殺人犯はそこにいる の商品レビュー
うわぁ。そんなことあるの。っていう。冤罪やら犯罪者隠しの実態。 リアルな現場のリアルな声で、さらにホントにあった事件で未だに事件が解決に導かれてない。そんなノンフィクション。被害者の女の子たちがみんな七歳とか8歳とかで、リアルに自分の娘と投影される。読んでて親はもうたまらないだろ...
うわぁ。そんなことあるの。っていう。冤罪やら犯罪者隠しの実態。 リアルな現場のリアルな声で、さらにホントにあった事件で未だに事件が解決に導かれてない。そんなノンフィクション。被害者の女の子たちがみんな七歳とか8歳とかで、リアルに自分の娘と投影される。読んでて親はもうたまらないだろうな、、、と想像すら恐ろしくてできないような事件。 そして、真犯人にたどり着いた作者。それもどうしてそこに至ったのかまでは書いてないけど、その犯人もまだ捕まらず。警察内部でのひた隠しにされる証拠。犯人逮捕までのノルマやら圧力やらが作り出す冤罪。 ノンフィクションならではの今の警察、そして、警察関係者、裁判官それぞれの思惑ともみ消し。 冤罪で捕まって死刑宣告され、もうすでに処刑してしまってる人たち。など。 世の中の歪みがリアルに詰まってる一冊でした。
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瞬く間に読了してしまった。清水さん作品は初めて読んだけどかなりな衝撃を受けた! ブクログ皆さんの情報から知ったノンフィクションだけど、巨悪は巨塊に存在することを改めて思わされた。連続幼女誘拐殺人事件を疑問視した筆者が真相に迫っていくうちに突きあたったり足を掬われたり跳ね返されたり...
瞬く間に読了してしまった。清水さん作品は初めて読んだけどかなりな衝撃を受けた! ブクログ皆さんの情報から知ったノンフィクションだけど、巨悪は巨塊に存在することを改めて思わされた。連続幼女誘拐殺人事件を疑問視した筆者が真相に迫っていくうちに突きあたったり足を掬われたり跳ね返されたりの壁の連続に遭う。それでもひたすら挑み続ける姿勢は感動的でもある。 彼が訴えたいのは、司法やジャーナリズムが寄り添うべきは巨塊側ではなくて弱小側であるべきだ!と言うこと。冤罪事件やらDNA鑑定やら科警研やら 名前しか知らなかったことも、目から鱗 だった。作りものではない事実の迫力が確かにありました!
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- ネタバレ
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すごかった。めちゃくちゃ面白い。文体が小説のようでかっこよく、読んでいて興奮する。ちょいちょい見た夢の場面が語られるのも面白い。DNA型判定に固執して、真犯人が判明しているのに無視する警察にはいらいらする。しかし、このような警察や検察にとって不利な情報をガンガン流していて大丈夫なのだろうか。なんでそのようなリスクを背負ってまで報道しつづけるのか疑問だったのだが、あとがきで、ご自身の娘さんを幼くして亡くしていることにショックを受ける。
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「殺人犯はそこにいる」清水潔著 読了。今年初めての紙本。足利事件冤罪など副産物に過ぎないという戦慄の事実。そして動かない警察・検察。早くも今年(自分の読んだ)ベストか?
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★これこそが取材力★文庫Xでも知られる本。桶川ストーカー事件を掘り起こしだけでもすごいのに、もう一つ当ててしまうとは。結果として警察や検察を相手にして組織防衛のおぞましさまで浮き彫りにしてしまう取材力。これこそがジャーナリストなのだろう。 本書も足利事件の冤罪を暴くだけで十分に...
