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セラピスト の商品レビュー

3.9

71件のお客様レビュー

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2014/06/19

専門家から観た世界ではなく、専門家へのインタビューで構成されている。カウンセリングを内側から物語るものもある。渾身の力作。ノンフィクション。

Posted byブクログ

2014/06/04

なかなか読み応えのある真面目な取り組みのカウンセリングの話。インタビューで構成されているが、途中に筆者自らの体験も語りながらの構成で、臨場感もあって面白かった。

Posted byブクログ

2014/05/21

2014年42冊目。 心の治療やカウンセリングの在り方を、自らの実践、当事者へのインタビュー、文献の読み込みを通じて丁寧に解き明かしたノンフィクション。 中盤の日本の心理療法の変遷の部分は、人物や専門用語が次々と出てきて読みづらかったが、 随所に出てくる患者とセラピストの逐語録...

2014年42冊目。 心の治療やカウンセリングの在り方を、自らの実践、当事者へのインタビュー、文献の読み込みを通じて丁寧に解き明かしたノンフィクション。 中盤の日本の心理療法の変遷の部分は、人物や専門用語が次々と出てきて読みづらかったが、 随所に出てくる患者とセラピストの逐語録がリアルでよかった。 結局心のケアで大事なのは、魔法の薬や言葉ではなく、 患者と真摯に向き合う誰かとのあたたかい関係の中にあるのだと感じた。 ということはつまり、医療の場でなくとも、患者の心をほぐすことは可能なのかもしれない。 逆に、にわか知識でやってはいけないことの危険性も書かれている。 そういう意味で、多くの人が手にする価値のある本だと感じる。

Posted byブクログ

2014/05/20

著者の熱意は分かるんです。すごーく。 だって自ら大学院で学んだりこれでもかと言うほどの人達への取材。 一冊の本をまとめるためにこれだけの時間と労力をなかなか使えない。 でも、ちょっと私には固すぎたかな。 教科書的すぎて響いてこなかったというか。 中心にあるのは河合隼雄、中井久夫、...

著者の熱意は分かるんです。すごーく。 だって自ら大学院で学んだりこれでもかと言うほどの人達への取材。 一冊の本をまとめるためにこれだけの時間と労力をなかなか使えない。 でも、ちょっと私には固すぎたかな。 教科書的すぎて響いてこなかったというか。 中心にあるのは河合隼雄、中井久夫、山中康裕といった大御所だがいかんせんその他にも登場人物が多すぎて散漫になっている。 それとカウンセリングの歴史に固執し過ぎている点も気になった。 きっと実際に現場に携わっている人にとってはこれぞ!という本なんだろう。 フロイトやユングも学生時代にちょっとかじったけれどこじつけっぽい解釈に納得のいかないことも多かった。 絵画療法や箱庭療法にいたっては眉唾ものだなと正直思っていた。 いやいや、でも先人たちの熱い思いがあってこそなんですね。 全く新しい心の病の治療を手さぐりで探ってきた苦労を思うと下手な事言えない。 さらに河合隼雄の存在がいかに大きかったのかよーく分かった。 それにしてもせっかく確立した絵画療法や箱庭療法も現代の診療ではほとんど使われていないとは驚き。なんとももったいない。 患者数の増加による人手不足で3分診療が定着している現状ではいたしかたないのか。 おまけに10年単位で精神疾患の患者数の傾向が変化するというから大変だ。 以前は多かった統合失調症や対人恐怖症は激減し、現代では発達障害が圧倒的に多いと言う。 時代とともにカウンセリング方法も変化し続けていかねばならない。 現場はさぞかし大変だろう。 頭が下がる思いである。 それにしても自分に合ったセラピストに出会う事がこんなにも難しいとは。 患者側も最初に受診したセラピストと合わなくても、単なる相性の問題と気楽に構えることが大事なのね。 勉強になりました。

Posted byブクログ

2014/05/19

セラピスト、カウンセラー人によりそう仕事は、相手によって変わっていく。何を媒体にするのかでも変わるのだということが、わかった気がした。自分がクライエントの立場になったらどうなんだろうと、思った。

Posted byブクログ

2014/05/13

日本文化に根ざした心理療法、 それを築いた心理療法家たちの歩みや苦労、 劇的な出会いとその魂の歩みについて、 我々専門家ではなく、 作家という外部からの視点で描かれたことに、 多大なる意味がある作品。 そしてなにより重要なことは、 心の深遠に踏み入れることの実感と意味 ―それは...

