捨てる女 の商品レビュー
「本の雑誌」で連載を読んでいたので、もういいかなと思っていたけれど、やっぱりまとめて読むとずーっと面白い。迫力満点である。 「捨ててスッキリ!」なんて簡単な話ではない。やむにやまれず、たまりにたまったモノたち、つまり過去の自分を捨てていったら、またその先に違う葛藤が待っている。...
「本の雑誌」で連載を読んでいたので、もういいかなと思っていたけれど、やっぱりまとめて読むとずーっと面白い。迫力満点である。 「捨ててスッキリ!」なんて簡単な話ではない。やむにやまれず、たまりにたまったモノたち、つまり過去の自分を捨てていったら、またその先に違う葛藤が待っている。それでもそれは自分で決めて選んだことで、痩せても枯れてもそれを引き受けて生きていくのだという内澤さんの潔さを感じる。 グルグルめぐる思いがかなり正直に、というより赤裸々に語られているので、決して軽い読み心地ではないが、笑えるところも多々あって、充実の一冊だ。
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これは断捨離の本ではない、と思う。ふぁっきん断捨離!な私ですが、なぜだかこの本の中の内澤さんにはすごく共感できるのでした。私もなにかとバカバカものをため込むわりに、ある日突然スッと憑きものが取れたようにどうでもよくなってしまいバサバサと捨てては、ある日急にゆれ戻しがきて後悔する、ということをくり返している。なので、捨て続けていた内澤さんの心理状態を読みながら、あぁ私もそういうことだったのかもしれないと腑に落ちることがたくさんあった。 ほんとね、荷物が多くて困っているんだけど、荷物が多いことに困ってるんじゃないの。片付かないのがイヤなだけなの。蔵みたいなバカバカとため込んでおけるスペースさえあれば、なにも悩むことはないのに! 一人あたりの住環境はどんどん小さくなっている気がするのに、どの時代にもないほどモノにあふれている現代。私が欲しい程度の物はなんでも買えちゃうそこそこの経済力(毎月お給料もらってるしね)ゆえ、モノは増え続ける。こんなにいろいろ売ってなければ買わないのに~。しかし、ヨーグルトの香りのする共和国の青年の例のごとく、貧しかったら貧しかったでますますモノをため込むことになりそうな気も。結局ため込むのはただの性格か…。私も悩みは尽きません。 文中に出てくる「投げ捨て展覧会」には私もいきました。そして私が大好きな本たち(『印刷に恋して』『本に恋して』『世界屠畜紀行』)の原画を手にし、感動にうち震えておりました。あの展覧会のウラに、こんな事情があったとは…!
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