おどろきの中国 の商品レビュー
中国社会の構造と毛沢東のカリスマ性の秘密が面白い。 「三国志演義」の思想から毛沢東のリーダーシップを読み解いていく。 「三国志演義」では、皇帝は武力の強い者ではない。 漢の皇祖劉邦は、武の天才項羽を、破るほどの武の達人だが、皇帝になると文民に徹し、文民皇帝として漢帝国400年の礎...
中国社会の構造と毛沢東のカリスマ性の秘密が面白い。 「三国志演義」の思想から毛沢東のリーダーシップを読み解いていく。 「三国志演義」では、皇帝は武力の強い者ではない。 漢の皇祖劉邦は、武の天才項羽を、破るほどの武の達人だが、皇帝になると文民に徹し、文民皇帝として漢帝国400年の礎を作る。 それは武の皇帝となった秦の始皇帝の帝国が15年で滅びたことを反面教師としているのだ。 武で中華を征服したにも関わらず、武の痕跡を消し去って文を表に出すこと。 それこそが「三国志演義」思想の指し示す皇帝の奥義なのだ。 毛沢東が大躍進政策で失敗し、4000万人の餓死者を出した時、人民解放軍のトップで軍のエリートの彭徳懐は、毛沢東排除のクーデタを画策するが、誰も支援しなかった。 人民解放軍は毛沢東を支持したのだ。 何故なのか? 彭徳懐は武を代表する始皇帝であり、魏の曹操に比肩されるからだ。 一方の毛沢東は、文を代表する漢の劉邦であり、蜀の劉備に比肩されるからだ。 中国の皇帝は、優秀な官僚を擁し、皇帝+官僚の政策が過たない限り、正当化される。 その政策が失敗した時、農民は皇帝と時の政権を転覆させることが出来る。 それが易姓革命だ。 中国社会は儒教に裏打ちされた「幇」と言うインフォーマルな組織によって規定されている。 幇はダブルスタンダードを持ち、内には徹底的な利他、外には無法を旨とする。 モデルは蜀の劉備、関羽、張飛の「桃園の義盟」だ。 後にそこに諸葛孔明が加わる。 毛沢東幇に所属していた林彪は、出世するが、毛沢東に忌避され幇を放逐されると身の危険を感じて逃亡を企てる。 しかし、逃亡計画がバレて、燃料不足のままトライデント機で慌てて飛び立ち、途中で墜落して死亡する。 その逃亡計画を毛沢東に告げたのが、林彪の娘だった。 この娘の行動は、毛沢東のカリスマ性を示すとともに、法家の思想(親に対する情よりも、法令を遵守する)の名残を示している。 秦は法家の思想を採用して、法令違反を厳しく罰した。 これは体外的な戦争を、内部に抱え込むことでもある。 つまり、国家の内部が常に戦争状態であったのが秦だったのだ。 その秦が15年の短命で滅びるに至り、漢を樹立した高祖劉邦は、主たる思想として儒教を採用した。 しかし、一方では法家の思想を底流に残した 儒教を主として全面に出し、法家を従として、伏流させたのだ。 儒教+法家のハイブリッド思想によって漢は400年の政治的安定を維持することに成功した。
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めちゃくちゃ面白かった。最近、YouTubeで宮台先生の動画を見て、ファンになって図書館でたまたま見つけて読んだのがきっかけだ。中国の歴史や思想を踏まえた対談はすごく考えさせられた。これからの日本の立ち位置や日本人としてどう中国を捉えればいいか理解しやすかった。
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3人の社会学者による中国の長い歴史、そして日本との関係を社会学の理論なども参照しつつ、現実の観察をしっかりと踏まえて、議論を進めていく。 「おどろきの中国」というタイトルで、なんとなく「やっぱ中国って変な国だよね」的な内容をイメージたのだが、純粋に本当に「おどろいた」。 これ...
3人の社会学者による中国の長い歴史、そして日本との関係を社会学の理論なども参照しつつ、現実の観察をしっかりと踏まえて、議論を進めていく。 「おどろきの中国」というタイトルで、なんとなく「やっぱ中国って変な国だよね」的な内容をイメージたのだが、純粋に本当に「おどろいた」。 これ1冊で、よくわからなかった中国のすがたがモヤの中から立ち上がってくる感じがあった。
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中国についての入門書。橋爪大三郎先生は何でも知っているのではないかと思った。中国の社会的がどういう仕組みなのか、歴史的な背景から説明される。そして、日本と中国の近代について比較、日中の歴史問題、最後に日本の未来について大変わかりやすく書かれています。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中国は西洋より早くに国として成立したので、西洋的国家概念には当てはまらない。 古代から一貫して支配層は文官。 毛沢東は史上もっともラディカルで、利己主義を徹底した(伝統的な儒教すら破壊しようとした)。 そんな毛沢東を中国人が否定しないのは、伝統的な皇帝システム(天と天子というシステム)の形式が無意識的に残っているから。 日本人は日中戦争が「何であるのか」を意味づけられていないので、いくら誤っても中国側は納得できない。 さらに、日本は戦争当事者世代と現在の世代のあいだの連続性を設定できていないので、過去について謝れない。 日本は米中関係の付属物にすぎず、情勢を正しく分析して最善の選択をし続けなければならない。 中国のリーダーは価値基準や人生の目標、仕事の責任、世界観などを自覚的、意識的に構成している。 日本人は大事なことは集団で決め、組織として行動するから、自分の考えや行動を相手に説明できないし、自分でも納得できない。これでは負けてしまう。 台湾の民主化の裏にはCIAが関与していた。 三人目の宮台真司は専門用語が多くて難解。
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序盤は中国社会、中盤は日本との関係、終盤は将来についてが書かれている。 序盤では、宗教観についてが印象に残った。 儒教が伝統的に強いというのは知っていたが、それが権力者が統治するのに都合が良く、科挙を突破できるようなエリート向けなのに対して、イマイチどういったものか掴めなかった...
