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殺人犯はそこにいる の商品レビュー

4.5

154件のお客様レビュー

  1. 5つ

    75

  2. 4つ

    45

  3. 3つ

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2017/09/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

売り出し方が注目されていた本書ですが 内容も素晴らしかった。 横並びの発表報道がメインである、日本のマスメディアの中において、社会を変える調査報道を行った著者の戦いの記録です。 ジャーナリズムとは、報道の役割とは何か? 理屈ではなく、実践で示してくださった本だったと思います。 諸事情もあり(笑)、個人的に、少しの痛みも伴いながら、ものすごく心に染みる一冊でした。

Posted byブクログ

2017/08/19

1979年8月3日。栃木県足利市で5歳の女の子が神社の境内から 姿を消した。行方不明から6日後、渡良瀬川近くでリュックに詰め られた遺体が発見された。 1984年11月17日。栃木県足利市の5歳の女の子がパチンコ店 から消えた。2年後、白骨死体となって発見される。 1987年...

1979年8月3日。栃木県足利市で5歳の女の子が神社の境内から 姿を消した。行方不明から6日後、渡良瀬川近くでリュックに詰め られた遺体が発見された。 1984年11月17日。栃木県足利市の5歳の女の子がパチンコ店 から消えた。2年後、白骨死体となって発見される。 1987年9月15日。群馬県新田郡尾島町(現・太田市)の8歳の 女の子が公園に遊びに行ったまま帰らず。翌年、利根川の 河川敷で白骨死体の一部が発見される。 1990年5月12日。栃木県足利市の4歳の女の子がパチンコ店から いなくなった。翌日、渡良瀬川の河川敷で遺体が発見される。 1996年7月7日。群馬県太田市の4歳の女の子がパチンコ店から 消える。現在に至ってもその行方は知れない。 県境で接するふたつの地域で起こった5件の事件は、北関東 連続幼女誘拐殺人事件と呼ばれる。そのきっかけを作ったの が本書の著者だ。 元々はテレビの報道特集番組の企画から始まった。この5件は 同一犯による犯行ではないのか。だが、そこには排除しなくては いけない事柄があった。 1990年の事件。いわゆる足利事件である。この事件では幼稚園 の送迎バスの元運転手の男性が犯人とされ、無期懲役の判決を うけて服役中だった。そこで著者が手を付けたのが、元運転手 の男性の冤罪キャンペーンだ。 多くの人が記憶に留めているように足利事件は冤罪として既に 元運転手の男性は自由の身になっている。 足利事件の冤罪が認められるまでの過程を克明に描き、この 事件で封印されていた目撃証言から著者が真犯人であるとの 印象を強くした男性にも直当たりしている。 以前より気になっていた事件だけに興味深く読んだのだが、 前著『桶川ストーカー事件 遺言』ほどの衝撃はなかった。 本書でも警察の杜撰さを指摘するのに桶川ストーカー事件を 追った当時のことが記されているのだが、ここまで詳しく書く 必要があったのだろうか。 加えて、足利事件と同じ方法でDNA型鑑定が行われた飯塚事件 (犯人とされた男性は終始犯行を否定。しかし、死刑判決が出て 既に執行されている)を克明に描いている。 DNA型鑑定の瑕疵をこれでもかと挙げる為なのだろうが、これも どうなのか。桶川ストーカー事件と飯塚事件に紙数を割くので あれば北関東の5件の事件の詳細を綴った方がよかったのでは ないだろうか。 確かに執念の取材ではあるだろう。ただ、被害者がどの事件も 幼い女の子だというのもあるのだろうが感傷的な部分も多い。 事件解決を促すような、著者の見た夢の話は書かなくても よかったんじゃないかな。 いずれにせよ、5人の女の子が被害者となった事件は解決を 見ていない。きっとどこかに犯人はいる。それは著者が指摘 している男性かもしれないし、違う人物なのかもしれない。 しかし、1996年でぷっつりと犯行が止んでいるのはどうして なんだろう。

Posted byブクログ

2017/08/05

事実は小説よりも奇なり。 そして、小説よりも恐ろしい。 著者にとっての「事実」と、警察、司法にとっての「事実」は違うのかもしれません。 でも改竄、隠蔽がなく、著者を納得させる回答がきちんと出来ていればこの本の出版はなかったでしょう。 やはり恐ろしい… どんな立場の人であろうと...

事実は小説よりも奇なり。 そして、小説よりも恐ろしい。 著者にとっての「事実」と、警察、司法にとっての「事実」は違うのかもしれません。 でも改竄、隠蔽がなく、著者を納得させる回答がきちんと出来ていればこの本の出版はなかったでしょう。 やはり恐ろしい… どんな立場の人であろうとみんながちゃんとごめんなさいが言える人であってほしいものです。 そして、いつかルパンには償いを! 間違ってもルパンによる事件など再び起こりませんように。

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2017/04/30

途中からですが、夜中に読みだして気が付いたら朝になっていました。ノンフィクションなだけに、自分も報道の様子など記憶に残っていて、結果もある程度は読めている、でもそれを確認せずにはいられない内容でした。 色んな圧力があっても、それでもなお、追及せずにいられない。最後に、ある著者の背...

