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七つの海を照らす星 の商品レビュー

4.2

56件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2021/03/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

児童養護施設を舞台に展開されるミステリー。短編の中に出てくる人物が実は主人公の近くにいる人間であると言いうのはとても驚いた。途中まで、海王さんは悪い人だと思っていたがそんなことも無くいい人である事が分かり、良かった。

Posted byブクログ

2020/10/25

図書館で。 ファンタジー小説のような表紙とタイトル。 児童養護施設に働く主人公と彼女の職場で色々な問題を抱えた子供たちと児童相談所の職員のお話。結構重いテーマだと思うけれども、なんとなくライトな感じで読み終えました。 主人公が学生バイトみたいな感じだからか、なんとなく他人事感があ...

図書館で。 ファンタジー小説のような表紙とタイトル。 児童養護施設に働く主人公と彼女の職場で色々な問題を抱えた子供たちと児童相談所の職員のお話。結構重いテーマだと思うけれども、なんとなくライトな感じで読み終えました。 主人公が学生バイトみたいな感じだからか、なんとなく他人事感があるからか。(まぁ毎回引きずるほど落ち込んだりしてたら仕事にならないだろうけど) 個人的には、指導担当官とは言えこういう職場に勤めている人が児童の過去やらをそこまで詮索していいのかなぁ…と思ったり思わなかったり。秘すれば花なりじゃないけど、真相を他人が知ることにそれほどの意味があるのか無いのか。ただの野次馬根性になってないだろうか、なんて自戒を込めて思ったりしました。 後は言葉遣いが気になりました。 児童の母親が年金生活に入った…という辺りで、年金?と不思議に思ったんですが、障害年金の事だったんですね。主人公が子供に「教えてやってくれてありがとう」という所も何で、教えてあげてくれて、じゃないんだろう…と思ったし。ちょっと社会人の使う言葉じゃないよな、なんて思いながら読み終えました。

Posted byブクログ

2020/08/08

家庭では暮らせない子どもたちの施設・七海学園で起きる、不可思議な事件の数々。そこで働く保育士2年目の春菜と謎解きを大きく助けてくれた児童福祉司海王。 第18回鮎川哲也賞受賞作にしてデビュー作ですが、プロ作家の別ペンネームなのでは――?そう疑われたという程の完成度。 構成から登場...

家庭では暮らせない子どもたちの施設・七海学園で起きる、不可思議な事件の数々。そこで働く保育士2年目の春菜と謎解きを大きく助けてくれた児童福祉司海王。 第18回鮎川哲也賞受賞作にしてデビュー作ですが、プロ作家の別ペンネームなのでは――?そう疑われたという程の完成度。 構成から登場人物からミステリまで、すべての完成度が高い。児童福祉に造詣が深くて、かといって子どもたちにも寄り過ぎず、絶妙なバランスで描かれたこの世界、本当に素晴らしかったです。 扱っている題材は重たいものです。 それが、海に近い田舎を舞台に、心地いい風を自然を感じつつ繰り広げられ、暗くなり過ぎない。思わず夢中になって読みました。暗くなり過ぎないのは、希望も同時に散りばめられていたから。 殺人事件とは違う日常ミステリ。 「いつも全部の謎が解けるとは限らない。不思議なことは不思議のまま残しておいてもいいんじゃない?」という言葉も好きでした。日常において、その感覚は大事な気がする。 ミステリであると同時に、保育士2年目の春菜の成長物語でもあります。当初は「児相なんて」と抱いていたマイナスの感情、学習より前に1番基本の『生活』を落ち着いてできる力をつける方がずっと大事だと信じて疑わなかった純粋さ、人との関わりや目の前の現実と向き合う中で少しずつ変わっていく考え。そこもまたすごくよくて。 それから天才的なまでに美しい回文。 文字遊び、というんでしょうか。上から読んでも下から読んでも同じ、という言葉作り。私はせいぜい5文字程度のものしか作れないかもしれない…こんな美しく、状況に合わせたものを作り出せるなんて、と何度感動したかわからない。 空に輝く星みたいに、一見わからなくても、名前がないように思えても、その1つ1つがきちんと輝く星。 それらが繋がり星座になる。 最後まで読み終わってまたこの作品の全体としての素晴らしさに気づかされる。余韻も残り、この本のおかげで、いい休日が過ごせました。続編があって嬉しい。読むのが楽しみ。

Posted byブクログ

2020/04/24

家庭で暮らせない子供たちの施設、七海学園。そこに勤める春菜がちょっとした謎や学園に伝わる不思議を読み解いていく、ライトミステリ。学園の性質上、つらい境遇の子供が登場するので重く固くなりそうな話だけど、のどかな町や自然の描写が随所に表れてやわらげてくれる。文章もとがっていなくてとこ...

