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半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義 の商品レビュー

3.7

50件のお客様レビュー

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2013/11/26
  • ネタバレ

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映画『風立ちぬ』の前説的な対談本。 半藤さんは、宮崎作品のうち『となりのトトロ』と『紅の豚』しか観てないそうだが、ぼく自身『カリオストロの城』と『もののけ姫』しか観ていない。ヒドイでしょ(笑) それが何でこの本を読んだかと言えば、半藤作品のファンだと言うことと、宮崎さんの発言に納得させられることがあるから(ホントは、タイトルに惹かれたのかもw)。 「漱石好き」という共通点からはじまった対談は、与太話も織り交ぜながら、近代日本史の話、軍艦や軍用機に関する「ヲタク」的話、映画『風立ちぬ』の内容の検証、これからの日本と世界などへと続いていく(文字起こしと構成は、とてもたいへんだったに違いない - 苦笑)。 映画『風立ちぬ』を観終わったあとに読むと、読後感がより深まるのかもしれないけれど、劇場では観ないと思うし、DVD化されても借りるかどうか……(ちょっと観たくなったのはたしかだけど)。 対談中、半藤さんに何度か「次回作を持つ」と言われた宮崎監督。果たして引退の撤回はあるかな? あとがきで半藤さんが「日本の政治の株式会社的運営」について触れているけど、最近内田樹もTwitterでそんな発言をしてて「あっ!」と思った。 「草枕」読まなくちゃ!

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2013/11/12
  • ネタバレ

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漱石の「草枕」が最高傑作だと言うことで2人の意見は一致し、談論風発。反戦主義者でありながら、軍艦そして零戦が好きだという2人の対談は、「風立ちぬ」の背景について非常に深い。また裏話が楽しい。2人とも隅田川と縁がある!2人の父・母などの話しに及び彼らを理解するためにも有益。半藤の父が開戦の日に「この戦争は負けるぞ、お前の人生も短かったなあ」と息子に語る言葉は凄味がある。「風立ちぬ」は堀、堀越、そして宮崎の父の3人が組み合わさったモデルだという秘密も明かされる。零戦の型式に煩い人もいるなど、絵に描く難しさは宮崎の言葉で初めて分かる。神西清が堀辰雄を「詩を散文で書く」と評した言葉は全く同感!話はあちこちに飛ぶがとにかく楽しい逸話の連続。

Posted byブクログ

2013/10/21

switchインタビューでもやってたけど本書の方が詳しい。「女の人は将来が不安であればこそ子どもを産んだほうがいいです」という意見が胸に響く。

Posted byブクログ

2020/08/23
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付箋つけたとこ。 ・漱石「坊っちゃん」は中学校を下敷きにして大学を皮肉っている。 ・「こころ」の奥さん……女の人が思われていることに気づかないわけがない。 ・「草枕」のユートピアは俳句が下敷き。 ・零戦は描くのが難しい機体。 ・日本は守れない国。資源を持たざる国。だから原発を。 ・大和や武蔵は武力誇示宣伝に使えばよかったのに、あえて隠匿した。 ・腰ぬけ愛国論だってある。 ・ひとつのジャンルは50年。アニメも。鉄腕アトムがちょうど50年前。 ・実際に立っていた建物と、現代の観客がそれを無化の姿と思えるかどうか。 ・隅田川には空母の代わりに橋が建てられた。 ・芥川を主役にした探偵モノ。とぼけた推理の漱石。 ・堀越二郎と堀辰雄を宮崎監督の親父を重ねて描いた。 ・自分が一番美しかった時を、時代のせいで失ってしまった人たち。 ・神西清。「詩を散文で書ける人はあまりいない。¥: ・堀越は山師。本庄は生活人。 ・ジャン・カプローニ=ルネッサンスの人。 @@@@@ 2013年9月に初読。 2020年8月に再読。 付箋つけたとこ。 【第一部】半藤が映画を見る前。 ・駿は「草枕」好き。半藤、何でも則天去私と言う小宮豊隆はつまらない、一種のファンタジー、桃源郷だ。 ・漱石「坊っちゃん」は(松山時代の中学校を下敷きにして)東京大学を皮肉っている。 ・「こころ」の奥さん……女の人が思われていることに気づかないわけがない。 ・新聞の後続の志賀直哉が書けないというから、「こころ」は延ばした。 ・「草枕」のユートピアは俳句が下敷き。 ・駿、大和と武蔵がかっこいいと思う自分と戦ってきた。 ・零戦は描くのが難しい機体。 ・日本は守れない国。資源を持たざる国。だから原発を。 ・大和や武蔵は武力誇示宣伝に使えばよかったのに、あえて隠匿した。 ・腰ぬけ愛国論だってある。 ・ひとつのジャンルは50年。アニメも。鉄腕アトムがちょうど50年前。 ・デジタルにすると赤が強烈な蛍光色になってしまう。 ・実際に立っていた建物と、現代の観客がそれを昔の姿と思えるかどうか。 ・隅田川には空母の代わりに橋が建てられた。 ・関東大震災、祖父、これはダメだッ。すぐ飯を炊けッ。 ・芥川を主役にした探偵モノ。とぼけた推理の漱石。 【第二部】半藤が「風立ちぬ」を見た後。 ・駿、おやじは実は前妻があったが、病死している。 ・堀越二郎と堀辰雄と宮崎監督の親父(シティボーイ)、三人を重ねて描いた。……父を重ねていたと、他の関連書ではあまり言及していなかったはず。 ・母親の脊椎カリエス。胎教にうっかり「フランケンシュタイン」。 ・自分が一番美しかった時を、時代のせいで失ってしまった人たち。 ・神西清。「詩を散文で書ける人はあまりいない。優秀なのは堀辰雄だ」 ・堀田善衛は、堀辰雄に「文学者になるなら文学を生活しなさい」と言われた。 ・漱石は人生で三度万歳と言ったらしい、と芥川。上田敏がヨーロッパ外遊、そのお祝いの席で小さい声で言っていたとか。 ・零戦ではなく、堀越の生きた昭和史を描こう。 ・遅れて来た軍国少年。 ・ドイツは親日的ではないのに、海軍はドイツ好き。なんでも士官にドイツ女性をあてがわれていたから、とか。 ・堀越は山師。本庄は生活人。 ・声優よりは、存在感のありなし。 ・ジャン・カプローニは、ルネッサンスの人。 ・中島飛行機が牛で引っ張った道、あまりにも凸凹しているのでコンクリートで舗装、実はそこが「トトロ」のバス停。

