開かせていただき光栄です の商品レビュー
圧巻。ただただ読み進めたい。
なかなかの分厚さがありながら、あっという間に読み切ってしまう面白さ。まるでそこに映画が映し出されているかのようなスムーズな描写、綿密に調べられた英国当時の背景。全てに感嘆する。
シリーズとしてのべ3作が出版されているが、これからも読んでいきたいし人に勧めたい。これは圧倒的傑...
なかなかの分厚さがありながら、あっという間に読み切ってしまう面白さ。まるでそこに映画が映し出されているかのようなスムーズな描写、綿密に調べられた英国当時の背景。全てに感嘆する。
シリーズとしてのべ3作が出版されているが、これからも読んでいきたいし人に勧めたい。これは圧倒的傑作である。
蘇我クラフト
初めての皆川博子!これはもう、最高傑作!これぞエンターテイメント! 高齢な著者の著作で、なかなかのページ数、舞台は18世紀のロンドンって、まあ、小難しそうで頭にゆとりがあるときじゃなきゃ読めないかと思いきや、見事に予想を裏切られた! 情景が目に浮かぶ鮮やかな筆致(18世紀ロンド...
初めての皆川博子!これはもう、最高傑作!これぞエンターテイメント! 高齢な著者の著作で、なかなかのページ数、舞台は18世紀のロンドンって、まあ、小難しそうで頭にゆとりがあるときじゃなきゃ読めないかと思いきや、見事に予想を裏切られた! 情景が目に浮かぶ鮮やかな筆致(18世紀ロンドンの予備知識なんて不要、自分がその場にいるように細かな描写と説明があるので没入感充分)、登場人物の多さなんて気にさせない個性豊かなキャラクター(しかもみんな愛くるしい、優しい、ジョークがきいてる)、張り巡らされる伏線と、テンポよく進む物語! 面白い!楽しい!続きが気になって頁を捲る手が止まらない! 続編があるとのことで、速攻で買いました!
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実際にはハードカバーで読んだが、ブクログには見当たらないのでこちらで登録しておく。 面白かったー。 正直、クロコダイル路地がキツ過ぎてもう皆川さんを読むのはやめようかと思ってた。 面白いと評判の本作で、あーやめなくて良かったとおもえた。 舞台は18世紀ロンドンの解剖学教室とその...
実際にはハードカバーで読んだが、ブクログには見当たらないのでこちらで登録しておく。 面白かったー。 正直、クロコダイル路地がキツ過ぎてもう皆川さんを読むのはやめようかと思ってた。 面白いと評判の本作で、あーやめなくて良かったとおもえた。 舞台は18世紀ロンドンの解剖学教室とその周辺。 まさに最近読んだ『見習い物語』や風刺画家ウィリアム・ホガースの世界。 工業化都市化に急速に傾く社会のなか、あらゆる問題が湧き出している。 街は臭くて汚く、まだまだキモコワイ。 猥雑で危ない時代、そこにドラマが無いわけない。 本書は、分厚いわりに登場人物は多くないし、会話が多いのでサクサク読める。 しかし、この二転三転にはちょっとつかれた。 ラストまで本当に気が抜けない。 面白いんだけど、毎度同じく、皆川氏の描写のメリハリが抑えめなので、え、これどういう意味!?となり、わかりにくいときもある。 ヒヤヒヤハラハラしたけど、納得の終わり方。 あーなるほど。それなら良かった。 ダニエル兄は本当にこういう奴なんだ、そこは最後まで覆らないわけね。(笑) 一応計算したら本書執筆時に作者は82歳くらい…すごいねぇ。 そして本書は、エドワード・ターナー三部作の第一部にあたることを知った。へーえー。
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舞台は18世紀のロンドン。 テムズ河と聞くと、死体が浮かんでいると思ってしまう私は何の読みすぎなのか・・・? 都会ではあるが、工場から出る煤で真っ黒、怖い所ロンドンの暗黒面がつぶさに描かれているのが、今の東京とよく似ているような気もする。 外科医・ダニエル・バートンは、内科医で...