★これこそが取材力★文庫Xでも知られる本。桶川ストーカー事件を掘り起こしだけでもすごいのに、もう一つ当ててしまうとは。結果として警察や検察を相手にして組織防衛のおぞましさまで浮き彫りにしてしまう取材力。これこそがジャーナリストなのだろう。 本書も足利事件の冤罪を暴くだけで十分に成立する。著者の狙いはその先、連続殺人事件だと示し真犯人を逮捕させることにある。警察がほかの事件への波及を恐れて捜査をしないことに諦め、真犯人のことをあまり書き込めないにもかかわらずやむにやまれず書籍にしたのだろう。冤罪解決に真犯人探し、内向きの警察と、トピックスの射程と深度がおそらくは当初の想定を超えて広がり、尋常ではない密度となっている。しかし資料を読み込むだけで真犯人のめどがついたのはどこにヒントがあったのだろう。 被害者の家族からこれだけの協力を得たのも信じられないほどだ。「小さい声を届ける」思いの真摯さと取材の深さがあったからこそなのか。これが本当の取材力なのだろう。 おそらくは普段はそれほど細かい仕事はしないであろう記者を抱えておける日本テレビの度量の広さも素晴らしい。
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なぜ冤罪になったのか?と言う部分は非常に大事な所だけど、こちらとしてはルパン(真犯人)と思われる人物の経緯等の情報が欲しかったかな。 31/2/9
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自分はテレビの報道番組をほとんど視ないこともあり、社会面系のニュースには疎い。 いわゆる「足利事件」についても、一旦死刑判決を受けた菅家さんという人が冤罪確定して釈放された、というくらいの知識しか持ち合わせていなかった。 そして、菅家さんの無実をはらすにあたり、本書の著者・清水潔...
自分はテレビの報道番組をほとんど視ないこともあり、社会面系のニュースには疎い。 いわゆる「足利事件」についても、一旦死刑判決を受けた菅家さんという人が冤罪確定して釈放された、というくらいの知識しか持ち合わせていなかった。 そして、菅家さんの無実をはらすにあたり、本書の著者・清水潔氏の取材に基づいた日本テレビのキャンペーン報道が大きな役割を果たしたことも寡聞にして全く知らなかった。 さらに、この「足利事件」が、渡良瀬川を挟んだ栃木県足利市と群馬県太田市にまたがる狭い地域において、1979年から96年までの間に発生した5件の未解決幼女殺害・行方不明事件の1つであり、菅家さんの冤罪が判明したことで連続幼女誘拐殺人事件の真犯人(同一犯人である可能性が推定される)が野放しになっていることを意味するという衝撃的な事実を、この本を読んで初めて認識することになったというのが正直なところ。 本書を読んで、感じたところを以下連ねてみたい。 まず第一には、犯罪の真相解明に占めるマスコミの役割。 本事件については、日テレのキャンペーン報道が冤罪確定に大きな役割を果たしたわけだけど、それは「日本を動かす」ことを目指したプロジェクトを企てた日テレのプロデューサーと、それに応じた清水氏のような腹の据わった、ある意味変わり者のジャーナリストが「たまたま」関わったからできたことだ。 一般的には、自分が忌み嫌う、センセーションと世間の溜飲を下げることを求めたマスコミの扇情により、警察・検察、場合によっては司法の判断が歪みをもたらされることも少なくない(本書の中でもそのようなエピソードがいくつも例示される)。 清水氏のような活動についても、菅家さんの件では、冤罪を明らかにするという「正義」に適う(と考えて間違いない)結果をもたらしたとはいえ、一方間違えれば逆に誤った結論に世論を誘導してしまうリスクを逃れることはできない(実際、本書の中で「飯塚事件」について書かれた部分についてはそのような批判が為されているようだ)。 月並みだけど、マスコミ報道はそれだけ大きな力を持っているということなのだ。 本件の清水氏のような「良心」に期待したいところではあるが、なかなか当てにはならない。 そう考えると、やはり一つの言説を鵜呑みにせず、いかに多様なソースからの情報を得られるような環境を作るか、ということが肝要になる。 自分のように、テレビなど大手メディアの報道をガン無視するという態度も、実は偏っているのかもしれない。 第二には、警察・検察のずさんな捜査、組織防衛の論理の恐ろしさ。 自白偏重捜査、人質司法の酷さについては、現在では広く知られ批判されるところになっているが、この「足利事件」、そしてそれに先立ち著者が真相を暴くために奮闘した「桶川事件」の経緯を知るにつれ、警察・検察の組織の論理にもとづく権力の暴走により、誰しもが犠牲者となり得るという可能性を改めて実感させられる。 そして、第一のマスコミの問題と第二の警察・検察の問題、両者は記者クラブ体制という枠組みを挟んで表裏一体のもの。 マスコミが迎合する「世論」の期待に応えんがために警察・検察は組織防衛に走り、その警察・検察がリークする都合のよい情報にマスコミサイドは依拠する、という相互依存。 著者・清水氏が記者クラブに属さない独立独歩のジャーナリストである、という事実の意味合いは重い。 最後に、一連の事件の犠牲者となった女児たちと同じ年頃の娘を持つ親の一人として、彼女たち、そして彼女らの肉親たちが受けた痛み、苦しみに思いを馳せるたびに胸が痛む。 著者がその正体を知るという「ルパン」が将来報いを受けることになったとしても、彼女たちは決して還ってこないのである。
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警察は真相を探るためにあるのではなく、容疑者を落とすことが使命であるのですねえ。 清水さんに袴田事件とか日航ジャンボ機事件とか扱ってもらいたいよお。
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よく行くblogで紹介されていて、興味をもったので読んでみた。 私の住んでいるところは、横山ゆかりちゃんと言う行方不明になった少女のいる市から近い。 毎年7月になるとニュースになる。 幼い子供を持つ身としては、他人事ではない。 たとえパチンコに行くことはないとしても、いま...
