殺人犯はそこにいる の商品レビュー
タイトルを一瞥して、なんとなく手に取るのをためらっていたが、冤罪の話だということを知り読み始めてみた。 北関東連続幼女誘拐殺人事件の誤認逮捕(いったんはDNA解析により犯人とされたものの、再度の解析により犯人とされなくなった)は、それ自体が大変な問題である。 さらにカギとなる...
タイトルを一瞥して、なんとなく手に取るのをためらっていたが、冤罪の話だということを知り読み始めてみた。 北関東連続幼女誘拐殺人事件の誤認逮捕(いったんはDNA解析により犯人とされたものの、再度の解析により犯人とされなくなった)は、それ自体が大変な問題である。 さらにカギとなるDNAの解析結果に関連し、同様にDNAが決定打となった別な事件の容疑者の死刑が執行されている。こちらはDNA解析に用いられる証拠がすでになく、再鑑定不可能。著者が足をつかっていろいろ調べたところ、自白の根拠や目撃者の情報がかなり怪しいものであり、さらにDNA鑑定結果に杜撰な点が見つかったという、驚きの事実。 さらに、どちらの事件も真犯人は捕まっていない。 日本のマスコミに、こういったことを広く知らしめる責務を期待するのが、無駄ということですね。 さらにこの本では触れられていないが日本の法曹界もどうやら終わっているらしいです。 (参考:瀬木 比呂志『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』) 2016年10月現在、どうやら『X』らしい。
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手に取った最初は正直読むのが億劫でした。でもページをめくるごとに、これは読まなければいけない、知らなければいけないという半ば義務感のようなものが芽生え、気づけば読み終わっていました。 五人もの幼い女の子のが誘拐され、内四人は殺され、残る一人は今も見つからないまま。そんな痛ましい事...
手に取った最初は正直読むのが億劫でした。でもページをめくるごとに、これは読まなければいけない、知らなければいけないという半ば義務感のようなものが芽生え、気づけば読み終わっていました。 五人もの幼い女の子のが誘拐され、内四人は殺され、残る一人は今も見つからないまま。そんな痛ましい事件が狭い範囲で起きました。それを警察は連続事件とは認めず、その挙句誤認逮捕で冤罪を作り出した。筆者は長い間冤罪で収監されていた菅家さんを独自の取材で自由の身に戻すことに尽力しました。しかし事件はそれで解決ではない。幼い命を無残に奪った真犯人は野放しであることが明らかになったわけです。筆者はその真犯人らしき人物も特定し、その情報を警察に提供しているにも関わらず未だに逮捕には至っていません。 その取材の過程や司法、警察の無責任な対応が事細かに書かれ、こんなことが現代のこの日本で起きているなんて、と夢中で読みました。 面白かった、という感想は言えません。だって小説ではないから。今もなお苦しんでいる遺族が居て、野放しにされている犯人がいるのだから。 ぜひ読んでほしい。知ってほしい。その言葉に尽きる一冊です。 どうか遺族の気持ちが少しでも報われる日が来ることを祈っています。
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被害者家族は、犯人が間違いかもしれないと聞かされた時どんな気持ちだったのだろうか? 真犯人を知りたい反面、事件には関わりたくもなく、相当な葛藤があったに違いない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
隠蔽された事件について、冤罪防止や再発防止を訴えるというものではない。警察や検察といった組織も普通の会社と同じように、誤りが起こりうる。ただ、他にはない独立した権限を保持していることから、誤りに対する間違いは認め、真摯に対応する必要がある。筆者の一記者としてというより、一人間としての熱い想いが彼らに届いているだろうか。
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本人も言っているが「青臭い」文調が少しつらかった。抵抗がない人にはまったく問題ないと思うし、抵抗がある私でも、展開が気になり1日で読破してしまった。 元々地元近くで起きた事件なので
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冤罪だった足利事件。 無実なのに、17年もの年月を刑務所で。 とても考えられない。 当時の警察、怖すぎる・・・ そして、北関東連続幼女誘拐殺人事件。 著者は犯人「ルパン」を特定して、 捜査本部に情報提供しているが、 逮捕されることなく、現在に至っているらしい。 今も、この犯人...
