よだかの片想い の商品レビュー
とてもいい作品だった。 相手との距離は、 実はずっと縮まらず広がらず、 出会ったときから同じなんだと思う。 それを介して関係を構築して、 そして一緒にいられる時期が終わったら離れていく。 悲しいけれど、そうするしかない。 そうやって離れなければいけない相手であっても、 自分が...
とてもいい作品だった。 相手との距離は、 実はずっと縮まらず広がらず、 出会ったときから同じなんだと思う。 それを介して関係を構築して、 そして一緒にいられる時期が終わったら離れていく。 悲しいけれど、そうするしかない。 そうやって離れなければいけない相手であっても、 自分が抱えているものを咀嚼するために相手のことがどうしても必要で、 相手に救われる瞬間がある。 そのことがはっきりと表現されていて、 私もいろいろなことを思い出しては胸の奥にその都度痛みを感じた。 とてもいい作品だった。
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きっと、かなしいことが起こるんじゃないかと恐る恐る読み進めてた。 島本さんの小説は、わたしのなかでハッピーエンドにはたどり着けないイメージだったので。 優しくされたり、嬉しいことがあるたびに、でも、って疑ってしまう。どうか傷つきませんように、ってどうしても祈ってしまう。 終わって...
きっと、かなしいことが起こるんじゃないかと恐る恐る読み進めてた。 島本さんの小説は、わたしのなかでハッピーエンドにはたどり着けないイメージだったので。 優しくされたり、嬉しいことがあるたびに、でも、って疑ってしまう。どうか傷つきませんように、ってどうしても祈ってしまう。 終わって、すこしほっとしてる。 傷つかないことを祈るなんてつまらないし、優しくされることを疑わないひとになるほうがいいね。
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内容紹介 左の目から頬にかけてアザがある理系女子大生の前田アイコ。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されるこ...
内容紹介 左の目から頬にかけてアザがある理系女子大生の前田アイコ。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と対談企画で出会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めてゆくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への思いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる…。 遅い「初恋」を通して成長する女性の内面を瑞々しく描いた意欲作! 内容(「BOOK」データベースより) 顔の左側をおおったアザ。からかいの対象にされ、恋愛はあきらめていた。けれど、映画監督の飛坂逢太と出会い、世界がカラフルに輝きだす。24歳にして恋愛経験値ゼロの理系大学院生アイコ。女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがまったくわからず、時に暴走したり、妄想したり、大きく外したり。一途な彼女の初恋の行方は…!?切なくもキュートなラブ・ストーリー。
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生まれつき顔に大きなあざのある女子大生アイコの恋愛のお話。 映画監督の飛坂とのお付き合いによって、 女性として、人として、成長していく過程が、描かれている。 アイコのキャラがなかなか素敵だった。 特に恋を自覚してからの成長ぶりが、とても好ましい。 最終的に、飛坂との別れを選択した場面も、良かった。 切ないけれど、前向きな選択。 アンハッピーにも思える結末だけど、爽快感のある終わり方だった。
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顔の大きなアザにコンプレックスを抱いて生きてきたアイコが映画監督の飛坂と出逢って、それまでの生き方や考え方が変わる。飛坂の行動に不誠実さが垣間見えてどうにも…と思ったが、完璧な男性などいないわけで。それがリアルなんだな、とも思う。 真っ直ぐ好きと思える人に出逢って、同じ時を過ごし...