舞台は18世紀のロンドン。 テムズ河と聞くと、死体が浮かんでいると思ってしまう私は何の読みすぎなのか・・・? 都会ではあるが、工場から出る煤で真っ黒、怖い所ロンドンの暗黒面がつぶさに描かれているのが、今の東京とよく似ているような気もする。 外科医・ダニエル・バートンは、内科医である兄・ロバートの出資で、私的解剖教室を開いている。 この時代、外科医の地位は内科医に比べて著しく低く、解剖は野蛮とされていた。そのせいで、人体の仕組み、特に内臓がどうなっているかの研究は進んでおらず、正確な標本を作って後の医療に役立てるのが、ダニエルのライフワークである。 しかし、解剖の許可が下りる死体が極端に少ないので、研究は遅々として進まない。 ダニエルの口癖は「もっと死体を!!」 そんなわけで、墓暴きからこっそり死体を買い取って研究に使っているわけだが、夏のある日、解剖途中に役人が乗り込んできたので、使っていない暖炉に死体をいったん隠し、役人が帰ったあとで作業を再開しようとしたところ、二体、三体と死体が増えていたのである! これは、ありがたいのか、ありがたくないのか。 ダニエルの5人の弟子たちにも疑いがかかる。 解剖学だけでなく、この時代のイギリスは司法の世界にもかなりの問題があり、被害に遭っても金がないと訴訟も起こせなかったし、逆に犯罪を犯しても金があれば賄賂でどうにでもなった。 そんなところからも悲劇は起こる。 犯人は誰なのか?何が起こったのか?ここは多分あとの伏線、と頭の中で付箋を貼りながら考察を進める。 盲目の治安判事、ジョン・フィールディングが探偵役。その姪で助手を務める男装の麗人、アン=シャーリー・モア、そのまた助手の、デニス・アボット(ネーミングが・・・「赤毛のアン」と「あしながおじさん」・・・)の三人もいいキャラクターで、シリーズになったら面白いのに。 そうして、田舎から出てきた詩人志望の少年、ネイサン・カレンの数奇な運命。 彼と、解剖教室の弟子たちとの友情は本物なのか。 さわやかな思い切りだけどちょっと苦いものが残る、そんなラストでした。 解説が有栖川有栖氏だったのも、個人的にうれしいところ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
18世紀ロンドンの実情も丁寧に描きつつ、二つの時間軸が交錯する構成。幻想文学のイメージしか無かっただけに、ファンになるきっかけだった本。長くてもミステリーが読みたいって人にめちゃくちゃおすすめ。
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不思議なタイトルだなあと思いながら手に取った作品。(解剖の作品でしたか。) 舞台となる解剖教室に出現する複数の正体不明の解剖屍体。彼は一体誰で、その屍体の裏にどんな事実が隠れているのか。真相が見えてくるようで見えてこない、そんなもどかしさを持ちながら読み進めた中での終盤。驚きのラ...
不思議なタイトルだなあと思いながら手に取った作品。(解剖の作品でしたか。) 舞台となる解剖教室に出現する複数の正体不明の解剖屍体。彼は一体誰で、その屍体の裏にどんな事実が隠れているのか。真相が見えてくるようで見えてこない、そんなもどかしさを持ちながら読み進めた中での終盤。驚きのラストでした。 海外小説を翻訳したかのような表現で、若干読みにくさを感じた作品でしたが、それ以上に面白い結末でしたので読んで良かった一作でした。
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舞台は18世紀のロンドン。この時代のロンドンならではというべき(個人的には全然詳しくないので完全に感化された感もありますが)ミステリーを堪能した。序盤から不可解な謎が重なり、魅力的な登場人物たちによって解決されていく。これだけ書くととても普通なのだが、当時のロンドンの環境や暮らし...