途中からですが、夜中に読みだして気が付いたら朝になっていました。ノンフィクションなだけに、自分も報道の様子など記憶に残っていて、結果もある程度は読めている、でもそれを確認せずにはいられない内容でした。 色んな圧力があっても、それでもなお、追及せずにいられない。最後に、ある著者の背景がさらっと書かれていて、そうだったかと思わざるをえません。 この本の内容が100%正しいかといえば、主観や情はどうしても入ってくるだろうし、記者が本にするための構成などもされてきているでしょう。 だけど、著者は名前も顔も晒していて、自分の立場が危うくなるかもしれない中、覚悟を決めてこうして本まで出している。 今、報道されている事件で、操作されたイメージで犯人と思い込んでいる事例も中にはきっとあるでしょう。一度出した結果がなかなか変えられない。「ごめんなさいが言えなくてどうするの。」ある遺族の方の言葉が心に残ります。

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2017/04/19

ノンフィクションならではの重厚な話に引き込まれました! 冤罪事件が絡んだ連続幼女殺害事件を追う記者である作者が事件の本質に迫る話しで引きつけられましたね! それにしても旧来の警察の体質なのかもしれませんが、被害者家族のためにも真犯人を逮捕するという使命よりも、警察という組織を守る...

ノンフィクションならではの重厚な話に引き込まれました! 冤罪事件が絡んだ連続幼女殺害事件を追う記者である作者が事件の本質に迫る話しで引きつけられましたね! それにしても旧来の警察の体質なのかもしれませんが、被害者家族のためにも真犯人を逮捕するという使命よりも、警察という組織を守ることに重きを置いた自分たちの過ちを正そうとしない隠蔽体質というのに怒りを覚えました。 また、警察の誤りの隠蔽ために1人の尊い冤罪であろう人物の命が死刑という形で葬られたことにも怒りを感じました。 本作品の事件の真相に作者がたどり着いているのにも関わらず、警察が体面のために真犯人を逮捕しないというのには憤りを感じましたね! 最近は防犯カメラやDNA技術も発展しているので、誤認逮捕というのは限りなく少なくなっているのだと思いますが、1日も早く冤罪が無くなり、真犯人を早期にきっちりと逮捕したり、新たな犯罪を未然に防ぐための対策というのが今の社会(警察)に求められているのだと思いました!

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2017/03/09

職場の方にお勧めされてお借りしました。 本書は群馬・栃木で発生していた幼女殺人事件5件を連続殺人事件ではないかと考えた記者が、長期間にわたって調査取材を行った記録です。。 菅谷さんの無罪判決の報道はよく覚えていたので、その事件のことか!と私の中でよりリアリティーが増し、ドキ...

職場の方にお勧めされてお借りしました。 本書は群馬・栃木で発生していた幼女殺人事件5件を連続殺人事件ではないかと考えた記者が、長期間にわたって調査取材を行った記録です。。 菅谷さんの無罪判決の報道はよく覚えていたので、その事件のことか!と私の中でよりリアリティーが増し、ドキドキが2割増しに。 更に、そこにたどり着くまでの経緯を知り、著者の真実を追求し続けた姿勢には感服しました。 DNA鑑定はもっと絶対的なものかと思っていたらそうではなかった・・・ 誤った鑑定が元で無実の可能性のある人間が死刑になってたかも、というくだりには背筋が寒くなりました。 そういう思い込みなんかも、著者のお蔭で払拭されました。 しかも、真犯人は未だ捕まっていない、警察は非協力、などなど、知れば知るほどその事実に恐怖感を覚え、これが現実とは受け止めきれません・・・ 特に警察の腐敗は深刻で、隠ぺいとか普通にあるらしい。警察小説で出てくる確執なんてかわいいものだと、事実はもっと恐ろしいと、クラクラしました。 とにかく、事件を風化させないために本書を執筆した著者の思いを受け止め、今後も注力していかなきゃいけませんね。

Posted byブクログ

2017/03/07

日本の警察は優秀だと思う。 ただ、犯人をあげなければいけないという強い思い込みや、危うい証拠の過大評価で、どんどん事実がねじ曲がっていく怖さを感じる。 強固な善人もタチが悪いものだ。 間違った時に、それを認めるのは、 難しく、嫌なことだとは思うけれど、 権力で隠蔽するのは浅まし...

