1,800円以上の注文で送料無料

わたしをみつけて の商品レビュー

4.1

142件のお客様レビュー

  1. 5つ

    42

  2. 4つ

    54

  3. 3つ

    33

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2013/12/15

過去の半生がどんなに辛く苦しいものだったしても、 大きなトラウマを抱えていたとしても、 自暴自棄になっていたとしても、 自分を生きることを諦めていたとしても、 たった一人、たった一人でいいから自分を理解し受け入れてくれる人がいればそこからきっと生き直せる。 自分の人生をやっと自分...

過去の半生がどんなに辛く苦しいものだったしても、 大きなトラウマを抱えていたとしても、 自暴自棄になっていたとしても、 自分を生きることを諦めていたとしても、 たった一人、たった一人でいいから自分を理解し受け入れてくれる人がいればそこからきっと生き直せる。 自分の人生をやっと自分のものにすることができる。 この小説の主人公は三月に捨てられ施設で育った弥生。 自分の居場所を守ることに必死で、固い殻に閉じこもって生きている。 そんな弥生が新しい看護師長やある患者さんに出会うことによって、生まれ変わっていく姿がすがすがしい。 現実的には、こんなきれいごとでは済まないのかもしれない。 でも、こんなすさんだ世の中だからこそこの物語が光となる。 個人的には「きみはいい子」より好き。 主人公が前を向いて歩いていく姿はいつだって私の希望となる。

Posted byブクログ

2013/12/15

中脇さんの作品「きみはいい子」を借りようと思いましたが、タイミング 良く先に返却された「わたしをみつけて」を借りることができました。 中脇初枝さんの著作は初めてですが、前作の「きみはいい子」で扱っ た虐待のテーマは重く、本作はどうかと期待しておりました。 生まれて直ぐに捨てら...

中脇さんの作品「きみはいい子」を借りようと思いましたが、タイミング 良く先に返却された「わたしをみつけて」を借りることができました。 中脇初枝さんの著作は初めてですが、前作の「きみはいい子」で扱っ た虐待のテーマは重く、本作はどうかと期待しておりました。 生まれて直ぐに捨てられた子供、3月に拾われたので名前は弥生。 心の奥底になぜ自分は捨てられたのか、良い子であれば捨てられな かったのか、深い傷を抱えて生きていきます。自分の自然な感情を表 現することを畏れ、再び捨てられないためのいい子を演じ続けます。 「わたしがほんとはいい子じゃないとわかっても、お父さんとお母さんは、  私を捨てないでいてくれるだろうか」 「いい子じゃなかったら、お父さんとお母さんの子供にしてもらえなかった」 その後の生き方を決定づける言葉ですが、絶えず自分の中の”本当の わたし”はそうじゃないという思いが深く流れています。 やがてありのままの自分を受け入れてくれる存在に出会い、本当のわた しを表に出すことができた時、どのような新しい世界になっていくのか、 期待は我々読者の想像の中にあります。 大変面白く、夜の更けるのも忘れ一気に読み終えた作品でした。 香山リカさんの 「いい子じゃなきゃいけないの」 とも通じます

Posted byブクログ

2013/12/07

きみはいい子の人の本。今回も引き込まれてどんどん読めた。三月に捨てられた弥生の話。出会えてよかったと思わせてくれる周りの人々の言葉が心に響く。

Posted byブクログ

2013/11/28

テーマとしては、決して軽いものではないのに、あっという間に、軽やかに(?)読み終えてしまった。「いい子」「いい人」を演じて疲れている人へ。

Posted byブクログ

2013/11/20

親に捨てられ施設で育った主人公が、生きるために身につけた「いい子」を演じながら、本当の自分をみつけていく物語。センテンスが短く、リズム感があり、読みやすい。その短い文の中に人として大事なエッセンスがつめられていて話中に引き込まれる。結末は読者に任されているが、主人公の幸せを願う気...

親に捨てられ施設で育った主人公が、生きるために身につけた「いい子」を演じながら、本当の自分をみつけていく物語。センテンスが短く、リズム感があり、読みやすい。その短い文の中に人として大事なエッセンスがつめられていて話中に引き込まれる。結末は読者に任されているが、主人公の幸せを願う気持ちがわきあがる。

Posted byブクログ

2013/11/18

冒頭から衝撃。 ページがすすむにつにつれ、タイトルの真の意味がわかり、主人公と一緒に自分も救われた気分に。 ちゃんと自分を見てくれる人の存在に気づいて、自分で自分を見つけたという感じでしょうか。 「きみはいい子」の神田さんも、光が見えてよかった…

Posted byブクログ

2013/11/09

『きみはいい子』と同じ桜ヶ丘が舞台なので、登場人物が、ほんの少しだけ重なり、会話から『きみはいい子』に登場した子どもの、その後が想像できた。 私は3月生まれで『弥生』という言葉も好きだ。 『弥生』という名前を聞いて迷わず『3月生まれなんだ』と言ったこともある。 だから、この本は...

