キャリア教育のウソ の商品レビュー
学生のテキストにできるかなと思って読んでみたら、 ・2013年に発行されているから結構時間が経過している ・内容に学生向けとキャリア教育教員向けが混在している印象 で、学生のテキストとしては残念な感じだったけど、ところどころ、授業のエッセンスとして使えるところはあった。
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大学でキャリア教育論を18年近く教えている著者による、中高で行われる「キャリア教育」が推進されるワケやその方法の問題点を解説したもの。帯には「『やりたいこと至上主義』のワナとは」と書かれていて、キャリア教育の理想論と現実がいかにマッチしていないか、ということが語られる。 おれ...
大学でキャリア教育論を18年近く教えている著者による、中高で行われる「キャリア教育」が推進されるワケやその方法の問題点を解説したもの。帯には「『やりたいこと至上主義』のワナとは」と書かれていて、キャリア教育の理想論と現実がいかにマッチしていないか、ということが語られる。 おれも現場の教員で高1担当で、まさに「探究」みたいな時間に「キャリア教育」を行なっている立場なのに、ずっと「キャリア教育」の胡散臭さみたいなものを感じているので、ちょうどこの本はおれの感覚に合っていることもあって読みやすかった。最初は、基本的に中高の指導経験がない人が書く中高生対象の教育論というものに懐疑的なので、この本自体にも胡散臭さを感じてしまったが、読んでいくうちに、共通の敵という感じで指導要領批判が出ているので、敵の敵は味方、みたいな感じになってしまった。あとキャリア教育も胡散臭いけど、p.40以降でも述べられている「キャリア教育ビジネス」はもっとイヤ。って言って最近そういう人たちの学校への半ば売り込み的なセミナーに参加させられることになり、話題自体がすごい身近だった。 まずキャリア教育の内容として、「①『自己理解』系、②『職業理解』系、③『キャリアプラン』系」(p.57)と整理されていることがあらためて確認できた。確かにどれもやってるし想像できるなあ。余興としてはいいけど、本当に真面目にやるのはどれも好きじゃないなあ、という感じ。「夢、やりたいこと、就きたい職業」(p.64)なんかを答えさせないといけない指導、とか本当やだなと思っている。その理由がちゃんと明確に書かれているので、ある意味痛快だった。「日本の職業世界では、専門職や専門的職種などを除くと、そもそも雇用はジョブ(仕事)によって切り分けられていない。文系のホワイトカラーなどでは、その枠内であれば、どんな仕事にも対応できることが求められる。職業世界の『現実』がこうであるのに、キャリア教育においては『やりたいこと(仕事)』を明確にすることが求められる。ーこうした対応関係には、もともと無理があるのではないか。」(p.67)、「実際には多くは、『事務系の会社員』、『サービス系の会社員』、『技術系の会社員』になっていくのではないか。(略)具体的な仕事内容は、入社してからしか確定しない。」(同)というのが、分かりやすい現実だと思う。就労経験のない子どもや若者が「『やりたいこと(仕事)』を見つけるとは、いったいどういうことなのだろう。これまでの経験で接したことのある職業人に影響されて、ということもあるだろうが、それも、学校の先生や病院の看護師といった、かなり狭い範囲での『経験』に限られてしまわないか。そうでなければ、メディアを通じて得た『情報』に飛びつくということであろう。要するに、子どもや若者は"絶対的な意味で"職業(仕事)をよく知らないのである。」(p.74)というのも全くその通り。「イメージ先行型の"憧れ"に近いものになるか、"出会い頭"に近い選択になってしまうのではなかろうか。」(同)というのに納得した。そして、「キャリアアンカー」、「キャリアアダプタビリティ」という言葉を初めて知ったし、その考え方も理解できたが、それは中高生で考えるのはちょっと難しいんじゃないか、と同時に思った。「自分が働くうえで大事にしたいこと、実現したいと思うこと、自らの『価値観』や『軸』を掘り下げておけば、いざ仕事をする際には選択肢はいくつも広がっているはずである。」(p.88)ということで、こういう方向での指導が可能なのであれば、そっちの方が感覚には合うなあという感じがする。あとは「正社員になろう!」(p.137)なんて、よくこんな資料作るな、と思ってしまった。こういう資料を作る年代のあなたたちのせいで正社員なれない人いるんじゃないの、とか意地の悪いことを思ったり。 で、最後に、では本当に理想の「キャリア教育」の中身はどんなものになるべきか、という話があり、その中では「労働法についての学習、相談・支援期間についての情報提供」(p.155)とかリアルだなと思った。おれも知らないな、こういうの、とか。著者自身も書いているが、この本自体が10年以上前のものなので、現在の状況についてアップデートされた分析が知りたい、と思った。(24/11)
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学生が就活前に読んでほしいもの キャリア教育の焦点が、職業や就労だけに当たってしまっている。 ② キャリア教育への取り組みが、学校教育全体のものになっていない。(教育課程から見て、〝外付け〟の実践になってしまっている。 キャリアとは、「これまでの、そしてこれからの人生の履歴」を...
