目からうろこ。イギリスが中国にアヘン戦争で勝つまではユーラシアの方が栄えていた。現在、中国やインドの発展が見込まれるのは元に戻ろうとしているだけという著者ならではの視点がおもしろい...
仕事に効くというタイトルはどうかなと思うけど世界史そのものはヨーロッパ中心で書かれているということに目からうろこ。イギリスが中国にアヘン戦争で勝つまではユーラシアの方が栄えていた。現在、中国やインドの発展が見込まれるのは元に戻ろうとしているだけという著者ならではの視点がおもしろい。世界史をきちんとわかっていればもっとすんなり入ってきたのかもしれない。
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片仮名を覚える事が大事なんじゃない。 過去に合った事実を知ることが大切。 もっと気軽に世界史を学びたくなってくる本です。
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高校時代から、最も苦手だった世界史。だからこそ、今一度学んでみたいと思って手に取った書。 とはいえ、モチベーションとしては、これからの日本社会を考える上で、先人たちがどのような社会づくりをしてきたのか、日本と他国、他国と他国の関係性はどうだったのかを学んでみたいという思いがあっ...
高校時代から、最も苦手だった世界史。だからこそ、今一度学んでみたいと思って手に取った書。 とはいえ、モチベーションとしては、これからの日本社会を考える上で、先人たちがどのような社会づくりをしてきたのか、日本と他国、他国と他国の関係性はどうだったのかを学んでみたいという思いがあった。 印象的だったのは、アメリカが日本とは異なり、歴史が浅く人工国家であるという、当たり前のこと。そのことはつまり、先人たちの慣習やテクノロジーを少しずつ改良しながら社会を作っていくことを大事にするということではなく、理念あるいはイデオロギーで社会を作っていくということ。それとともに、開拓という軍事の歴史が、今の行動原理の1つとなっているということ。 もう1つ印象的だったことは、世界の実質GDPのシェアについての記述。1600年ごろの中国が29.0%で最大で、日本は2.9%、アメリカは0.2%だったということ。なんだ、中国のGDPの世界一(になった場合)って、史上初めてじゃないんだと。中国は、アヘン戦争以前の1820年には32.9%で隆盛を極め、アヘン戦争以降シェアが一気に下がり、東西冷戦体制が完成した1950年ごろには4.5%となり、そこから回復してるのが現在。 やはり、アメリカはアメリカで日本は日本。事情は全く違う。そして、中国という国は、本当に色んな意味で影響力を他国に与える国だなと、歴史からもよく分かった。冷静に、先人たちの営みを今に生かそう。
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ライフネット生命の共同CEO出口治明氏によるビジネス教養本。 今66歳の著者が、これまでの大手企業や海外生活の経験を通して感じた教養の重要さ、特に世界史に関する広い知識を学ぶことの大事さを、若い人向けに伝えるための入門本。 僕は、司馬遼太郎と大河ドラマの影響で中学生の頃から歴史好きなのだけど、単なるマニアックな趣味の一つであり、仕事に役立つと感じたことはあまり無い。でも、歴史に興味を持ち続けてきたことで、少しくらいは多面的で客観的なものの見方ができるようにはなった気はする。それが仕事の役に立っているかというと、よく分からないのだけれど。 とは言え、僕が得意なのは日本史だけで、中国・ヨーロッパ等の世界史は馴染みがあまりなく、高校教科書の丸暗記レベル。なので、世界史の面白さも分かるようになりたいと思い、本書を読んだ。 ■学んで得た知識 ・日本史と世界史の関係 日本史を世界史から切り離して考えるべきでない。人間の歴史は、一つの世界システムであり5000年史(文字が発明されてから現在まで)ひとつしかない。 ⇒鉄砲伝来やペリー来航に関する日本国内資料と外国資料との記述の違いを通し、相手側(外国)の思惑がどうだったのかが分からないと真実は分からない、という著者の主張。自分にとって身近なこと(日本史)だけ見ていたのでは、井の中の蛙状態になってしまうのだということが良く分かった。 ・気候と人類の文化の関係 BC500年頃に地球が暖かくなって鉄器が広く普及し、高度成長期が世界規模で訪れた。衣食が足りるようになり余裕が生まれ、ソクラテス・孔子・ブッダなどの偉人が登場。 ⇒自然科学と歴史学という違う分野の学問が協力し、新たな発見や説が登場するようになってきたという例。理系と文系を分離しない方が、より新しい発想が産まれるのかもしれない。 ・宗教を理解すること 人間の歴史は宗教と深くかかわりあっており、外国でトラブルに巻き込まれないためには、宗教を理解することが必要。 ⇒海外で起こる出来事や、そこに住む人たちの人間性・文化を理解するのに、宗教について勉強することは避けて通れない。世界には、自分たちの神様を信じていて、それ以外の考え方が選択出来ない人達が存在するから(貧困・戦争・教育未整備・過去の歴史的経緯などのため)。