アル中病棟 失踪日記2 の商品レビュー
失踪日記から8年後に出版された本。買ってからパラパラ拾い読みしていたが、ちゃんと最初から腰を据えて読もうと、大阪から東京に向かう新幹線の車中で向かい合う。 成程。アル中って内臓の病気じゃなくて、精神科なんだな。知ってはいたけれど、再度認識を改める。幾つか壮絶な話もあるけれど、吾...
失踪日記から8年後に出版された本。買ってからパラパラ拾い読みしていたが、ちゃんと最初から腰を据えて読もうと、大阪から東京に向かう新幹線の車中で向かい合う。 成程。アル中って内臓の病気じゃなくて、精神科なんだな。知ってはいたけれど、再度認識を改める。幾つか壮絶な話もあるけれど、吾妻ひでおの丸っこい絵柄に救われる印象。 このマンガに出てくるキャラクターの本人を見たら、ああ、この人かと思うんだろうなあ。ギャグタッチなのに実在感がある。嫌な奴と吾妻さんがいっている杉野もそんなに嫌な奴には見えないんだよね。作者の感想とは別に、マンガに客観性があるってことかな。 野川沿いの散歩道とか、野川公園、深大寺と知っている場所が多く、M鷹、C布、F中と知っている地名が沢山。断酒会とかAAとか知らないことも多かった。まあ、世話になることはないだろうけど。たぶん。 あと、ナースの女性が可愛らしく描かれていて、それも救いになっていると思う。 吾妻さんのマンガは高校生の頃に少年チャンピオンなどで読んでいた。それから、35年位かな。失踪日記も含めて、まさかこういう作品を読むとは思っていなかったな。
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絵柄の可愛さで救われるが、内容はとてつもなく重い。「実録! あるこーる白書」と併読を推奨。1ページ全部使って風景が描れるときに作者の内面が這い出しているようで、ぞわっとする。
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『失踪日記』の続き。病院に入院している間の出来事について書いてある。 巻末にとり・みきとの対談が載っていて、「だから一概にアルコール依存症を責められないだろうっていうのが、どうしてもあるんですよね。自分の中に。」とある。現実は辛くて、救われるよすがが欲しい、それがマンガだったりア...
『失踪日記』の続き。病院に入院している間の出来事について書いてある。 巻末にとり・みきとの対談が載っていて、「だから一概にアルコール依存症を責められないだろうっていうのが、どうしてもあるんですよね。自分の中に。」とある。現実は辛くて、救われるよすがが欲しい、それがマンガだったりアルコールだったり、みたいな話なんだけれど、こういうふうに、良い悪いは別として、アルコール依存症っていうのはあるんだ、そういう生き方もあるんだっていうことを認めることって、大事なんじゃないか。 アル中なんてとんでもない、アル中のくせに酒を飲むなんてあり得ない、そんなことが言えるのは、その人がアル中じゃないからで、アル中の人は酒を飲むのにそれなりの必然があるんだろう。その必然を当事者が認めてやらないと、その上で、「飲まない」という生き方を自分の選択として選び取ることができないんじゃないか。 本当に自分で納得して自分の選択として断酒する、そうじゃないと、断酒なんてとても無理なんじゃないかと思う。酒をやめるべきだからやめる、やめろって言われるからやめる、それじゃ、人を呪いながら我慢し続けるしかないじゃん。それじゃ元々つらい現実がさらにつらくなるだけだ。そうじゃなくて、自分は飲むことも選択できる、でも、◯◯のためにそうじゃない人生を選ぶんだ、そういうところがないと、続かないんじゃないか。 だから、逆説的なんだけど、飲酒を肯定することで初めて断酒って可能なのではなかろうか。
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アルコール依存症になった筆者の入院生活が描かれている。 酒はタバコよりも嗜む人が多いんだろうけど、いったん依存症になったらタバコ以上に悲惨かも。 社会的にどうしようもないとされる人に対する見方も変わります(いい意味で)。
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『失踪日記』の続編です。入院生活がじっくり描かれています。 ただ、私には濃厚すぎてマンガとして楽しめませんでした。
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絵のタッチにかなり救われてサクサク読めたけど、アル中って想像以上に相当に怖い…と思いました。 アル中の症状って、禁断症状よりも肝臓とか身体に大きく影響するイメージがあったけれど、それよりも精神的なダメージが大きいんですね。そして回復するために強靭な精神力も求められるんだと。 何度...
絵のタッチにかなり救われてサクサク読めたけど、アル中って想像以上に相当に怖い…と思いました。 アル中の症状って、禁断症状よりも肝臓とか身体に大きく影響するイメージがあったけれど、それよりも精神的なダメージが大きいんですね。そして回復するために強靭な精神力も求められるんだと。 何度も病院に戻ってくる人たちが少なくない、退院後一年間の断酒成功率は2割程度…薬物と違って普通に手に入れられることが日々沢山仕掛けられたトラップのようになってるんでしょうね… 最後、吾妻さんは退院しますが、バスを降りての「不安だなー 大丈夫なのか?俺…」という呟きと、見上げた空の暗さが読んだあとにモヤモヤを残します。 退院したからってハッピーエンドにはならない、それがアル中っていう病の恐ろしさなんだよ、と言われてるように感じました。
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珍しく他人から借りたコミック こんなにアル中なのに けっこう家族に見放されずにいる人がいる というのが驚きだった 見放されているひともいるが 知っているようで あんまり知らないアル中の実態がわかる本
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花輪和一の「刑務所の中」と同じくらい描写が詳細。すごい記憶力だと思った。あと、病棟の人たちが意外と吾妻ひでおを知らないこともちょっと驚き。
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感動した。 やはり吾妻ひでおは天才だ。 天才はこうしてのたうちまわって傑作を世に産み出していくのだなぁ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
8年かけて描かれた力作 このひと前の疾走日記も読んで思ったけど、読みやすいです。 あと非日常すぎて面白い。 あとほんと、絵が独特。今の人って至近距離の絵ばっかりだからこういう距離感だと、完全に他人事として読めるのでこれはこれでいいなと。でも絵的に全然他人事にならない。変な共有感がある。 最近の至近距離絵の漫画は主に感情の共有ばっかりだけど、これはなんかなんだろうね、言葉がでてこないけど、なんか「へー」って感じの共有。 最後に。アル中怖い←
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