わたしをみつけて の商品レビュー
いつも自分の居場所をなくさないために、ただただいい子の仮面を被った准看の女性が、看護師長の勇気に触れ、初めて一歩を踏み出す物語。 でも、まあ…それだけかな。 2019/03
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※このレビューにはネタバレを含みます
『きみはいいこ』の続編ということで手に取った一冊。 いずれも、「いい子」がキーワード。 いい子でなければ愛されない、いい子でなければ必要とされないことが怖くて苦しかった子供時代。今もやっとのことで手に入れた居場所を失いたくなくて、いろんなことを飲み込んでそこにしがみついている主人公の弥生。 いい子じゃなくても自分は自分。大それたことじゃなくても、今いる場所ですべきことをやっていくことが大事なんだ。無理していい子にならなくてもいいんだよ、と教えてくれた藤堂師長と菊池さん。自分を見つけてくれた人、自分を認めてくれた人との出会いが、弥生自身が自分を認め、いい子でもなんでもないありのままの自分として生きる力をくれた。 彼女の辛い過去も、心を傾けてくれる人とのかかわりがそれを癒す。見守ってくれる人は、見守られる。救いのような一冊。
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2018.09.09.読了 中脇作品は初めてだし、文庫は薄めだし、長編好きの私は買うだけ買って寝かせておいた作品。 でも、いまは、大切に読むためにとっておいた作品と言う認識に変えました(笑) とてもイイ作品でした。 寂しく哀しかった弥生が藤堂師長や菊池さんに出逢えた事で、強く優...
2018.09.09.読了 中脇作品は初めてだし、文庫は薄めだし、長編好きの私は買うだけ買って寝かせておいた作品。 でも、いまは、大切に読むためにとっておいた作品と言う認識に変えました(笑) とてもイイ作品でした。 寂しく哀しかった弥生が藤堂師長や菊池さんに出逢えた事で、強く優しく輝き出したことにココロがあったかくなりました。 チビッコ藤堂師長、カッコいい!惚れます! いつか弥生も藤堂師長みたいになれたらいいなー。 こんなすばらしい看護師さんがたくさんいるといいなー。 ヤブ外科院長や冷血大野先生みたいな医者は居なくなって欲しいなー。 ついでに西川史子みたいな医者にも診てもらいたくないなー。 ただのつぶやき。。。
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生きるために淡々と働いてきた弥生。藤堂師長がかっこいい。プロってこういうものだと思った。菊池さんも。
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『施設のものはみんなのものだった。 そんなこと知っていた。一度だけ、ほんとの気持を言ってみただけだった。 その一度きりで、自分がいい子じゃなければ、受け入れてもらえないことを知った。 だからこわかった。』 「名づけは親の最初の暴力みたいなものだし。 - つけられた名前で生きてい...
『施設のものはみんなのものだった。 そんなこと知っていた。一度だけ、ほんとの気持を言ってみただけだった。 その一度きりで、自分がいい子じゃなければ、受け入れてもらえないことを知った。 だからこわかった。』 「名づけは親の最初の暴力みたいなものだし。 - つけられた名前で生きていかなきゃいけないんだから。」 「心臓のことはいつもほめてたわ。よく何十年も休まずに動いてるよねー、えらいねーって。彼女の話をきいていると、なんだか、自分の臓器が動いて、自分が生きているだけで、自分がえらいような気がしたものよ。」 「人生の総決算よね、入院と葬式は。 - そよひとが今までやってきたことがみーんな出る。」 『それまでのわたしは、一日三回、三百六十五日、毎日だれかにごはんを作ってもらって食べていた。そんなこと、それまではあたりまえすぎて、なんとも思っていなかったけれど、実はすごいことだった。』 「看護師は患者のためにいます。それだけは、みなさん、忘れないで。迷ったら、患者のためになるかどうか、それだけを考えて。そうすれば、答えは出ます。」 「大丈夫よ。正しい答えを探す必要はありません。答えはどこかに転がっていたりはしません。答えはいつも、あなたがたの中にあります。」 『もう、わたしにはわかっていた。 今、立っているのが自分の場所。それは、たとえどんな場所でも、こんなところまで来てしまったと嘆く場所じゃない。』
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九九が言えない主人公。准看護師さん。 いつもながら、読みやすい。 ひらがなのタイトルそのもののストーリー。
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こんなにも人の心の傷をやさしく描けるのは、中脇さんならでは。 いわゆる”一般的”な子供時代を経ていない子供は、自己を確立し自分を保つためだけでも、極限に伸ばされた太く平べったいゴムを常に腰に巻きつけられ後ろから引っ張られているような状態のまま前に進んでいくという日常生活を送らな...