序盤は中国社会、中盤は日本との関係、終盤は将来についてが書かれている。 序盤では、宗教観についてが印象に残った。 儒教が伝統的に強いというのは知っていたが、それが権力者が統治するのに都合が良く、科挙を突破できるようなエリート向けなのに対して、イマイチどういったものか掴めなかった道教が、科挙を突破できなかったような敗者を救うもので、「裏儒教」といっていたのは今後、道教を理解するきっかけになるものと感じた。 中盤の日本との関係では、第二次世界大戦付近の話が中心だった。 例え話も含めて分かりやすかったが、耳が痛い話が多かったので、読むのが辛かった。 納得する話ではあった。
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とても面白かった。 ・日本は、アメリカと中国の両方の言い分がわかる国、にならないと生きていけない。 ・文化大革命が中国の儒教の伝統を破壊したことで、後の経済成長を可能にした。 ・毛沢東は天からの信託を受けた皇帝という位置づけを利用した。 といったところが、学ぶべきところか。 ...
とても面白かった。 ・日本は、アメリカと中国の両方の言い分がわかる国、にならないと生きていけない。 ・文化大革命が中国の儒教の伝統を破壊したことで、後の経済成長を可能にした。 ・毛沢東は天からの信託を受けた皇帝という位置づけを利用した。 といったところが、学ぶべきところか。 そして、橋爪代三郎はすごい。 著作を読んでみることにしよう。
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(「BOOK」データベースより) そもそも「国家」なのか?なぜ日本人の「常識」は彼らに通じないのか?日本を代表する三人の社会学者が対症療法ではない視座を求めて白熱の大討論。
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p.6 文化大革命の真実 ミネルヴァから出る 県立 市立222ワ p.29 中国は2000年以上前に統一したが、EUは交通の困難があるため、ようやく。 p.37 中国の本質:政治的統一が根本で、政策オプションは選択の対象 p.48 キリスト教がヨーロッパを作り上げたように、儒家が中国をつくった。儒家は政治の安定が何より大事。 p.54 中国原論 小室直樹(県立)、隣りのチャイナ 橋爪大三郎(県立 8F社会科学302.2ハ) p.56 中国では安全保障の優先順位が極めて高い p.73 中国 官僚天国 王輝 9F p.136 中国は多民族・多文化の社会なので、民族の観念に訴えることができず、まず、政治的統一を作り出し、つぎに民族を作り出す。 p.157 権力の予期理論 宮台真司 大学361.43Mi71 p.212 文革のおかげで、短期間の資本主義化がうまくいったと考えられる p.233 鄭成功(母親は日本人) 国性爺合戦で描かれているが、台湾を拠点に清と戦った。 p.241 王輝 世界史のなかの中国 県立 チベット問題は、ヨーロッパ側と中国側の認知地図のちがい。 p.245 日清戦争と日露戦争は、おおむね列強の同意のもと p.249 日中戦争は奇妙。陸軍の仮想敵国はソ連で、中国の好意的中立を確保するのが目的であったはず。 p.282 中国戦線に行くことは市民の義務であって、恥ずべきことではないが、中国国土での犯罪は避難されてもしかたがない。 p.284 天皇の戦争責任 加藤ほか 県立 p.323 マグレガー 中国共産党 8F社会科学315.2マ p.338 アメリカを筆頭とするキリスト教文明圏側にくっついて行くというのが、あるべき日本の基本戦略となる p.340 日本の選択いかんで、日米関係や日中関係がどうこうできると思わないほうがいい。アメリカと中国の関係できまる p.364 こんなに困った北朝鮮 p.366 儒教の行動原理は他者に対する説明責任もあり、リーダー同士では日本人は中国人にまける。中国人は個人で決めるが、日本人は集団で決める。中国という文明の伝統を知ってリスペクトすべき p.370 中国は東京裁判を日中関係の基本としている。A級戦犯が靖国神社に合祀されているからこだわらざるを得ない。 p.371 日本が中国が困っていることを代弁したり、アイデアを出すのもいい。 p.376 中国研究所をつくることも日本からのいいサインとなる。アカデミックなものは中国的文脈からはポリティカル。
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