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終わらざる夏(下) の商品レビュー

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67件のお客様レビュー

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2024/03/24

沖縄戦のことはよく聞くけれど。 なぜだろう、千島列島のことはあまり知らない。 北海道ではより詳しく語られているのだろうか…? いずれにせよ、語り継がれていかなければならない物語。

Posted byブクログ

2024/01/08

太平洋戦争末期にアリューシャン列島の最先端部である根室から1000キロ、ソ連のカムチャッカ半島先端と目と鼻の先の占守島(シムシュとう)に取り残された戦車部隊の奮闘を描いた作品。ぜひ実写化して欲しい。 「終わらざる夏」は第11戦車連隊の顛末だけを描いた作品ではない。徴兵された元出版...

太平洋戦争末期にアリューシャン列島の最先端部である根室から1000キロ、ソ連のカムチャッカ半島先端と目と鼻の先の占守島(シムシュとう)に取り残された戦車部隊の奮闘を描いた作品。ぜひ実写化して欲しい。 「終わらざる夏」は第11戦車連隊の顛末だけを描いた作品ではない。徴兵された元出版社勤務の45歳の老兵、缶詰工場に送られた女工達、上陸作戦に駆り出されたソ連兵、その後のシベリア強制労働など、さまざまな人の織り成すドラマ。 第11戦車連隊の兵士の目線と上陸部隊のソ連兵の目線と、両方から語られる。 心に響いたのはヤクザ者の萬吉が45歳老兵の子供(集団疎開中だが脱走)を助けるシーン。 浅田次郎は戦争の悲惨さを伝える事に人生を賭けていると感じる。

Posted byブクログ

2023/12/09

浅田次郎『終わらざる夏』集英社文庫 読了。終戦間際の夏、北千島の占守島で起きた知られざる戦い。盛岡管内における3名の補充要員(英語翻訳者、歴戦の軍曹、帝大医学生)の召集過程が丁寧に描かれる。登場する一人一人にささやかな夢があった。最後に出てきた藁半紙の辿ってきた道程に思い馳せたい...

浅田次郎『終わらざる夏』集英社文庫 読了。終戦間際の夏、北千島の占守島で起きた知られざる戦い。盛岡管内における3名の補充要員(英語翻訳者、歴戦の軍曹、帝大医学生)の召集過程が丁寧に描かれる。登場する一人一人にささやかな夢があった。最後に出てきた藁半紙の辿ってきた道程に思い馳せたい。

Posted byブクログ

2023/10/21

北方領土関係のことを学ぶために読み進めた作品。悲痛な結末となっているであろう登場人物のそれぞれの人生に想いを馳せ、下巻を読み進めるのはとくにしんどかった。 アメリカ軍への交渉のために動員されたはずの民間人と日本軍。樺太の戦闘を不穏な空気として感じ取っていた時期。米軍の軍師が来着す...

北方領土関係のことを学ぶために読み進めた作品。悲痛な結末となっているであろう登場人物のそれぞれの人生に想いを馳せ、下巻を読み進めるのはとくにしんどかった。 アメリカ軍への交渉のために動員されたはずの民間人と日本軍。樺太の戦闘を不穏な空気として感じ取っていた時期。米軍の軍師が来着する前に、ソ連が国土として希求していた南下指向である千島列島の占守島に上陸、昭和20年8月18日ポツダム宣言を受諾した後だというのに、ソ連軍の攻撃が始まる。 「止めて止まらぬ戦争と、終わってから仕掛けてくる戦争とでは、同じ戦争でもまるでちがうと思うのであります」 「戦争は人と人とがするものじゃないんだ。人間同士がどんなに仲良くたって国と国との戦争になれば、誰もが鬼になってしまう」 立場、場所、時期が錯綜するが、ロシア人との交流や攻め込んだ兵士の苦悩も描かれている。 「クリルでは三千人のソヴィエト兵が殺された。戦争が終わっていたのに。これは犯罪です。だからあなたたちは働く。死んでも働く。あたりまえ」不可侵条約を一方的に破棄して宣戦布告をした国に対して圧勝しながらの降伏で、ソ連邦領内へ強制労働となった際の通訳からのその正当性を主張した返答に理不尽さを感じる。シベリア抑留についても学ばなければ。 敗戦の二文字を消し寄する波自由と書きて鷗飛ぶ見ゆ 夏子の日記に書き留めた歌 疎開先から脱出して親元へ何とかたどり着いた譲や静代の様子や、缶詰工場の女子挺身隊員の帰還のみが救い。 梯久美子さんの解説も胸にしみいるように作品の理解を助けてくれる。野見山暁治さん「旅と雲」リトグラフが表紙。

Posted byブクログ

2023/08/02

千島列島(当時)の最北端の占守(シュムシュ)島、ソ連領のカムチャッカ半島は目と鼻の先。 しかし、そこから東に連なるアリューシャン列島はアメリカ軍が押さえていた。 戦争終結を視野に入れて、大本営はアリューシャン列島からアメリカ軍がやってくると睨み英語通訳を占守島に送り込む。 これが...

