七つの海を照らす星 の商品レビュー
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ずっと気になっていて読みそびれていた本の文庫化。 児童養護施設「七海学園」で起こる七不思議に纏わる7つの短篇集です。 どこか悲しく、でも温かい物語でじっくり読みいってしまいました。 そこはかとない不思議な雰囲気もとても好きです。 ほんの少しだけ不思議が残っているのも良いですよね。 とても繊細に作り込まれた物語と文章が素晴らしくて、ひとつひとつの物語もちゃんと落ちがちゃんとあってそれだけでも楽しめたのですが、最後に全てが繋がった時の驚きは溜息ものでした。 素敵な回文の数々にも感嘆しました。 アルバトロスも早く読んでみたいです。
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児童養護施設「七海学園」。 勤めて2年目の保育士・北沢春菜は、児童福祉司の海王さんの力を借り、そこで子供たちが出会った不思議な事件の謎を解明すべく、奮闘する。 児童養護施設が舞台なだけあって、子供たちの背景はなかなかに複雑。 だけどそんな中でもいきいきと過ごす姿には、健気さやた...
児童養護施設「七海学園」。 勤めて2年目の保育士・北沢春菜は、児童福祉司の海王さんの力を借り、そこで子供たちが出会った不思議な事件の謎を解明すべく、奮闘する。 児童養護施設が舞台なだけあって、子供たちの背景はなかなかに複雑。 だけどそんな中でもいきいきと過ごす姿には、健気さやたくましさを感じさせられる。 1話目の葉子、2話目の優姫はとくにその強さ、繊細さが印象的だった。 落ち着いた文章で描かれる連作短編集。 日常系ミステリという意味では北村薫や加納朋子作品に似た雰囲気も感じる。 なにげなく読み進めていったら最終章で大きな動きがあってびっくりした。
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児童養護施設七海学園で起こる様々な謎を、保育士の北沢春奈と児童福祉司の海王が解決していく連作短編。 それぞれの短編で起こる謎というものは七海の七不思議と呼ばれる物だけあってどれも不可思議なオカルト的のものが多いのですが、それをきっちりと各短編、伏線を活かしての論理的な解決を...
児童養護施設七海学園で起こる様々な謎を、保育士の北沢春奈と児童福祉司の海王が解決していく連作短編。 それぞれの短編で起こる謎というものは七海の七不思議と呼ばれる物だけあってどれも不可思議なオカルト的のものが多いのですが、それをきっちりと各短編、伏線を活かしての論理的な解決を示してくれます。各短編独立してみても、完成度の高いものがそろっていると思います。 舞台が児童養護施設ということもあり、話の背景はシリアスなものが多いのですが、そういうところもきっちりと包み込んでくれる優しさも感じられます。保育士の春奈も海王さんの人柄もとてもよく顕れていることがそう感じる理由であるように思います。 子どもたちの描写もまたいいです。各短編に出てくる子どもたちにはそれぞれの事情があり、そのため彼らの背景の説明だけでなく、性格や個性もしっかり出さないと、この物語を成立させるのは難しいと思うのですが、どの子たちもしっかりと描けていたように思います。架空の人物たちとは分かっていながらも、みんな幸せになってほしいと思ってしまいました。 そして連作のラストを結ぶ第七話はまさかの展開でした。さすがにそれはやりすぎだろう、と初めは思ったのですが、読み終えてみると、そうなるべくしてそうなった物語だったのではないか、とも思えてきました。運命は信じていない自分ですが、この本を読み終えたときは運命の美しさに思いを馳せてしまいました。 また回文が一つの要素として絡んでくる短編があるのですが、その回文の巧さ、美しさにびっくり! こういう言葉のセンスの良さも著者である七河さんの実力を示しているように思います。 第18回鮎川哲也賞受賞
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児童養護施設の先生を通して、七不思議を解き明かしませう。 な、こうくるか!?って謎解きです。 最終話のショックに備えて、存分に推理してください。 子供達の強かさと脆さと希望も感じられます。
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第18回鮎川哲也賞受賞作 児童養護施設の子どもたちが遭遇する過去と現在を繋ぐ不可思議な六つの謎―― 真実は人を幸せにするものだ、と私は思います。 様々な事情により家庭では暮らせない子どもたちが入所する七海学園。 そこで起きる不可思議な事件の数々。 それは学園七不思議と呼ばれる ――『蘇った先輩』『捕まえられない廃屋の幽霊』『血文字の文子』『非常階段で消えた幻の新入生』『開かずの門の浮姫』『トンネルで囁く暗闇の天使』、 そして、『語られることのない七番目の不思議』 本格ミステリの謎と真相の反転力を持ち、幻想的な面および社会派の面も備え持つ読み応えのある傑作。 また、散りばめられた伏線の数々は唸ってしまうことまちがいないでしょう。 (表紙からネタバレの回文、各話に登場する音楽の共通点、最終話の駅伝が示していた主人公のリレー、などなど) より詳しくはコチラで↓ http://www5a.biglobe.ne.jp/~sakatam/book/nanami1.html ミステリ :☆☆☆☆☆ ストーリー :☆☆☆☆ 人物 :☆☆☆☆ 読みやすさ:☆☆☆☆
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児童養護施設が舞台なので、どうしても児童のつらい体験や悲惨な過去といったものが避けられませんが、そういったものを隠さずさらけ出しながら、それでも各児童の前向きな姿勢が前面に出ているのが好印象でした。 連作短編の形式を取っていますが、個々の話の完成度もさることながら、1冊全体として...
児童養護施設が舞台なので、どうしても児童のつらい体験や悲惨な過去といったものが避けられませんが、そういったものを隠さずさらけ出しながら、それでも各児童の前向きな姿勢が前面に出ているのが好印象でした。 連作短編の形式を取っていますが、個々の話の完成度もさることながら、1冊全体としての完成度が抜群にいいです。最終章は感動的でした。
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