誕生日を知らない女の子 の商品レビュー
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おそらく「虐待」とか「子供の貧困」か何かで検索をして引っかかった本。出版も去年の11月ということで、読んでみた。 虐待を受けて「根っこ」(287頁)をうまくはることができなかった子供たちは、本文から分かる行動だけを見ていると、まさに「動物」である。常に怒声や痛みの恐怖に怯え、感情をシャットアウトして自分を守るのである(=「解離」かな?)。 そのような環境で育ってきた子供たちは、体はどうやって洗うのか、お箸はどう持てばいいのか、といった「日常生活」をどのように送ればいいかを全く知らない。そのようなことから一つ一つできるようにさせていくことが里親の仕事(の一つ)になる。 さらに重大なのは、これが連鎖することである。虐待を受けた子が親になって、自分で子供を育てようとすると、フラッシュバックに悩まされ、やはり自分の子を虐待してしまうという。 解決策を模索せずにはいられないけれども、特効薬のようなものは思いつかず、少しずつ知っていき、ゆっくり対処する、というありきたりのことしか思いつかない自分が悔しくなる。
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ファミリーホームで里親のもとで育つ(育った)子どもたち。ケースはそれぞれ違えど、生育環境によって強いられた心の戦いは、どれも幼い子達には重たすぎるとしか思えず、読んでいて気持ちが沈みました。 本のタイトルにある「誕生日を知らない」だけでなく、食事から湯気がたつのを知らない、肉を焼いたときに香ばしい匂いがたつのを知らない、トイレでのお尻の拭き方を知らない、お風呂での頭や体の洗い方を知らない、自分から何か要求すること・選択することを知らない…そんな子どもたちの数は相対的にみれば少ない(と信じたい)だろうけど「少なからず存在する」という現実。そしてその現実を知っても「自分に何ができるのか…」とその無力さを叩きつけられるような感覚。 読み終わったけれどしばらくは色々本書のことを考えると思います。 子どもたちの現実にショックを受けたと同時に、里親の皆さんの考え方や洞察力、子どもたちへの接し方など「すごいなぁ」と感じることが多々あり、大袈裟でなく尊敬の気持ちにあふれました。 また時間をあけて読み返したいです。
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この本はいい本ですね。里親やってる方、数少ないとは思うんですが、読んでもらいたいと思うし、いや里親の方はわかってるし、もうやられてることだとは思うんだけど、こうして書いたものを見ると、客観視できるというか、やっぱりね、知ってるとでも、違うと思うんだよね。 この著者しっかり書いてる...
この本はいい本ですね。里親やってる方、数少ないとは思うんですが、読んでもらいたいと思うし、いや里親の方はわかってるし、もうやられてることだとは思うんだけど、こうして書いたものを見ると、客観視できるというか、やっぱりね、知ってるとでも、違うと思うんだよね。 この著者しっかり書いてるしね。
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ドラマ「明日、ママがいない」の騒動以来、「社会的擁護」という言葉に興味を持つようになり、そんな中で書店で見つけた一冊。 ここに出てくる子どものエピソードは、どれもフィクションではなくて、ノンフィクションであってほしいと思うくらい、信じられないものばかりでした。 読み進めるうち...