千島列島(当時)の最北端の占守(シュムシュ)島、ソ連領のカムチャッカ半島は目と鼻の先。 しかし、そこから東に連なるアリューシャン列島はアメリカ軍が押さえていた。 戦争終結を視野に入れて、大本営はアリューシャン列島からアメリカ軍がやってくると睨み英語通訳を占守島に送り込む。 これが間違いだったとは言い切れないと思う。 お人好し・・・だったのかな。 アメリカ軍ではなく、ソ連軍が国際法を破って侵攻してきた。 上巻中巻にもたびたび出てきたが、原住民や、少数民族に対しての大国のやり口がひどい。 どうして、「土地はもともとそこに住んでいた人たちのもの」と考えることができないのか。 占守(シュムシュ)島の戦闘とはまた別に、『終章』のシベリアの日々が一番悲惨であると感じる。 短い夏に花の咲き乱れる占守島の風景は天国のようだったが、シベリアは地獄だ。 神の兵はそこでは餓鬼となった。 特に、菊池忠彦軍医の先輩である、工藤医師の苦悩を思うと涙を禁じ得ない。 占守島の野戦病院で一度、工藤の様子を見ていればこそ。 工藤は軍医として前線を転々としてきた。 仕事は、負傷した兵の手足を敗血症を防ぐために切断すること。 ひたすら四肢を切り落とし、動脈血管を結紮(けっさつ)するだけの日々。 自分はもう生きて帰っても「普通の手術」はできないと言っていた。 その後送られたシベリアでは、安楽死のための空気注射をしなくてはならなかった。 人を生かすために医師になったのではなかったか。 彼の絶望は計り知れない。 日魯漁業の女子挺身員400名と、疎開先を脱走した静代と譲が無事に帰還できたことだけが救いである。 もう戦争をしてはならないと、登場する大人の皆が若者に言い聞かせているが、世界のどこかで毎日戦争は続いている。 解説は、梯久美子(かけはし くみこ)さん。 占守(シュムシュ)島の悲劇は今に至るまでほとんど伝えられておらず、歴史の闇に葬り去られていたと言う。 この本はもっとたくさんの人に読まれなくてはいけない。

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2023/03/21

いきなりファンタジーになった。中巻の軽井沢、そこで譲と静代が出会ったミーシャがソ連軍将校の魂(?)。その後、譲たちはヤクザの萬助と出会う。それもまた伏線となる。8月15日を境に、子ども達には平和が、占守島には悲劇が訪れる。本書を読むまで知らなかった占守島の戦い。作中にも出てくるが...

いきなりファンタジーになった。中巻の軽井沢、そこで譲と静代が出会ったミーシャがソ連軍将校の魂(?)。その後、譲たちはヤクザの萬助と出会う。それもまた伏線となる。8月15日を境に、子ども達には平和が、占守島には悲劇が訪れる。本書を読むまで知らなかった占守島の戦い。作中にも出てくるが「終わってから仕掛けてくる戦争」であった局地戦。大屋准尉、富永軍曹、片岡二等兵の死を、敵対するソ連軍将校ミーシャの独白で描写する手法が、悲劇を一層際立たせた。

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2022/11/28

知らない史実でした。メタファーとなる物語、夢の連結、私は上野駅が一番印象に残りました。丁寧な本でした。

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2022/10/08

戦争に翻弄される人々のそれぞれの話。 終わらざる夏、終戦を告げる玉音の後に始まった戦闘。 兵士にも敵兵にも一人一人に妻がいて子がいて、母がいて、故郷があった。 軍人として戦って死にたいという誇りと生きて家族に再び会わねばという想いに揺れ、国を守るために戦った。 戦争の悲惨さをあ...

戦争に翻弄される人々のそれぞれの話。 終わらざる夏、終戦を告げる玉音の後に始まった戦闘。 兵士にも敵兵にも一人一人に妻がいて子がいて、母がいて、故郷があった。 軍人として戦って死にたいという誇りと生きて家族に再び会わねばという想いに揺れ、国を守るために戦った。 戦争の悲惨さをありありと感じさせられる作品でした。 「一生戦争をしねえで畳の上で死ねるんなら、その時が勝ちだ。」登場人物の1人の言葉が強く印象に残りました。戦争を繰り返さず、平和な日本を守ってきてくれた方々に改めて敬意を表します。

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2022/09/03

さまざまな人たちの戦争にまつわる群像劇。すべての人たちの一瞬一瞬の出来事や思いを連ねて描いたことにより、単なる戦争悲惨物ではなく、一人一人の生き様が描かれたと思う。 その反面全員のその後も知りたいが、それは自分が味合うこともできないのだから、致し方ないし、それが当たり前なのだ。 ...

さまざまな人たちの戦争にまつわる群像劇。すべての人たちの一瞬一瞬の出来事や思いを連ねて描いたことにより、単なる戦争悲惨物ではなく、一人一人の生き様が描かれたと思う。 その反面全員のその後も知りたいが、それは自分が味合うこともできないのだから、致し方ないし、それが当たり前なのだ。 そう思うと一瞬一瞬の夏を大事にしていきたいと思う。それが戦争をさせない戦後の者の務めと思う。

Posted byブクログ

2022/02/16

ほんの少し前の日本にこのようなことがあったことをなぜ誰も教えてくれなかったのか、ということをすべての教育者に考えていただきたい。と思わせる小説。

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