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骨を彩る の商品レビュー

4

105件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    23

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2018/09/24

「彼らは、いや、彼らだけではなく大抵の人間は、死者にまつわる風景を無意識に飴玉にする癖があるのだ。手前勝手に解釈し、センチメンタルな甘さをしゃぶり、ねぶる。」

Posted byブクログ

2018/08/09

図書館で本を借りた。 今まで知らなかった著者の本。 帯もないし、POPもない、だけど、背表紙に書かれた著者名と題名の文字が、可愛くて、ジャケ買いならぬジャケ借りをしてみた。 結果、選んで正解だった。 短編集で、読みやすい。 見た目や行動だけでは分からない、生育歴、過去、人間関係...

図書館で本を借りた。 今まで知らなかった著者の本。 帯もないし、POPもない、だけど、背表紙に書かれた著者名と題名の文字が、可愛くて、ジャケ買いならぬジャケ借りをしてみた。 結果、選んで正解だった。 短編集で、読みやすい。 見た目や行動だけでは分からない、生育歴、過去、人間関係で構成された、深い場所の思いが繊細な描写でかかれている。 言葉の響きや、使い方が、綺麗だなと感じた。 著者のほかの本も読んでみたい。

Posted byブクログ

2018/06/11

5編の短編の登場人物が少しずつ錯綜しながら一つのストーリーを構成する。 誰しもが心に抱える闇の部分。わかっていながらどうにもならずに心を通り越して骨まで染み込んだ色を失った世界。そういった苦悩を抱えた人物達が、ちょっとした出来事や理解者との出会いによって、白黒の感情に色を取り戻し...

5編の短編の登場人物が少しずつ錯綜しながら一つのストーリーを構成する。 誰しもが心に抱える闇の部分。わかっていながらどうにもならずに心を通り越して骨まで染み込んだ色を失った世界。そういった苦悩を抱えた人物達が、ちょっとした出来事や理解者との出会いによって、白黒の感情に色を取り戻していく。 人間は一人では生きていけず、生きることに苦しさもあるけれど、どこかに壁を越えるきっかけは存在していているんだよと教えてくれる。

Posted byブクログ

2018/04/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編『ばらばら』より―「ばらばら」を、越えていく力などあるのか ―ばらばらだ、と思い始めたのは、その頃からだと思う。ばらばらだ。私の体を包む世界は脈絡がなくて、私を守ってくれる約束事など何もなくて、ビーズのネックレスみたいに、一度パチンと鋏を入れてしまえばばらばらにほどける。熱を分かち合うほど隣り合っていた粒も、遠くへ二度と出会わない箪笥の裏へと簡単に転がり消えてしまう。―  主人公の玲子はそんな「ばらばら」であるという感覚をいつも胸のどこかに抱えながら生きている。思えば私も、そんな「ばらばら」で「ちぐはぐ」なところがあるという思いを常に持っている。私を構成していることになっている身体も、頭が勝手に作り出す思考も、この精神も、解体されつくしているところがあって、ばらばらだ。身体ならば、現在の段階では私を形作っていることになっている物質も、いずれは私の外へ排出されていく。また、私の体だと思われている部分も、一度外部に摘出されてしまえばもう二度とそれまで同じ形に戻すことなどできはしない。思考ならば、一貫した思いを持ち続けることは非常に困難だ。誰かを、何かを好きだという強い感情でさえ、日々変調と変質の危機にさらされている。精神状態だって不安定だ。安定した、平穏のなかにいたいとは思いながらも、そうすることはできずにいる。さらには、この身体、思考、精神の三者でさえもままならず、互いに相反する。身体は動きたいと思っているのに、精神がそれに追いついていけなかったり、望んでいない思考を無理やり誰が頼んだわけでもないのに続けさせられることで、身体や精神に不調をきたしたり。私が私であるということが、私であるという記憶であることと、同じ名前を冠し続けていることだけしか、ひょっとするとないのかもしれないという悲鳴にも似た苦悩を、いったい誰が分かってくれるというのだろうか。  ばらばらで、ちぐはぐ。まるで、私の中に私の思い通りにならない他人が何人も棲みついているような感覚だ。  私という存在にはおおよそ一貫性や連続性といったものが欠如していて、しかしそれでも本当にばらばらになることなく済んでいるのは、信じるに足るるのかさえ不透明な記憶だけしかないのだという状態なのだ。  抱き始めてしまった人だけが途方もない不安にさらされてしまうというこの状態を、いったい誰が分かってくれるというのだろうか。  この、「ばらばら」であるという感覚は、物語が進行すると「骨のようなものが足りない」という風に言い換えられていく。 ―「肋骨が一本足りないとか、背骨が一本足りないとか、そんな感じで。別にやってはいけるんだけど、たまに、あ、ないなって。なんでか昔から、すかすかして、落ち着かなくて。足りないものを、補うみたいに、いつも力がはいって、て」―  彩瀬まる作品の好きなところは、『あのひとは蜘蛛を潰せない』の言葉を借りるのならば、「今まで俺が地面だと思っていた場所が沼に変わって、泥にずぶずぶ足を呑まれていく気分になる」ところではないかと考えている。多くのことを深く考えすぎるあまり、普通ならばたどり着かないような隘路にいつのまにか踏み込んでいて、抜け出せなくなって、今まで何ら疑問視することなく当たり前だと盲目的に信じ込んできたものが、実は全く信じるに足りないものであったかもしれないという発見。不安で、不穏で、やりきれなくなる。でも、同時に、それでもいいと思える何かであったり、気が付いたことによって小さな救いに向かうことができるようになれる何かを、与えてくれる。つかませてくれる。この手の中に、授けてくれる。  私はこの小説を手に取るまで、自分が「ばらばら」であるということを、優しく、甘く、ついには忘れかけていた。自分が自分枝るはずなのに整合性が取れず、不確かであるという状態を自覚していながらも、それにふさわしい“病名”を附すことができずにいた。けれども今は、「ばらばら」であって、「ばらばら」でもいいのだと思える。この恐怖をわかってくれる人がきっとどこかにいて、もしかしたら、何も恥ずかしく思ったり、必死で隠さなければどうにかなってしまうようなものでも、ないのかもしれない。  だいじょうぶ、たぶん、きっとだいじょうぶ。