学生が就活前に読んでほしいもの キャリア教育の焦点が、職業や就労だけに当たってしまっている。 ② キャリア教育への取り組みが、学校教育全体のものになっていない。(教育課程から見て、〝外付け〟の実践になってしまっている。 キャリアとは、「これまでの、そしてこれからの人生の履歴」を意味する。しかし、そこには、そうした「履歴」が〝変転の可能性を含んでいる〟という含意がある。少なくない〝節目〟や〝転機〟が存在することが想定されている。 キャリア教育とは、字義どおりに解せば、「キャリアのための教育」であろう。つまり、変化の激しい社会に 漕ぎ出ていって、そこで自らのキャリアを築いていくための準備教育で「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる。 社会的な存在である人は、人生の履歴において、さまざまな「役割」を引き受けながら生きていく。 それは、役割を引き受けるという仕方で社会に参加し、貢献していくことでもある。 そして、そうした「役割」を担うことができるように成長すること、そのことを、自分の「生き方」として、自分の中に統合していけることが「キャリア発達」で ①「自己理解」系 ②「職業理解」系 ③「キャリアプラン」。 日本の職業世界では、専門職や専門的職種などを除くと、そもそも雇用は、ジョブ(仕事) によって切り分けられていない。文系のホワイトカラーなどでは、その枠内であれば、どんな仕事にも対応できることが求められる。職業世界の「現実」がこうであるのに、キャリア教育においては、「やりたいこと(仕事)」を明確にすることが求められる。──こうした対応関係には、もともと無理があるのではない。 ① 日本の雇用慣行においては、そもそもジョブ(仕事) に応じた採用や育成がなされないことが多い。 ② 「やりたいこと(仕事)」の見つけ方が、主観的な視点に偏ってしまう可能性がある。 ③ 「やりたいこと(仕事)」を、その実現可能性や社会的意味との関係で理解する視点が弱いように思わない。
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教採の面接対策にと一読。 教える側はもちろん,生徒や学生にも非常に読みやすい一冊でした。 社会構造から一昔前とは異なる雇用環境,崩れる終身雇用制,右肩上がりの非正規雇用。読者である私も非正規労働者です。大切なことは「この仕事」よりも自分の軸を持つこと。
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日本の学校の狭い「キャリア教育」の何が問題かをわかりやすく解説しています。「はじめに」に筆者が述べているように、本書は「ここが問題」ということを述べていて、逆説的に「何が必要か」を読者が考えるという構図です。 具体的にどんな職業があり、そこで働く人たちがどう働いて生活しているかを...
日本の学校の狭い「キャリア教育」の何が問題かをわかりやすく解説しています。「はじめに」に筆者が述べているように、本書は「ここが問題」ということを述べていて、逆説的に「何が必要か」を読者が考えるという構図です。 具体的にどんな職業があり、そこで働く人たちがどう働いて生活しているかを知らないまま「何になりたいか」と聞かれても、そりゃYouTuberしか出てこないよね、と納得する中身です。 新書ということもあって大展開できなかったと思いますが、具体的にどんな実践が考えられるか前向きに考えられる要素がもっと知りたいと思いました。
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中高のキャリア教育がメインテーマ。 ・キャリア・アンカー(自分の軸)を表現する練習をすること ・社会の構造を知ること なりたい職業を決め打ちするのではなく、変化する時代においてキャリアを考え続けられるようにするための土台をいかにつくれるか。だなあ。
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キャリア教育と問題点がわかりやすく書かれているが、わかりやすい具体例は載っていない。 学生に向けて書かれた語り口だが、教職員の参考になる。 目指すべきことを理解して、個々の現場での事例を考えるヒントになる。
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現在急速に広まっているキャリア教育。 正社員に成れれば良いのか、キャリアプランなんて立てられるのか、職業体験の意義は? やりたいこと至上主義のワナから脱し、自らのキャリアを考える方法が書かれています。 要するに、従来の学校においては、生徒は「銀行型」の学習を行っていた。知識やス...
