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反省させると犯罪者になります の商品レビュー

4.1

155件のお客様レビュー

  1. 5つ

    51

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/08/26

「反省させると犯罪者になります」という衝撃的なタイトルに惹かれて読み始めたのだが、筆者の経験や事例などに触れるにつれ、いちいち納得してしまった。 「『後悔』と『反省』はまったく違います」(P25)という言葉には特にハッとさせられた。自分にも思い当たることがちょくちょくあり、深く反...

「反省させると犯罪者になります」という衝撃的なタイトルに惹かれて読み始めたのだが、筆者の経験や事例などに触れるにつれ、いちいち納得してしまった。 「『後悔』と『反省』はまったく違います」(P25)という言葉には特にハッとさせられた。自分にも思い当たることがちょくちょくあり、深く反省することの難しさを実感した。 反省するためには自分の内面に向き合わなくてはならないが、これはかなり勇気がいることだと思った。筆者のような専門家が支えてくれることが一番だと思うが、現状では圧倒的に人手が足りないというのが残念。 本書では家庭内の躾に対しても言及しているが、まずはその辺りからスタートさせて、一人ひとりの意識が変わっていけばいいなと思う。

Posted byブクログ

2020/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

反省させると犯罪者になります、というのは、親や教師など上からの強制的な「反省」が、加害者の犯罪に至るまでの不満を抑圧させ、加害者が内省を深められなくなって犯罪の原因の解決に至らない、という話。再犯を防ぐには、無理矢理反省させることではなく、加害者の視点に立ち、その人が犯罪をするに至るまでに抑圧してきた感情に気づかせることが必要なのだとのこと。確かにそうだろうなぁとは思ったが、自己の不平不満に気づかせ、解消させるまでカウンセリングを続けるのはかなり時間がかかるだろうし、今の刑務所ではひとりひとりにそんなに手厚く関わるのは無理だろうなと思った。犯罪者にそこまで援助するのはどうなのか、という世論もあるだろうし。そのあたりが難しいなあと思った。

Posted byブクログ

2020/04/27

教育者は読むべき本。反省させると、犯罪者か精神疾患者が生まれてしまう。生徒指導の仕方をすぐさま見直そう。また、いじめ教育にも言及している。どちらも、被害者の視点で考えさせるのではなく、加害者から考えさせる方法が非常に効果的だと感じた。

Posted byブクログ

2020/04/25

自分が犯した罪や過ちを反省する事は、悪いことをした人が必ずしなければいけないこととされているが、それが実際には更生させることにはなっていないこと、あるいは逆効果であることを様々な実例とともにわかりやすく論じている。このようなコペルニクス的展開を世に問うていること、が本書の価値であ...

自分が犯した罪や過ちを反省する事は、悪いことをした人が必ずしなければいけないこととされているが、それが実際には更生させることにはなっていないこと、あるいは逆効果であることを様々な実例とともにわかりやすく論じている。このようなコペルニクス的展開を世に問うていること、が本書の価値である。 著者は悪いことをした経緯を深く分析しなぜそのようになことをしたのかを、自らの家庭環境などから分析することを提唱している。しかしそこで1つ疑問に思う事は、家庭環境などの回想が一種の自己欺瞞や自分自身の美化を引き起こさないか、ということである。心理学の研究によると、人間は自分自身の現在に合わせて過去を歪曲して理解しあたかもそれが本当なであるかのように信じ込んでしまうことがあると言う。トラウマ研究などによって幼少期のトラウマが人口に膾炙してくると、その副作用として、実際にはなかったのに、幼少期の虐待に自分も虐待があったと信じ込み、親に裁判を起こし、逆に親から名誉毀損で訴えられるということもあるそうだ。人間の記憶は意外と簡単に捏造され、自分の都合のいいように語られ、解釈される。著者が提唱しているように、自身の過去などを語り、自分が親などに求めていたものを考えるという方法がどれくらい危険性を孕んでいるのだろうか、という疑問が湧いた。 かといってこのような疑問は、この著者の価値を減ずるものではない。逆に私のような一般の読者にも、本書の内容から出発して考えさせる、というとにその価値があるとも言えるだろう。

