ピエタ の商品レビュー
舞台はベネツィア。タイトルのピエタは、孤児を養育する慈善院だが、「合唱と合奏の娘たち」を有しており定期的に音楽会も開いていた。バイオリンの教師としてピエタに関わっていたのがヴィヴァルディ。ピエタで育ち、主に事務の仕事をしているエミーリアは、ヴィヴァルディの死後、一枚の楽譜を探す仕...
舞台はベネツィア。タイトルのピエタは、孤児を養育する慈善院だが、「合唱と合奏の娘たち」を有しており定期的に音楽会も開いていた。バイオリンの教師としてピエタに関わっていたのがヴィヴァルディ。ピエタで育ち、主に事務の仕事をしているエミーリアは、ヴィヴァルディの死後、一枚の楽譜を探す仕事を通じて、ピエタ以外でのヴィヴァルディの姿を知っていく。最盛期のベネツィアを舞台に魅力的な登場人物たちの交流。読み終わるのがもったいないような一冊だった。おすすめです。
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とにかく文章が美しく、一気に世界観に引き込まれる名作です。まるでヴェネチアの街並みや人物の顔が浮かぶような、表現にやわかな膨らみがあるような本でした。ここまで美しい作品を読んだのは本当に久しぶりです。 40代に差し掛かった女性たちの人生を、波乱万丈であったり、平穏であったり、恵ま...
とにかく文章が美しく、一気に世界観に引き込まれる名作です。まるでヴェネチアの街並みや人物の顔が浮かぶような、表現にやわかな膨らみがあるような本でした。ここまで美しい作品を読んだのは本当に久しぶりです。 40代に差し掛かった女性たちの人生を、波乱万丈であったり、平穏であったり、恵まれていながら孤独であったり、そういった差異を優しく描いていて、過去の追想や記憶などの小さな設定が綺麗にラストへと撚られていく緻密さに感動しました。 解決することばかりではないし、分からないこともあるけれど、それも含めて人生なんだなぁとしみじみと余韻に浸ることの出来る作品です。
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ずっと読みたいと思いながら、中々手が出なかった作品。 とてもよかったです。もっと早く読めばよかった。
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よろこびはここにある。 思わず涙腺が緩み、ラストへと進む。緩やかに。緩やかに。 人生において、人は誰もが主人公と言われる。 でもそれは、人と人を繋ぐ役割の人の存在が、それぞれのストーリーをドラマティックに、深みのあるものに導いて行くのだと気づかせてくれる。 エミーリア、クラウ...
よろこびはここにある。 思わず涙腺が緩み、ラストへと進む。緩やかに。緩やかに。 人生において、人は誰もが主人公と言われる。 でもそれは、人と人を繋ぐ役割の人の存在が、それぞれのストーリーをドラマティックに、深みのあるものに導いて行くのだと気づかせてくれる。 エミーリア、クラウディア、ヴェロニカ、ジーナ、アンナ マリーア。 昨日より、今日より、明日より、 よりよく生きよと、皆が語りかけてくれる。 大切にしたい素敵な一冊。
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「失われた手稿譜」と同じく、ビバルディは出てこない。ピエタにおいて彼から直接教えを受けた女性達の過去の思い出をパッチワークの様に繋いでゆくストーリー。 「失われた手稿譜」時と同じく、自分の期待値とは違った展開であった。全面パステルカラーな感じの小説。
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最初、ひらがな多用の文章に戸惑いましたがこれが独特の女性の語りの柔らかさを生んですぐに世界に入っていくことができました。ベネツィアの景色はもちろんのこと、登場人物達の会話がとても美しいです。もちろん美しいばかりではなく、例えば腕のPの字にピエタの現実を知らしめられたりします。ヴィ...
最初、ひらがな多用の文章に戸惑いましたがこれが独特の女性の語りの柔らかさを生んですぐに世界に入っていくことができました。ベネツィアの景色はもちろんのこと、登場人物達の会話がとても美しいです。もちろん美しいばかりではなく、例えば腕のPの字にピエタの現実を知らしめられたりします。ヴィヴァルディ氏の過去とクラウディア、ヴェロニカ。月日が過ぎ、繋がるべくしていろいろなことが繋がるとき静かな感動を覚えずにはいられません。全体を通してゆっくりと特別な時間の流れを感じる物語でした。
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18世紀のヴェネツィアが舞台。 孤児を養育する慈善院「ピエタ」で暮らすエミーリアが主人公。 瑞々しく、とめどなく流れる水のような物語。 たくさんの登場人物が表現され、ただそこにとどまり続けることはなく、エミーリアの人生が移り変わるように登場人物たちも移り変わってゆく。 登場人...
18世紀のヴェネツィアが舞台。 孤児を養育する慈善院「ピエタ」で暮らすエミーリアが主人公。 瑞々しく、とめどなく流れる水のような物語。 たくさんの登場人物が表現され、ただそこにとどまり続けることはなく、エミーリアの人生が移り変わるように登場人物たちも移り変わってゆく。 登場人物たちのそれぞれの人生、最初は断片的にある一側面から語られていたものが物語が進むにつれて見えていなかった一面が表出していき違う色が加わる。 だれか大切な人と濃い時間を過ごしたとしても、それでその人の全てがわかるわけではない。わかる必要もないのかもしれない。だれもが色々な顔や気持ちを幾重にも重ねながら人生を送っていく、そのことを軽やかに描いているそんな作品だと思いました。 エミーリア、という人物はとても透明感のある揺るがない軸のある人物、だからこそ読者がこのピエタの世界に入り込み、それぞれの人の気持ちに思いを馳せるために媒介的な役割を果たしていたのでは、と思う。
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静かで美しく優しい物語。 ひとはみな淋しさや悲しい秘密を胸に秘めて 生きている。 ひとりの時間も 誰かと出逢いふれあう時間も。 そして音楽が流れている。 ひとは美しく有ることに憧れ音楽を生み出す。
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18世紀ベネツィアが舞台の作品。 作曲家ヴィバルディの死去をきっかけに、様々な人々の関わりが現在形で進行していき、過去の隠されていた部分も少しずつ現れてきます。今とは全く違った時間の流れの中、美しい絵画でも観ているような印象を受けました
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
3.5 18世紀ヴェネティアでの作曲家ヴィヴァルディ、孤児を養育するピエタ慈善院をめぐる話。史実を基に、指導された合奏・合唱の娘たちを描いた作品。 ピエタでは、音楽的才能に恵まれれば、合奏・合唱の娘たちの一員となり、興業をしたりする。他の者も、特性に見合った技術を教え込まれ、ピエタ内外で働けるようになる。 ヴィヴァルディは、パオリーナとその妹ジロー嬢を連れて興業していてウィーンで死んだとのこと。それらや慈善院での関係をスキャンダラスに語られたらしい。また、コルティジャーナ・高級娼婦のクラウディアとの話も。エミーリアは真相を確かめるべく調査を進めていく。 ヴィヴァルディのことをエミーリアが調べていくうちに、クラウディア、ヴェロニカなど様々な人たちとの交流が深まっていく。どんどん引き込まれていく感じ。当時のヴェネティアの話が何となく分かり面白い。
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