現在急速に広まっているキャリア教育。 正社員に成れれば良いのか、キャリアプランなんて立てられるのか、職業体験の意義は? やりたいこと至上主義のワナから脱し、自らのキャリアを考える方法が書かれています。 要するに、従来の学校においては、生徒は「銀行型」の学習を行っていた。知識やスキルを学んで、それを”預金”のように貯めこんでおく。卒業後には、そうして預金しておいた知識やスキルを引き出しながら、仕事や人生を送っていくのである。このモデルにおいては、学習は基本的には学校卒業の時点で終了する。 しかし、変化の激しい今日の社会では、学校時代に”預金”した知識やスキルだけでその後の仕事や人生を乗り切っていくことはできない。生涯、知識やスキルの修得を続けていく必要がある。 そうした時代に求められる在学時の学びが、「料理教室型」の学習である。料理教室では、知識としてもスキルとしても、料理の「いろは」は教えてもらうけれども、その後自分が作ることになるすべてのレシピを習うわけではない。修得するのは、料理の仕方である。 しかし、それさえ修得すれば、生涯いつでも、料理番組や料理本のレシピを参考にしたりしながら、自分で料理を作れるようになる。しかも、料理教室で学んだやり方を忠実に守るのは、おそらく初期の段階だけである。その後は、誰もが自分なりの料理法や味付けなどを創意工夫していき、自分なりの環境に合わせていく。「銀行型」の学習よりもはるかに自由度が高く、応用範囲も広い。 ー 176ページ 君たちの目の前に「未来マップ」というものが存在するとしよう。(中略) 「未来マップ」には、頼りになる鉄道の路線も幹線道路も書き込まれていないかもしれない。しかし、「羅針盤」があれば、自分が今どこにいるのかを確かめることができる。これから進んでいく方向をつかむことができる。道を間違えたら、あらためて別の道を辿り直す手がかりにもなってくれる。そして、線路や道路なんて、自分で書き込んでしまってもいいわけだ。「羅針盤」は、自分の生き方の「軸」である。自分のなかでじっくりと育て、磨きあげていってほしい。 ー 182ページ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中高生に向けて、本来のキャリア教育を説明している。大学生や社会人でも、狭すぎるキャリア教育(俗流キャリア教育)に翻弄されてモヤモヤを抱えている人なら、読むと少しスッキリするのではないかと思う。感覚的に「料理教室型」の学習という比喩はわかりやすかった。学び方を学び、いざという時に活かせてこそのキャリア教育。決して、正社員になることを第一に目指すような教育ではない。それを知る本。
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社会構造が変化している現代において、これまでのキャリア教育が当てはまらないものとなっている。 キャリア教育とは、社会の中で自分らしい生き方を実現していく過程であり、個人の特徴を受け入れながら社会の役割に応え貢献していくこと。 なので、よくある、やりたいこと探しや職業理解のような...
社会構造が変化している現代において、これまでのキャリア教育が当てはまらないものとなっている。 キャリア教育とは、社会の中で自分らしい生き方を実現していく過程であり、個人の特徴を受け入れながら社会の役割に応え貢献していくこと。 なので、よくある、やりたいこと探しや職業理解のようなものは断片的なもの(狭すぎるキャリア教育)である。 ①自己理解→②職業理解→③キャリアプラン、といった流れで行われることが多いが、アメリカで生まれたこの理論が当てはまるとも限らない。 ①について、そもそも現実的な仕事の種類や内容を知らずに、やりたいことを見つけることは難しい。「なりたい職業ランキング」みたいなものも、聞いたことがある仕事やテレビで露出しているものなど、イメージや憧れでしかない。 また自己理解を深めたとしても、そもそも学生の経験などバイトくらいであり、その狭い経験の中で見つけられる仕事などたかが知れている。 なので、自己理解よりも先に仕事を知ることが重要となる。 やりたいことを見つける→その仕事を調べる、という決め打ちではなく、仕事について調べて興味がなかったら次に行く、という繰り返しが重要。 そしてやりたいことは価値観や軸に基づくので、これらをある程度知っておく必要がある。 ③について、20年後のキャリアプランなどを作らされることもあるが、志望校合格のような明確な目標がないのにプランを作ることは難しい(作ること自体はやるべきことを意識してもらうためにいいかもしれないが) これまでになかったような仕事が生まれることもあり、キャリアを考えることは難しく、途中で変わることもあり偶然出会ったものがマッチすることもある(クランボルツによると18歳の時に考えたキャリアを実現してるのはたったの2%!) キャリアプランを考えるには単にやりたいことだけでなく、給与や転職、税金といった社会について知っておく必要がある。 自分が知ってることだけで決めてしまう「常識」といったものが正しいのか?広い視野を持っていろんな仕事や人に出会うことが大切。 そして、正社員が是とする教育の見直しも必要。親の時代とは違うし、企業の寿命も30年と働く年数よりも長い。 またどうしても非正社員になる人は一定数いるため、それを頭ごなしに否定するのではなく(生涯収入なども転職が当たり前になる今のご時世当てにならない)、そこからどうやってキャリアアップするかという教育が必要(それを見据えた知識経験を積んでもらう) 【感想】 やりたいこと探しや仕事の理解などを断片的に行うのではなく、連続的かつ継続的にやることが重要だと感じた。 そのためには自分自身が知識や経験を蓄え、価値観や軸を明確にしていき、理想となりそうな仕事を選り好みしないで見ていくことで理想となるキャリアがん見えてくるのかもしれない(もちろん就職してから変わっても問題ない)
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