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骨を彩る の商品レビュー

4

105件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    23

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2017/03/05

銀杏のシャワーを見たことがない人には、何のことやら。それを補うのが小説だと思うと減点。 ですが、人の死は美化され、飴玉にされるが、死が持つ暴力性が描かれていて、最後まで読んでしまいました。 2017*5冊目

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2017/07/14

心に「欠けたもの」を抱える人達の、 疼くほどの骨の痛みが、彩りに変わるまでの短編集。 イチョウ色の雨がきらきらした表紙。 あっという間に読了。 失くさないと、わからないもの。 「ない」からこそ分かる大事なもの。 「当たり前という言葉は、 高い壁のようだ。」 「ぎこちなく、...

心に「欠けたもの」を抱える人達の、 疼くほどの骨の痛みが、彩りに変わるまでの短編集。 イチョウ色の雨がきらきらした表紙。 あっという間に読了。 失くさないと、わからないもの。 「ない」からこそ分かる大事なもの。 「当たり前という言葉は、 高い壁のようだ。」 「ぎこちなく、言葉が足らず、一緒にいる苦しくて、でもあの場所には何も欠けていなかった。」 「大事にされてるって、なくさないと、わかんないんだ」 思い出したいものを 思い出せない時に読みたい。

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2016/12/06

彩瀬さん三冊目。以前からこの銀杏の舞う表紙がきれいだなぁと思って気になっていた。あとタイトルにも不思議と引き込まれた。短編集だけど、それぞれのストーリーの登場人物が次のストーリーの主要人物になる、といった感じで短編集よりも連作?のように思えた。最初と最後の津村親子の話が一番好きだ...

彩瀬さん三冊目。以前からこの銀杏の舞う表紙がきれいだなぁと思って気になっていた。あとタイトルにも不思議と引き込まれた。短編集だけど、それぞれのストーリーの登場人物が次のストーリーの主要人物になる、といった感じで短編集よりも連作?のように思えた。最初と最後の津村親子の話が一番好きだった。妻を亡くした夫と母を亡くした娘が抱える悩みと喪失感が彩瀬さんの巧みな言葉で表現されていた。激しい感情が引き出されるわけではないけれど、人間が誰しも欠けている部分を優しく照らすような文章がじんわりと心に溶け込む感じが好きだった。

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2016/08/30

登場人物が少しずつつながる連作短編。 でも、どれもなくてはならない話のようでもあり、やっぱり長編なのかなと。 亡くした人を思いながら今を生きる人たちの話。 罪悪感だとか、喪失感だけでなく、自分では気づかないまま、それこそ骨に染み付いたような気持ちを抱いているかのような主人公達。...

登場人物が少しずつつながる連作短編。 でも、どれもなくてはならない話のようでもあり、やっぱり長編なのかなと。 亡くした人を思いながら今を生きる人たちの話。 罪悪感だとか、喪失感だけでなく、自分では気づかないまま、それこそ骨に染み付いたような気持ちを抱いているかのような主人公達。 外から見れば、華やかだったり、しっかりしていたりと言う彼女達も、それぞれに秘めたものがあり、それを違う立場で見るという各章のつながりが、やっぱり好きです。 著者の文学的な表現も、物語を上手く彩っていたなと余韻に浸っています。 父の「指のたより」から、娘小春の「やわらかい骨」への流れが好きです。

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2016/08/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

登場人物が一人ずつ少しずつリンクする5編の連作短編集。 構成も文章も読ませるのが非常に上手いなぁ、丁寧だなぁと思わせる。 どの短編も良いが、俺が一番好きなのは最後に収録されている「柔らかい骨」。早くに母親を亡くした小学生の小春が主人公。彼女の心のつらい部分(彼女いわく、骨をむしばんでいる黒いしみ)を背負って生きていく姿が健気で強くていじらしくて。 人間だれしも、何かしらこういう黒いしみを心に背負っていると思う。それは傍から不幸に見える人でも幸せに見える人でも、種類や重さや色こそ違っても背負っているという状況は変わらない。 自分だけ背負っているつもりで「自分ひとりツラい」と拗ねるているのは甘ったれてる。 他のみんなが自分以上のものを背負ってるから「大変だね、可哀想だね」と過剰に反応するのも鬱陶しい。 この辺のバランスが実に難しくて…ラストの小春が健気でたまらなく、大人の読者やのに沁みる。 自律ってなんやろか?自分以外の人間との距離感をどうしようか?間合いって本当大事やなと、じっくり考えさせられた。

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2016/06/23

短編集かと思ったら、どこそこでちらっとでてくる人の。 最初はなんだか退屈だったけど、最後のやわらかい骨はちょっと響いた。 母のいない欠落感がしっかりした子に育てたけど、自分だけが背負う荷であって、他の誰かにそれを押し付けるでなく認めさせるでなく、その大事なもの知らない人は知らない...

