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セラピスト の商品レビュー

3.9

71件のお客様レビュー

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2015/07/08

箱庭療法、絵画療法の顕在化 治療にはカウンセラーを作ることをすすめている 新しい診断法としてのdsmについて

Posted byブクログ

2015/03/20

最相葉月『セラピスト』 (2014、新潮社)を読む。 星新一の評伝などで知られるライターが各所の臨床心理士に取材したもの。セラピストの役割、本質。絵画療法と箱庭療法。精神科医とセラピストはどう違うのか。心理療法の歴史をさらっとなぞれます。 20代にして親の介護に追われ身をすり...

最相葉月『セラピスト』 (2014、新潮社)を読む。 星新一の評伝などで知られるライターが各所の臨床心理士に取材したもの。セラピストの役割、本質。絵画療法と箱庭療法。精神科医とセラピストはどう違うのか。心理療法の歴史をさらっとなぞれます。 20代にして親の介護に追われ身をすり減らし、病んでいった著者。患者であると同時に編集者でもあるという立場で、心理療法を体験しておられます。 小さな自己の育て直し、精神と記憶の棚卸し。無自覚だった自己の内面に光を当て、解き明かしていく過程は読み応えあり。家の大掃除や保険の見直しと同じ頻度でこういう人生の棚卸しをするとよい生き方ができるように思います。 【本文より】 ◯自分の病について書くことを決意したのは、自分自身をつまびらかにすることなく、他者のプライバシーに踏み込むことはできないと考えたからである。 ◯そんな疑問を抱いた中井が、患者と面接を重ね、看護日誌を読むうちに気づいたのは、回復していく過程では、患者があまりものを話さなくなるということだった。幻覚を見たり、妄想に苦しんだりしている非常時には、自分の状況をなんとか言葉にして伝えようとする。医師や看護師も注意深く対応する。ところが症状がだんだん落ち着いて消えていく回復過程では、病との闘いでエネルギーを消耗しきっているため、めったに語らなくなる。 ◯因果関係をつくってしまうのはフィクションであり、ときに妄想に近づきます。そもそも人間の記憶力は思い出すたびに、不確かなところをじぶんでつくったもので埋めようとする傾向があるので、それがもっぱら働きだすと思いつくものが次々とつながっていく。

Posted byブクログ

2015/03/13

「セラピスト」と「クライエント」。心を治療する者とされる者が寄り添い共に過ごす時間と心象風景が静謐に語られる。 心の病に至る過程より回復する過程を知りたいという著者の、自らの心の内を救うべくして丹念に取材した圧倒的な一冊。 自分の心の内を語るのは例え病んでいる自覚症状がなくとも...

「セラピスト」と「クライエント」。心を治療する者とされる者が寄り添い共に過ごす時間と心象風景が静謐に語られる。 心の病に至る過程より回復する過程を知りたいという著者の、自らの心の内を救うべくして丹念に取材した圧倒的な一冊。 自分の心の内を語るのは例え病んでいる自覚症状がなくとも難しい。自分の嫌な部分、溜まった澱のような部分を人に吐き出すのは、身を削るような行為だ。 カウンセリングが戦後の日本に浸透していく経緯を追う中で、日本人は「物」と「心」の境界が曖昧で自分を語るのが苦手な人が多いことに着目し、箱庭療法や絵画療法など言葉を介在させなくとも効果を上げる治療法がかつては隆盛を誇り、時間をかけてゆっくりじっくり自己の内側深くに向き合っていられたのだ。しかし今となっては贅沢に思えるほど、このご時世では早く「答え」を求められる。 ただ寄り添い、言葉にならない心の内の言葉に耳を傾ける時間。それこそを必要とする人は多いのではないか。だからこそこのタイトル「セラピスト」の響きがしっくりとくる。 それは精神科医だったりカウンセラー、そしてもしかして占い師だったりするのかも知れない。

Posted byブクログ

2015/02/09

中井久夫、河合隼雄という2大巨頭に細かな取材をして出来上がった本書。 中井久夫の日常などはなかなか記録されていないのではないかと思われるので、その点でも本書は貴重である。 筆者もセラピストやクライアントと同じように深いところまで潜って本書を書いたことがヒシヒシと感じられる。 さら...

中井久夫、河合隼雄という2大巨頭に細かな取材をして出来上がった本書。 中井久夫の日常などはなかなか記録されていないのではないかと思われるので、その点でも本書は貴重である。 筆者もセラピストやクライアントと同じように深いところまで潜って本書を書いたことがヒシヒシと感じられる。 さらに精神医学や心理療法の歴史についても緻密に勉強した後がうかがえる。 完成度の高い一冊である。

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2015/01/29

これまでざっと勉強した事がより具体的に、頭の中に入ってきた。あれはこういうことなのか、これはこういう意味があったのか...とどこか空に浮いていた知識がしっかり収まるところに収まり刻まれた気がする。 既に現場にいらっしゃらない方、亡くなられた方々の記録がこうやって残されていること...

これまでざっと勉強した事がより具体的に、頭の中に入ってきた。あれはこういうことなのか、これはこういう意味があったのか...とどこか空に浮いていた知識がしっかり収まるところに収まり刻まれた気がする。 既に現場にいらっしゃらない方、亡くなられた方々の記録がこうやって残されていることに感謝し、新たな知識を身につけ、どこかで役立てる事ができたらと思う。

Posted byブクログ

2015/01/26

中井久夫氏の名前を初めて知った。それだけでも価値があった。 精神医学や無意識を喧伝する心理療法に対する怪しさが少しなくなった。特に箱庭については内的世界の表現,主体の表れという観点から見ると優れた方法であるように思えた。

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2014/12/13

心は科学できるのか?そもそも科学してもよいのか?という疑問がある。箱庭・絵画療法で何かがわかるのかもしれないし、間違っているのかもしれない。結構あやふやな世界に思える。「心はどこにあるのか?」という問題もあるが、今後は脳科学に統合されていくような気がする。 一人前のカウンセラーに...

