円卓 の商品レビュー
無口なこっこ。賑やかな家族の会話の中で、こっこはほとんど心の中に会話をとどめている。ぽっさんとはよく喋る。 小学生のころの何かに気づく瞬間が物語になっている。何かにすごくこだわりを持っていたり、むしゃくしゃしたりする時期。これが物心がつく、ということだろうか。 もう一度、この感覚...
無口なこっこ。賑やかな家族の会話の中で、こっこはほとんど心の中に会話をとどめている。ぽっさんとはよく喋る。 小学生のころの何かに気づく瞬間が物語になっている。何かにすごくこだわりを持っていたり、むしゃくしゃしたりする時期。これが物心がつく、ということだろうか。 もう一度、この感覚で周りと向き合うことができたら、と思わせてくれる小説。映画も見てみたい。
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小学生の女の子が主人公。 自分の考える世界で生きていた女の子が 少しずつ成長して、周りが見えるようになる。 そんなお話。 西加奈子さんは人気があるからきっと面白い小説を書かれているんだろうけど 大阪弁だからなのか? やはりこの本もピンと来なかったな。
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いい小説だった。笑えて楽しくて明るくて深い。子供の明るさの向こうに隠れた大人への警鐘。いい小説だった。小6娘に読ませたいが、教育上いかがなものかという描写もある。 何が起こるわけでもなく、何も起こらないわけでもなく、否、少女、少年たちの中では日々、大きな変化が起こっている。そ...
いい小説だった。笑えて楽しくて明るくて深い。子供の明るさの向こうに隠れた大人への警鐘。いい小説だった。小6娘に読ませたいが、教育上いかがなものかという描写もある。 何が起こるわけでもなく、何も起こらないわけでもなく、否、少女、少年たちの中では日々、大きな変化が起こっている。それは成長といえるのかいえないのか。いいことなのか悪いことなのか。それは誰にもわからないし、本人が感じるしかないのだろう。 無邪気に吃音に憧れる少女。その憧れは秘めておいたほうがいいと諌める吃音の少年。その話を黙って聞く少女の祖父は、この子は将来苦労するだろうなと静かに憂う。そこで大人の説教はしない。黙って見守る。 子どもたちの世界には、様々な差別がある。その差を子どもたちは苦もなく受け止め、無邪気に尊重する。その差を差別に成長させるのは大人の理屈だ。 少女に妹が生まれようとしている。その新しい生命に「生まれたら、死ぬために、生きてゆく」と思う。死ぬために生きる。昨日まで読んでいた『イノセント・デイズ』(早見和真著・新潮文庫)では、「彼女が死ぬために生きようとする姿を、この目に焼きつけなければならなかった」と語った。 生まれようとしている生命に語りかける「死ぬために生きる」という言葉。 死に向かっている生命に語りかける「死ぬために生きる」という言葉。 同じ言葉でも意味合いが全く違う。希望を持って生きようとする生命。絶望の生命を捨てようとする生命。 娘たちには前者であって欲しい。
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初めての西加奈子さんの本。 登場人物の世界観が面白くて引き込まれた。 はじめは笑って読んでいたけれど だんだんと心の動きが繊細になっていく琴子から目が離せなくなった。ぼっさんと琴子の最後のシーンが好き。
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この本は何度も読んでしまう。何度も読んで何度もこっこの成長を感じたい。あっという間に過ぎた子供時代。じっくり考えずに過ぎた子供時代。この本を読んで何度も取り戻す。そんな気持ちになれる本。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
文章のリズムがものすごくて、音楽につられ勝手に身体が動いてしまうように字を追いページをめくってしまう。 琴子をはじめ、周りの登場人物たちがとにかく楽しい。ただしょうもないことを話したり、言動の癖が描写されているだけなのに一人一人とその世界が愛おしく感じらる。 それぞれがそれぞれ好きなこと(眼帯や寿老人や刺繍や顔の整った男の子や字など)を好きであるということが愛おしい。 その人が何かを好きということや、自分の好きな人を大切にしたいとか、好きじゃない人でもその人の考えや傾向は尊重するべきであるとか、普段生活の陰に隠れてしまっているけど、本当はめちゃくちゃ当たり前に大切なものがたくさん描かれている。 中でも琴子とぽっさんの心の通わせ方に心打たれる。 不整脈の友達にあこがれる琴子に説明するところと、終盤にぽっさんが涙するところは忘れられないシーン。 何か「したい」とか「得たい」という、ぼんやりした欲望のようなものが喚起されて、読後に、良かったな~、で終わるのではなく、読み終わったところから何かが始まるような気持ちになった。 津村記久子さんの解説もとても良かった。
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おもしれ~~~と思って読んでたら急に鼠人間出てきて不穏な空気になって息を呑んだ。 小学生の心の揺らぎや変化などがめちゃくちゃおもしろい、と同時にジビキが夏休み明けの児童に対して「すでに成人の自分だけは、混ざれないのだ」と感じる気持ちもめちゃめちゃリアルだった。ジビキはボケーッとし...
