蜩ノ記 の商品レビュー
真実かどうか曖昧な、何やら公にできない事情がありそうな罪により、10年後の切腹を命じられた武士の生き様を描いた作品。 色々な事件が周囲では起きるが、全体的なトーンとしては大きな抑揚なく進んでいき、武士の一分を貫いていくストーリーは、武士を美化していると言えなくもないが、それでも読...
真実かどうか曖昧な、何やら公にできない事情がありそうな罪により、10年後の切腹を命じられた武士の生き様を描いた作品。 色々な事件が周囲では起きるが、全体的なトーンとしては大きな抑揚なく進んでいき、武士の一分を貫いていくストーリーは、武士を美化していると言えなくもないが、それでも読者の期待を裏切らない生き様は、日本人はやはり好きですね。
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3年後に切腹することが決められた武士。運命に抗わず凛として生きる姿に深く感動する。 季節、気候の描写も絶妙。登場人物は少ないが次第に明らかになる反応負の歴史。 時代小説として屈指の作品、名作中の名作だろう。
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初めての葉室麟氏の作品。心が洗われるような読後感。人としての凛々しく信念のある生き方。素晴らしい作品に出会えたなと思えた作品でした。
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人格者が嫌味なく描かれていて、本当に最後までずっと冒頭の川の音が聞こえているような本。清い気持ちになる。
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「命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか」蜩ノ記より思い巡らす|白田|雑記note @srtmsr #note #読書感想文 https://note.com/srtmsr/n/nbdd02f9dd4ec
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すごく良かった。某所で借りて暇すぎて一度読んでからパラパラと各シーンを再確認して2.5回分くらい読んだ。源吉がこいつは大人物になるだろうと思ってたら殺されるあたりがクソ辛くて、読者の感情を鷲掴みにしたままそこからの展開が一気に魅せる。美しい。無駄がないかと言えばそうではなくて活か...
すごく良かった。某所で借りて暇すぎて一度読んでからパラパラと各シーンを再確認して2.5回分くらい読んだ。源吉がこいつは大人物になるだろうと思ってたら殺されるあたりがクソ辛くて、読者の感情を鷲掴みにしたままそこからの展開が一気に魅せる。美しい。無駄がないかと言えばそうではなくて活かされなかった種もある気がするけど、ラストに向けて収束していくのは見事。秋谷の死が覆って欲しいと読者は祈りつつ、そうならない事をみんな知っているんだよな。死へ向かう物語なのに全体的に爽やかな印象で救いもある。蜩と日暮らしを掛けているあたり自分の境遇を考えずにいられなかった。この作家はすごい。
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生きていくことは、死に向かっていくことでもある。 庄三郎が出会った時の秋谷は、3年後に切腹することが決まっていた。それまでの間を、どう生きるか、秋谷はぶれることなく、己の信ずる道を真っ直ぐに見据えて歩んでいた。 秋谷の潔さ、格好良さに対して、己の保身ばかりを画策する人たちの何と浅...
生きていくことは、死に向かっていくことでもある。 庄三郎が出会った時の秋谷は、3年後に切腹することが決まっていた。それまでの間を、どう生きるか、秋谷はぶれることなく、己の信ずる道を真っ直ぐに見据えて歩んでいた。 秋谷の潔さ、格好良さに対して、己の保身ばかりを画策する人たちの何と浅ましいことか。自身の利益ばかりに目を取られ、武士として人として忘れてはいけないものを失っているように感じられた。話の登場人物としては「悪者」として出てくるけど、現実だと「地位のある人」「成功者」になるのだろう。 人として大切なことは、そういう「成功」とは違う次元にあるのだろう。 夏の終わり、蜩(ひぐらし)の鳴く情景に、この話全体に通じる切なさがあった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
直木賞受賞作。 時代小説ですが、武士と百姓の世界を描いていて、切ない。理不尽さでしょうか。 主人公の壇野正三郎の切腹理由も、戸田秋谷の切腹理由も、理不尽ですよね。今の時代からすると、アホみたい。 士農工商の身分制度の理不尽さに嫌気がさします。 農民が、一揆を起こすと、更に締め付けられたり、借金をして畑を取られて小作になったり…。 酷い役人は、こっそり殺害する農民…。誰が殺したかは、だいたいわかっているけれど、決して明らかにはしない村人たち。弱者は弱者なりの理論で抵抗していくしかないのかな。 これって、今の日本社会でも起こっている問題を暗に示しているから、評価されているのでしょうか…。 この本は、武士道の美しさを描いているのでしょうか? 私には、切ない物語に感じました。 小説読了198冊。ブクログ内で。
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元郡奉行秋谷は、前藩主側室との密通を疑われ、10年後の切腹と三浦家家譜編纂を命じられる。妻子らと共に、幽閉の身となる。秋谷は、無実であるにも関わらず、罪を受け入れて編纂に真摯に取り組んでいく。最期の日に向けて覚悟の日々を暮らす。その生き様を追う物語です。彼の生き方は、周囲の人々に...
元郡奉行秋谷は、前藩主側室との密通を疑われ、10年後の切腹と三浦家家譜編纂を命じられる。妻子らと共に、幽閉の身となる。秋谷は、無実であるにも関わらず、罪を受け入れて編纂に真摯に取り組んでいく。最期の日に向けて覚悟の日々を暮らす。その生き様を追う物語です。彼の生き方は、周囲の人々にも影響を与えていく。 主人公が覚悟した生き方なので、幾つかの事件は起こるけれども、物語は静か。その静寂な感じが、秋谷の息子の父親を踏襲した様な行動への感動や、息子の友人の命をかけて家族を守る感傷を深めるかと思う。 ストーリーのスパイス的な、側室との密通事件の裏側の事情が残念ですがわかりにくいかなと。 殿様達が側室を何人も作って世継ぎのことばかり考えるから、下々が苦労するのね。 歴史を振り返り、現在に呼応する組織や人事に心馳せてはいかがかと。
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7〜8年振りの再読。やはり良い。清廉さ、強さ、優しさ。そして、ストーリー展開。読者もはっと気付かされる登場人物の行動や言葉の深い意味。葉室作品のエッセンスが詰まった作品だと思います。
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