Posted byブクログ

2018/01/06

各賞の主人公が少しずつ交わっていて、それぞれの視点からの物語が繋がっていく 人から見れば何を考えているのか、どうしてそうなのかわからないことでも、本人からすれば当然、必然の事であり そしてその本人もまた、誰かの気持ちがわからない わかってもらえないことはわかっていても、どこかで...

各賞の主人公が少しずつ交わっていて、それぞれの視点からの物語が繋がっていく 人から見れば何を考えているのか、どうしてそうなのかわからないことでも、本人からすれば当然、必然の事であり そしてその本人もまた、誰かの気持ちがわからない わかってもらえないことはわかっていても、どこかでわかり合いたい 世の中、誰もが脇役であり、誰もが主人公なのだなと思った短編集。 彩瀬まるさん、比喩がとても素晴らしい作家さんです。

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2017/08/03

この作品もリレー型オムニバス。彩瀬まるさんの著作、すっかり魅入られてしまった。日頃他人には見せない感情だったり考えていることみたいなものについて、誰しも蓋をして生きていると思う。その蓋を何故かスッと開けられてしまった。でもそれが思っていたほど不快じゃない・・・。むしろ読後心が少し...

この作品もリレー型オムニバス。彩瀬まるさんの著作、すっかり魅入られてしまった。日頃他人には見せない感情だったり考えていることみたいなものについて、誰しも蓋をして生きていると思う。その蓋を何故かスッと開けられてしまった。でもそれが思っていたほど不快じゃない・・・。むしろ読後心が少し軽くなった。そんなイメージ。

Posted byブクログ

2017/04/18

2017/4/9宝塚西図書館から借りた。 すこしづつ主人公が代わり、最後の話しが、最初の話しに繋がっていたと気付いて、思わず最初章を読んでいた。

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2017/04/09

「ばらばら」で、松島の女子大生との交流の節がほっこりした。 全体的に綺麗にまとまりすぎてて、ちょっと好みとは違うように感じた。

Posted byブクログ

2017/04/06

亡くなった人やものについてそれぞれ考えて悩んでいる、5作の連作だった。自分はこれらの話しをしっかり理解できている自身が無くて、感想を書くのもちょっと戸惑うくらい。語りが優しいから、それに身をまかせてふわふわして、しっかり読みきれてなかったかもしれないな。

Posted byブクログ

2017/03/13

読み終わり、なる程「骨を彩る」か。死が側にある話の短編集。次の物語には前の物語に出てきた人が主人公になり、話は語られる。 生きることと死、それぞれの心に有る様々な感情を柔らかい雰囲気で描く。ラストはほっこり。 【心に残った箇所】 自分と当たり前が違う人がいるが、どっちが悪いと...

読み終わり、なる程「骨を彩る」か。死が側にある話の短編集。次の物語には前の物語に出てきた人が主人公になり、話は語られる。 生きることと死、それぞれの心に有る様々な感情を柔らかい雰囲気で描く。ラストはほっこり。 【心に残った箇所】 自分と当たり前が違う人がいるが、どっちが悪いとかじゃないんだ

Posted byブクログ