檸檬 の商品レビュー
主人公のほとんどが結核や神経衰弱に苦しめられている青年です。 日常のワンシーン。その時の彼の行動、彼が思ったこと。などが眈々と書かれていて、これは静かにゆっくりと死へ向かっている人の話で、とても寂しい。劇的な事が何にもないことがとても寂しい。
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「読書が趣味」なんつーからには、やっぱり名作は一通り読んどかないとまずいわな、ってんで手に取ったのが本書。 そう、未読だったんです。 表題作はあまりにも有名ですよね。 病魔に侵された主人公の「私」。 しつこかった憂鬱が、たった一顆の檸檬で紛らされる。 それに近い経験ってありますね...
「読書が趣味」なんつーからには、やっぱり名作は一通り読んどかないとまずいわな、ってんで手に取ったのが本書。 そう、未読だったんです。 表題作はあまりにも有名ですよね。 病魔に侵された主人公の「私」。 しつこかった憂鬱が、たった一顆の檸檬で紛らされる。 それに近い経験ってありますね。 すぐに思い浮かばないけど。 ところで、梶井には「瀬山の話」という作品もあり、本書にも収録されているのですが、その中に「檸檬」の一部が含まれていて、何と言うか、一人悦に入りました。 梶井は大正から昭和にかけて活躍した作家です。 作品は原文を新字・新かなづかいに改めているものの、現代人であるところの私には、やっぱり読み慣れていないからか、字面を追いながらも途中、集中を欠いて「ああ、山岡家のラーメンが食べたいな」などと全く別の事を考えて、筋を見失うということが何度かありました。 文豪に対して何て失礼な。 でも、やっぱり、たとえば「城のある町にて」の描写なんて思わず息を呑むし、「Kの昇天」の不思議な世界観は、これまで読んだ小説にはないもので瞠目しました。 いいね、梶井基次郎。
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高校生以来、読んでこなかった檸檬。 久々に手にとる。この本を読むと、色彩が思い浮かぶ。だんだん明るくなったり、急に暗くなったり。 けど、最後は霞んだパステル調で終わる。 短いけど、ドキドキしたり、ワクワクしたり、憂鬱になったり、主人公と一緒に気持ちが変わっていくのも、楽しい。
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風邪をひいたときに、ふと普段はなんてことのない、取るに足らないようなものが無性に愛おしく感じたり、逆に憎らしくなったりする。そんな感覚で梶井基次郎の檸檬への愛着を捉えると、色、重力、形がなんとも鬱状態の対岸に位置する象徴的な意味合いを帯びてくるから不思議だ。質量の捉え方が大きく揺...
風邪をひいたときに、ふと普段はなんてことのない、取るに足らないようなものが無性に愛おしく感じたり、逆に憎らしくなったりする。そんな感覚で梶井基次郎の檸檬への愛着を捉えると、色、重力、形がなんとも鬱状態の対岸に位置する象徴的な意味合いを帯びてくるから不思議だ。質量の捉え方が大きく揺さぶられる。自分の無意識的な質量に対する概念が意識下にさらけ出されるような作品。
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あまりのクレイジーっぷりに、高校の現代文の授業ではいまいちピンと来なかったんだよなあ。 今ではだいすきな作品です。
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痛烈な描写。それは現に檸檬を見て、匂いを嗅いでいるかのよう。そして思わず顔をしかめずにはいられないくらいの、吐かれた痰の色。それらは病に侵され、憂鬱が満ちた生活を送った作者だからこそ見えた世界であり、出来た描写だと思うのです。そんな作者の生活がリアルに写された、短篇集が詰まった本...
痛烈な描写。それは現に檸檬を見て、匂いを嗅いでいるかのよう。そして思わず顔をしかめずにはいられないくらいの、吐かれた痰の色。それらは病に侵され、憂鬱が満ちた生活を送った作者だからこそ見えた世界であり、出来た描写だと思うのです。そんな作者の生活がリアルに写された、短篇集が詰まった本でした。この本、「桜の木の下には屍体が埋まっている!」の一文の原作を知りたくて購入しました。この短篇も痛烈な描写と、人間心理が描かれている印象深いものでした。どの短篇も言葉遣いが難しく、ページ数の割には個人的に読了に時間が掛かってしまいましたが、じっくりとものの描写や人間心理を感じながら読める1冊だと思います。
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面白かった…けど、ちょっと難しかった。 一気に読んだのは失敗だった。 私にはちょっと早かったな、これを読むのは。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読むのに結構疲れた。というのは難しいというんじゃなく、似たような話が多くどれも病気の人の話なので気が滅入る。 文章自体はとてもきれいで詩を読んでいるよう。まだ道路が舗装されていなくて、木の柱に括り付けられた電灯がぼんやり灯り、板を打ち付けた塀の向こうから生活の気配を感じる、そんな昔の光景がありありと浮かぶ。 一冊通して読むと疲れるので、時間の空いた時に一編だけ読むという読み方がお勧め。
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