ドラマ「明日、ママがいない」の騒動以来、「社会的擁護」という言葉に興味を持つようになり、そんな中で書店で見つけた一冊。 ここに出てくる子どものエピソードは、どれもフィクションではなくて、ノンフィクションであってほしいと思うくらい、信じられないものばかりでした。 読み進めるうちに、様々な感情が込み上げてきました。 自分のことを見捨てたり、都合良く利用しようとする親であっても、 その親を親として無条件に信じる子どもの姿は、本当に言葉にならないくらい切ない。 そんな中で、本当の親以上に親として子どもと接する「里親」の存在は、もっと肯定的に捉えられ、注目されて然るべきだと。 また、里親の子どもへの接し方は、すべての子どもへの子育てにも通ずるものだと思います。 ただ、子どもが成長するためには、里親だけではなく学校や里親が生活している地域の理解が必要不可欠であり、様々な協力を得て成長した子どもの姿には勇気付けられました。 最後に過去の虐待体験から、自分の子どもに対して厳しくあたってしまう女性の事例があった。 彼女は、理解ある夫の支えや、この本の著者の支えもあり、一進一退をしながらも前に進んでいるようだが、シングルマザーが増加傾向にある中で、子育てを自己責任だけにするのではなく、「助けて」と言えるような社会の寛容さも必要だと感じた。 (もちろん自分勝手な理由は認めがたいが…。) http://www.shueisha.co.jp/shuppan4syo/25nen/outline01.html
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悲劇でもなく、ましてや美談であるはずもなく(登場する“里親”の方々があまりにすごいのでついそんなことばが出てしまうほど)、これはわたしたちもその一部であるただの現実である。どこにも落着しないのが現実なのだ。
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母に(父にもか)感謝しなければならない。 今にして思えば、かなり情緒不安定な幼年期を過ごした(今でもその片鱗は多分に残っているが)。 何とかこの年まで生きて(普通の生活を営んで)こられたのは、両親のおかげなのだと思う 「両親に感謝しなさい」というのは、社会人になってから長じてよく年配の方に言われた言葉だが、そのときは(今でも)、まあ否定はしないがそんなものかなという程度にしか思っていなかった。 しかし、本書に取り上げられている不遇な幼少年期の事例に接すると、本当にその通りだなと思う。 最近、小学校時代の通信簿を読む機会があって、情緒不安定について、家庭環境に問題があるのではないかなどと書かれた教師のコメントに驚いた。 それでもあきらめずにここまで育ててくれた母に感謝。 母はラジオの教育相談をよく聞いていた。
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杉山登志郎医師のお話しは直接伺ったことがあります。今も第一線で子供達のために奮闘されているんですね。 そのほか頭が下がるのは、里子として子供達を預かって家庭を作っている人たち。 もっともっと支援や制度の充実が望まれます。
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髪の毛を洗う、おしりをふく、そういったことが幼少期に教えてもらえないとできない、 考えてみれば当たり前のことだが、本作をよんではじめて気づかされた。
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児童虐待にあった子供たちの事例を詳細に取材されている良書。支援者、制度 、医療等々についても書かれているので、児童虐待の実態がよく理解できる。発達障害・知的障害と虐待による愛着障害が起こす行為障害は、似ているのという記載から、発達障害と診断がついていても実際は過去の虐待経験が未治...
児童虐待にあった子供たちの事例を詳細に取材されている良書。支援者、制度 、医療等々についても書かれているので、児童虐待の実態がよく理解できる。発達障害・知的障害と虐待による愛着障害が起こす行為障害は、似ているのという記載から、発達障害と診断がついていても実際は過去の虐待経験が未治療のままのケースもあるのじゃないかと思った。
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『虐待』という単語を見る度になぜ、罪のない子供達が実の親または親の恋人に殺されなければならないのかと怒りがこみ上げてくる。暴力や言葉で自分の子供を傷つけ、深い傷を負わせる事に罪悪感を感じないのだろうか。この本には心に深い傷を負った子供達が載っている。つらい過去を背負いながら一生懸...
『虐待』という単語を見る度になぜ、罪のない子供達が実の親または親の恋人に殺されなければならないのかと怒りがこみ上げてくる。暴力や言葉で自分の子供を傷つけ、深い傷を負わせる事に罪悪感を感じないのだろうか。この本には心に深い傷を負った子供達が載っている。つらい過去を背負いながら一生懸命、生きている。この本に書かれている子供達以外にもたくさんの子供が今も虐待をされているかと思うと泣けてくる。子供に虐待する事で自分のストレスが発散されるのだろうか。虐待はしつけではない。いきすぎた暴力でしかない。
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