冤罪だった足利事件。 無実なのに、17年もの年月を刑務所で。 とても考えられない。 当時の警察、怖すぎる・・・ そして、北関東連続幼女誘拐殺人事件。 著者は犯人「ルパン」を特定して、 捜査本部に情報提供しているが、 逮捕されることなく、現在に至っているらしい。 今も、この犯人が普通に生活していると思うと、 とても怖い。 再び事件が起こらないことを祈るばかりです。
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『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件【清水潔:著】』を読んだ。先月新潮社から発売されたばかりのノンフィクションなのだが、これが凄かった。この本を手に取ったのは、石井光太さんがツイッターで称賛されていたからだ。 ――『殺人犯はそこにいる』は進行中の事件を描い...
『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件【清水潔:著】』を読んだ。先月新潮社から発売されたばかりのノンフィクションなのだが、これが凄かった。この本を手に取ったのは、石井光太さんがツイッターで称賛されていたからだ。 ――『殺人犯はそこにいる』は進行中の事件を描いた作品としてはNO1の事件ルポだと思う。おそらく、ジャーナリストを名乗る人が一生に一度はやりたいと願っているようなこと。だからこそ、嫉妬もあって黙殺されるかもしれない。だけど、この本ほど無視されてはならない本はない。―― 石井さんに、こう書かれると読まない訳にはいかない。 内容は、栃木と群馬県境で発生した五件の連続幼女誘拐殺人事件の真相に迫った執念のノンフィクションである。これらが同一犯ではないかと推測した著者が、その中の一件である足利事件で容疑者とされた菅谷さんの冤罪を晴らしていく過程は圧巻だ。 やがて菅谷さんの無罪が確定したことで、晴れて真犯人をみつけ追い詰めていくのだが、警察の対応はどこまでも鈍く今に至っても検挙されていはない。 それは、なぜか――。ここでサブタイトルである”隠蔽された”という言葉でピンとくる人もいるのではないだろうか。驚愕、呆然、戦慄、憤怒、様々な感情が沸き立つ、これぞ本物の事件ルポだ。 改めて警察という組織が如何なるものなのか気付かされた。 これを読んでしまうと緩い犯罪ドラマなどすべて白けて見えてしまう。 ちなみに石井さんのツイッターによると、新潮社の関係者が「この本は抹殺されるかもしれない」と言っていたという。ならば、もっともっと読まれるべき本だ。
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ノンフィクションを初めて読んだ。 衝撃だった。 DNA鑑定は絶対だと思っていたものが揺らいだ。 何を、誰を信じていいのか、分からなくなる。 恐いな。
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冤罪が明らかになった。それは大事なことだ。 でも真犯人は? この疑問を抱いていたので読んでみた。 隠蔽され続けている事件。恐ろしい。 自分の犯した罪は自分できちんと償わなければ。 清水さんはツイッターでもこの事件について呼びかけている。風化させてはいけない。
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群馬栃木県境で十数年のうちに5件の女児が殺されており、それらは1件でしか犯人は捕まっていない。著者が調べると、5件には多くの共通点があり、犯人らしき男も見つかった。しかし1件の犯人は既に死刑が確定している… というところから当時のDNA型鑑定は疑わしいことなどを積み上げ、テレビで...
群馬栃木県境で十数年のうちに5件の女児が殺されており、それらは1件でしか犯人は捕まっていない。著者が調べると、5件には多くの共通点があり、犯人らしき男も見つかった。しかし1件の犯人は既に死刑が確定している… というところから当時のDNA型鑑定は疑わしいことなどを積み上げ、テレビで世論を盛り上げ これまた警察はどうにかならんのか、というかなり暗い気持ちになるとともに、テレビ局のインフラ(記者クラブ非加盟など弱さはあるものの)を借りただけで一個人の執念でここまでできるのか、と驚く。
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