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なぎさ の商品レビュー

3.8

123件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    48

  3. 3つ

    30

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    4

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2014/01/03

姉妹の話のようでもあり、川崎くんの話のようでもあり。 自分ひとりで生きているのではなく、何かしらヒトとつながりを持って生きている。 何か話を聞いてくれる人がいるというのはありがたいことだなぁ。話しているうちに自分自身も物事を整理していっているんだと思う。 人の話をゆっくり聞いてあ...

姉妹の話のようでもあり、川崎くんの話のようでもあり。 自分ひとりで生きているのではなく、何かしらヒトとつながりを持って生きている。 何か話を聞いてくれる人がいるというのはありがたいことだなぁ。話しているうちに自分自身も物事を整理していっているんだと思う。 人の話をゆっくり聞いてあげられるくらい余裕を持ちたい。

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2013/12/24

+++ 家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は、自分たちの勤め先がブラック企業だと気づいていた。元芸人志望、何...

+++ 家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は、自分たちの勤め先がブラック企業だと気づいていた。元芸人志望、何をやっても中途半端な川崎は、恋人以外の女性とも関係を持ち、自堕落に日々を過ごしている。夫と川崎に黙々と弁当を作っていた冬乃だったが、転がり込んできた元漫画家の妹、菫に誘われ、「なぎさカフェ」を始めることになる。姉妹が開店準備に忙殺されるうち、佐々井と川崎の身にはそれぞれ大変なことが起こっていた―。苦難を乗り越え生きることの希望を描く、著者15年ぶりの長編小説! +++ 導入部では、一見平穏に見える佐々井と冬乃夫妻の暮らしだが、ほぼ絶縁していた冬乃の妹・菫が、借りていた部屋でぼやを出して転がり込んできたのがきっかけで、さざ波が立つようになる。些細なすれ違いがどんどん二人の心を遠ざけ、それでも表面上はそれまでと変わらず平穏に見えるのが却って怖くもある。佐々井の部下の川崎の自堕落さや懊悩、菫の人間関係や、目論見、切り捨て逃げ出してきた故郷の両親のこと。さまざまなことが冬乃やその周りに波及していく。いたるところにちいさな棘があり、身じろぎするたびに、チクリチクリと苛まれるような、今度は上手くいくかと喜べば、不意に突き落とされるような、やり切れなさと不毛感にも包まれる。だがそれは、もしかするとすべて自分の裡側の問題なのかもしれないと、ふとした瞬間に思ったりもするのである。自分とは何か、活き活き生きるとはどういうことかを深く思わされる一冊である。

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2013/12/23

15年ぶりの長編、楽しみに読みました。全体のトーンは暗いのですが登場人物たちがもがきながらも懸命に生きている様子に明るい光が見え隠れしてとても良い小説でした。完全復帰されたようで嬉しいです。次回作も楽しみです。

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2013/12/21

久しぶりの山本文緒作品!楽しみにしてました。とにかく、また作品を読めることが嬉しい! 家族との難しい関係や気持ちに共感する部分も多く、読書の時間を堪能しました。

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2013/12/12

専業主婦の冬乃と、会社員の佐々井の元へ冬乃の妹・菫(すみれ)が転がり込んでくる。 自分勝手な妹に振り回されながら少しずつ自分を持ち始める冬乃。 佐々井の部下・川崎、所ジョージ似の所さん、妖しい感じの男・モリなど 個性豊かな人物がストーリーに彩りを与える。

Posted byブクログ

2013/12/03

そうは言っても親子なんだからちゃんと話し合えば必ずわかりあえるよ…というようなことしか言えない人にこの本を読んでもらっても、小説と現実を一緒にするなとか言われて終わるんだろうなー

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2013/12/03

久々の山本さんの新刊だったので楽しみにしてたんだけど うーん。。。たったの370ページがすごく長く感じて読了に思いの外時間がかかった。ずっと話が平坦で雰囲気がどんよりしていて困ったな^^;でも夫婦の倦怠期の微妙な感じはよく表現されていたし、これは!と思うフレーズがあったりして最後...