短編集かと思ったら、どこそこでちらっとでてくる人の。 最初はなんだか退屈だったけど、最後のやわらかい骨はちょっと響いた。 母のいない欠落感がしっかりした子に育てたけど、自分だけが背負う荷であって、他の誰かにそれを押し付けるでなく認めさせるでなく、その大事なもの知らない人は知らないままでわからない人はわからないままでいいのだ。 人はみんな不平等なのだから。 若い作家さんなのに、なかなか、なかなか。

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2016/06/13

誰の心の中にもある不安や葛藤、後悔や喪失感といった負の感情を紡ぎ出す5つの連作短篇集。 読中には、思い出したくない過去を掘り起こされてような感覚があるにも関わらす、読後に温かい気持ちになるのは、作者の人間に対する優しい眼差しが溢れているからでしょう。銀杏の葉の話で締めくくるところ...

誰の心の中にもある不安や葛藤、後悔や喪失感といった負の感情を紡ぎ出す5つの連作短篇集。 読中には、思い出したくない過去を掘り起こされてような感覚があるにも関わらす、読後に温かい気持ちになるのは、作者の人間に対する優しい眼差しが溢れているからでしょう。銀杏の葉の話で締めくくるところが上手い。 身体の奥の、骨や内蔵まで響くような美しい文体や言葉選びが秀逸。 次回作も是非読みたい。

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2016/06/07

彩瀬さん二冊目、ほんとうに美しく繊細な文章を書く人だと思う。 そしてなによりもその独特で豊かな表現力…心に降り積もる言の葉の心地良さがこの人の最大の魅力だろうか。 喜び、悲しみ、出逢いと別れ…人が生きていくときに心に刻まれる記憶を「骨のしみ」と捉える感性もそのひとつ、そしてそこか...

彩瀬さん二冊目、ほんとうに美しく繊細な文章を書く人だと思う。 そしてなによりもその独特で豊かな表現力…心に降り積もる言の葉の心地良さがこの人の最大の魅力だろうか。 喜び、悲しみ、出逢いと別れ…人が生きていくときに心に刻まれる記憶を「骨のしみ」と捉える感性もそのひとつ、そしてそこから人と人との触れ合いによって単調な白と黒のモノトーンからカラフルな彩りを増していく発想など素敵ではないか。 喪うことの連作短編集、蝕まれた骨がズキリと痛む話ばかりなのだが終幕はどれも柔らかな景色のなか下される。 骨が護る胸の奥にはスッと前を向いたしなやかな心がある

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2016/02/27

16/02/27 「ハライソ」「やわらかい骨」の二編が好み。 ・他力本願で安易な夢を見ているのかも知れない。馬鹿だよなあ、と思う。自分の夢くらい自分で叶えろよ、人に頼ってんじゃねえよ、そういう中途半端な覚悟だからうまくいかねえんだよ、と頭の中のキーボードに打ち込む。これがディスプ...

16/02/27 「ハライソ」「やわらかい骨」の二編が好み。 ・他力本願で安易な夢を見ているのかも知れない。馬鹿だよなあ、と思う。自分の夢くらい自分で叶えろよ、人に頼ってんじゃねえよ、そういう中途半端な覚悟だからうまくいかねえんだよ、と頭の中のキーボードに打ち込む。これがディスプレイの向こうの見知らぬ相手だったら、とっくにエンターキーを押している。(P144 ハライソ)

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2015/12/16

登場人物が少しずつ繋がっている5作からなる短編集。現代人の悩みや困惑する場面が散りばめられていて共感することが多かった。心の移り変わりや、現代人が認めたくないけど自分の中に持っている嫌な感情が本当繊細に描かれていると思う。 特に最後の場面、 がしゃん、と大きな音を立ててフライ...

登場人物が少しずつ繋がっている5作からなる短編集。現代人の悩みや困惑する場面が散りばめられていて共感することが多かった。心の移り変わりや、現代人が認めたくないけど自分の中に持っている嫌な感情が本当繊細に描かれていると思う。 特に最後の場面、 がしゃん、と大きな音を立ててフライパンがコンロに落ちた。あたふたと火を止めて振り返った父親は、驚くほど間の抜けた、ひどく嬉しげで目の潤んだ、泣き笑いに似た表情を浮かべていた。 本を全て読んだあとに、ほっこりとなりました。

Posted byブクログ