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聖なる怠け者の冒険 の商品レビュー

3.6

385件のお客様レビュー

  1. 5つ

    59

  2. 4つ

    129

  3. 3つ

    124

  4. 2つ

    33

  5. 1つ

    2

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2020/06/25

森見登美彦の書く「偽京都」は、なぜこんなにステキなのだろう。 昨年訪れた祇園祭で見た山鉾や京都の通りが思い出され、あそこの通りを曲がったら、あのたばこ屋に入ったら、森見登美彦の京都に繋がっていたのかもしれない、などと空想した。 夏の日差しで白く照らされている柳小路(私たちの世...

森見登美彦の書く「偽京都」は、なぜこんなにステキなのだろう。 昨年訪れた祇園祭で見た山鉾や京都の通りが思い出され、あそこの通りを曲がったら、あのたばこ屋に入ったら、森見登美彦の京都に繋がっていたのかもしれない、などと空想した。 夏の日差しで白く照らされている柳小路(私たちの世界)から、少し影になっている八兵衛明神やたばこ屋へ入るといつの間にか森見ワールドに入り込んでいる。 次の世界、さらにはその次の世界へと区切りなくどんどんと広がっていく様子は流石の森見登美彦節といった感じ。 以下、あらすじ 根っからの怠け者の小和田くんは、ひょんなことから、京都で地道に活動する善なる怪人ぽんぽこ仮面に二代目を引き継げと迫られた。 何もせずただ平和な休日を求める主人公だが、ぽんぽこ仮面、恩田先輩とその彼女桃木さん、怠け者探偵の浦本、その助手玉川さん、、、などステキにおかしな面々に囲まれて奇妙な長い土曜日を過ごすことになる。

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2019/12/28

森見ワールド全開のお話。 森見ワールドが好きな人は良いのでしょうが、私は『きつねのはなし』とか『夜行』とか森見作品の中でもちょっと変わった部類の小説が好きなので、これはいまいち好きになれませんでした。 珍しく途中でリタイヤ。 この話の舞台となる祇園祭は、大学のスクーリングと重なっ...

森見ワールド全開のお話。 森見ワールドが好きな人は良いのでしょうが、私は『きつねのはなし』とか『夜行』とか森見作品の中でもちょっと変わった部類の小説が好きなので、これはいまいち好きになれませんでした。 珍しく途中でリタイヤ。 この話の舞台となる祇園祭は、大学のスクーリングと重なったので一回行ったことがあって、町全体が何とも言えない高揚感に包まれていたことを良く覚えています。 その宵山の日に繰り広げられる冒険話という設定は好きなんだけどなぁ 笑笑 また気が向いたら読み直そうかなと思います。

Posted byブクログ

2019/12/24

京都に現れた謎の怪人、ぽんぽこ仮面。 『八兵衛明神の使い。万人に親切な怪人。愛すべき狸野郎。」(p.16) 困っている道ゆく人達を手当たり次第に助けて回る善なる存在がぽんぽこ仮面である。 怪人的物語、或いはDark knight 的物語にはVillainの存在がつきものであ...

京都に現れた謎の怪人、ぽんぽこ仮面。 『八兵衛明神の使い。万人に親切な怪人。愛すべき狸野郎。」(p.16) 困っている道ゆく人達を手当たり次第に助けて回る善なる存在がぽんぽこ仮面である。 怪人的物語、或いはDark knight 的物語にはVillainの存在がつきものである。 バットマンのジョーカー然り、アンパンのバイキンマン然り。 しかし、ぽんぽこ仮面の敵役はわかりにくい。 これといったVillainは特段いない。 もちろん、謎の組織「テングブラン流通機構」やその走狗「大日本沈殿党」、「閨房調査団青年部」或いはそれらを司る「土曜倶楽部」云々、種々累々の秘密結社とぽんぽこ仮面は対決することになる。 しかし、ぽんぽこ仮面の真のヴィランは「怠けたい」という気持ちだったのではないか。 「怠けたい」はこの高度資本主義社会に到達した日本では、抑圧されるべき悪い感情である。 少なくとも、苦労は買ってでもするべしという価値観は健在であり、たとえ休日であっても、土曜日であっても、その土曜日を『無限に拡張』しようと試みる事が善しとされている。 ぽんぽこ仮面も等しくこの価値観に支配されているようだ。 『「眠るのではない。少しばかり目を閉じて、α波を出すけれども気にするな。眠るのではない」』 そして、真の主人公?である小和田くんは「怠ける」事が生きがいのぐうたら青年である。 彼は夢の中でバカンスへ赴き、夢の中で退屈な夢を見る男である。 物語後半、ぽんぽこ仮面は窮地に陥る。 その窮地を助けるのはこれまで敵視していた「怠け」である事はもはやお決まりなのかもしれない。 しかし、兎角現代は極端である。 24時間働き続け、徹底的な効率化かつ合理化、ダウンサイジングで市場価値が高まる社会構造「一億総活躍」が大号令である一方で、『まだ東京で消耗してるの?』的なる「働き方改革」も同時並行的に追求されている。 どちらかが善でどちらかが悪という構造よりもむしろ、一方にとって一方が悪であるという交流不可能な一方通行両極端な社会となってしまった。 しかし、ぽんぽこ仮面も等しく怠けたい心があり、同時に誰かの役にたちたいという心が共存しているように、我々だって、ほどよく頑張り、ほどよく怠ける心が共存していて然るべきである。 『「わかってますよ。アンビバレントであることは承知してます。でも、これは仕事ですから。」』(p.68) ぽんぽこ仮面の物語を通じてこんな事を考えてしまっているようではまだ怠けが足りないのかもしれない。 小和田くんを見習って「将来お嫁さんをもったら実現したい事リスト」を作ることとしよう。

Posted byブクログ

2019/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

意外と小さな京都の街の、更に狭い範囲で繰り広げられる、内外にその存在を知らしめる怠け者たちの、たった1日の壮大な冒険活劇。映像化、出来れば実写でしてもらえないかなぁ。

Posted byブクログ

2019/06/14

「ぽんぽこ仮面」に関わる人々の宵山の一日を描いた森見さんらしい長編でした。著者の世界観が好きな方なら何も考えずにどっぷりと世界に浸かって楽しめると思います。フジモトマサル氏の人物紹介のイラストが妙にツボで世界を補足してくれました。小和田くんの趣味(?)の”「将来お嫁さんを持ったら...