久々の山本さんの新刊だったので楽しみにしてたんだけど うーん。。。たったの370ページがすごく長く感じて読了に思いの外時間がかかった。ずっと話が平坦で雰囲気がどんよりしていて困ったな^^;でも夫婦の倦怠期の微妙な感じはよく表現されていたし、これは!と思うフレーズがあったりして最後まで読んで良かったって思ったかな。「自己評価が低すぎるのって高すぎるのと同じくらい鼻もちならない」という一文にドキっとした。「けりなんかつかないよ。生きてゆくことはやり過ごすこと」と冬乃を諭す所さん夫婦に唯一好感が持てた。

Posted byブクログ

2013/12/02

曇り空の海辺の街の様な空気。 少し潮のにおいがして、決して晴れ渡る夏空ではなく秋か冬のような。 もがく筆者が見えるような。 パーフェクトでもなければドラマチックでもない人生を歩んでいる登場人物たちは、現実に住まう主人公に成れない私たちでした。冬乃、佐々井、菫、川崎、きっと誰かに重...

曇り空の海辺の街の様な空気。 少し潮のにおいがして、決して晴れ渡る夏空ではなく秋か冬のような。 もがく筆者が見えるような。 パーフェクトでもなければドラマチックでもない人生を歩んでいる登場人物たちは、現実に住まう主人公に成れない私たちでした。冬乃、佐々井、菫、川崎、きっと誰かに重なるでしょう。 いつ空が晴れるのか、肌寒さは暖かな春を迎えるのか。そう思いながら頁を捲るのは祈る様な気持ちでした。

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2013/12/01
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※このレビューにはネタバレを含みます

山本文緒さん、あまり読んだことがなかったですが、この「なぎさ」はとても豊かな小説だと思いました。読みながら主人公たちに自分を置き換えて、確かに自分にもこういう一面があるかも、こんな風に過去と対峙したことがあるだろうか、と自問自答させられました。一言では感想を書き連ねることができない、そういった奥深さがあります。 そんな中で僕は主人公たちの「けじめの付け方」が気になりました。 主人公の冬乃は夫・佐々井君との夫婦の問題を抱えている。表面上、夫婦生活は順調なように振る舞っているけど、お互いに言いたいことをはっきり口に出せずにいる。何となく、その関係が壊れるのが恐くて、相手に気を使ってしまう。あぁ、何と身に沁みる…。こういう経験は誰にでもあるんではないでしょうか。この二人の関係性は読んでいて胸が痛かったです。 そして、やがて冬乃はカフェなぎさをオープンして、その関係性を抜け出すために取った行動は、自分の過去と対峙して、乗り越えることでした。ぎくしゃくした夫婦関係の原因は自分の両親にあると思った冬乃は勇気を出して疎遠だった両親と会いに行く。この描写は非常にハラハラしますし、対峙した後の冬乃と佐々井君には希望が感じられます。非常に温かい描写だなと思いました。 それと対照的に描かれているのが、佐々井君の後輩である川崎です。彼も同じく自分の殻を破るために、自分の兄に会いに行くけれど、すんでのところで逃げ出してしまう。逃げ戻った久里浜の地では、新生活を始めようとする元カノにも相手にされず、わらをもすがる気持ちで、東京に就職活動に出て行く。 過去と対峙することなく、未来を模索する川崎からはどこか地に足がついていない印象を受けます。もちろん、山本さんは川崎を見放しているわけでなく、最後にモリと対峙して放つ一言に、将来に向けての意志を感じることもできますが、一連の川崎の行動から「こいつは本当にできるのかな?」とどこか危うさを孕んだラストとなっているように思います。 過去と対峙した冬乃・佐々井君と、対峙できなかった川崎。著者の山本さんが鬱病を乗り越えての久々の長編という背景を考えると、その重みはぐっと増します。 落ち込む冬乃に近所に住む所さんがかける一言が胸に響きます。 「力まなくていいよ。けりなんかつかないよ。でも気持ちに区切りをつけるのはいいことかもしれないね。生きていくということは、やり過ごすということだよ。自分の意思で決めて動いているようでも、ただ大きな流れに人は動かされているだけだ。成り行きに逆らわずに身を任すのがいいよ。できることはちょっと舵を取るくらいのことだ」 大きな流れに動かされているだけだとしても、舵を取ることはできる。自分の意志一つで人生は変わることができるという、(こう書いていると陳腐ですが)シンプルな事実を、巧みな構成と優れた筆致で書いた豊かな小説だと思いました。 追伸)非常に映像化に向いていると思いました。主演・池脇千鶴で是非お願いします。

Posted byブクログ

2013/11/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初の山本文緒作品。 読みやすくてすんなり入り込めた。 冬乃夫妻の葛藤、冬乃と両親との確執。 冬乃と菫の関係性…久々に読み応えのある本に出会えた感じ。 こういうのやっぱり好き、山本さんの本もっと読みたいわ。 「なぎさカフェ」は残念だったけど 登場人物たちの未来がほんのり明るいのがいい。

Posted byブクログ