ガソリン生活 の商品レビュー

伊坂幸太郎【著】

2018/08/24

会話する車。

望月家の緑デミオが偶然乗せたのは、女優の荒木翠だった。

偶然の幸運を喜ぶデミオの持ち主の良夫と享だったが、
その後、荒木翠は不倫相手の男と交通事故で亡くなってしまう。

事故現場に居合わせたパパラッチの男。
良夫と享の姉のまどかの交際相手の江口を脅そうとしている黒幕の男。深まる謎。

車同士の間でも噂になる人間たちの事情。
荒木翠の真相に人間でたった一人だけ気づいた享。

お隣さんの古いカローラのザッパ。
享を目の敵にする同級生にお灸をすえるちょっとした復讐。

亭主関白な荒木翠の夫やマスコミから逃げるために
パパラッチの助けを借りて、荒木翠は不倫相手とともに死んだことになったが
実は死んだのは不良の男女で、彼女たちは密かに生活している。

なんともまどろっこしい話。
大人びている享のキャラがよかった。

「緑デミ」ってなんて読むのか、最後まで謎だった。
みどりでみ？みどでみ？りょくでみ？

2018/08/19

今読んでいる小説どんな?
と聞かれて、「車がしゃべるんだよね」と答えると不思議な顔をされる。

主人公は緑色のデミオ。家族に愛されるチャーミングな車。彼を所有する望月家が、とんでもない悪事に巻き込まれそうになるのだけれど…という話。

2018/06/25

設定や視点が面白いです。車たちが話せること、そして物語の中心が少年だということも微笑ましいです。思い事件が根底にはあるのですが、その設定が全体に流れる空気を柔らかくしてくれています。楽しい作品でした。

2018/06/24

相変わらずの伊坂節。自分の車を大事にしようと思った。
暗い方向に行ってしまいそうな話なのに、車視点ということで、軽やかさが失われなかった。次男の大物感がスゴい（笑）
エピローグが、綺麗にまとまっててよかった。

2018/05/02

軽めのゴールデンスランバーみたいな感じ。色々伏線は絡むけど素直な収まりで、早いうちから読める。まあ、あとは会話を楽しむ感じかな。

2018/02/12

この著者の世界観は本当に不思議。どの作品の世界も、どこかファンタジーで愛に溢れている。
車が喋るなんて！すれ違う車同士が会話をして情報を交換し、人間とは異なる情報網を持っている。
主役の「緑デミ(みどでみ)」の可愛いこと！自分の持ち主家族のことを誇りに思い、隣家の車と世間話を交わし、出会う車と情報交換しながら持ち主家族が巻き込まれている事件を解決していく。いかんせん車だから、自分の外の世界で起きていることは噂で聞くしかないのだが。事件を解決する相棒は持ち主家族の次男坊、小学生の亨だ。車と小学生のコンビって(笑)
初心者に運転されている車が駐車場でバックしてきたら両隣の車は緊張しているとか、踏切待ちで最前線に停まったら憧れの貨物列車がよく見えるから喜んでるとか、そのとき通り過ぎるまでにコンテナの数を数えたら願い事が叶うとか、驚くことがあったら思わずワイパーが動くとか、喋らないはずの車が喋るとこんなにも色々考えてるだなんて、ホントほっこりする。
読み終わったら、自分の駐車場に行って自分の車をそっと撫でたくなる、そんな一冊です。
2018/02

2018/02/10

初心者ドライバーの望月良夫と、弟の亨の乗る緑のデミオに、突然、有名女優の荒木翠が乗り込んできた。
その後、別の車に乗った彼女がトンネルで交通事故を起こし死亡するが、次第にある噂が車たちのなかで立ち始める。
「それは本当に交通事故だったのか？」
荒木翠の不倫報道や、交通事故の瞬間を捉えた新聞記者の気になる行動。
そして最近、妹の交際相手がどうも怪しい。
個性的な望月家の人々がトラブルに巻き込まれていくさまを、望月家が所有する緑のデミオ視点でつづられるミステリー。

一人称小説なのに第三者視点であり、登場人物とは関わることができない緑のデミオ。
彼に乗る登場人物の行動・会話から紐解いていく物語はは新鮮でした。

なにより目線が「車」というのが面白くて、車独特の、驚いたときに「ワイパーが動くぞ！」と表現したり、怒りでクラクションが鳴るとか、独特の感情表現も面白かった。タイヤの数が違うからバイクとは会話ができないとか。
登場する車も様々なので、車種がわかるとなお楽しめます。

お隣に住むの白カローラ・通称ザッパとの雑談ややりとりはいつもの伊坂キャラのコンビって感じでかわいかったし、緑デミが望月家のピンチに必死になってる姿がめちゃくちゃかわいいので大好きなシーンです。
そしてまさか小説でカーチェイスが読めるとは思わなかった！ブルーバードがどさくさに紛れて走って行ったのが良かったなぁ(笑)

「あの緑の車はどうなったの？」
まさに私がその気持ちで読み続けていました。
とても優しい、童話のようなお話でした。（『夜の国のクーパー』と並べて伊坂童話シリーズと呼びたい…）

2018/01/26

＊本作語り手デミオの持ち主・望月家は、母兄姉弟の四人家族。兄・良夫がある女性を愛車デミオに乗せた日から物語は始まる。元女優とパパラッチの追走事故。強面の芸能記者。不倫の噂。脅迫と、いじめの影―?　凸凹コンビの望月兄弟が巻き込まれたのは、謎がひしめく会心の長編ミステリーにして幸福感の結晶たる、チャーミングな家族小説＊

何年かぶりの再読。お得意の拷問や理不尽な残酷さがほぼない、ほのぼの系の伊坂作品。安心してゆっくり楽しめました。亨の利発さ、デミオのキュートさが秀逸ですが、他の登場人物もみんな魅力的で、ラストの翠ちゃんが最高にかわいらしい。

2017/11/27

車に気持ちがあったならたぶんこんな風に会話してるんだろうな～といった設定で、とある一家が巻き込まれたトラブルを絡ませたお話。
軽快な表現で楽しく読めるのだがなぜかなかなか読み進められず・・・。
最後の方は飽きてしまった。

2017/10/27

荒木翠と偶然出会った良夫と亨は、トンネル事故の謎に巻き込まれていく。その様子を車の目線と共に追っていく。