いちばん長い夜に の商品レビュー
作者の前作「すれ違う背中を」に続く作だが、これは、主人公たちの生活に加え 東日本大震災に被災したことが主に出てくる。 これは作者が実際に当日、仙台で被災したことに基づくもので、改めて地震の怖さを感じた。 この作家さんは、文章が簡潔でどの作品も読みやすく入り込める。
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2016.3.28-22 すれ違う背中をの続編。 刑務所で知り合った芭子と綾香だが、芭子と綾香との決定的違いの心情がよく表現されている。
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綾香が騒ぎを起こしてパン屋を辞める場面では思わず涙が出た。確かに綾香らしくないとも思うが、そういうことってあるとも思う。綾香なりに消化して前向きに頑張っていたけど、ちょっとしたことから決壊しちゃった。旦那に対してもそうだったのだろう。その綾香からなぜ人を殺めてはいけないかを教えて...
綾香が騒ぎを起こしてパン屋を辞める場面では思わず涙が出た。確かに綾香らしくないとも思うが、そういうことってあるとも思う。綾香なりに消化して前向きに頑張っていたけど、ちょっとしたことから決壊しちゃった。旦那に対してもそうだったのだろう。その綾香からなぜ人を殺めてはいけないかを教えてもらった。キレても絶対それだけはダメなんだと。そして、どうにもならなければ、逃げたり、その人から離れることなんだと。殺される人にも家族や友人、愛する人たちがいる。彼らの人生まで悲しいものに変えちゃいけないんだと。
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前科持ちのふたりが前向きに生きていくストーリーの最終作。 今回は東北の震災が軸になっていたからかなり重たい話に。 だけど上滑りしない心にぐっとくる話に仕上がっていたのは 乃南アサさん本人が実際に体験したことを綴っていたから。 辛い体験に蓋をすることなく、こうやって多くの人に伝える...
前科持ちのふたりが前向きに生きていくストーリーの最終作。 今回は東北の震災が軸になっていたからかなり重たい話に。 だけど上滑りしない心にぐっとくる話に仕上がっていたのは 乃南アサさん本人が実際に体験したことを綴っていたから。 辛い体験に蓋をすることなく、こうやって多くの人に伝える作業は大変だったと思う。 切なくて辛い気持ちを抱え続けたふたりに心からエールを送りたいそんな気持ちがあふれました。 このシリーズもっともっと見守っていたかったなぁというのが正直な感想。
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参照: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD#.E6.96.87.E5.AD.A6
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「いつか陽のあたる場所で」「すれ違う背中を」に続くシリーズ3作目、最終章。前科持ちの女性2人の日常生活を描いた話。 著者曰く「『取り立てて大きなことの起こらない』ことこそが貴重であり、かけがえのないもの」、「『あえて何も起こらない話』にしよい思っていた」という前二作はとてもおも...
「いつか陽のあたる場所で」「すれ違う背中を」に続くシリーズ3作目、最終章。前科持ちの女性2人の日常生活を描いた話。 著者曰く「『取り立てて大きなことの起こらない』ことこそが貴重であり、かけがえのないもの」、「『あえて何も起こらない話』にしよい思っていた」という前二作はとてもおもしろかった。 今回は、著者自身が東日本大震災を体験し、大きな動きがある。 元主婦の綾香に焦点があたり、元大学生の芭子のほうはややおざなりか。 これで終わりなのは残念。 (図書館)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これまでの二人の明るい感じから、一転。綾さんの心につきまとう罪の感情、東北大震災、南くんとの出会い。後半はハラハラする展開。 罪を犯すということ、人を殺すということ、これまで口に出さなかった深い闇がようやく露わに。 また、東北大震災は作者自身が経験していたと後書きにあることから、切り離せない出来事として描かれる。 今までの二人のように一緒にはいられない未来。それでも、どうか幸せになってほしいと心から願わずにはいられない。
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ム所帰り女性2人の日々を描くシリーズの最終章。2011のあの震災も物語の中に登場。作者が体験したことだからかとてもリアル。あの時感じた気持ちを少し思い出した。今まで寄り添って生きてきた2人の同じようで同じでないところへの気づきとそれぞれの決断。 最終章にふさわしい展開。
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ようやく、このシリーズのラストの本を読み終えた。 当初、震災の描写があまりにリアルで賛否両論だったこの作品。 自分で手にするまでは、人の評価は関係ないと思ってた。 良かった。 本当に良かった。 実は、さきに「あとがき」を読んだのだ。 乃南アサさんが編集者と一緒に、綾香が出身地と...
