あんじゅう の商品レビュー
【2024年188冊目】 行く先々で水を飲む神様「逃げ水」、人と人との関係が怪異を生む「藪から千本」、慕う気持ちと己の性質に悩む「暗獣」、笑う仏と山奥の里「吼える仏」、そして暈のかかった三島屋――三島屋変調百物語シリーズ第二弾。 滅多に本や映画などでは泣かない友人から「泣いた」...
【2024年188冊目】 行く先々で水を飲む神様「逃げ水」、人と人との関係が怪異を生む「藪から千本」、慕う気持ちと己の性質に悩む「暗獣」、笑う仏と山奥の里「吼える仏」、そして暈のかかった三島屋――三島屋変調百物語シリーズ第二弾。 滅多に本や映画などでは泣かない友人から「泣いた」とオススメされ、積読から引っ張り出してきたシリーズ2作目。相変わらず人間と怪異とそこに纏わる感情が本当に上手く描かれています。不思議を不思議と終わらせず、しっかり落とし所まで見せてくれるので、読了感も良い。 しかし、副題にもなっている「あんじゅう」、ずるいですね〜。読んでる間「くろすけ〜」って思いながら涙を滲ませていました。表紙のくろすけもすごく可愛いので、ご夫婦の心情を思い浮かべてまた涙が。こういう異形との交流も、もちろん大好物なので。 なお、友人からは後から「ごめん、泣きはしなかった」と言われました。泣いてないんかい!「少しでも人間に近づきたくて」と。いやあんたが異形なんか。
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オーディブルにて。 三島屋さんシリーズ2作目。前回の「おそろし」は主役のおちかが過去に囚われていたので、まあ暗く悲しいお話ばかりだったのに比べて、本作は心温まるお話や新しい仲間も増え、バラエティに富んだ百物語が楽しめた。青野先生やお勝さんの今後の活躍も楽しみ。
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期待を裏切らない三島屋シリーズ。タイトルの「あんじゅう」は好きな作品だった。 なんだか切なくて優しくて、良い感じだった。
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元々、読売新聞の連載小説だったらしいが全く記憶にない。やはり読み出すと引きずり込まれてしまう。 一つ一つのまとまった話の中では区切りが無いから「今日はここまで」的な発想になりにくい点も一気読み作戦の一つでは? 本の厚さ(文庫で全629頁)に躊躇するが、読了が容易で独立した話の集合...
元々、読売新聞の連載小説だったらしいが全く記憶にない。やはり読み出すと引きずり込まれてしまう。 一つ一つのまとまった話の中では区切りが無いから「今日はここまで」的な発想になりにくい点も一気読み作戦の一つでは? 本の厚さ(文庫で全629頁)に躊躇するが、読了が容易で独立した話の集合なのに関連付けが巧みで続編が読みたくなる。
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暗獣の「くろすけ」がいい。とろろをかぶったり、諸星のせいで弱ってしまったり。初音の態度も素敵である。いろいろな不思議な話が載っているが、それごとに異なった感情がわき出る。
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563ページ 1800円 5月9日〜5月10日 三島屋のおちかのもとに6つめの物語をもってきたのは平太という子どもだった。平太には白子様 (しろこさま)がついており、いく先々で水が枯れるという。7つめの物語は、お隣の住吉屋のお路さん。双子の姪 の片割れを引き取ったが、双方のお家に起きた人形に針が立つという不思議で悲しい話。8つめの物語は、紫陽花屋敷にいる暗獣、くろすけと夫婦の楽しくも悲しいお話。9つめの物語は、偽坊主の行年坊が語る館形 (たてなり)での木仏にまつわる話。おちかのもとには清太郎や青野の若先生と気になる存在も現れる。 平太と白子様の話は、最後に船頭になるというところから、あの話につながるのか!となんだか嬉しくなった。暗獣のくろすけは、人恋しいけど人に触れると病んでしまうというなんとも悲しい話だった。妖怪なんだろうけど、なんだかかわいらしい獣の話で別れのシーンでは涙してしまった。同じ孤独でも、今までとは違う。離れたところにいても、お前の事を思ってるという別れの言葉がなんとも切なかった。
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トラウマのあるお嬢さんが様々な人たちの不思議体験談を聞くという設定のファンタジー時代小説その2。相変わらず面白い。そして泣ける。今回は化け物達に共感するお話が多くて、アニメ『夏目友人帳』を見るたび泣いている自分など涙腺大崩壊だった。「あんじゅう」とは何だろう饅頭の仲間かと思ってい...
