残月 の商品レビュー
1年待っただけの価値ある快作と言っていいだろう。 今作の主人公は、ご寮さんといっていいか。息子佐兵衛に再会でき、しかも、新しい人生が開ける。 さて、この後、澪は「つる家」を離れ、どういう明日が待っているのか、次回作がさらに待ち遠しい。 それにも増して、今回は、りうさん、あるいは種...
1年待っただけの価値ある快作と言っていいだろう。 今作の主人公は、ご寮さんといっていいか。息子佐兵衛に再会でき、しかも、新しい人生が開ける。 さて、この後、澪は「つる家」を離れ、どういう明日が待っているのか、次回作がさらに待ち遠しい。 それにも増して、今回は、りうさん、あるいは種市の、人生の奥深さを知らされる言葉に出会えたことに、感謝したい。 「この齢になってわかることだが、残された者が逝っちまった者のために出来ることは、そう多くは無えのさ。中でも大事なのは、心配をかけないってことだ」 「子の幸せと親の幸せを混同しないことです。いっぱしに成長したならば、子には、自力で幸せになってもらいましょうよ。そして、親自身も幸せになることです。ひとの幸せってには、銭のあるなし、身分のあるなしは関係ないんです。生きていて良かった、と自分で思えることが、何より大事なんですよ」 「ひとは齢を重ねれば重ねるだけ、寂しくなっていく。誰かを支え、誰かに支えられてこそ、生きる望みも湧くというものです。・・・生きていて良かった、と自分で思えることが、何より大事なんですよ」
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この人遅筆~!!内容面白いのに、こんなに出すの遅いと忘れちゃうってー!今回は割と、作者のSっぷりが落ち着いていた感じで、澪もあんまり辛い思いしなかったのでよかったんじゃないかなー。佐兵衛の行方も分かったし、芳も幸せになれそうだし。この際澪は一柳を継いで天満一兆庵を再興すればいんじゃね?少なくともつる家よりは一柳の方が格は上でしょ。
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やっと、やっと読むことができた新刊です。1年3ヶ月、待ち望んでいました。 登場人物紹介にて、小松原さまの名前がないことで落胆。早帆さんとの再会においても、しとしと泣きましたとも!私自身も彼に恋してたんだなー…あーあ。 又次さんを想うみんなの気持ちに冒頭から胸が苦しいし、野江ちゃんとの再会では声を押し殺して泣きましたとも。澪だけが知る自分になって会いに行きたいだなんて、もう泣くしかない。 相変わらず清右衛門先生は傲慢だけど粋で、坂村堂さんはお父さんと仲直りできて良かったー。 それよりなにより、ご寮さんよね!! 佐兵衛と会え、恋する人が現れ、ましてやその想いが叶うとは!! 幸せが訪れると「いや、なにかあるはずだ」と懐疑的になってしまいますが、ご寮さんに関してはたっぷりと幸せに浸ってほしい!! ついでに言うと、澪にもその幸せを分けてあげてほしい。特に想いが叶うという点において。 朝日新聞に掲載されていた短編も収録してあり、新聞で読んでいましたが、またじっくり読めて良かったです。 はあーもう、早く続きが読みだい!!!
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残から新へ 夏の哀切の涙から始まり、冬の希望の涙で締める今作。これまでの澪の心残りに一気に方を付け、新しい世界へと旅立たせる。澪だけではなく、つる屋で巡り会った人たちの上にも変化が訪れる。
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前半はもう、苦しくて苦しくて、なんで次々とこんなつらいことが襲ってくるのかって思ったけど、だんだん、人の理解を得て、力をもらい、少しずつ前に前に進んでいく展開が、もう、本当に…高田ワールド全開!!でした。 「寒中の麦を思え」 麦ってあんまり身近にないから、澪と一緒になんだろう、な...
前半はもう、苦しくて苦しくて、なんで次々とこんなつらいことが襲ってくるのかって思ったけど、だんだん、人の理解を得て、力をもらい、少しずつ前に前に進んでいく展開が、もう、本当に…高田ワールド全開!!でした。 「寒中の麦を思え」 麦ってあんまり身近にないから、澪と一緒になんだろう、なんだろう、って思っていたけれど、最後の種明かしに泣けました。
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小野寺数馬との道が分かたれ、吉原が焼け、又次を喪ったが、澪の人生はまだ続く。 今作では、ご寮さん芳が探していた佐兵衛の行方に、ついに迫る。 ついに迫る、というか、急に浮上、というか。 又次の不在に、終始しんみりした巻であったのだが、とことん悲しんで悼んで、偲んで、又次の意思を組...
小野寺数馬との道が分かたれ、吉原が焼け、又次を喪ったが、澪の人生はまだ続く。 今作では、ご寮さん芳が探していた佐兵衛の行方に、ついに迫る。 ついに迫る、というか、急に浮上、というか。 又次の不在に、終始しんみりした巻であったのだが、とことん悲しんで悼んで、偲んで、又次の意思を組み込み、自分の中に生かしてまた、歩き出す、そんな登場人物たちの姿がよかった。 そんな中で、苦労続きだった芳に思いがけないよいことが巡ってきてほんとうに嬉しい。 心星を探っていたときは、何を選びとればいいのか読者にもわからないくらい道はたくさんあったけれど、この巻ではそれが整理されて、目指す道が定まりつつある。 スピード感があるハードな物語ではないのに、八朔の雪からずっと中弛みのないままここまで来ている。すごいな、と思う。 続きが楽しみだ。
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待ってた続編。 ええと、第何段になるのか??? はれて商売再開したものの、やっぱ以前の雰囲気のお店には戻れないのだなぁ。 そこがちょっと寂しい。 あのコの料理の上達と、あのヒトの両想い成就が、本作での喜ばしい事柄であります。
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内容紹介 吉原の大火、「つる家」の助っ人料理人・又次の死。辛く悲しかった時は過ぎ、澪と「つる家」の面々は新たな日々を迎えていた。そんなある日、吉原の大火の折、又次に命を助けられた摂津屋が「つる家」を訪れた。あさひ太夫と澪の関係、そして又次が今際の際に遺した言葉の真意を知りたいと...
内容紹介 吉原の大火、「つる家」の助っ人料理人・又次の死。辛く悲しかった時は過ぎ、澪と「つる家」の面々は新たな日々を迎えていた。そんなある日、吉原の大火の折、又次に命を助けられた摂津屋が「つる家」を訪れた。あさひ太夫と澪の関係、そして又次が今際の際に遺した言葉の真意を知りたいという。澪の幼馴染み、あさひ太夫こと野江のその後とは―――(第一話「残月」)。その他、若旦那・佐平衛との再会は叶うのか? 料理屋「登龍楼」に呼び出された澪の新たなる試練とは・・・・・。雲外蒼天を胸に、料理に生きる澪と「つる家」の新たなる決意。希望溢れるシリーズ第八弾。
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枝分かれをした道のひとつを選んだ旅人は, 選ばなかった道がどうだったか,思い描いたりはしない。 自分の選んだ道の先を信じて, ひたすら歩み続けるしかない。
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今回も登場人物たちそれぞれの思いがとても大事に描かれていて、切なくて涙しながら読みました。各人が前に進んでいこうとする姿に励まされる思い。
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