顔の大きなアザにコンプレックスを抱いて生きてきたアイコが映画監督の飛坂と出逢って、それまでの生き方や考え方が変わる。飛坂の行動に不誠実さが垣間見えてどうにも…と思ったが、完璧な男性などいないわけで。それがリアルなんだな、とも思う。 真っ直ぐ好きと思える人に出逢って、同じ時を過ごして、例え最後にすれ違っても、決して無駄にはならない。片想いというものの価値を、久々に感じた作品。
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生まれつき顔にアザがあるアイコ。 友人に依頼されて、顔にアザや怪我のある人について書かれた本の表紙に写ることになり、映画監督の飛坂さんと出会った。 消えることのないアザのせいで、散々心ないことを言われてきたり、勝手に不憫で可哀想な人だと決めつけられたりもしてきた。 けれど飛坂さんは、アザを含めたアイコを理解し、すんなりと受け入れてくれた温かな優しさに惹かれ、好きだと思ってしまった。 育ってきた環境も生活している世界も違う二人。 すれ違うことは目に見えていて、互いを傷つけるだけで何の意味も見いだせずに、 ただそれでも好きだと惹かれたけれど、好きなだけではダメなことはたくさんあって、自分のアザも含めて前へ進んでいくことだけを決めた。 「現実はちっとも思い通りにならなくて残酷で、悲しいこともつらい気持ちも、気付かれないで過ぎて行く。」 いいねー。 著者の恋愛話は、好きになった人はどこか陰がある人で、 順調だった付き合いもいつしか歯車が噛み合わなくなって転落していく過程が多いから 今回も読んでいくうちにまだかなまだかなとドキワクしながら読めたよ。 飛坂さんは弱さに逃げて勝手だよ。 でもそれに溺れないでアイコが前進していく感じが良い。 体のことで傷つく思いをしても、いざそれが消えることが可能だと知ったときの喜びと同時に それとともに戦い生きてきたある種の一体感の喪失に戸惑う瞬間ってあるよね。 ちょうど生後三ヶ月の息子にも太田母斑のようなアザがあるので、なんともタイムリーな話を読めた。貴重)^o^(
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久しぶりに島本さんの小説を読破しました。 たぶん「真綿荘の住人たち」以来かな? 「ナラタージュ」を読んだ以来の甘い感じの小説でした。 恋愛小説ならではのラブシーンとか、会話とか、面白かったです。 主人公の顔のアザに対しての悩みと、それに対する感情の変化も同時に描かれているのもポ...
久しぶりに島本さんの小説を読破しました。 たぶん「真綿荘の住人たち」以来かな? 「ナラタージュ」を読んだ以来の甘い感じの小説でした。 恋愛小説ならではのラブシーンとか、会話とか、面白かったです。 主人公の顔のアザに対しての悩みと、それに対する感情の変化も同時に描かれているのもポイントだと思います。 主人公は大学院生なのですが、先ほどの悩みやコンプレックスとの付き合い方などのシーンもあるので、それを考えると青春小説っぽく感じるところもありますね。一方でラブシーンは割と濃厚な印象を受けます(笑) 私自身も大学生なのですが、こういうアンバランスさは(周りの友人などを見ていても)なるほどと思えます。 女性らしく、登場人物のファッションなども細かく描写されており、自分の中でそういった部分も含めてキャラクターを想像することができます。 恋愛小説が読みたい方にはしばらくオススメすることになりそうです。
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ナラタージュの話と少し似通っている部分があって、まったく違う話なんだけれどふっと思い出した。ナラタージュは底の無い絶望みたいな人生の一瞬だけを切り取ったような話だった。けれど、よだかは痛みや傷や他者との関係性を全部ひっくるめて一つの話としてしっかりと完結されている。落としどころが...
ナラタージュの話と少し似通っている部分があって、まったく違う話なんだけれどふっと思い出した。ナラタージュは底の無い絶望みたいな人生の一瞬だけを切り取ったような話だった。けれど、よだかは痛みや傷や他者との関係性を全部ひっくるめて一つの話としてしっかりと完結されている。落としどころがあって良い意味でとても読みやすかったし、安心した。やはり見ようとしていない目を伏せようとしている現実を見せてくれる人だと思った。
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先ずは「よだかの星」のよだか片隅に引っかかっりタイトルに惹かれた。 見えるものにとらわれる人の心とか、隠している醜いと自分が思っている色んな感情とかをうまく表現していて とてもすんなり心に入ってきた物語。久々に島本理生の世界に浸かれた感じ。
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前々から読みたかったとは言え、まとめ買いしたなかからこれを読もうと思ったのは、やっぱり片想いというワードにひかれてしまったからだとおもう。共感というか、いいなあと思う表現が、女の子で、それに少しの居心地の悪さを感じつつ、だけど、それもまた嬉しかった。いままでと違う世界を見ている。...
前々から読みたかったとは言え、まとめ買いしたなかからこれを読もうと思ったのは、やっぱり片想いというワードにひかれてしまったからだとおもう。共感というか、いいなあと思う表現が、女の子で、それに少しの居心地の悪さを感じつつ、だけど、それもまた嬉しかった。いままでと違う世界を見ている。 やはり島本理生の魅力はひとの弱さだと思った。飛坂さんの弱さはすてきだ。それによる甘さも。個人的にはアイコさんアイコさんってずっと呼ぶところがとてもすきだった。
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