心は科学できるのか?そもそも科学してもよいのか?という疑問がある。箱庭・絵画療法で何かがわかるのかもしれないし、間違っているのかもしれない。結構あやふやな世界に思える。「心はどこにあるのか?」という問題もあるが、今後は脳科学に統合されていくような気がする。 一人前のカウンセラーになるには25年の経験が必要との事。それでは50歳未満の人が担当者になった場合、クライアントはどうすればいいのか? 今世紀に入って目立つのが ・対人恐怖症は減っている(引きこもればいいから) ・代わりに発達障害が増えている(主体性がないから) というのは時代を反映している。感情労働が増えてきたのも一因。RTは主体性がなくなると。 一番印象的なのは芥川龍之介の『鼻』で、心の病を最もよく表している。という事は心の病に必要なのはカウンセラーやセラピストなどではなく、文学・芸術なのでは?と思ってしまうのだが。

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2014/11/15

心を治すという仕事、セラピストについて、その歴史を紐解きながら、自らのその治療体験を混ぜつつわかりやすく解明していくノンフィクションです。 箱庭療法、ユング、フロイト、といったところどころの単語はわかっても、この世界はまったく知らなかったので、そうだったのかという理解を重ねながら...

心を治すという仕事、セラピストについて、その歴史を紐解きながら、自らのその治療体験を混ぜつつわかりやすく解明していくノンフィクションです。 箱庭療法、ユング、フロイト、といったところどころの単語はわかっても、この世界はまったく知らなかったので、そうだったのかという理解を重ねながら読めました。 といっても、そう簡単に「わかった」といえるものではもちろんなく、心を治すという道筋、考え方について知ることができたというレベルではあります。 けれど、まるで底なしの暗闇のようなひとの心の中に触れる仕事というものが、意外と理路整然にととのえられた理論があることがわかり、もちろん身体のそれよりも難度は高いとはいえ、心を病むことを恐れすぎることはないという気にさせてくれました。 セラピストとクライアントは、なにより対話することが大事、という単純なようで大切なことは、普段の生活のなかでも忘れてはいけないことだとも改めて思いました。 当たり前なのに、意外とできていないものです。 こんなに手軽なコミュニケーションツールがあふれているのに、みんなしょっちゅうやりとりを重ねているのに、それは対話、とはまた微妙に違っている。そんな現代にこの心の治療がどう対応していくのか。3分診療でないとやっていけない病院事情もあわせて、難しい局面に今なってきているんだなあと思いました。

Posted byブクログ

2014/12/02

カウンセラーを学ぶ人は読むのをオススメ。 なぜ、河合先生があまりロジャーズに絡んでいなかったのかも、よくわかった。 難しい世界を、 適切な日本語、優しい言葉で書かれている。 名著だと思う。 27 木村晴子 芦屋箱庭療法研究所 50自分を知るという事が、プロの臨床家として活...

カウンセラーを学ぶ人は読むのをオススメ。 なぜ、河合先生があまりロジャーズに絡んでいなかったのかも、よくわかった。 難しい世界を、 適切な日本語、優しい言葉で書かれている。 名著だと思う。 27 木村晴子 芦屋箱庭療法研究所 50自分を知るという事が、プロの臨床家として活動するための出発点であり、患者や相談者を守る技術だからなのかもしれない。 53 東洋英和女学院大学大学院に通っていた・・・最相さん 84茨城キリスト教学園 119 河合先生の本はたくさん点字化されていて、中途失明者にいは良く読まれている。 129いかに生きていくかを考えていた頃 160 あえて言語化せずとも、癒されうる 240 SSRIが導入されるとうつ病が増える 279 医者は症状とつきあう。あなたは人間とつきあってほしい 281 箱庭のよさは、言葉でカウンセリングできない人と物語を共有できること 昔は、貧しくて生きていくので必死だった。それで病気になっていた。 今はぜいたくになって、病気ににげこんでいる。でも、条件さえ整えば、自分を再生できるのです。 282 甲南大学カウンセリングセンター 283 最近多いのは、もやもやしているという言い方。 288 精神科医は、人間の生命をより長く持続させる事を目的にしている 心理士は、その人個人がいかに自分を生きるか、それに徹底して寄り添う事が目的です。 294(何度か出てくる) カウンセラーが相手の言葉をただ傾聴するだけでは何も変わらない。 303 10年サイクルで、心理的な症状が変化している 306 治るためには必ずといってよいほど、かなしみを味わわねばならないようである。 子どもが自立するときには、親からの分離が必要となる。 308人が変わるって、命がけなんです。 313 心理療法によって、誰かを治すことなどできないのだと。 それを解消する事も意味があるし、解消せずにいるのも意味がある 318 一人前のカウンセラーになるには25年かかる 322 話をよくきいてくれる 344 この世の中に生きる限り、私たちは心の不調とは無縁ではいられない。

Posted byブクログ

2014/10/26

圧倒的取材力。美しい本。 セラピストの日本の歴史から経緯まで。回復きたクライエントの話そして逐語集。 歴史なんかは少し読みにくかったが、事例、逐語集は面白かった。こういうところを面白いと感じてしまう私はきっとクライエントを悪化させる。

Posted byブクログ