愛に乱暴 の商品レビュー
同じ敷地内にある離れで暮らす主婦が主役。姑に気を使い、夫の浮気を疑い、少しずつ狂い始める。 この作者のすごいところは、狂気を正気に思わせて共感性を持たせるところ。狂っている主人公がせつない。
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吉田修一さんの新刊。 なんだかいつもの作品と様子が違います。 不穏な空気と晴れない気持ち。 少し戸惑いました。 ”愛に乱暴”かぁ…。 自分の中でこの小説の位置が定まりません。 小説を通して色濃く存在している桃子について思いを巡らせてしまう。 どうしてあんな壊れ方になってしまった...
吉田修一さんの新刊。 なんだかいつもの作品と様子が違います。 不穏な空気と晴れない気持ち。 少し戸惑いました。 ”愛に乱暴”かぁ…。 自分の中でこの小説の位置が定まりません。 小説を通して色濃く存在している桃子について思いを巡らせてしまう。 どうしてあんな壊れ方になってしまったのか? 桃子の送った8年間の結婚生活とは? 桃子の、自分の解釈ばかり一人歩きしすぎているところが痛々しい。 夫との関係の破綻してきてからは興奮して相手の話を聞けず、自分の言葉ばかりを投げつけるのが哀れで辛かったです。 日記の部分、初めのうちは面白く読んでいたのだけれど、途中から苦しくなってきました。 自分を見つめるということはきっと、普通の人にとって相当に難しいことなのだろうと思う。 夫・真守や義母が、本当のところどのような考え方をし、桃子に対してどのように接し、どんな風に感じていたのか? この作品の形から外れるところなのは承知の上ですが、そのあたりのもやもや感が残ります。 でも夫婦と不倫なんていうテーマで吉田修一さんが書くとこんな風になるんですね。 描写の繊細さや、絶妙な加減がやはりすごいと思いました。 これからもずっと吉田修一作品を読みたいです。
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内容は極めて通俗的。夫の不倫、義母との確執、義父の介護。…暫く読み続けていくと、途中で現れる違和感。あれっ?…物語に仕掛けられた巧妙な罠。そこでこの物語を通す一貫性に気がつかされます。なるほど、そういうことか。個人的感想としては、古い家自体が有する磁場+狂気ということですかね。
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サレ妻が壊れていくやや下世話なはなしなんだけど、 面白くて一気に読んだ。中盤までまんまと騙されてたし。因果応報・・・なのはたぶん妻じゃなくて、同じ過ちを何度も繰り返す夫のほう。
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妻の日記が効果的に使われていて、途中ではっと気付き構成の妙に感心した。夫の半端ない自分勝手さが腹立たしい。桃子さんもチェーンソーで、床板切って穴掘るぐらいアグレッシブなのだから、別の人生始められないのかと、そこら辺が少し不思議です。
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確かCREAに載ってたから 逗子図書館にあり これはおもしろかった。 いるよね〜。こういう男に、こういう男側の家族。 自分達さえ良ければいい人達。 自分達さえ、守られればいい人達…。 こういう人達とは、ご縁がありませんように…。 あと、この小説には、ちょいちょい紅茶やプ...
確かCREAに載ってたから 逗子図書館にあり これはおもしろかった。 いるよね〜。こういう男に、こういう男側の家族。 自分達さえ良ければいい人達。 自分達さえ、守られればいい人達…。 こういう人達とは、ご縁がありませんように…。 あと、この小説には、ちょいちょい紅茶やプーアル茶が出てくる。 それがまたいいかな。
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『悪人』や『さよなら渓谷』など最近作は映画化されている吉田修一さんの作品だが、今回はどうだろう。読んでる途中から読後に至っても消えないなんだか嫌な感じが、その違和感を持ってしてそれぞれの読者にその人それぞれの登場人物に対する共感を持たせてくれる、そんなうまさがこの作品にもある。主...
『悪人』や『さよなら渓谷』など最近作は映画化されている吉田修一さんの作品だが、今回はどうだろう。読んでる途中から読後に至っても消えないなんだか嫌な感じが、その違和感を持ってしてそれぞれの読者にその人それぞれの登場人物に対する共感を持たせてくれる、そんなうまさがこの作品にもある。主人公の夫もある意味どこにでもいるだめな男だし、主人公の桃子さんもいまの時代では特段に強い女性な訳でもない。姑だってそうだし、桃子さんのご両親もごく良識的な社会人だ。 昔神父さんから誰かが幸せな気分でいるときにはかならずそのうらで傷ついている人がいるものですという結婚式の説法ではとんでもない物を聞いた事があったが、この作品を読むとうーん確かにと思うところはあるし、それを自分のことだけを大切に、傷ついた人たちの事を考えずに行き進むともしかしたらしっぺ返しがあるものなのかも。因果応報とはいったものだが。。吉田修一さんの作品はいつもそんな事を考えさせてくれる。気分いい物ではないのだが。 映画化は去れないでしょう、多分。
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綿密に構成された落しどころでちゃんと落とされる、この気持ちよさ。 読みはじめでマズイと思ったけど、まさか共感を得るとは夢にも思わず、少しはみ出し始めたあたりの心理描写は著者は男だったはずだけど?とわかりきってる事を改めて確かめてしまうほど。
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一気読み。 愛に乱暴! 本当夫がクソすなぁ…。 でもこういう男ってきっとたくさんいそうだなとか思いました。 愛という狂気にのまれて、愚かで孤独な桃子さんに幸あれ。
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夫婦と愛人についてのお話。主人公の桃子の視点で展開。途中で物語の景色が一変する所から俄然面白くなる。構成の妙にしっかり騙された。男と女が幸せそうなふりをして一緒に暮らすのは苦痛でしかないに共感。だから、最後の一行の言葉の大切さを思い知る。
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