おもしれ~~~と思って読んでたら急に鼠人間出てきて不穏な空気になって息を呑んだ。 小学生の心の揺らぎや変化などがめちゃくちゃおもしろい、と同時にジビキが夏休み明けの児童に対して「すでに成人の自分だけは、混ざれないのだ」と感じる気持ちもめちゃめちゃリアルだった。ジビキはボケーッとしてるけど実はちゃんと大人やな、と思えるキャラで好き。 色んな人間がしっかり名前ついて出てくるのに、そこまで掘り下げへんとこがおもしろかった。現実ってそうだよな。色んな人間がいるけど私たちはそこまでその人たちのことを知らない。でもみんな名前があるし人生がある。 おもしろかった~~~。一気読みしちゃった。
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冒頭からこっこの強烈な世界観にのめり込んでしまった。こっこはもちろん登場人物全員がめちゃくちゃに個性的で、彼女らの日常は飽きることなくずっと追っていたいと感じられた。またそんな中でも吃音の少年や在日韓国人の少年など現代社会で差別的に見られてしまうことがある人たちも子供のフィルター...
冒頭からこっこの強烈な世界観にのめり込んでしまった。こっこはもちろん登場人物全員がめちゃくちゃに個性的で、彼女らの日常は飽きることなくずっと追っていたいと感じられた。またそんな中でも吃音の少年や在日韓国人の少年など現代社会で差別的に見られてしまうことがある人たちも子供のフィルターを通してみるとみな魅力的でありとても生き生きとしていて幸せが感じられた。このような子供ゆえの無邪気さがいわゆる"一般的(となってしまっている)な感覚"よりも優れている面と一方でその無邪気さゆえに他人への配慮が欠けていたりそれが子供っぽいと称されるような子供が大人になるにつれ身につけていく面も書かれていて素晴らしかった。
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少女の得体の知れない感情やこだわりが良く表現されていたような気がする。タイムスリップしたような気がした。
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好きな芸人が勧めていたので何となく古本屋で中古で購入した。 小説を読むのが得意では無かったので、最初こそ読むのに慣れなかったものの、それを越えると一気に読んでしまう。何よりも助詞の無い言葉の羅列が独特で好きである。 登場しているキャラクターが本当に個性豊かで、特に吃音の少年が好き...
好きな芸人が勧めていたので何となく古本屋で中古で購入した。 小説を読むのが得意では無かったので、最初こそ読むのに慣れなかったものの、それを越えると一気に読んでしまう。何よりも助詞の無い言葉の羅列が独特で好きである。 登場しているキャラクターが本当に個性豊かで、特に吃音の少年が好き。 「眼帯が羨ましい」などといった幼少期独特の嫉妬というか、そういう言葉では言い表せない感情はきっと誰にでもある。特に強かった私は、この物語で幼少期のどこにもぶつけられそうになかった気持ちを救われた気がする。
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