日本文化に根ざした心理療法、 それを築いた心理療法家たちの歩みや苦労、 劇的な出会いとその魂の歩みについて、 我々専門家ではなく、 作家という外部からの視点で描かれたことに、 多大なる意味がある作品。 そしてなにより重要なことは、 心の深遠に踏み入れることの実感と意味 ―それは、誰しもに適応できるのではなく、 あくまで、有用であるという意味― について語るためには、 作者の体験したような主観を通してでなければ、 決して語れぬという事実。 言葉にすれば、間主観ということなのだろうが、 そこにはロジカルを超えて、 人と人が出会い深く行なわれること、 その先にある、 ひとりの人間のためだけにある意味と、 かけがえのない希望が存在するのだ。 * 私は、言葉という面倒な道具を用いて、 あくまで言語化にこだわるスタンスではあるが、 言葉があるから故に面倒になることも理解している。 そのような立場から読んでも、 人間と真摯に向き合おうとするかぎり、 本書は何度読んでも新鮮な出会いとなるだろう。

Posted byブクログ

2014/05/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 最相葉月節全開。  この人は、ルポライターやジャーナリストなのではなく、伝記作家なのだと思う。 「絶対音感」を読んだ時、絶対音感という概念を追うルポかと思っていたら、何故か話が流れ流れて最後に五嶋みどり苦労物語にオチるという展開に絶句した。つまらない、というのではない。途中の文章、特に人と人が関わる場面の描写は鮮やかで、面前でその会話がなされているような雰囲気がある。しかしその文章の妙は、抽象的な論理や、問題の体系的整理、著者なりの結論の組み立てといったものには全く結びつかない。  ルポルタージュには、もちろん客観性が不可欠だが、それと同じくらい、客観性と峻別された「著者の主観」、すなわち著者なりにとらえた視点や全体像や結論というのが必要である。しかし、最相葉月のルポにはそれがない。  つるつると綺麗な文章で素晴らしい人間模様を描いた末に、「で、結局あなたの意見は何だったの?」という問いにはよくわからない曖昧な一般論らしきものでうやむやに答えて終わる。というより、答えない。  最相葉月の文章は、抽象的な「問題」を描かない。「ある人間」にまつわる様々な出来事を、様々な人の視点から描写する。それはルポではない。だが伝記ならば素晴らしい特質である。恐らく「星新一」が成功したのはそのためだ。彼女は基本的に、「人間」を描くのが得意なのであって、「概念」「社会問題」のような大きなくくりを捉えるのは非常に苦手なのだろう。  にも関わらず、彼女は頑なに、「個々の人間を越えた問題」を扱いたがるのだが。  という訳で、今回のこの著作も、決して「セラピストという職業の本質に迫るルポ」ではない。それは料理を載せるための皿のようなものであって、この著作の実質は「河合隼雄と中井久夫を始めとした、偉大な精神医療従事者の言動録」である。  そうあらかじめ承知したうえで読めば、興奮の連続である。特に、中井久夫のような決して「患者を売らない」、自らの治療記録を一般にさらすことのない精神科医の”治療的会話”に、精神医療従事者(あるいは患者)ではない者が接触できる機会はほとんどない。それを活字とはいえ知ることができるだけでも、この作品には価値がある。  だが、精神医療にまつわる様々な問題についての触れ方は非常に散漫なので、帯の惹句に躍る「心の病いは、どのように治るのか」「心の治療のあり方」といったテーマ、それも最相葉月なりの結論を求める真正直な読者にとっては、肩透かしどころではないだろう。もっとも、河合隼雄や中井久夫の断片的な「治療的箴言」に触れられるのなら、それで十分なような気もするのだが。  本書の最終盤で述べられる、最相葉月自身の精神疾患については、率直に言えばそれほど意外な驚きはない。  特定の人間の心理をひたすら熱意ある筆致で追っているのに、外面的には頑ななまでに「抽象的なテーマ」を掲げたがり、自分なりの視点や問題意識を明確に表出せず、一般論にからめて曖昧に出していく著作の傾向をみれば、著者が人間の心、とりわけ自分の心というものに、一筋縄ではいかない何かを抱えていることは、何となく感じられるからである。 (森達也のような、自らの感情や視点、意識の彷徨を、客観性を確保しつつも正面から描こうとするタイプの著者と比べれば、わかりやすいだろう)  なので、最後の祈りのような告白がなくとも、彼女が自己治療のために本書を著したことは明白である。それを自明的に書いたことは、確かにひとつの挑戦だったに違いない。  それを経てもなお、彼女は結局、ルポルタージュではなく言行録をものした訳だけれど。

