檸檬 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
むかし読んだ本をふと読み返したくなり、檸檬を読んだ。 全編通して読んだら加筆します。 人生山あり谷あり。 病気をしたり、貧乏したりして弱ってしまった時、主人公はふと、これまで楽しかったはずのものが、重苦しかったり、煩わしいものになってたりすることに気付く。 と、同時に、昔の自分であれば気付かなかった檸檬の美しさに気付く。 「つまりは(檸檬の美しさの根底にあるものは)この重さなんだな」だなんて本気で思ったりして、鬱屈した気分が晴れたりする。 私も、炎のゆらぎや、煙ののぼる様を見ると癒やされる時があったりして、こんなどうでもいいことが、どうしてこんなに落ち着いたりするのだろうかと思ったりする。 やらなければいけないことと向き合うことが出来なくなったりして、中途半端に手を付けたものの、逃げ出したりもする。 そんな主人公の感覚が、文章表現が、私の人生とも重なる部分が多く、とても共感して読むことができました。 貧乏して、病気になって、弱ってしまっても、弱ってしまったからこそ、こんなただの檸檬に美しさを見出だせるのなら、人生って捨てたもんじゃないなと、美しいんだなと、思いました。
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学生以来の読了。 独特の言い回しがとても好きです! 感性が刺激されるようで好きな作品。 「つまりはこの重さなんだな」の1文が胸の中にずっしり来るようで個人的に名セリフです!!!
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もういやだこんな汚い世界…て思う時に読む。この暗さに救われる 桜の木の下には、が1番好き この間丸善行ったら檸檬フェアであちこちに食品サンプルのレモンが置かれてて、マイクラのTNTみたいに連鎖でいくタイプなん?て思った
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短編集。昔の人は結核とか胸の病で苦しんでいる人がいたのだなと思う。この作家さんもそのようだ。全体的に暗い、でも有名な純文学だから読み終えようと思った。 河鹿とは、鹿でなく蛙のことだと知った。
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檸檬を爆弾に見立て…… 想像の遊びがこの人にしかできないような内容で完全に理解はできないまでも面白かったです!
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読む人によっては生きる希望となり得る短編集だと思う。 全編通して主人公がだいたい病魔に冒されており、読むのが辛かった。著者の人生を垣間見ているようで尚更辛かった。
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全体的に難解でした。 いかにも不健康そうな描写が通奏低音としてあるものの、生きようとする意思や、親の愛など、はっとするような美しい描写が散りばめられています。 表題の「檸檬」はもちろん面白かったですが、個人的には「交尾」の河鹿が清流を渡るときの描写がとても好きです。
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表題作、こちらの視点が病を患う者の憂鬱から袂に収まるサイズの色彩に突如移る。まばゆい黄色。 僅か9頁の短編で形容し難い余韻。病や貧困によって社会から弾かれてしまうという実感がどうしようもなくあって、それでも人生の所感が病や貧困に取って代わられることは無いのかなあって。 いくつか...
表題作、こちらの視点が病を患う者の憂鬱から袂に収まるサイズの色彩に突如移る。まばゆい黄色。 僅か9頁の短編で形容し難い余韻。病や貧困によって社会から弾かれてしまうという実感がどうしようもなくあって、それでも人生の所感が病や貧困に取って代わられることは無いのかなあって。 いくつか共通したテーマのある、長くても40頁ほど、平均10〜20頁という感じの短編集だったけど 僕の素養が無いからかイマイチずっと何を読んでるのか分からんかったな...。 表題作と「桜の樹の下には」は抜群に良い。読めて嬉しい。 「瀬山の話」で表題作を入れ子構造みたいにしてたのは何だったんだろ。
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檸檬 読書メモ 何だかよく分からない鬱屈感を、何だかよく分からない方法で解消させる。それは自分にも身に覚えがあるかも。 主人公は、檸檬を用いたマインドフルネスをしているようにもみえた。五感をフル活用して檸檬を観察して、不安を解消しようとしているのかも。
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檸檬は短いが衝撃的なでした。丸善にしかけた時限爆弾なのか。 Kの昇天もドッペルゲンガーの話として秀逸。 著者がすり減らしながら生きていく人物の目線で描く世界はついていけない部分もあるが、時に妙な共感を覚えたり、唸ったりしてしまう。 時間をおいてまた読みたい。
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