アレグリアとは仕事はできない の商品レビュー
仕事がうまく進まない感じがリアルに伝わってくるというか 心境的にはそんな感じっていう そしてアレグリアみたいなやつに対する苛立ちとか こんな極端なシチュエーションではないけど、なんか分かるな、みたい そしてウッカリしちゃったこととか 別にやる気がないとかそんなのではないんだけど、...
仕事がうまく進まない感じがリアルに伝わってくるというか 心境的にはそんな感じっていう そしてアレグリアみたいなやつに対する苛立ちとか こんな極端なシチュエーションではないけど、なんか分かるな、みたい そしてウッカリしちゃったこととか 別にやる気がないとかそんなのではないんだけど、嫌なんかダルいなっていう なんも考えたくなくて「あー」しか言えない気分を、言語化できてるというか そして同僚がおなじくOA機器に愛着持ってるシーンとか、なにか得も言えない感動がある 孤独な世界に、同族を見つけたような 案外近くに、仲良くなれそうな人がいたんだっていう あと営業の人とかに見下されていたりとか ナチュラルにダルいなって気持ちがわかり味深い こういう小説が読みたかったな、ていう感じ
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
表題作は1ページ目から面白かった。アレグリアを罵倒する言葉のバリエーションの豊かさに笑ってしまった。 まともにコピーもできないなんて、文句の一つも言いたくなるのは分かる。分かるけど、あまりに細かいのでそうイライラせかせかするなよと言いたくなってくる。そこへ来て先輩の冷ややかな一言で凍えそうになった! たった二年とはいえ一緒に仕事をしてきた二人の仲が、こんな機械ひとつで亀裂が入るのは悲しかった。仲直りできて良かったけれどもう一緒に仕事をすることはないのが切ない。 ただの複合機の話なのになんでこんなに面白いんだろうと不思議だった。 二作目は電車の痴漢の話で気持ちが沈んだ。 人は見たいものしか見ないのかもしれない。男の目に映っているものと、女の目に映っているものが違うかもしれないと思った。 特に大学生のイチカワ視点だと、隣の人が痴漢に遭っていても気づきもしないのが現実、と思うと悲しくなる。 同じ場にいた四人それぞれの視点に切り替わっていくのが良かった。
Posted by
大型複合コピー機のアレグリア対女子社員ミノベの対決譚。これで話を広げられる作者のクレバーさが好きだ。
Posted by
うーん、なんというか津村記久子のいいところ無しでネガティヴな部分だけが際立った一冊かな。彼女の良さって世の中の窮屈さや生きづらさや会社での苦しさをベースにしながら、その中での人の気持ちの触れ合いとかを上手に描くとこかと思ってたんだけど、この本の二編にはそれがない。ひどい複合機で辛...
うーん、なんというか津村記久子のいいところ無しでネガティヴな部分だけが際立った一冊かな。彼女の良さって世の中の窮屈さや生きづらさや会社での苦しさをベースにしながら、その中での人の気持ちの触れ合いとかを上手に描くとこかと思ってたんだけど、この本の二編にはそれがない。ひどい複合機で辛いだけ。地下鉄の中でみんな殺伐としてて辛いだけ。救いがないよ。特にアレグリアの方は過去プリンタの保守をやっていた自分としては全く感情移入出来ないし笑えもしなかった。地下鉄の方は言いたいことわかるし俺も尊大やら無礼な奴らには辛辣だけど、ここまでじゃないなあと冷めて読んでた。
Posted by
苛立ちがすごい。怒ってる。わらってしまう。 しんどかったり、どうしようもなかったり、でもなんとかなるから、津村記久子はよい。
Posted by
この本の登場人物は、みんな怒っている。その理由に初めは共感するけれども、だんだん「そんなに?」と思ってしまうほど、怒っている。でも、不思議と不快ではない。言いたいことを言ってくれているから。そして、それが過剰な表現になる程、読んでいる側は冷静になる。怒りのデトックスになる本である...
この本の登場人物は、みんな怒っている。その理由に初めは共感するけれども、だんだん「そんなに?」と思ってしまうほど、怒っている。でも、不思議と不快ではない。言いたいことを言ってくれているから。そして、それが過剰な表現になる程、読んでいる側は冷静になる。怒りのデトックスになる本である。
Posted by
津村記久子さんの小説の人物は、 いつも怒っている。 舌打ちをし、モノに当たり、 脳内で相手をこれでもかというほどに罵倒する。 でも、同時に周囲からの目線も認識していて、 怒るしかない自分のことを、冷静に恥じている。 日頃通勤しながら働きながら、 誰もが何かに怒っているのではない...
