骨を彩る の商品レビュー
この人の本を最初に読んだのは、東日本大震災を題材にしたドキュメンタリーだった。『骨を彩る』は、特に震災をフォーカスしているわけではないけれど、誰かの死を悼む、というテーマが流れているように思う。 ”弔う”という行為の、少しの気づまりと静謐さ。
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連作短編集。それぞれの登場人物たちが少しずつ関わっている。妻を亡くした夫とその子ども、千代紙に依存してしまう女など、どこか生き苦しさを感じていたり、当たり前に違和感を感じていたりするような人々の物語。表紙の絵のイメージ通りの優しい雰囲気の本でした。たくさん降ってくるきらきらしたイ...
連作短編集。それぞれの登場人物たちが少しずつ関わっている。妻を亡くした夫とその子ども、千代紙に依存してしまう女など、どこか生き苦しさを感じていたり、当たり前に違和感を感じていたりするような人々の物語。表紙の絵のイメージ通りの優しい雰囲気の本でした。たくさん降ってくるきらきらしたイチョウの葉っぱ。津村さん、いいお父さんだなぁ。
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綾瀬まるという作家を初めて知ったのは「王様のブランチ」だった。 そこで紹介されていたのは「桜の下で待ってる」 かなり興味をそそられ、手帳の読んでみたい作家欄に ”綾瀬まる”と書き込んだ。 不思議なもので、手帳に書き込むとほどなくその作家の本と出会うことが多い。 本屋さんや図書館が...
綾瀬まるという作家を初めて知ったのは「王様のブランチ」だった。 そこで紹介されていたのは「桜の下で待ってる」 かなり興味をそそられ、手帳の読んでみたい作家欄に ”綾瀬まる”と書き込んだ。 不思議なもので、手帳に書き込むとほどなくその作家の本と出会うことが多い。 本屋さんや図書館が充実しているわけではないバンコクでは本を特定してしまうと難しいので、まずはその作家さんが書いた本ならどれでも良いから読んでみよう的なゆるいスタンスでいることが大切。 で、私がであったのが【骨を彩る】 何やら不思議なタイトルで、微妙に怖さも感じるけれど、とにかく読んでみることにした。 その結果は、面白かった! タイトルが示すように、ちょっと不思議な感じはあるのだけれど、つい引き込まれて読んでしまった。 他の作品もぜひ読んでみたい。
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悪くはない感じはするけど、似たような芸風の女性作家さんがいるなと思った。その方々の中では簡潔さに欠けるので回りくどいような気がして、読む時間がかかる割には実が少なく疲れる感じがした。
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なにを伝えたいのかイマイチわかりづらかったが、読み終わってなんとなく心にじわーっと温かい気持ちが広がった。そんな作品でした。
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胸、痺れる。 苦しい嬉しい悲しい楽しい美しい汚い気持ちいい悲喜こもごもの感情は、突如色彩を持ったり、逆に色褪せたり。 私たちは、想いや出来事を重ねて忘れて思い出して重ねて、それを繰り返していくのだろう。繰り返したのち、私はどうやって、どんな状況で最期を迎えるのだろう。
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何気ない一文にはっとする。丁寧に考え抜いて生まれる一行に表れる思考力の高さ。文学が言葉の芸術である事を再認識できる美しさに敬服。 指のたより…評価はこの作品。亡くなった妻への執着なのか罪悪感かのか未練なのか。夢は本当の自分である潜在意識の解放であるならば、そこで体験することは自分...
何気ない一文にはっとする。丁寧に考え抜いて生まれる一行に表れる思考力の高さ。文学が言葉の芸術である事を再認識できる美しさに敬服。 指のたより…評価はこの作品。亡くなった妻への執着なのか罪悪感かのか未練なのか。夢は本当の自分である潜在意識の解放であるならば、そこで体験することは自分の核心であり現実なのか。最後の夢で妻の許しを得たのか。イチョウの葉の雨に武者震いするほどの美しさを見た思い。 古生代のパームロール…学生の時と比べて変わる人と変わらない人がいる。でも全てが変わることはないし、全てが変わらないこともない。いつまでも変わらないものはある。それが友情というものか。 ばらばら…優等生だった少女には複雑な家庭事情があった。だいたいの男は言葉で気持ちを表現するのが苦手だけど、言葉では伝わらない事を表現することは得意なのかもしれない。そしてその方が時間が経ってからも記憶に残るものなのかもしれない。「嘘なんか、いくらついたっていいんだ。」この言葉が気に入った。 ハライソ…チャットの何が面白いのかさっぱりだけど、目の前に裸の女がいても何もしないというのは分かる気がする。男は案外デリケートだしむやみやたらと相手を選ばず寝るのは一部の輩だと思う。 柔らかい骨…本当は亡くなったお母さんに会いたかったのか。イチョウの葉の雨を娘も見ていたというのも感慨深い。心が暖まった。
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読了後、静寂の中に銀杏の葉が降りつもる音だけが聞こえているような感じ…。 後悔、喪失感、葛藤… 心の奥の触れてほしくない部分を、やさしく撫でられたような気持ちです。 ”みずみずしい葡萄の実へ歯を立てた瞬間に似た、甘いさわやかさのにじむ笑い方” 彩瀬まるさん、本当に素敵な美しい...
読了後、静寂の中に銀杏の葉が降りつもる音だけが聞こえているような感じ…。 後悔、喪失感、葛藤… 心の奥の触れてほしくない部分を、やさしく撫でられたような気持ちです。 ”みずみずしい葡萄の実へ歯を立てた瞬間に似た、甘いさわやかさのにじむ笑い方” 彩瀬まるさん、本当に素敵な美しい表現をされる作家さん。 幾度も目を閉じ、情景を思い浮かべながら読みました。
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5つからなる短編集。少しずつリンクしています。誰にでもある昔の事。その中で何故か何度も思い出してしまうこと、ずっと引っ掛かってていること、後悔していること。私にもあります。それは何となく気持ちが弱った時の夜ベッドの中でくるくる繰り返し眠れなくなるような。不器用だから、仕方ないから...
5つからなる短編集。少しずつリンクしています。誰にでもある昔の事。その中で何故か何度も思い出してしまうこと、ずっと引っ掛かってていること、後悔していること。私にもあります。それは何となく気持ちが弱った時の夜ベッドの中でくるくる繰り返し眠れなくなるような。不器用だから、仕方ないから…理由にならない言い訳を並べていたあの頃が今もまだ心の中に残っている。そんな弱いところをぐさっと突いてくるような作品でした。柔らかく優しい文章でした。心に刺さった刺は骨のように同化して痛みは鈍化するけど、記憶には鮮やかでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編。 妻に病死され10年経ち、一人娘もなんとか順調に育っているなか、再び死んだ妻が夢に出てくるようになって思ったこと。 離婚して意気消沈のすえに千代紙に助けられる日々で、再会した同級生の歪んでしまった心情。 器用に生きてるように見られても、本当はうまくいかない子育てや仕事を休んで出かけた先での過去と出会い。 ネットだけの友達だけど、現実を打ち明けながらもこれからも長い付き合いになりそうな予感。 母がいないことを不憫に思われるのが嫌で、転校生が抱えた宗教を受け入れられなくて、大人になる一歩手前。 ハライソとやわらかい骨が印象的。 宗教に入っている同級生葵が不憫であった。 みんなじゃないんだけど、味方になってくれる人たちが妙に優しさに溢れてる(?)感じが違和感だった。 でもまあいいか)^o^(
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