「ぽんぽこ仮面」に関わる人々の宵山の一日を描いた森見さんらしい長編でした。著者の世界観が好きな方なら何も考えずにどっぷりと世界に浸かって楽しめると思います。フジモトマサル氏の人物紹介のイラストが妙にツボで世界を補足してくれました。小和田くんの趣味(?)の”「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」の改訂”がなぜか妙に印象的です。途中で「有頂天家族」とのリンクに気づき、積読の「宵山万華鏡」を先に読んでおくべきだったか、とちょっと後悔。そちらを読んでからまた手に取ってみたいです。独特の世界を楽しみました。

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2019/05/13

何作か読んだ時、この人苦手かな〜って思っていたらこの作品で手のひら返し。日本語の使い方、言い回しが面白すぎる。

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2019/05/06

日本語がこんなに面白いのは、森見登美彦さんの作品だけかもしれない。 ストーリーがどうとか、展開や登場人物がこうとか、そういうものではない。 ただ、登場する人々は皆愛すべきキャラクターの持ち主ばかり。 真実を描いてるようで、其の実全くのデタラメを摑まされているようで。 でも、何より...

日本語がこんなに面白いのは、森見登美彦さんの作品だけかもしれない。 ストーリーがどうとか、展開や登場人物がこうとか、そういうものではない。 ただ、登場する人々は皆愛すべきキャラクターの持ち主ばかり。 真実を描いてるようで、其の実全くのデタラメを摑まされているようで。 でも、何より面白いので読み続けてしまう。 京都出身なので、これまた余計に楽しめてしまうことも。 やぷー

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2019/04/12

正義のヒーローの名前が「ぽんぽこ仮面」である辺りからちょっと予感はしていたんだけれど。 そして、祇園祭の宵山が大きな意味を持っているというのも…。 そう、これは、『有頂天家族』と『宵山万華鏡』に連なる森見ワールドの話だったのでした。 大仰で、もってまわった言い回し。 精神バラン...

正義のヒーローの名前が「ぽんぽこ仮面」である辺りからちょっと予感はしていたんだけれど。 そして、祇園祭の宵山が大きな意味を持っているというのも…。 そう、これは、『有頂天家族』と『宵山万華鏡』に連なる森見ワールドの話だったのでした。 大仰で、もってまわった言い回し。 精神バランスが大きく傾くくらい、何かに強いこだわりを持つ登場人物たち。 私はすごく好きなのだけど、多分好き嫌いの分かれる作品だと思う。 主人公の小和田君は怠け者。 決して人づきあいが悪いわけではないけれども、そして社会人としてきちんと働いているけれども、自分の時間はとにかく何もしないで過ごしたい。(その気持ちめっちゃわかる) 彼の会社の先輩は、休日を最大限に楽しむために隙間なく予定を入れていく。 上司である後藤所長も、週末探偵の玉川さんも、自分が何者であるのかを確かめなくてはいられないかのように、「するべきこと」を全うするために疲労困憊するまで自分を追い立てる。 「ぽんぽこ仮面」の正体は割と早いうちに読者にはわかる仕掛けになっているけれど、なぜ彼が正義の味方であらねばならないのかの理由が、大人としてはなかなかに苦い。 満たされない承認欲求というのは、大人の方がつらいのかもしれない。 ”夏休みとは毎日が夏休みだった。あの頃は一ヶ月というものがとてつもなく長く感じられた。不思議なことだ。今は一ヶ月というものが週末を四回繰り返すだけで終わるということを僕は知っている。週末を気にしながら平日を過ごす。これを四セット繰り返せば、あっという間に一ヶ月が経ってしまう。それを十二回繰り返せば一年だ。” 今の私の心の支えはこれ。 「三回ごみを出せば週末だ。」と思って一週間を過ごしている。 小和田君のようなゆるぎない怠け者に私はなりたい。 フジモトマサル氏の挿画もよし。

Posted byブクログ

2019/03/30

今回も一気に奇想天外な世界にいざなわれました。普段見てる京都の町で、こんなにも愛おしい登場人物たちが暗躍してると妄想したら、また違った風景に見えてきます。

Posted byブクログ

2019/01/28

やっぱり森見登美彦さんの言葉の使い方が大好きです!出だしから「あ、この小説は面白い」と思って読んでみたらやっぱり面白かった。 主人公の小和田君は兎に角怠け者なのですが、丸々一章寝ている事も。その夢の中でもやっぱり怠け者。怠ける為にはとことん頑固な小和田君、好きです。 言葉の使い方...

やっぱり森見登美彦さんの言葉の使い方が大好きです!出だしから「あ、この小説は面白い」と思って読んでみたらやっぱり面白かった。 主人公の小和田君は兎に角怠け者なのですが、丸々一章寝ている事も。その夢の中でもやっぱり怠け者。怠ける為にはとことん頑固な小和田君、好きです。 言葉の使い方が好きでそっちに注目しがちなのですが、私は分かりやすく美しい景色などの描写も好きです。 それにしても天狗ブランてどんな味があってするんだろう。

Posted byブクログ