お互いに、どうしても考え方が異なる人達が存在するのだ、ということを理解し、彼らの考え方も尊重しないといけないのだと思う。 ・中国の強さ 中国は代々、遊牧民族と争い侵略され続けてきた歴史を持つ。そして、中国の本来的な強さは、侵略者を全部飲み込んで同化してしまうところ。 ⇒中国は漢民族中心の侵略国家かと思っていたけど、歴史を追って見ると、中国三千年の内の700年以上は他民族に支配されていた時代(隋・唐・元・清など)。にも関わらず、支配する側の民族は漢民族の政治体制などを真似して、いつのまにか彼らと同化していくところに、中国の強さがあるという主張は興味深かった。 ・気候変動と民族の移動 ユーラシア大陸の歴史では、気候の変化によって中央アジアの一つの遊牧民が動き、その玉突き現象によってさまざまな蛮族がヨーロッパに移って来た。その外敵からいかにして身を守るかが、ヨーロッパ最大の課題だった。 ⇒これも、気候変動という自然現象により、民族の移動・戦争という歴史的大事件が引き起こされたという説で興味深かった。にも関わらず、学校の世界史で大きく取り上げないのは、中央アジアで生まれて滅んで行った国の種類の数が多すぎて、これを学校の授業でやるのは難しいからなのかもしれない。大きな流れだけでも分かっておけばよいと思うのだけど。 ・ユーラシア大陸とアメリカ大陸の違い 生態系は横(東西)には広がりやすく、縦(南北)には広がりにくい性質を持っている(南北移動は気候変化が大きく動物も植物も移動が大変だから)。そのため、ユーラシア大陸では人・文化が広がり刺激し合い文明が発達したが、アメリカ大陸ではそうならなかった。 ⇒文明の発展には、異なる場所で生活している民族同士の交流が必要不可欠との説。そして、民族が移動すればその土地の生態系は崩れざるをえないのも自然界の原理。人間の生活によって生態系を壊すのは間違っているという主張が今は主流だけど、人間も自然の一部だと考えたら必ずしもそうではないのかもしれない。
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教科書的な暗記術の世界史や日本史ではなく、世の中の同時代的な動きや宗教、社会の仕組みを総体的に読み解いて示す、おもしろい読み物。 あくまで「読み物」であって、歴史の正史を描いたテクストではないと捉えておけばよい。 一部、作者の妄想に近い関連付けもあるけれど、なるほどとうなづく部分もある。学者ではなく、ビジネスマンが書く歴史観というのが新鮮。交易や思想、宗教の変遷について書いてあるのはビジネスマンとしての視座からかもしれない。 キリスト教とローマ教会の流れのあたりは教科書じみていて退屈だったが、アジアとくに中国についての叙述は現在とリンクしていて勉強になる。 日本が戦後の経済成長を成し遂げたのは、中国がたまたま毛沢東政権になってしまい、米国の経済パートナーとして矛先を向けられたからだ、という視点が慧眼。こう考えると、これからの中国の経済発展を考えたら、米国 が日本に対する態度を硬化させていく理由がよくわかる。 もう一度再読してみたい良著。
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高校の時社会の選択で「日本史」しかやっておらず、 ちょっと前に世間で話題になった必修科目未履修問題もあって 世界史をちゃんと勉強したことがなかったので体系的に学びたいなぁと思っていた時に ちょうどこの本を見つけました。 タイトルもキャッチーで仕事にも効くと言われたらそりゃ読みます...
高校の時社会の選択で「日本史」しかやっておらず、 ちょっと前に世間で話題になった必修科目未履修問題もあって 世界史をちゃんと勉強したことがなかったので体系的に学びたいなぁと思っていた時に ちょうどこの本を見つけました。 タイトルもキャッチーで仕事にも効くと言われたらそりゃ読みますよ。 著者自身は歴史学者とかそういった人ではなく まさかの生保出身のビジネスマン。 簡単に言えば歴史好きのおじいちゃんといったところでしょうか。 それでもあとがきにあるように今まで見たり聞いたり読んだり して自分で咀嚼して身につけた知識を元にこの本を書いたとのことで その博識っぷりに驚かされます。 話や時代が行ったり来たりする」煩雑さはありますが しっかりまとまっていて 全体的な「世界史」を学びたいと思っていた自分のニーズにピッタリでした。 歴史というのは事実は事実としてあると思いますが(捏造されたものもあるとは思いますが) 解釈の仕方は人それぞれというところもあると思います。 この人の書き方は世間一般に言われていることを述べているだけでなく 歴史的な事実からしっかりと自分の中で考えて述べているところに共感を覚えました。 それにしても益々歴史などに興味が出てきてしまったので 次にどんな本を読もうか悩んでしまいます。
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歴史の面白さを出口氏の軽妙でわかりやすい文章で再発見する本。特にキリスト教の捉え方について冷静に説いてあり、とても参考になった。宗教は「貧者の阿片」という言葉がすとんと腹落ちする。
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