ようやく、このシリーズのラストの本を読み終えた。 当初、震災の描写があまりにリアルで賛否両論だったこの作品。 自分で手にするまでは、人の評価は関係ないと思ってた。 良かった。 本当に良かった。 実は、さきに「あとがき」を読んだのだ。 乃南アサさんが編集者と一緒に、綾香が出身地と設定されている 仙台へラストの足がかりを探しに向かったのが、2011年3月11日。 ウソみたいだ。 作家さん自身が被災地で、震源地一番近くで震災を体験し 被災してしまっていたのだ。 それは、あとがきにもあるように、津波の被害でもなく 福島第一原発の被害でもない、 その場所での大きな被災を、乃南さんの手で 残すべくして体験させられたのだな、と理解した。 ムショ帰りの芭子と綾香。 少しづつ、シャバの空気にも慣れ、日常をこなし 平和な日々をなんとか過ごすことにも慣れてきた。 そんな何も起こらないことが、この作品シリーズの特徴だっただけに 路地に咲いている花だとか、煮物のニオイだとか 季節ごとの空気感だったりとかが、「特別」なものに 感じられていた。 けれど、決定的に違った芭子と綾香の罪の重さ。 これまで、まったく悔いなく、 反省はしても清々しささえあるのだと語ってきた綾香にとって 故郷での被災地でのボランティア活動に加わることで とんでもない間違いをしていたことに気づく。 そして、芭子は、震災のその日、偶然にも仙台の地に立ってしまう。 芭子が、そこから東京まで帰ってくる道のりは まさに作者が、その日たどった事実と、まったく同じなのだという。 すさまじい光景が目に浮かぶ。 私たちが、テレビ、ネット、メディアを通してみたそれとは また違った被災地の現実が、文字を通して伝えられてくる。 これは、読むべきだと思った。 そして、大きな出会い。 NHKの「いつか陽のあたる場所で」に出てくる 岩瀬さんはまったくの架空の人物で、 ホンモノの3作目には、ちゃんとそういう人が現れる。 大道芸人ではなく弁護士。 それも綾香の心を動かす1つでもあったりと NHKのドラマも、ぜひこの作品を続編で描いてほしいけど、 あっちとはSP版が、原作とは、まったくかけ離れてしまったから ちょっとムリかな。 もっともっと、芭子と綾香のシリーズを読み続けたかったけれど。 納得のラストでした。
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ムショあがりの女性二人を綴った三部作ラスト。 今までの日常と違い、大事件が起こる。 そして少しづつズレ始める二人の歯車。 まさかここで、東日本大震災がでてくるとは思わなかった。しかも読んでいて本当にドキドキするくらい震災直後の描写が細かい。 と思ったら、作家の実体験がベースだ...
ムショあがりの女性二人を綴った三部作ラスト。 今までの日常と違い、大事件が起こる。 そして少しづつズレ始める二人の歯車。 まさかここで、東日本大震災がでてくるとは思わなかった。しかも読んでいて本当にドキドキするくらい震災直後の描写が細かい。 と思ったら、作家の実体験がベースだったとあとがきを読んでいて知った。伝聞による表現と、実体験を伴った表現では、こんなに違うものなのか。 三部作ラストにふさわしい、読みごたえのある逸作。
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