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2013/09/14

宮崎駿と半藤一利の対談本である。宮崎駿の引退により、また、「風立ちぬ」の公開により、話題となっているものだ。「風立ちぬ」に関連した話題も多く出て来て、とても面白かった。昭和という時代の証人たちの言葉としても興味をそそられた。

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2013/09/09

風立ちぬは生きる事が困難な時代を描いたという。私は二十代で、その時代を良く知らない。戦前・戦中生まれの二人の対談で浮かび上がる当時の東京を、今と重ねながら読んだ。特に半藤さんの東京大空襲時の隅田川に飛び込む話は生々しかった。靴が無ければ歩き出す事すら出来ない。私も半藤さんに靴を差...

風立ちぬは生きる事が困難な時代を描いたという。私は二十代で、その時代を良く知らない。戦前・戦中生まれの二人の対談で浮かび上がる当時の東京を、今と重ねながら読んだ。特に半藤さんの東京大空襲時の隅田川に飛び込む話は生々しかった。靴が無ければ歩き出す事すら出来ない。私も半藤さんに靴を差し出した方のように、風立ちぬの堀越二郎のように、そのとき、振る舞う事が出来るか。3.11の時、私は何も出来なかった。いつかまた事が起きた時のために、そんな自分は忘れたかのように、試みなければならない。

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2013/09/03

ブログに掲載しました。 http://boketen.seesaa.net/category/20284667-1.html 半藤の「腰抜けの愛国論」を国論にできないものか

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2013/09/02

少し難しかった^^; でも、少しは響いてくるものはあった。 木を植える、これは素晴らしいと思った。 前途多難の中、いざ、生きねば‼

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2013/09/01
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映画「風立ちぬ」を通した日本の近代史をテーマに語り合う日本国論。宮崎駿がこの映画で描きたかったものは、決して堀越二郎という設計者でも、妻とのラブロマンスでもなかったようだ。更には戦争そのものでも無かったのかもしれない。むしろ失われていく風景、社会、時代といった、あの頃の空間を記録したかったのではないだろうか。なぜ日本は過ちを犯したのか、その反省が不十分なために、またぞろ同じような勇ましいことを言い始める人が増えてきた。どう考えてみても、また同じような失敗を繰り返すように思うのだが。日本人はこれほど「学べない」民族だったのか…。

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2013/08/28

戦中、戦後、同じ時代を生きた二人の対談。 映画「風立ちぬ」は宮崎駿のある意味でエゴを表現したもの。 その中に商業ベースのものは抜き去られている。 商業ベースを抜きに自己を表現できるところに真の芸術が生まれてくるのだと思った。新鮮。 映画「風立ちぬ」から、大きな問いかけを受けたよ...

戦中、戦後、同じ時代を生きた二人の対談。 映画「風立ちぬ」は宮崎駿のある意味でエゴを表現したもの。 その中に商業ベースのものは抜き去られている。 商業ベースを抜きに自己を表現できるところに真の芸術が生まれてくるのだと思った。新鮮。 映画「風立ちぬ」から、大きな問いかけを受けたような気がする。何を感じるべきか、ということを。ある意味ではとても難解な映画。 この本を読みながら、その解を少し探し出すことが出来たような気がする。 原風景、緑と水。美しい国の姿が残っていた昭和初期をこの映画では描こうとしたのだろうし、当時の人々が、こだわりを持って生きること、必死に生きることを、ごく自然としてきた時代なのかもしれない。 それを恒久的なものとしていこう、というメッセージなのだろうか。 二人とも夏目漱石ファンであることは嬉しい事実。 以下引用(あとがきから)~ 「風立ちぬ、いざ行きめやも」 お先真っ暗であっても、いや、真っ暗であることによって、人間はより生きる意志の強さや美しさや悲しさを知ることができる。若い人々よ、希望というもの、理想というものを捨てることなかれ、ということだと思います。 それはまた宮崎監督の最新作の映画「風立ちぬ」の主題でもあるのです。

Posted byブクログ