Posted byブクログ

2020/04/12

何ともショッキングなタイトル。 犯罪者って、大げさな…と思ったものの、著者は無期懲役囚の支援、更生の実践者で、これまでの経験から、反省させることが人を能くすることにつながらないと主張する。 世の中は反省にあふれている。ネットもマスコミも不寛容で、反省しなければ総叩き。学校でも家...

何ともショッキングなタイトル。 犯罪者って、大げさな…と思ったものの、著者は無期懲役囚の支援、更生の実践者で、これまでの経験から、反省させることが人を能くすることにつながらないと主張する。 世の中は反省にあふれている。ネットもマスコミも不寛容で、反省しなければ総叩き。学校でも家庭でも、迷惑をかけた相手の立場を考えて反省することが、悪を正す唯一の方法のようだ。 しかし筆者は、過ちを犯した人にとって、相手の立場で考えることは容易ではない、まずは自分がその行動に至った内面、溜めていたことを知ることが必要と説く。例えば刑務所の受刑者のケースでは、大きな犯罪の前には薬物や子供のときの軽犯罪があり、そこには親からの愛情不足、共感不足があることに本人が気付くことで、はじめて更生のスタート地点に立つ。 確かに、問題行動は抑圧された感情が表面化したものであり、小さいうちに向き合うことが大切だが、向き合う技術のない人が支援しようとしても上手く行かないだろう。親になる人、教師になる人は、そういう勉強が必要だと思った。

Posted byブクログ

2020/03/15

受刑者の更生について書かれているけど子育てに役立つ本! 子どもが問題を起こした時に、反省しなさいとか相手の気持ちを考えなさいって言葉を言いたくなる人は読んでみてほしい。 どういう対応がいいかも書いてあるから。 子どもが甘えられるように心理的に安全な環境を作ってあげたいと思います。

Posted byブクログ

2020/03/09

自分もやりがちな、結局子どもから「ごめんなさい」を言わせるがための指導。 この問題点について、犯罪者更生の視点から書かれている。 著者が他人の車にぶつけてしまったときの素直な心情は、確かにと頷いてしまった。 結局自分が一番かわいい、人間という生き物にとって、はたして言葉だけの「反...

自分もやりがちな、結局子どもから「ごめんなさい」を言わせるがための指導。 この問題点について、犯罪者更生の視点から書かれている。 著者が他人の車にぶつけてしまったときの素直な心情は、確かにと頷いてしまった。 結局自分が一番かわいい、人間という生き物にとって、はたして言葉だけの「反省」や「謝罪」にはどれだけの意味があり、持続性があるのか。 この本を読んで自分が変わったことは、「どうしてそんなことをしたのか」との“結果”を聞かずに、「なにがしたかったのか」との“経過”を聞くようになったこと。 子どもは不完全な生き物。 失敗から学ばせてあげたいと改めて思った。

Posted byブクログ

2020/01/21

タイトルは過激だが、著者の意図は、世間で常識とされている悪い事をしたら反省、というのは、本当の反省にはならない、ということである。実際に刑務所で教育プログラムを実施している著者の言葉は重く、心に迫る。

Posted byブクログ

2020/01/10

まともな人間は反省できる。ということはみんな犯罪者予備軍である。どんな人も読むべき人間心理の一冊である。  反省はあと!まずは自分を見つめよう。  体系化できていない独自理論って感じは否めない。しかし、これは教育の観点として参考にすべき事実である。教育がうまくいくには前提が必要...

