アレグリアとは仕事はできない の商品レビュー
2つの短編集。 アレグリアの方はすぐ壊れる、まったく言うことをきかない複合機アレグリアと主人公との仁義なき戦い。 うちの複合機も時々腹立つ動きをするので主人公の怒りがすごいよくわかるし面白かった! もうひとつは地下鉄に乗り合わせた人物を視点を変えながらただ自らの人生と重ねつつ批評...
2つの短編集。 アレグリアの方はすぐ壊れる、まったく言うことをきかない複合機アレグリアと主人公との仁義なき戦い。 うちの複合機も時々腹立つ動きをするので主人公の怒りがすごいよくわかるし面白かった! もうひとつは地下鉄に乗り合わせた人物を視点を変えながらただ自らの人生と重ねつつ批評していく話。 こちらも電車あるある満載で面白かった。 世間にいるマナーの悪い嫌な人々に本気で死んでくれと願ってるような人が出てくるけど、これもわからなくもない。 みんなの愚痴を集めたような話で最後はちょっとすっきりで終わった。
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読んでいて辛くて泣きそうになった。すごく重々しい描写はされていないのだけど、不平不満を抱えていたり、自分や社会に対して諦めや限界を感じていたり、自分の立場を守るために他人を見下したりしながら生きている登場人物たちがどうしようもなく孤独に感じられたから。でも決して悲観的なだけでは...
読んでいて辛くて泣きそうになった。すごく重々しい描写はされていないのだけど、不平不満を抱えていたり、自分や社会に対して諦めや限界を感じていたり、自分の立場を守るために他人を見下したりしながら生きている登場人物たちがどうしようもなく孤独に感じられたから。でも決して悲観的なだけではなく、特に「地下鉄の叙事詩」のラストではなんとか前向きに生きていけそうだと思うことができて、また違った意味で涙が出そうだった。
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二つとも、題名や最初の流れからドタバタ喜劇だと思っていたが、そんな事はなかった。真面目な小説。津村記久子って凄いなぁと感心せざるを得なかった。
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図書館で。表紙カバー裏を見ると色々賞を取っている作家さんなんですね。初めて読みましたが他の作品もこういう調子の作風なら自分には合わないな。 表題作は取りあえず主人公が感情的で文章なのにうるさく感じました。イライラが画面を通してこちらに伝わってくる感覚に疲れるというか。物にあたっ...
図書館で。表紙カバー裏を見ると色々賞を取っている作家さんなんですね。初めて読みましたが他の作品もこういう調子の作風なら自分には合わないな。 表題作は取りあえず主人公が感情的で文章なのにうるさく感じました。イライラが画面を通してこちらに伝わってくる感覚に疲れるというか。物にあたっても仕方ないだろう…とは思うけれども確かにイラっとするときはある。だけどここまでヒステリックに怒っている主人公に段々不安になる。この人、大丈夫かな?という感じで(笑)なので微妙に話を避ける先輩になんとなくそうだよね、と思っていたら。先輩も大概だった(笑) 会社の事だし妥協するか建設的に上司もしくは担当者に訴えて現状を解決するしかないだろうとは思うのですがその辺りも複雑な事情が絡んできて面倒くさい。そして登場人物たちの名前表記がすべてカタカナで誰が誰だかわからなくなりました。日本人の名前って3文字か4文字が多いんだもの。 地下鉄の方は一人目で読む気を失くしました。なんていうのか情緒不安定な登場人物が多すぎる気がする…。通勤帰りに気楽に読むのには向かなかったなあ… という訳でこの作家さんは自分には合いませんでした。
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短編が2つ収録。表紙のイメージや語りの軽快さから軽く読める感じの話なのかな?と思って読み進めるけど、意外とそうでもない。 <アレグリアとは仕事はできない> 文句を垂れながらも、なぜだかうまくやっていく主人公は、同著者のほかの小説同様健在。ややバイオレンスな傾向はあるかもしれな...
