あずかりやさん の商品レビュー
先に「明日町こんぺいとう商店街」を読んでいて 続きがあればいいな…と思っていたらこんなところに あったとは(驚喜) トロイメライが一番よかったです(^^) 若干最後の方が急ぎ足かなぁ?と思わないでもないですが この商店街を舞台にした作品、また読みたいです。
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連作短編集。 優しいファンタジー。語り手が人ではなく、あずかりやさんである盲目の主人の身の回りにある暖簾であったり、ガラス棚であったりするのが面白い。というか、ガラス棚を擬人化するなんて、何と斬新な選択。ただ、最初はほっこり、読み終わって心が暖かくなる感じだったのに、終盤は意外...
連作短編集。 優しいファンタジー。語り手が人ではなく、あずかりやさんである盲目の主人の身の回りにある暖簾であったり、ガラス棚であったりするのが面白い。というか、ガラス棚を擬人化するなんて、何と斬新な選択。ただ、最初はほっこり、読み終わって心が暖かくなる感じだったのに、終盤は意外やシビアな感じも。ラストくらいはもうちょっとすっきりと終わらせてくれると良かったのになぁ。とても素敵な作品だとは思いますけどね。
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1日百円で何でも預かってくれるあずかりや。目が見えない店主というのがまたうまい。この本のおもしろいのは視点が主人公じゃないってところ。のれんだったり、ガラスケースだったり、社長と呼ばれる猫だったり。 オルゴールの話はステキでしたね。あずかりやならでは、というか。
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目の見えない店主が あずかりやさんを営む。 1日 100円。 視点が のれんだったり自転車だったりして、おもしろい。 一番好きなのは トロイメライ。 執事と名乗る人とのやりとりが 実は・・・。 訳ありのお客さんが 店主とのやりとりで 心がほぐれていく感じがいいな。 石鹸さん 少し切ない。
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誰しも身の回りの物にまつわる思い出は、一つ二つはあるでしょう。 若いころ、恋人に買ってもらった宝石なんかは、その場面とともに 忘れ得ぬ記憶として残ります。 引き出しの奥を探ると、長い間眠っていた記憶とともに、何でもない 物が出てくることってありますよね。 明日街こんぺいとう商店...
誰しも身の回りの物にまつわる思い出は、一つ二つはあるでしょう。 若いころ、恋人に買ってもらった宝石なんかは、その場面とともに 忘れ得ぬ記憶として残ります。 引き出しの奥を探ると、長い間眠っていた記憶とともに、何でもない 物が出てくることってありますよね。 明日街こんぺいとう商店街の外れにたつお店、古い「さとう」ののれん を営業の合図に、今日も様々な人が思いの詰まった物を預けていき ます。あずかり料は1日百円、受け取りに来ない物はお店の物に。 目の見えない店長は、見えないが故に預かる物も、預ける人の秘密も、 大切に保管していきます。 お話しの最初に出てくる少女。学校へ行く途中に預けた1枚の紙。はて 何か?と思いましたが、お話しの後半で大人になった少女がお店を再 び訪れるとき、なるほどと理解しました。 心の底にいつも引っ掛かっている想い、前に進もうとするときに何かを 変えたい。そんな気持ちが預け物に託されていきます。 物語全体の雰囲気もほんわりとしています。時々個性を持った”物”が 物語ったり、のれんをサラリと吹き抜ける風のようにお話が進んでいき ます。 さて、自分の周りを見渡すとどうだろう。何度も思い出す過去の失敗、 苦い思い出、物ではないが預けっぱなしにして流してくれたら少しは 楽になるでしょうか。
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盲目の店主が営む「あずかりやさん」が舞台の物語。 どんなものでも1日100円で預かってくれる不思議なお店です。 物語の語り手が店主ではなく、物だったり猫だったりで面白い。 店主以外の視点で描かれることで、店主の穏やかで誠実な人柄が引き立っているように思います。 様々な事情を抱えた人々が持ち込む預け物の背景やエピソード。 「ミスター・クリスティ」が特に良かったです。 児童文学のようなふんわりとした優しさを感じさせる反面、切なさやほろ苦さをも内包していて、じんわりと心に響く物語でした。 とても良かったです。
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商店街にある小さな店、そこは‥ 何でも預かってくれる「あずかりやさん」の物語。 ほのぼのと切ない、心休まる空間での出来事です。 明日町こんぺいとう商店街の西のはじにある目立たない店。 藍染めのシンプルなのれんに、やさしい「さとう」の文字が抜かれているだけ。 空っぽのガラスケース...
商店街にある小さな店、そこは‥ 何でも預かってくれる「あずかりやさん」の物語。 ほのぼのと切ない、心休まる空間での出来事です。 明日町こんぺいとう商店街の西のはじにある目立たない店。 藍染めのシンプルなのれんに、やさしい「さとう」の文字が抜かれているだけ。 空っぽのガラスケースの向こうの薄暗い部屋で、本を読んでいるのは店主の桐島透。 目が見えない青年の物静かなたたずまい。 一日百円で、何でも預かってくれる。 料金は前払いで、取りに来なければ店のものとなり、使えるものは使う、売れるものは売る、処分するしかないものは処分するという。 どうするか決めかねるものや、家において置けない事情があるものを預けに来る人たち。 点字の本を届けてくれる相沢さん。 紙を預けていく小学生の女の子。 何年も前に、事件を起こした危険なものを預けていった男。 人に託されたかばんを持ってきた少年。 大事な書類を預けていく執事。 高性能な自転車とお古のあずき色のママチャリを交互に預けていく男の子。 自転車の気持ちが泣ける‥! 視点がほとんど人間でなく、のれんに自転車、ガラスケース、猫と変わっていき、これが過不足なく描かれているところは上手いですね。 そのために店主の家庭の事情もなかなかはっきりはしないのですが、物と人との関わり方に感じるものがありました。 一人暮らしの静謐さと、おだやかな彼の淡々とした寛大さ、心がまれに揺れ動く様子、瀕死の子猫を育てた懸命さも、しんみりと心に入ってきます。 店主の手のひらで息を吹き返し、そのとき生まれたと思っている白い猫。 「社長」という名前を貰うが、ポーチドエッグがいいと思っている可愛さ。 猫の語りは一番わかるところで、そうねえ、そうだよねえ‥と陽だまりにいる猫ちゃんに、微笑みかけたい気持ちに。 テイストとしては「コンビニたそがれ堂」が近いかな? 「薬指の標本」というよりは。 もっと言葉少なく抑えた筆致ですが、ほのぼのと心温まります。
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とある町の商店街の一画にあずかりやさんをしている店主と、あずかってもらうものを持ってくるお客さん、あずかってもらうもの、その物にまつわるお話。 視点が面白いです。これは『誰の』視点なんだろうとか、その視点から見る店主とお客さんが面白くて楽しいです。
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目の見えない店主が、いろんなものを1日100円で預かる話 その話を物が擬人化した形で話が書かれている
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あずかりやさんに流れる静かな空気感が好きです。 語り手は主人公のあずかりやの店主ではなく、 あずかりやにやってくる物や、以前からあずかりやにある物、そして「社長」と名付けられた看板猫。 店主の気持ちを 静かに遠くから見守る語りが あずかりやさんの、静けさを感じさせるような気がします。 自分なら、何をあずけるんだろう。 あずけることによって 一旦自分の手元から放して そこから見えてくるなにかがある、そんなもの。 なんだろう。 いま持っているものでも 1週間くらいあずけてみたら 捨てる踏ん切りがつくものって あるのかもしれないです。
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