舞台は18世紀のロンドン。この時代のロンドンならではというべき(個人的には全然詳しくないので完全に感化された感もありますが)ミステリーを堪能した。序盤から不可解な謎が重なり、魅力的な登場人物たちによって解決されていく。これだけ書くととても普通なのだが、当時のロンドンの環境や暮らしぶり、身分、文化、医療の発達度合、そのあたりがとても想像しやすく描かれているため、読んでいるこちらは自然と物語の中に没入していく。登場人物たちがみな魅力的でどこかひと癖もふた癖もありそうなところも、グッと入り込んでしまう理由だろう。思いがけない結末は現代では許されないことなのだが、とても人間らしさを感じて咎める気にはならない。罰は社会が与えるのではなく、個人で受けるその覚悟に適正だと思いたい。それくらいこの時代の物語に魅了された。ただ、時代を遡って暮らしてみたくはないが。 人体を切開することに偏見があり、解剖学では遅れているイギリス。物語は妊婦の女性の解剖中に、犯罪捜査犯人逮捕係が解剖室に押しかけてくるところから始まる。立ち入られる前に訳あって屍体は暖炉の中に隠すのだが、話の末いざ隠した屍体を出してみると四肢のない屍体にすり変わっている。さらに顔が潰れた別の屍体まで発見される。その場の誰も知らない二体の屍体。ここから最後まで驚きと同調で存分に楽しめる。続編も楽しみになったし、参考文献にある『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』も読みたくなって読後に購入してしまった。こちらも読んでみよう。
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すごい…⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝ 感動的におもしろい…!! 1770年、ロンドンが舞台。 ダニエルの解剖教室では、5人の弟子達が学んでいる。 イギリスでは解剖学が他国より遅れをとっていた時代。 墓を暴いて手に入れた死体を買い、解剖をしている為、役人の目...
すごい…⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝ 感動的におもしろい…!! 1770年、ロンドンが舞台。 ダニエルの解剖教室では、5人の弟子達が学んでいる。 イギリスでは解剖学が他国より遅れをとっていた時代。 墓を暴いて手に入れた死体を買い、解剖をしている為、役人の目に注意しながら研究を続けている。 急に来訪した治安隊に、慌てて暖炉の裏に死体を隠した弟子達。 暖炉の裏には、隠した死体の他に、2体の死体が隠されていた——。 しかもそのうちの一体の四肢が切断されているとキタ。 気になりすぎる作品でした( ✧﹃✧) ダニエルの弟子達5人がとても賢くて先生想いで尊い……(ღ*ˇ ˇ*)。o♡ 法医学という名前もまだない時代ですが、解剖学に全てを捧げているダニエルを慕って、真剣に、時にコミカルに描かれている弟子達の様子がとても魅力的です。 『盲目判事』ジョンは、目が見えない代わりに他の器官が研ぎ澄まされ、虚言を見抜く力があるのも面白い。 判事の姪であり、治安隊の一員であるアンは、彼の『目』になり、状況を正確に伝えます。 面白いと思ったのは、状況説明ではなく(彼女の言葉で)現在行われている行為が、見たままに伝えられている描写です。 ミステリなので、そんな言葉も警戒しながら読んでしまいますね(^▽^;) 登場人物が多いので、怪しい人ばかり笑 余計な推理はさっさと放棄して、楽しみました(^▽^;) 翻訳された海外作品を読んでいる気分…(〃´-`〃)♡ 徐々に真相が明らかになってくるので、後半は一気読み必至。 ラストまで気が抜けない展開で、めちゃめちゃおもしろかったです!! とにかくキャラが魅力的なこの作品。 3部作らしいので、続きも読みたい!!ヽ(´▽`)ノ おすすめです!!
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学生時代の一時期、皆川博子先生の作品にどハマりして、合う人合う人に薦めまくっていたことがある。幻惑的で妖しく、各場面が眼前に浮かぶような筆致、そして張り巡らされた伏線を回収する巧みさ…どの作品にも魅力された。 それから二十数年、皆川先生は齢90を超えてなお現役で健筆を振るって...
学生時代の一時期、皆川博子先生の作品にどハマりして、合う人合う人に薦めまくっていたことがある。幻惑的で妖しく、各場面が眼前に浮かぶような筆致、そして張り巡らされた伏線を回収する巧みさ…どの作品にも魅力された。 それから二十数年、皆川先生は齢90を超えてなお現役で健筆を振るっておられる。なんとありがたい。私がハマるきっかけとなったのは名作『死の泉』だが、70代以降の作品は名作揃いで、辻真先先生と並ぶレジェンドである。 本書は再読で、久しぶりに皆川作品を読んだ。三部作の文庫版が近く出るということで、一作目を読み返したのである。そして、めくるめく皆川ワールドに陶然としている。有栖川有栖先生の解説もありお得な文庫である。 皆川作品はいいぞ!と久しぶりに誰かに薦めたくなっている。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ミステリとしては素晴らしいが、解剖学(?)ミステリとしてはイマイチだった。解剖要素が事件解決にあまり絡んでこなかったのが残念。 少年少女の恋の行方にニコニコしてしまった。
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