おどろきの中国 の商品レビュー
本書を通じて、中国がおどろくほどプラグマティックであることを知らしめされた。 広大な地域の政治的統一という至上命題のために、歴代支配者はさまざまな思想を動員した。歴代王朝は儒教と法家思想を巧妙に使い分け人民を支配し、毛沢東は(意識的かはさておき)伝統儒教的な支配概念である天子概念...
本書を通じて、中国がおどろくほどプラグマティックであることを知らしめされた。 広大な地域の政治的統一という至上命題のために、歴代支配者はさまざまな思想を動員した。歴代王朝は儒教と法家思想を巧妙に使い分け人民を支配し、毛沢東は(意識的かはさておき)伝統儒教的な支配概念である天子概念の代用物としてマルクス主義を唱え、鄧小平は資本主義を受け入れ改革解放を断行し高度経済成長に導いた。 政治的統一の重要性を知っている中国国民は、大方の予想を裏切り、政治的統一を維持するために、しばらくは中国共産党による独裁を容認するであろうとの橋爪氏の意見は非常に説得的であった。 また、自分が起こした戦争の目的についてすらも認知することができない、中国的プラグマティズムとは対極にある日本社会の枠組(空気が支配する社会の枠組)において、中国社会が理解され得ないのは至極当然のことであると納得させられた。
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