雨のなまえ の商品レビュー
始めて読む作家さんだった。雨にまつわる小説を探していて、読んだのだが暗くてねっとりした感じがあまり好みではなかった。読後なんだか疲れた。
Posted by
「午後から雨になるみたいですね」 こんな世間話の文底には、「雨なのか、嫌だなぁ」「降らなきゃ良いのに」「傘用意するのがめんどくさい」といったネガティブな感情がある。 雨は降るとめんどくさい。 だが、雨が降らない日が続くとそれはそれで困る。 その雨をモチーフにした短編集。 「...
「午後から雨になるみたいですね」 こんな世間話の文底には、「雨なのか、嫌だなぁ」「降らなきゃ良いのに」「傘用意するのがめんどくさい」といったネガティブな感情がある。 雨は降るとめんどくさい。 だが、雨が降らない日が続くとそれはそれで困る。 その雨をモチーフにした短編集。 「雨のなまえ」 妊娠中の妻がいるのに浮気をしている主人公悠太郎。 同級生で資産家の娘・ちさとにとっては待望の妊娠。 母子家庭の悠太郎は、母親の男が変わるたびに引越しをする不安定な少年時代を過ごした。 悠太郎が一生分の給料を出しても買えない様な高級マンションを、娘の妊娠と同時に買い与える義父母。 「記録的短時間大雨情報」 痴呆が始まったと思われる義母との同居がはじまる。夫はまったくの無関心。一人息子の教育費のためにパートに出た先で出会ってしまった大学生。 自分の名前ではなく「作哉くんのお母さん」となってしまう日常。 その中で澱のようにたまっていく抑え切れない感情。 「雷放電」 「一人の人間に割り当てられた幸せの量があるとして、自分はもうそれを使い果たしてしてしまったのではないかと思う」 「こんなに美しい女が自分の妻になるなんて夢みたいだ。おれは毎日、何度でもそう思う」 「ゆきひら」 中学校教師の臼井には、中学時代の同級生ユキとの悔やんでも悔やみきれない過去があった。妻の戸紀子にはそれは話していない。それは戸紀子のなかの秘密を確かめるのが怖かったから。そして教師の仕事にのめりこむことで、そこから逃げていたのだ。 「あたたかい雨の降水過程」 「おまえの言葉は刃物みたいに人を傷つける」別居している夫から言われた繭子。シングルマザーとして必死に働き子育てに奮闘するが、思うように行かない毎日が続く。 「仕事と子育てだけしていたかった。そうしたくて、夫と離れた」のに。 心の奥底に眠っている自分でも気づかない感情に気づかされる5つの短編。
Posted by
5つの短編。 4つ目までは窪さんの作品の特徴なのか、しつこい性描写と後味の悪さの残る作品だった。 途中まではいい話かな?と思わせておいて、最後にしんと心が凍るような。 5つ目の話はちょと良かったかな。
Posted by
雨にまつわる短篇5つ。 切なくて虚しく、そして暗くて軽い、 そんな印象の作品たち。 暗虚しいのに 嫌いではなく、むしろ好き。
Posted by
短編集。現実から逃避、妄想と現実、なんかぐちゃぐちゃ。暗い。3.11の影響あり? 本の一説でスコールみたいな雨、地球温暖化、ヒートアイランド、そういうことに驚かず、いつの間にか慣れてしまったみたいなことが書いてあって、あらためて考えると「慣れ」ってすごく怖いなと思った。
Posted by
大好きな窪さんの作品。短編だったので、今度また長編の切ない恋愛ものを読みたい。自分の気持ちを書かれているような作品があって、いつもながらドキッとした。
Posted by
私は、この世界観好きです。 ラストで展開ががらっと変わる作品もあって裏切られました。 「雷放電」が一番よかった。 美津が布団の中で眠っている、という描写が伏線となっておりラストでそういうことだったか、とこれまでの幸せな夫婦生活が一瞬で崩れていった。なかなかいい夫婦だと思ったのに。...
私は、この世界観好きです。 ラストで展開ががらっと変わる作品もあって裏切られました。 「雷放電」が一番よかった。 美津が布団の中で眠っている、という描写が伏線となっておりラストでそういうことだったか、とこれまでの幸せな夫婦生活が一瞬で崩れていった。なかなかいい夫婦だと思ったのに。 「ゆきひら」も裏切られ方としてはとてもよかった。 生徒思いの教師。昔自殺した好きだった幼馴染と転校生の教え子の姿を重ね合わせてしまい…ラストはなんだか主人公の教師が哀れで仕方ない。 また窪さんは相変わらず既婚者の不倫描写が儚くてエロくて好きです。
Posted by
短編が5個ほど。 最後の3つくらいは大地震の起きたときのお話だった。 日常の中に、受け入れられないものとか我慢してるものがあって、それをうまく消化できずにいると自分で思ってる以上に日常を壊しちゃうのかな。
Posted by
リアルで読み終えると ずぅんと心が重くなる。 だけど、癖になるというか また読みたくなるのが窪美澄。 共感とはちょっと違うんだよなぁ。 だけど、あぁ・・・ってなんか わかってしまう感覚。 優しいような、痛いような、残酷なような。
Posted by
初めてこの人の本を読んだけど、確かにエロいいね。 でもそれだけじゃない。背景、情景がくどすぎず的確に書かれていて、ストーリーもいい着地の仕方をする。 別の作品を読んでみてもいいかなと。
Posted by