こんなにも人の心の傷をやさしく描けるのは、中脇さんならでは。 いわゆる”一般的”な子供時代を経ていない子供は、自己を確立し自分を保つためだけでも、極限に伸ばされた太く平べったいゴムを常に腰に巻きつけられ後ろから引っ張られているような状態のまま前に進んでいくという日常生活を送らなければならない。 そのつらさは他人には見せないし、見られたくないものである。大人になったって、一番ありのままの自分を受け入れてほしい、受け入れられなきゃならない時代に受け入れてもらえなかった寂しい思いを隠して生きている。大人になってから人にありのままの自分を受け入れてほしいと求めるのはエゴだということもわかっているからこそ、そんな子供時代に思いを馳せる。 「あなたは、自分で自分を育てたのね」 「あなたは、上手に自分を育てたわね」 という藤堂師長の言葉。 病院が舞台であるため人の死が随所に描かれており、都度感情移入しがちになってはいたが、この言葉を読んだとき、公共の場で読んでいたにも関わらずドッと涙があふれ出た。
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2017/02/25読了 「いい子じゃないと、いけませんか」居場所を失うことにひどく臆病でずっといい子を装ってきた。 感情の温度が伝わってくる感じ。とてもいい本でした
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17/02/23 ⑬ 『きみはいい子』がすごくよかったので同じ著者の本をたまたま見つけて即借りました。 このひとの紡ぐ言葉はやさしいね。でもちょっと今作は狙いすぎてる気もするなあ。 ・「自覚してほしいの。看護師の仕事はなに?医師にしかできないことがあるとすれば、看護師にしかでき...
17/02/23 ⑬ 『きみはいい子』がすごくよかったので同じ著者の本をたまたま見つけて即借りました。 このひとの紡ぐ言葉はやさしいね。でもちょっと今作は狙いすぎてる気もするなあ。 ・「自覚してほしいの。看護師の仕事はなに?医師にしかできないことがあるとすれば、看護師にしかできないことがある。わたしたちはそれをするためにここにいる。わたしたちはここにいて、わたしたちにしかできない仕事をしなければいけないの。」(P75) ・あなたがたはここにいてね。あなたがたのいる場所は、いつも、患者のそばよ。」(P225)
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准看護士山本弥生は、病院の前に捨てられていた。 3月に拾われたから、区長が弥生と名付けた。区長が山本だから山本。 施設で育ち、准看護士の資格を取り、病院で働く。 捨てられた子は、名前も誕生日も何も持っていない。 だから、いい子でないといけない。 弥生は、今以上のことは望まず、自分...
准看護士山本弥生は、病院の前に捨てられていた。 3月に拾われたから、区長が弥生と名付けた。区長が山本だから山本。 施設で育ち、准看護士の資格を取り、病院で働く。 捨てられた子は、名前も誕生日も何も持っていない。 だから、いい子でないといけない。 弥生は、今以上のことは望まず、自分を守って生きていく。 読んでいくと、その切なさにドンドン引き込まれていく。 中脇さんの丁寧でしっとりした落ち着いた文体好きです。
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