日本の警察は優秀だと思う。 ただ、犯人をあげなければいけないという強い思い込みや、危うい証拠の過大評価で、どんどん事実がねじ曲がっていく怖さを感じる。 強固な善人もタチが悪いものだ。 間違った時に、それを認めるのは、 難しく、嫌なことだとは思うけれど、 権力で隠蔽するのは浅ましい 誰の面子を守るためなのでしょうか? マスコミも同罪のところもあるよなぁ。 被害者や被害者家族はいつも置いてけぼり感が否めません。 一度犯人のレッテルを貼られた人は 簡単には潔白とはならないと思う。 それだけに冤罪はあってはならないことだなと感じました。 ルパンは今後どうなるんだろう。 野放しのままなのだろうか。

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2017/03/05

これは「ノンフィクション」だ! 「北関東連続幼女誘拐殺人事件」、こんな事件は存在しない。いや、警察が存在させていない。 このうち1件は記憶にも新しい足利事件で無期懲役の菅家利和さんが無実の罪を着せられ、17年も服役していた事件だ。 菅家さんが釈放されたのは2009年6月、まだ...

これは「ノンフィクション」だ! 「北関東連続幼女誘拐殺人事件」、こんな事件は存在しない。いや、警察が存在させていない。 このうち1件は記憶にも新しい足利事件で無期懲役の菅家利和さんが無実の罪を着せられ、17年も服役していた事件だ。 菅家さんが釈放されたのは2009年6月、まだ最近、菅家さんは杜撰なDNA鑑定と拷問に近い取調べで自白を強要され、17年もの歳月を刑務所で過ごすはめになった。 菅家さんが捕まった際、以前に起きた2件の事件も無理やり自供させられたが、これは不起訴となった。 5件の幼女連続誘拐殺人事件、菅家さんの無実が証明された今、犯人は捕まらず普通の暮らしを続けている。 著者は初期のDNA鑑定の危うさを丁寧に解説し、菅家さんの無実を信じ、残り4件も含めて犯人が他にいることをメディアを通じて訴えていく。 それを自分たちのメンツを守るために次々と警察や検察が妨害していく。 あらためて「これはノンフィクションだ!」 是非、多くの人に読んでほしい1冊

Posted byブクログ

2017/02/22

知らず知らず、TVでこの方が作られた番組みてました。日本の警察は優秀だとは思いますが、その裏で、どうしようもないこともやっている人もいるというのがわかります。TVやメディアから発信する力があったからこそ、この情報は表にでてこれたのだろうと思います。 今の世の中は捌ききれない情報が...

知らず知らず、TVでこの方が作られた番組みてました。日本の警察は優秀だとは思いますが、その裏で、どうしようもないこともやっている人もいるというのがわかります。TVやメディアから発信する力があったからこそ、この情報は表にでてこれたのだろうと思います。 今の世の中は捌ききれない情報が氾濫していますが、大事なのは「自分の目」を持つことなんでしょうね。とても難しいことですけど。そんなことをしみじみと考えさせてくれる本でした。

Posted byブクログ

2017/02/24

2016年12月に(文庫Xとして)買って、今回含め3回は読んだんじゃないかなぁ…と う〜ん、多分文庫Xとして買わなきゃ買わなかった系の本だと思う。でも、熱量というか、読ませる力が凄くて、気付けばこの本、または著者の想いに没頭している。 この本に会うまで自分は「北関東連続幼女誘...

2016年12月に(文庫Xとして)買って、今回含め3回は読んだんじゃないかなぁ…と う〜ん、多分文庫Xとして買わなきゃ買わなかった系の本だと思う。でも、熱量というか、読ませる力が凄くて、気付けばこの本、または著者の想いに没頭している。 この本に会うまで自分は「北関東連続幼女誘拐殺人事件」という事件をほとんど…、いや全然知らなかった。もしかしたらどっかで耳にした事はあったかも…?くらいの感じで。それがこれほど…、それこそ日本を動かすほどのものだったとは、無関心な自分を恥じたいくらい これ読んだ後は、警察、裁判所などに対するイメージが一気に変わる。何となくなんだかんだ正義…と思っていたものがガラッと、汚い、狡猾なものにみえてきてしまう(まぁ、元々警察に対して良い印象はないんだが) とりあえずルパンだよねルパンが気になって仕方がないけど、この本の冒頭でも書いてあったように、気付かない間に殺人犯とすれ違ってるかも分からないんだよね…、本当に。顔も住所も分かっている犯人を捕まえないって、どうなんだろう。う〜ん、どうなの? 今、ルパンは何をしてるんだろうか。今もパチンコに行ってるんだろうか。 是非たくさんの人達に読んでほしい。 で、この事件の内容、司法の闇など、また著者である清水潔記者の生き様を目の当たりに、常識を揺さぶられたらいい。絶対に、読んだ人達の価値観や常識を変える、そんな本だと思う

Posted byブクログ