まともな人間は反省できる。ということはみんな犯罪者予備軍である。どんな人も読むべき人間心理の一冊である。  反省はあと!まずは自分を見つめよう。  体系化できていない独自理論って感じは否めない。しかし、これは教育の観点として参考にすべき事実である。教育がうまくいくには前提が必要。被教育者に「教わる」土台ができていないと、馬の耳に念仏なのである。それが「反省」でも同じ。問題行動のほとんどはこの土台ができていないから起きる。  土台作りをサポートしてもらえなかった人々の存在を知らしめてくれる一冊であった。

Posted byブクログ

2019/12/30

著者の主張は一貫しています。その主張は大きく2つです。  ・抑圧すると爆発する ・問題行動が起きた時がこれまでを振り返るチャンスである  「抑圧すると爆発する」というのはどういうことかというと,「自分の中にある否定的な感情を発散せず我慢していると,いつか犯罪や自死など...

著者の主張は一貫しています。その主張は大きく2つです。  ・抑圧すると爆発する ・問題行動が起きた時がこれまでを振り返るチャンスである  「抑圧すると爆発する」というのはどういうことかというと,「自分の中にある否定的な感情を発散せず我慢していると,いつか犯罪や自死などの行動として最悪な形で現れる」ということです。  生きていく中で人は否定的な感情を抱えます。それをうまく発散できれば大きな問題は起こりませんが,うまく発散できず溜め込んでいると後に問題行動として現れます。犯罪者も同じで,自分の中にある否定的な感情を抑圧してきた結果,犯罪を犯してしまったと考えることができます。なので,まずは,その否定的な感情を発散させることが改善への一歩なのです。  しかし,「悪いことをしたのだから反省しろ」と反省文を書かせたり,被害者の心情を考えさせたりすることは,否定的な感情を発散させるどころか,さらなる感情の抑圧へとつながります。たとえば,犯罪者にも犯罪を犯した犯罪者なりの理由があるわけなので(それが良いか悪いかはとりあえず置いておく),まずはその感情を発散させる必要があります。しかし反省文を書かせることは,その理由を発散させることにはならず,思ってもいないこと(たとえば,私の心の弱さが犯罪へとつながってしまいました。反省しています。など)を書かせるだけになり,結果として本当の気持ち=感情は抑圧されることになります。その結果,犯罪者は反省することなく,また同じ過ちを繰り返す可能性が高くなってしまいます。  ですので,犯罪や自死などの行動が起きないようにするためには,自分の中の否定的な感情を発散させる必要があるわけです。そして,自己の否定的な感情を発散させる,つまり自己理解が深まっていくと,結果として他者理解も深まっていきます。なぜなのかはここでは詳しく書きませんので,本書をご覧いただきたく思います。  2つ目の主張は支援者の立場からのものです。自己の否定的な感情を抑圧してきた結果,犯罪や自死が起きるわけなので,支援者からみると,そのような問題行動が起きたときは逆に言えば,何が問題行動の原因となっているのかを探り,それを解消するきっかけになるわけです。ですので,支援者には,問題行動が起きたときに闇雲に反省させるのではなく,その行動の原因を一緒に探っていくという姿勢が求められます。  このように本書では,「抑圧すると爆発する」「問題行動が起きた時がこれまでを振り返るチャンスである」という主張を論拠に,現代の「更生」の在り方を批判していきます。筆者の考えが豊富な事例をもとに展開されますので,説得的な内容になっています。  本書は犯罪者の更生についての話が主ですが,「教育」に携わる人にとって示唆に富むことが豊富にあります。たとえば,「自分のなかに,正しいと思って刷り込まれた価値観が多ければ多いほど,他者に対して「許せない部分」が増えていきます。」(p.158)という一文は,子育て,特にしつけを考える上で重要な指摘かなと感じました。  「教育」あるいは「支援」を考える際にこれまでの価値観を相対化する上で役立つかなと思います。 (ただし,問題行動の原因を親に帰属しがちな部分はちょっと気になりました)

Posted byブクログ