七つの海を照らす星 の商品レビュー
日常の謎系は好きだが、北村薫さん、はやみねかおるさん、米澤穂信さん等々の、キャラクターと文体とミステリのバランスが絶妙にとれた傑作が出るジャンルなので、読者としてもハードルが高いなと思うことがある。 今作は、やや走っていると思う部分もあるが、読みやすく、読後には温かみがある。海王...
日常の謎系は好きだが、北村薫さん、はやみねかおるさん、米澤穂信さん等々の、キャラクターと文体とミステリのバランスが絶妙にとれた傑作が出るジャンルなので、読者としてもハードルが高いなと思うことがある。 今作は、やや走っていると思う部分もあるが、読みやすく、読後には温かみがある。海王さんの口ぐせも、じわじわと考えさせられ、本当に良い台詞だ。仕掛けも面白く、これまでの優れた日常の謎の系譜に連なるものだと思う。 読んで良かった。次作が楽しみだ。
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連作短編集。「ミステリマストリード」から。七不思議にあやかった学園ミステリ。ありきたりのプロットかなと思ったけど、キャラ設定が魅力的だし、謎解きも納得のいくもので、総じて満足度の高いものだった。最後も綺麗に纏まっていて、読後感も良好。続編が間もなく文庫で登場ってことで、そちらも楽...
連作短編集。「ミステリマストリード」から。七不思議にあやかった学園ミステリ。ありきたりのプロットかなと思ったけど、キャラ設定が魅力的だし、謎解きも納得のいくもので、総じて満足度の高いものだった。最後も綺麗に纏まっていて、読後感も良好。続編が間もなく文庫で登場ってことで、そちらも楽しみです。
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七海という都市が舞台の、七つの連作短編集。 児童養護施設が舞台となっていて、主人公含め明るいタッチの中に、何か勝手にこちらがいたいたしい感じをもってしまったが、それも想定されているように、子供たちや主人公らが元気だった。 キャラクターがそれぞれ立っていて、好感があり読みやすい。 ...
七海という都市が舞台の、七つの連作短編集。 児童養護施設が舞台となっていて、主人公含め明るいタッチの中に、何か勝手にこちらがいたいたしい感じをもってしまったが、それも想定されているように、子供たちや主人公らが元気だった。 キャラクターがそれぞれ立っていて、好感があり読みやすい。 日常の謎ジャンルで、謎自体は読み慣れている人なら察しがつくかと。 ただし、こんなもんかと思わず最後までどうぞ。
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児童養護施設にここまで踏み込んだ内容のものは始めて読んだ。当然ながら、それぞれ抱えているものはあれど、暗くなり過ぎない雰囲気に救われる。ミステリとしても、最後の怒濤の仕掛けにしてやられました。
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養護施設という特殊状況下で起こる日常の謎を扱った短編集。 人間が魅力的で引き込まれるからこそ、読者である私も真相に一喜一憂させられた。
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<“児童も思うとし”七海> 児童養護施設という,一般的に身近とは言い難い場所. しかし,学園ミステリと,社会的に弱くともときに大人顔負けの「強さ」をみせる子供を毎話の主人公に添える本作の舞台は,七海学園でなければ成立しなかっただろう. 春菜と佳音,は北村薫の「私」と正ちゃん江美ち...
<“児童も思うとし”七海> 児童養護施設という,一般的に身近とは言い難い場所. しかし,学園ミステリと,社会的に弱くともときに大人顔負けの「強さ」をみせる子供を毎話の主人公に添える本作の舞台は,七海学園でなければ成立しなかっただろう. 春菜と佳音,は北村薫の「私」と正ちゃん江美ちゃんのようでうらやましくもある. うー.これはアニメや実写で毎週見たい. そして明かされる,「七番目の不思議」にみんな驚けばいいんだ!
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鮎川哲也賞受賞ということで読んでみた。 全7話で、舞台・登場人物は同じ。養護施設で働く主人公が日々の生徒たちとのかかわりあいの中で知ることになる施設にまつわる不思議な話。それを安楽椅子探偵役?の相談員が話だけで解決していく。さらに7つ目の話で、この6つの話が全て一つの時系列に見事につながっていく展開は見事で、緻密に計算されたミステリとしての完成度は高い。 が、しかし・・・その一方でミステリとして見ると、養護施設の抱える問題や社会的な位置付け等、問題提起の部分も多くて、これが毎回出てくるので話が不要に長くなる。 キャラも今一つ浮足立ってるような、表面を軽く撫でたような印象でリアルさに欠けている。 作者は養護施設関係で働かれているのかもしれないが、そこでの営みを詳細に描きこんだことが、皮肉なことにミステリとしての爽快感やスピード感を殺してしまったような気がして残念。
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※このレビューにはネタバレを含みます
児童養護施設を舞台にした連作ミステリー いわゆる「学園七不思議」もんってヤツですが、一つ一つの話が丁寧に良くできていて、謎解き小説としてよりも、元気をもらえる小説としていいなぁと思える。舞台が舞台だけに少々切ない思いもするんだけど、それを包んで余りある優しさというか人間味が、柔らかく心地よい。 だけに、最後のどんでん返しがちょっと残念。仕掛け自体は非常にいいんだけど、ネタばらしとバレてからの展開が、ちょっとバタついてる感あって荒っぽいんよなぁ。この仕掛けがあるからミステリーとして映えてるというのは分かるが、もうちょい丁寧に仕掛けてくれたら言うことなしやったんだけど。 それでも、十分読ませてくれる日常ミステリー。 実は日常もん…と言ってしまうのに抵抗がある、何しろ舞台が児童養護施設、彼らの背負っている「日常」って…。ほんま、子供虐待する奴は子供産むなよ、セックスするなよ、と声高にいいたくなる。そう思うのは、この本を読んだ時に限ったことではないんだけど。
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まず、読みやすい。 繋がりのある短編7つだけど、最後に全編に絡む驚きがある。 また、一つ一つの謎解きも、ハッとさせられて面白い。 しかし、最大のハッ は、表紙にあったとは! これでやっと、アルバトロスを読める。
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七海学園という児童養護施設の7つのミステリー。「どんなに似て見えても、その子の苦しみはその子だけのもので、本当にはわからないのかもしれないけれど、あまりにも思い当たる言葉がいっぱいで、学園に今ももう一人の、ううん、もう二人、三人、何人ものわたしがいるような気がして、切ない気持ちに...
七海学園という児童養護施設の7つのミステリー。「どんなに似て見えても、その子の苦しみはその子だけのもので、本当にはわからないのかもしれないけれど、あまりにも思い当たる言葉がいっぱいで、学園に今ももう一人の、ううん、もう二人、三人、何人ものわたしがいるような気がして、切ない気持ちになったんだ」
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