短編が2つ収録。表紙のイメージや語りの軽快さから軽く読める感じの話なのかな?と思って読み進めるけど、意外とそうでもない。 <アレグリアとは仕事はできない> 文句を垂れながらも、なぜだかうまくやっていく主人公は、同著者のほかの小説同様健在。ややバイオレンスな傾向はあるかもしれないが。 バイオレンスなだけに、もう一人の中心人物「トチノ」は主人公とは対照的。蹴りを食らわせるも大慌てで足跡を消す主人公「ミノベ」と、突然ケーブルをぶった斬る「トチノ」。 「だからどうしてそれを口に出してくれなかったんですか。」(p.89)の言葉はもっともだし、私自身そう心がけているつもりではいる。しかし、「ミノベ」のように生きるべし、というほど単純なものでもない。そこには孤独との戦いもある。でも、何より、取り返しのつかないことが、起きてしまっている。 ではどうすればいいんだろう?なんて聞いたところで明確な答えがあるものでもないし、だからこうした小説があるのかとも思う。笑いを誘う文体やきれいな終わり方に救われる感じはするが、結構重い。 ただ、この話を重いと捉えるのも、よくないことなのかも。 <地下鉄の叙事詩> 小説を読むのは難しいな、と感じた。 大学生イチカワのいかにもな斜に構えた態度は、若き日の過ちというか、みっともないな、くらいには思っていた。しかし、語り手が変わってからの徹底的な叩かれっぷりは想像をはるかに超えていた。 (余談ながら、先日読んだ平山瑞穂『ラス・マンチャス通信』も、語り手と周囲の認識の差が特徴的で、本作を読んでから、いろいろ気付くことになった) 小説を読み始めたころ、登場人物の心理描写をしっかり見ていこう!と意気込んでいたけど、字面に頼りすぎていたのかもしれないなぁ・・・と、何百と読んできて今更ながらに気が付いた。読んでよかったと思う。
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表題作は、コピー機をめぐる会社員小説・・・と書くと、地味すぎる物語に思えるかもしれませんが、やはりそこは芥川賞作家による作品、やっぱり読ませます。機械と人間に対するモヤモヤした気持ちが交錯しながら物語は進みます。きっと一気に読ませます。 同書に収録されている「地下鉄の叙事詩」で...
表題作は、コピー機をめぐる会社員小説・・・と書くと、地味すぎる物語に思えるかもしれませんが、やはりそこは芥川賞作家による作品、やっぱり読ませます。機械と人間に対するモヤモヤした気持ちが交錯しながら物語は進みます。きっと一気に読ませます。 同書に収録されている「地下鉄の叙事詩」では、電車という機械と乗客という人間に対するモヤモヤした思いが増幅されていきます。その意味で、表題作の延長にあります。
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今までなかったですよね、機械に弄ばれる人間の話(笑) 地下鉄の叙事詩もおもしろかった。 人間ってぱっと見じゃわからない。
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面白い!! 表題作はよくPCのエラーに悩まされる私には、共感の嵐。読後のなんともいえない爽快感も良い感じ。 そして併録作のリアリティが素晴らしい。 満員電車ってああだよね。
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表題作は、アレグリアという性悪な?複合機を通して、会社の中の歪みを浮き彫りにしていく。詳細なアレグリアの仕事に対する描写が滑稽でもあり、ただそれによって暗鬱なリアルな感情が浮かび上がる。不機嫌が不機嫌のままに過ぎていく。所々に自分が感じられる感情が散りばめられていて物語に引き込ま...
表題作は、アレグリアという性悪な?複合機を通して、会社の中の歪みを浮き彫りにしていく。詳細なアレグリアの仕事に対する描写が滑稽でもあり、ただそれによって暗鬱なリアルな感情が浮かび上がる。不機嫌が不機嫌のままに過ぎていく。所々に自分が感じられる感情が散りばめられていて物語に引き込まれていく。 地下鉄の方は、まあ藪の中、といった感じで構成的には新鮮味はないかなと。
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「人間と機械は違うでしょう」 「同じですよ」 アレグリアというコピー機は大事なところで動かなくなる。 機械に本気で腹を立てる女子社員の主人公と、 いつも涼しい顔でおだやかな先輩と、 アレグリアを通じて恋する修理屋とその他いろいろ。 一台の機械をはさんでここまで人間関係を克明に...
「人間と機械は違うでしょう」 「同じですよ」 アレグリアというコピー機は大事なところで動かなくなる。 機械に本気で腹を立てる女子社員の主人公と、 いつも涼しい顔でおだやかな先輩と、 アレグリアを通じて恋する修理屋とその他いろいろ。 一台の機械をはさんでここまで人間関係を克明に描けるのか。見せかけじゃない。本気で生きている人間の感情が動いているからずっと読んでしまうし緊迫したシーンとくだらないシーンのメリハリがわし掴んで離さない。 同時収録の「地下鉄の叙事詩」は 正直退屈だと思った。さいしょ。 でも痴漢された女子高生の章を読んで、これは 「それでも僕はやってない」ばりに映画にできる、と思った。 やられた側の耐えがたい心情と、痴漢男への憎悪と、一部始終と、わかってくれたひとができる範囲の現実と、そういったことがただのフィクション・作り話ではない、とおもった。 ほんとうに殺したいとおもったって、殺せないから。 殺しちゃうひとはやっぱちょっと私たちと生きてる世界が違うから。 ミステリーとか、事件ものとは違う、一見地味なんだけど、すごくすごく、わたしたちが通過していること。 ここにはわたしたちのわかる(理解・共感できる)世界のことが、ちゃんと書いてある。
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