雨のなまえ の商品レビュー
鬱屈した心理や心の葛藤がリアル
様々な立場に置かれている決して悪人とは言えない普通の男や女を主人公として、その鬱屈した心理や心の葛藤がリアルに描かれた短編小説集である。各編とも、人間誰しもの心に巣くう悪性が顔を覗かせる暗く陰鬱な物語展開の中で、主人公たちの沈んだ心情に追い打ちをかけるように冷たい雨がその両肩を濡...
様々な立場に置かれている決して悪人とは言えない普通の男や女を主人公として、その鬱屈した心理や心の葛藤がリアルに描かれた短編小説集である。各編とも、人間誰しもの心に巣くう悪性が顔を覗かせる暗く陰鬱な物語展開の中で、主人公たちの沈んだ心情に追い打ちをかけるように冷たい雨がその両肩を濡らす。最終話の結末に、ようやく明るい未来への兆しが見える。
fugyogyo
短編集 最後の作品が良かった。 シングルマザーとして生きることを決め、誰にも頼らず、甘える事も下手な主人公が、自分って馬鹿だなぁ〜って気付くところが良かった。
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カープがリーグ優勝したね 次は日本一じゃっ! ってな事で、窪美澄の『雨のなまえ』 雨のなまえ 記録的短時間大雨情報 雷放電 ゆきひら あたたかい雨の降水過程 の短編集。 それぞれ雨にまつわる虚無感、エロス、幻想、彷徨い、想い出、囚われ、我が儘、嫉妬、蔑み……。 ...
カープがリーグ優勝したね 次は日本一じゃっ! ってな事で、窪美澄の『雨のなまえ』 雨のなまえ 記録的短時間大雨情報 雷放電 ゆきひら あたたかい雨の降水過程 の短編集。 それぞれ雨にまつわる虚無感、エロス、幻想、彷徨い、想い出、囚われ、我が儘、嫉妬、蔑み……。 等々、雨が流し去ってもくれない様な、人間の不条理と言うか泥深い心理を描いてる様な感じかなw 2017年37冊目
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雨にまつわる短編集。 なかなかの激し目の性描写あり。そして、陰鬱な雰囲気が全編に漂っている。 どの雨もどんよりしていて、なんだかテンションが下がってしまった。
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この方の本を読むのは2冊め、以前からタイトルが気になる物ばかり。 5篇の短編小説、いきなり際どい描写にドキッとしましたが進むにつれ、どれも自分の事しか考えてなく事が起きた、とそんな内容でした。ゾワゾワ感が湧き出ました。 無い物ねだりなんだろうな…
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雨のなまえ 初っ端からだいぶ性描写が激しくて、そういやこの作家さんはふがいない僕は〜の人だったと思い出した。 育ちが悪い人間が、育ちの良い人間といる落ち着かなさと、同じく育ちの悪い人間や環境を吸い寄せられる感じを表現してる。 記録的短時間大雨情報 母になり女を失ったけど、失いきれていない中年のおばさんの話。浮気して高圧的な夫、呆けた義母、強く出られない、女を失った自分っていう状態になる日を想像すると怖い。 雷放電 ストーカー男の妄想ストーリー。彼は妄想の中の世界でしか幸せや自己肯定感を得られなかったんだろう。 ゆきひら 教師の主人公が、いじめられている女の子に執着する話。過去に好きな女の子をいじめから救えなかった後悔。辛い思いをしている女の子。描写がリアルで、この作家さんはいじめを実際に受けたり、間近で見たことがあるのかなと思ったりした。 でもこの本の中で一番感情移入して、良かった話。 あたたかい雨の降水過程 シングルマザーの心の不安定さを表した話。自信も失うこともあるだろうし、味方がいない孤独感や、子どもすら離れていくだろう未来。不安感がとても伝わった。 全体的には、今まで読んだ窪先生の本の中ではイマイチかも…。仄暗い空気感は嫌いじゃない。
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重く、暗く、苦いドロドロとした雨。 積もり積もった雪を溶かしてくれるような温かい雨が降らないかなと思うが、そこはやはり窪美澄先生。 流石です。 紫陽花色のスピンが粋でした。
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人間味溢れる 様々な立場の人の感情に思いを馳せる 辛い未来や現実もあるのかもしれない なりたい透明な自分には永遠になれないのかもしれない だけどそれが人間らしさなのかな それでも藻掻くことを辞めず 自分も周りも幸せにできるような人になりたいと願った きっと昔より近いところにいるか...
人間味溢れる 様々な立場の人の感情に思いを馳せる 辛い未来や現実もあるのかもしれない なりたい透明な自分には永遠になれないのかもしれない だけどそれが人間らしさなのかな それでも藻掻くことを辞めず 自分も周りも幸せにできるような人になりたいと願った きっと昔より近いところにいるから。
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●雨のなまえ 実家格差のある嫁と、若くて危なっかしい浮気相手と。 不幸な家庭で育った人と裕福でなにひとつ不自由のない家庭で育った人の間には深い溝がある。 ●記録的短時間大雨情報 パートのおばちゃんが若いアルバイトの青年に本気になっちゃて。 「母」というラベルを貼られた自分が女でなくなるような感覚、すごくわかる。わかるからこそ怖くて母になりたくない。 呆けた義母の介護なんて反吐が出る。 ●雷放電 空想の美津。シンプルに怖い。 ●ゆきひら 人と人が重なってしまうことってある。 重なってしまうというか重ねてしまうというか。 叶わなかった恋の相手はいつまでも忘れられないし。 果たして先生はみるくに何かしたのだろうか? ●あたたかい雨の降水過程 少し自分と重なるところもあり。 言葉が全てキツくなる、周りの人を見下しバカにしてる。 その割には自分にいつも自信がない。 そういう人はたくさんいると思う。
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梅雨。その言葉を聞いただけでもう憂鬱になる。 あの梅雨特有のじめっとした空気の中で、息苦しさや頭痛に今年も悩まされるのか…。 しかも今年の梅雨は例年より早く始まってしまい、それだけで気が重い。早く始まったのだから早く梅雨明けするといいのだけれど。 大概の人に鬱陶しがられる、じめじめした梅雨空を思わせるような湿度の高い5編の短編集。 生きづらい日常をおくる主人公たちの悩みが伝染するかのように、こちらもどんより暗くなって気分も落ち込み、物語の救いのない展開に何度も息苦しくなった。 けれどこれが偽りのないリアルな世界なんだという説得力も感じた。 思わず目をそらしたくなる現実を、ひたひたと迫るように書き綴る窪さんの筆力に圧倒された。 各短編の主人公たちの梅雨明けが、どうか早めに来ますように、と願いながら…。 『雷放電』『あたたかい雨の降水過程』が好き。 特に『あたたかい…』のラストは泣けた。 「ばか」という言葉。こんなにも温かく安心感のある言葉だったんだ。不器用なシングルマザーの物語。母として共感できる箇所が多かった。
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