家庭で暮らせない子供たちの施設、七海学園。そこに勤める春菜がちょっとした謎や学園に伝わる不思議を読み解いていく、ライトミステリ。学園の性質上、つらい境遇の子供が登場するので重く固くなりそうな話だけど、のどかな町や自然の描写が随所に表れてやわらげてくれる。文章もとがっていなくてとことん優しい。謎解き役の男性と淡い恋に発展するのが定石かと思うけど、すごくいい人なのにまったくそうならないところがちょっと目新しい感じ。

Posted byブクログ

2020/02/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

物語としては、うーん。レビュー評価が高く、期待しすぎました。 最後のエピソードなんかは驚かされたし、たくさんの伏線を丁寧に回収していて、よく出来ているんだろうなとは思うものの、「そんな都合よく?」「いや、その要素を答え合わせで足すの?」みたいな感覚が多くていまいち盛り上がれない。自分がミステリーをあまり読まないから馴染みがないだけなのかもしれません。 むしろ、児童養護施設の子たちと接する機会が多いので、職員の大変さ、子どもたちの抱える問題や対応の難しさを多少なりとも理解できる部分もあって、その要素の方が興味深く読めました。 でもだからこそ、現実はこんな爽やかに納まるものでは決してなく、あくまでフィクションだから希望の要素を前面に出しているんだろうな、とか余計なことを考えてしまい、これまた複雑な気分になってしまいました。 アルバトロスはどうしよう。

Posted byブクログ

2019/06/14

児童養護施設「七海学園」に伝わる七不思議を、ひとつづつ紐解く連作ミステリ。一つ読むごとに、伏線の張り方と回収の見事さに驚きました。読みやすくとても美しいミステリです。児童養護施設の最近について知らないことも多く、制度の矛盾や理不尽さに心を抉られ、序盤はかなり読むのが辛かったのです...

児童養護施設「七海学園」に伝わる七不思議を、ひとつづつ紐解く連作ミステリ。一つ読むごとに、伏線の張り方と回収の見事さに驚きました。読みやすくとても美しいミステリです。児童養護施設の最近について知らないことも多く、制度の矛盾や理不尽さに心を抉られ、序盤はかなり読むのが辛かったのですが、謎解きに力を貸してくれる児童福祉士・海王さんがとても素敵で、読んでいる私自身にも癒しになりました。一番の好みは「滅びの指輪」。受賞作である一編「夏期転住」を中心に据え、こんな連作にまとめ上げてしまった著者の力量は凄いですね。

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2019/05/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

児童養護施設を舞台に、子どもたちを巡る日常の謎をテーマにした短編集。六つの物語が最後に収斂するつくりはすごいな、と思いました。鮎川賞受賞作ということは、デビュー作なのでしょうが、解説にもある通り、伏線のはり方や読者を上手に誘導していく書き方は完成度の高さを感じます。「夏季転住」とか伏線でだいたいオチの予想がついたのですが、最後の七章でそれをひっくり返してしまうのも驚き。個人的には人の優しさがほの温かい「裏庭」が好きです。

Posted byブクログ

2019/05/15

児童養護施設・七海学園を舞台としたミステリー。 同じ主人公での7つの物語があとで繋がってくる、よく考えられた物語。個人的には人名を覚えるのが不得意なので、その緻密な物語設定が理解できず、楽しめてないように思う。 人名をメモしながら読めばよかった。

Posted byブクログ

2019/07/14

『七つの海を照らす星 』 児童養護施設で起こる不可思議な事件を解明すべく、保育士である主人公が日々奮闘する本作。 物語全体に張り巡らされた伏線が七つ目の謎として実を結んだ時、思わず感嘆の声がもれた。 子どものさりげない台詞や心の機微まで鮮明に描かれている1冊

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2018/10/29

養護施設「七海学園」の七不思議を巡る短編集。日常の謎。 特に最初の、端々の不思議な出来事と、不良少女の真相の謎が良かった。一つ分かるとカラクリが全て解けて、あちこちに仕掛けられた伏線と真相の鮮やかさに驚いて。次の話からは(自力で解くことは出来ないけれども)、伏線を見つけることに意...

養護施設「七海学園」の七不思議を巡る短編集。日常の謎。 特に最初の、端々の不思議な出来事と、不良少女の真相の謎が良かった。一つ分かるとカラクリが全て解けて、あちこちに仕掛けられた伏線と真相の鮮やかさに驚いて。次の話からは(自力で解くことは出来ないけれども)、伏線を見つけることに意識が行って、なんかまたこれも伏線か、とマンネリ化してしまっていましたが、最後に後書きにもあるように星と星を結んだら星座が見えるような、そんな感じの本でした。 児童養護施設を舞台にしているのも、新鮮で良い。現実はそこまで仲が良いのかそうでないのか分かりませんが、なんとなく身近になったなと。

Posted byブクログ