よく行くblogで紹介されていて、興味をもったので読んでみた。 私の住んでいるところは、横山ゆかりちゃんと言う行方不明になった少女のいる市から近い。 毎年7月になるとニュースになる。 幼い子供を持つ身としては、他人事ではない。 たとえパチンコに行くことはないとしても、いまだに真犯人が捕まっていないということは、安心して生活できない。 驚いたことに、本書の著者清水潔さんは、真犯人と目される男性の住所と名前まで知っているという。あろうことか、直接本人に会って取材しているし(読んでてさすがにこれはやりすぎだと思った。証拠隠滅とか、逃亡とかの恐れはないのかな?) 防犯カメラの映像を見て、人を探しているようだと感じ、そこから 「最初からゆかりちゃんに近づくつもりだった→ということは、いったん家に帰って真夏にしては暑そうな長袖、帽子、サングラスという変装をして戻ってきたのでは?→てことは、午前中の防犯カメラを見れば、サングラスをしてない男がパチンコしている姿が映っているのでは?(パチンコしているときにゆかりちゃんと親が現れてゆかりちゃんに目をつけたのでないか)」 という推測をしていくところは、すごいと思った。 でも、きっと優秀な群馬県警がとっくにやっているよね! 気になっていろいろ調べて、ゆかりちゃん事件について、もしルパンが容疑者として逮捕されても、未成年者略取の公訴時効は過ぎているから起訴できないっていうのをどこかで読んだ。だから、警察は二の足踏んでいるって。 ゆかりちゃんの、こんなことを書きたくないし、私は生きているって信じたいんだけど、ゆかりちゃんの遺体が出れば、殺人容疑になるから、凶悪事件の時効は撤廃されたから、まだ公訴できるけどって・・・。 でも、この清水さんの見た夢の中で、子どもは5人だったんだよね・・・? それ読んで、すごく悲しい気持ちになった。 どうかどうか、生きていてほしい。 同じ年頃の娘をもつ親として願わずにいられない。 本書は、へたなミステリを読むよりおもしろい。 この清水潔さんという人が、とにかく被害者や遺族に寄り添う姿勢でいることに好感をもった。一番小さな声を拾うことを信念としているらしい。 最後に、清水さんも娘を事故で亡くしていることを書いてあって、びっくりした。でも、だからかと納得した。 誰か大切な人を亡くしているから、あれだけ遺族の立場に立って物を考えることができるのかと。
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北関東連続幼女誘拐殺人事件の戦争に迫るルポタージュ まえがき 第一章 動機 第二章 現場 第三章 受託 第四章 決断 第五章 報道 第六章 成果 第七章 追跡 第八章 混線 第九章 激震 第一〇章 峠道 第一一章 警鐘 あとがき 日本テレビ記者であ...
北関東連続幼女誘拐殺人事件の戦争に迫るルポタージュ まえがき 第一章 動機 第二章 現場 第三章 受託 第四章 決断 第五章 報道 第六章 成果 第七章 追跡 第八章 混線 第九章 激震 第一〇章 峠道 第一一章 警鐘 あとがき 日本テレビ記者である清水潔が、群馬と栃木の県境で数年ごとに起きた誘拐殺人事件を追う。 清水の緻密な取材により、各事件がリンクを見せ、その過程で足利事件の冤罪にも関わるようになる。 警察の杜撰な捜査と、発覚後の組織の保身と虚構、演出には反吐を履きそうになるほど憎悪を覚える。 「再発防止」という報道の使命を胸に、日本を動かそうとする男の記録である。
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