『きみはいい子』と同じ桜ヶ丘が舞台なので、登場人物が、ほんの少しだけ重なり、会話から『きみはいい子』に登場した子どもの、その後が想像できた。 私は3月生まれで『弥生』という言葉も好きだ。 『弥生』という名前を聞いて迷わず『3月生まれなんだ』と言ったこともある。 だから、この本は冒頭から私には衝撃的だ。 普段は考えもしなかった言葉の暴力があるということ。 『いい子』でいれば、受け入れられる。 『いい子』じゃなければ嫌われる。 『いい子』じゃなかったから捨てられた。 『いい子』は呪縛の言葉のように思える。

Posted byブクログ

2013/11/06

”わたしをみつけて”なのにいい子いい子と、きみはいい子を読んでいる気分でした(笑)(きみはいい子はまだ読んだことありません) とても読みやすく、全然本読めない気分だったんですが2時間半で一気に読んでしまいました。 ちょうど就活で看護師についての求人ばっかで、看護師の道に行けば...

”わたしをみつけて”なのにいい子いい子と、きみはいい子を読んでいる気分でした(笑)(きみはいい子はまだ読んだことありません) とても読みやすく、全然本読めない気分だったんですが2時間半で一気に読んでしまいました。 ちょうど就活で看護師についての求人ばっかで、看護師の道に行けばよかったなぁとか思っていたので勉強になりました。

Posted byブクログ

2013/11/06

3月に捨てられ施設で育った弥生は、今は准看護師として働いている。「よい子」として生きるしかなかった彼女は自分の心をさらけ出すことが苦手だ。患者とも同僚看護師たちとも距離を置いて表面的に付き合い、深く関わろうとはしない。患者の家族からは医師や師長には決して言うことのないひどい言葉を...

3月に捨てられ施設で育った弥生は、今は准看護師として働いている。「よい子」として生きるしかなかった彼女は自分の心をさらけ出すことが苦手だ。患者とも同僚看護師たちとも距離を置いて表面的に付き合い、深く関わろうとはしない。患者の家族からは医師や師長には決して言うことのないひどい言葉を投げつけられ、医師にはいいように使われている。 そこへ現れた新しい看護師長。穏やかで優しい目をしていた。 にこにこと笑顔を絶やさずに応対するけれども決して妥協や無責任な仕事を許すことはない。柔らかな物腰の彼女は、高圧的でなく大声も出さないけれど、すべきことは毅然と貫き通すことができる。 親に愛された経験がなく、その後も愛情に乏しい生活を強いられてきて、人を信じて委ねることはなかなかできないだろうし、根源的な自信も持てないまま、今に至っている弥生。さらに、身近な人たちに絶対的な信頼関係を築けなかった。自分を解放できる関係を持てず、繭のようなものの中に自分を存在させるしかない。 新しい師長は看護師たちに意欲や自信を取り戻させ、自分たちの仕事に対する誇りと責任感を再確認させていく。結果、彼女もその繭の中からようやく出ることができた。 そういったやり取りや一歩踏み出す勇気を持てたことにより、弥生の仕事ぶりが変わっていき、考え方にも変化が出てくる。その上、今まで自分に関わってくれた人たちやその中で自分を大事に思ってくれた人がいたことを思い出す。 中脇さん、上手いなあ。 不器用だったり、子どもの頃に満ち足りた気持ちを持てなかった人を描いて、希望を見出させるのが上手いと思う。派手にハッピーエンドではないけど、実は何もないと思われていた日々の中に小さな小さな花が咲いていたと気づかせてくれる。 見過ごしていた風景の中にあるしあわせ。 誰だって、あれやこれや不満を口にしてしまうことがあるけれど、少しばかり前向きに、人と比べずに自分を見つめれば、忘れていた喜びやうれしかったこと、幸せだと感じたことが確かにあったと気づけるはず。 苦く、ほろ苦く、少し甘い。 「私をみつけて」と願ったとき、実はそこに「すでにみつけている人」がいた。 きっと私たちのまわりにも・・・。

Posted byブクログ

2013/10/31

 生後すぐに捨てられ施設で育った女性が主人公。ある病院で准看護婦として働いている。捨て子だっだことや施設で育ったことを周りに伏せ、人との間に壁を作って生きている彼女の生き方が読んでいて切なくなった。  でも、二人の人物に出会い、人は一人では生きていけないことに気づき、『いい子では...

 生後すぐに捨てられ施設で育った女性が主人公。ある病院で准看護婦として働いている。捨て子だっだことや施設で育ったことを周りに伏せ、人との間に壁を作って生きている彼女の生き方が読んでいて切なくなった。  でも、二人の人物に出会い、人は一人では生きていけないことに気づき、『いい子ではないけどいい子を演じている自分』から、自分は自分でいい事にも気付く。  これまで辛い生い立ちから努力して生きてきた彼女は、ずっと自分自身を否定し続けて生きていたけど、二人の人物に認められたことがきっかけで前向きに生きていこうとする。どんなつらい境遇でも、誰かが見ていてくれることで力がわくことに改めて気づいた作品だった。

Posted byブクログ