Posted byブクログ

2014/05/11

河合隼雄の箱庭療法、中井久夫の風景構成法、こういうのはもはやDSMやCBTの下にノスタルジーとともに語られるのみの遺物となってしまったのだろうか? 否、そういう風潮が軽症精神疾患の増殖を招来しているのではないか? 歴史に問いかけけてみる試みは、この世界でもおろそかにされてはならな...

河合隼雄の箱庭療法、中井久夫の風景構成法、こういうのはもはやDSMやCBTの下にノスタルジーとともに語られるのみの遺物となってしまったのだろうか? 否、そういう風潮が軽症精神疾患の増殖を招来しているのではないか? 歴史に問いかけけてみる試みは、この世界でもおろそかにされてはならない。

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2014/05/08

最相さんのルポが好き。絶対音感も、星新一も素晴らしかった。この本も素晴らしいけど、他とはちょっと違うな、と思いながら読み進め、最後で納得。もっと人が生きやすい社会になったらいいよね…。

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2014/05/06

「絶対音感」「星新一」で有名なノンフィクション作家、最相葉月 その視点とこだわりの取材に圧倒された。 帯には河合隼雄、中井久夫という、最近私が関心を持っている臨床心理の大家お二人の名前がある。これは絶対面白いに違いない、ぜひとも読まねばということで、衝動買いした。 文献を読み...

「絶対音感」「星新一」で有名なノンフィクション作家、最相葉月 その視点とこだわりの取材に圧倒された。 帯には河合隼雄、中井久夫という、最近私が関心を持っている臨床心理の大家お二人の名前がある。これは絶対面白いに違いない、ぜひとも読まねばということで、衝動買いした。 文献を読み込む、関係者にインタビューする・・・だけではなく、なんと臨床心理の大学院に入学してしまう。 フロイト、ユングをはじめとした欧米の心理学を如何に日本に持ち込んだかという考察があるが、中心は河合隼雄の箱庭療法、中井久夫の風景構成法である。 ただ黙って聞く、寄り添う・・・これがもっとも大事。 色々な厳しい症例、これが箱庭療法、風景構成法によって、どのようになっていくか。その時のクライエントとセラピストは・・・具体的な事例が迫ってくる。 中井久夫とは最初インタビュアーとして向かい、次に風景構成法によるカウセリングのクライエントとして接し、さらに驚くことに何とセラピストとしてクライエント中井に対して風景構成法を行うのである。 そのなかで著者は「いまだかって経験したことのない内容の濃い時間」を感じる。 最後に著者は告白する。 この本を書き上げる最後の段階で、精神科医を受診し「双極性障害II型」と診断された。ここではじめて自分の問題と向き合ったことになる。 単なる書き物ではない、自分自身をかけた本物を見たと思ったのである。

Posted byブクログ