津村記久子さんの小説の人物は、 いつも怒っている。 舌打ちをし、モノに当たり、 脳内で相手をこれでもかというほどに罵倒する。 でも、同時に周囲からの目線も認識していて、 怒るしかない自分のことを、冷静に恥じている。 日頃通勤しながら働きながら、 誰もが何かに怒っているのではないだろうか。 わたしもその1人であり、 いつも自分の心の狭さを思っては虚しく、 やるせなくなる。 それでも皆んな、 舌打ちや相手に殴りかかりたい気持ちを抑えながら生きているんじゃないだろうか。 どこへもいけない怒りの感情を、 この作品が代弁してくれる。 表題作の主人公ミノベや、 後半収録の小説のあの子。 彼女らの怒りと涙に、 わたしは心からの共感と尊敬をする。 津村さんの小説がくれる励まし。 近くには居なくても、 この世のどこかで気づいてる人がいる。 私だけは、分かっているからね。 小説の向こうで津村さんと目が合って、 力強く頷き合った。
Posted by
ミノべのキャラクターが一貫している。当たり前だけど同性同士だからといって何から何まで共感できるとは限らない、当たり前だけど。頼りにしていた存在との相容れなさに気づく過程が切ない。 『地下鉄の叙事詩』一つの朝を多面的に描いていて面白かった。みんな勝手なこと思ってる。周囲を負け組と...
ミノべのキャラクターが一貫している。当たり前だけど同性同士だからといって何から何まで共感できるとは限らない、当たり前だけど。頼りにしていた存在との相容れなさに気づく過程が切ない。 『地下鉄の叙事詩』一つの朝を多面的に描いていて面白かった。みんな勝手なこと思ってる。周囲を負け組と見なし、自分だけは特別だと多かれ少なかれ思い込んでしまうあの感じ。それを読み手の中に呼び起こす描写に冷や汗です。あと痴漢する奴は死んじまえよな。
Posted by
アレグリアを苦手な同僚(人間)と読み替えるのが自分的正解読み方! いらつく対象に自分しかいらついていない状況って本当にいらいらを増大させるんだよなぁ
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
仕事ができて、他の人の仕事の仕方についてもしっかり見極めて評価していそうな職場の同僚が貸してくれて読みました。 「仕事というもの」「仕事への向き合い方」を考えさせられる物語です。”アレグリア”は事務職に就く主人公の女性(ミノベ)の職場にある複合機。ただのコピー機ではなく、データを受信してかなり大きなサイズの紙で出力する機械のようだ。それがすぐに調子が悪くなる。ミノベはその機械”アレグリア”に対して、かなり感情的になりながら対応する。それに対して、いつもクールで仕事ができる先輩は、「相手は機械なんだからそんなに感情的にならなくても・・・。」と、ドライな対応。アレグリアの不調に悩まされているのは同じなのに態度が全然ちがう。 どちらが仕事人として、正しい態度なのだろう?ミノベの目線で書かれているので、読者はミノベに感情移入し、ミノベの気持ちを理解しない他の男性社員や、先輩に対してちょっと腹が立ってくる。 終盤、アレグリアの不調に耐えきれなくなったミノベと先輩が行動を起こす。ミノベは本当にアレグリアをぶっ壊すつもりだったが、より究極的に、破壊的な行動をしたのは意外にもそれまでクールだった先輩のほうだった。アレグリアのせいで、これまでちゃんとこなしていたことができず、しかもそれを男性社員にネチネチと叱責されたためだった。 私は仕事で、あまり頑張りすぎないことを心がけている。いや、いつも頑張ってはいるが、「持続可能な程度に頑張る」ことを心がけている。仕事の手加減、どれくらい頑張るか、というのは、一つの仕事を長く続けていくにはとても大切なことなのだ。 ミノベとアレグリアとの攻防を描いた物語、ただそれだけでも十分面白く読み応えがあったが、意外な展開で「仕事に対する姿勢」というものを考えさせられる内容だった。 併せて収録されている「地下鉄の叙事詩」は、都心の満員電車内での複数人の心模様を描いている。 私は地方に住んでいて車で通勤しているが、満員電車というものがいかに恐ろしい空間なのか、ドキドキしながら読んだ。3人目までは、満員電車で心の中で悪態をついている人々それぞれの物語だが、4人目からそれがつながり、最後には一番若い女の子に感情移入して泣きそうになる。まじで痴漢死ねばいいと思う。 2020年、コロナで時差出勤や在宅勤務が取り入れられるようになり、人との距離を取ることが提唱されるようになった。今、通勤通学ラッシュというものはどうなっているのだろう?こんな殺人的な、非人道的なものは、もう二度となくなっていればいいな、と自分には関係ないのに心から思った。
Posted by