トラウマのあるお嬢さんが様々な人たちの不思議体験談を聞くという設定のファンタジー時代小説その2。相変わらず面白い。そして泣ける。今回は化け物達に共感するお話が多くて、アニメ『夏目友人帳』を見るたび泣いている自分など涙腺大崩壊だった。「あんじゅう」とは何だろう饅頭の仲間かと思っていたら暗獣とのこと。読み終えた後にブックデザインのあちこちに隠れていた暗獣「くろすけ」に気づいて、またしても泣かされた。家屋敷に意識が宿るというアイデアは奇異なようで感覚として分かる。主客が渾然一体化した日本人(日本語)ならではの世界の捉え方だと思う。ちなみに単行本で読んだのだが、南伸坊氏による愛嬌たっぷりのイラストがこれまた素晴らしかった。
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『おそろし』に続く、三島屋変調百物語の2冊目です。今回も三島屋の姪おちかさんが不思議な物語を聞き集めます。 『逃げ水』 ある男の子の周りでは甕や花器の中の水が消えてしまい、、、この子のその後が気になるな。 『藪から千本』 とあるおうちの長男夫婦に双子の姉妹が生まれたけれど、姑...
『おそろし』に続く、三島屋変調百物語の2冊目です。今回も三島屋の姪おちかさんが不思議な物語を聞き集めます。 『逃げ水』 ある男の子の周りでは甕や花器の中の水が消えてしまい、、、この子のその後が気になるな。 『藪から千本』 とあるおうちの長男夫婦に双子の姉妹が生まれたけれど、姑は縁起が悪いと嫌がり、、、。 『暗獣』 暗闇を好む妖怪?幽霊?の話。 この先も登場しそうなキャラクター達が出てきます。 『吼える仏』 実際にあったんじゃないかと思えるような民間伝承のようなお話し。 今回も神様だったり、仏様だったり、幽霊だったり、妖怪だったり、人の怨念や執念や思い込みだったりと面白かったです。 おちかさんの縁談も気になります。
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三島屋の百物語シリーズ第二弾。以下の4編を収録。まわりを干からびさせてしまう旱様の話。双子の姉妹の人形に針が刺される話(これが一番不気味だった)。屋敷が人を恋しく思う想いが生み出した『くろすけ』。隠れ里の住民が信仰によって破滅していく話。全622ページ。
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シリーズ一作目の『おそろし』も雰囲気・内容ともに好きでしたが、『あんじゅう』に収録されている話が圧倒的に好みです。 特に「藪から千本」のドロっとした生温い沼みたいな怖さ、次の「暗獣」の不思議さと切なさという緩急に、しばらく読後の余韻が引きませんでした。 一作目以上に人の内面にク...
シリーズ一作目の『おそろし』も雰囲気・内容ともに好きでしたが、『あんじゅう』に収録されている話が圧倒的に好みです。 特に「藪から千本」のドロっとした生温い沼みたいな怖さ、次の「暗獣」の不思議さと切なさという緩急に、しばらく読後の余韻が引きませんでした。 一作目以上に人の内面にクローズアップした話になっていたように思います。 「どんな幽霊よりも結局生きた人が一番怖い」みたいな感想は怪談好きとして安直に言いたくはないのですが、今作は生きた人の浅ましく恐ろしい部分と、神仏や怪異の超自然的な恐ろしさのバランスが、私としてはとても丁度いい塩梅でした。
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